2018/07/19
グラント・グリーンがサイドマンで参加したオルガンジャズの名盤6選
グラント・グリーンが参加しているオルガンジャズの名盤を6枚選んでご紹介!
グラント・グリーンが本領発揮するのはオルガンとの共演作!
このブログを書いている僕自身、ギターが大好きで自分のバンドやセッションに行ったりしてギターを演奏しています。
なのでどうしても好きな音楽ジャンルも、ギターが主役になれるジャズやブルースなどです。
そんな中で僕が一番好きなギタリストは、ジャズギタリストのグラント・グリーンになります。
どちらかっていうと“Jazz Funk”期のグラントが一番好きなのですが、しかし初期のストレート・アヘッドなジャズをやっていた頃も好きです。
ちなみに“Jazz Funk”期のグラント・グリーンの作品をご紹介している記事もありますのでぜひ下記のリンク先よりご覧になって下さい。
絶対に聴くべきJazz Funkのライヴ盤3選
続・絶対に聴くべきJazz Funkのライヴ盤3選
さて、そんなグラント・グリーンの作品を僕は、リーダー作だけでなくサイドマンで参加したアルバムもおそらく公式のものはコンプリートしているはずです。
ハービー・ハンコックやスタンリー・タレンタインにリー・モーガン、ドナルド・バードにホレス・パーランにアイク・ケベックにハンク・モブレーにアート・ブレイキーなど……挙げていくときりがないのでこの辺で……。
また別の機会にそれらのアルバムもこのブログで取り上げていきたいとは思います。
当時はブルーノート・レーベルの人気ギタリストだったグラント・グリーンがサイドマンで参加した作品は数多くあります。
もちろん全て僕は大好きなアルバムではあるのですが……全部を1記事にしてもダラダラと長くなってしまって面白くないですのでテーマを絞りました。
ちなみについこないだ『グラント・グリーンのお勧めのコンセプトアルバム3選』という記事も書きましたので、よかったらその記事も下記のリンク先より読んでみて下さい。
グラント・グリーンのお勧めのコンセプトアルバム3選
それでは今回のテーマです。
グラント・グリーンがサイドマンで参加したオルガンアルバム
まずグラント・グリーンのリーダー作ではなくサイドマンとして参加している作品に絞りました。
全て別のジャズマンがリーダーの作品になります。
そして今回は、グラント・グリーンが一番輝くオルガンとの共演作をチョイスしたいと思います!
やはりグラント・グリーンのギターと一番相性の良い楽器はオルガンだと思います。
どちらの楽器も同じようにゴスペルやブルースをルーツに持っているので、ギターとオルガンが共演した際のアーシーなハーモニーは絶妙です。
僕の考えでは、グラント・グリーンはオルガンと共演している時が一番活き活きしていると感じます。
というわけでオルガンが参加、もしくはオルガン奏者がリーダーのアルバムで特にかっこいいと僕が思うアルバムを6枚選んでみました。
ちなみにこのテーマでも6枚どころではないぐらい数多くのアルバムが存在しています。
例えば、数年前に記事にしていたルー・ドナルドソンがリーダーの作品なんかもあります。
そちらの方は、また別の機会に取り上げたいと思います。
今回僕が選んだ6枚は、普段から僕がよく聴く「お気に入り中のお気に入り!」を厳選して選んでみました!
それはベイビー・フェイス・ウィレットにリューベン・ウィルソンにビッグ・ジョン・パットンにハロルド・ヴィックにソニー・スティット&ドン・パターソンのアルバムです。
どれも僕が大好きな曲が多く収録されたアルバムですので、自信を持ってご紹介していきたいと思います!(笑)
それでは、6枚のアルバムを簡単にですがご紹介していきたいと思います。
律儀に録音された年代が古い順からお届けしていきたいと思います。
【1枚目のおすすめアルバム】 Baby Face Willette – 『Face To Face』
1961年に録音されたオルガン奏者ベイビー・フェイス・ウィレットのリーダー作です。
メンバーは、そのベイビー・フェイス・ウィレットとギターにグラント・グリーン、ドラムにベン・ディクソンのトリオはグラントの1stリーダー作『Grant’s First Stand』と同じメンバーになります。
グラント・グリーンの記念すべき初リーダー作品『Grant’s First Stand』
更にこの『Face To Face』には、テナーサックス奏者のフレッド・ジャクソンも参加しています。
フレッド・ジャクソンのブルーノート・レーベル唯一のリーダー作も、グラント・グリーンこそ参加してはいませんが、オルガンジャズの名盤ですので以前こちらのブログでも取り上げています。
アーシーなテナーサックス奏者のフレッド・ジャクソン唯一のリーダー作
さて、このベイビー・フェイス・ウィレットの初リーダー作でもある『Face To Face』は、軽快な曲調の”Swingin’ At Sugar Ray’s”で始まります。
ウィレット→グラント→フレッドの順番でソロ回しをしています。
こういった軽快なスウィング曲も得意とする3人の三者三様のアドリヴは、どれも聴くに値します。
2曲目、3曲目と遅めのテンポの曲が続いた後、このアルバム一番の聴きどころであるタイトル曲の”Face To Face”が登場します。
この曲がまた、めちゃくちゃかっこいいテーマメロディーなんです。
まるでこの時代のスパイ映画とかに使われそうな印象的なテーマをオルガン+ギター+サックスがユニゾンで演奏します。
そして今度はフレッド→ウィレット→グラントの順番でソロ回しをします。
拍と拍の「間」を活かしたようなグラントのギターソロが最高です♪
ドラムのベン・ディクソンもソロイストを煽るように所々、バカスカ!とオブリガードを入れます。
なんといっても”Face To Face”がこのアルバム一番の名曲ですのでぜひ聴いてみて下さい!
オルガンジャズを代表する名曲のひとつと言っても過言ではありません!
ちなみにニュー・マスターサウンズも大好きな僕からの耳寄り情報!?(笑)
ニュー・マスターサウンズを結成する前に、リーダーでギタリストのエディ・ロバーツが組んでいたオルガントリオ「The Three Deuces」のライヴ盤『Keep On It (Live At The Yardbird Suite)』の2曲目に”Face To Face”のカヴァー演奏が収録されています。
グラント・グリーンを尊敬するエディ・ロバーツが、小細工一切なしの純粋なオルガントリオで演奏する”Face To Face”は熱過ぎます!
ギターソロも弾きまくっています!
ウィレットのアルバムと違ってサックスなしの編成ですが、”Face To Face”はオルガンとギターだけでテーマを弾いても十分かっこいいです!
ぜひニュー・マスターサウンズ好きの方は「The Three Deuces」のライヴ盤も聴いてみて下さい。
【2枚目のおすすめアルバム】 Harold Vick – 『Steppin’ Out』
テナーサックス奏者ハロルド・ヴィックの1963年のリーダー作『Steppin’ Out』にもグラント・グリーンは参加しています。
先のアルバムで一緒だったベン・ディクソンも参加しています。
更に後ほどご紹介する予定のオルガン奏者のビッグ・ジョン・パットンも参加しています。
このビッグ・ジョンとベン・ディクソンは、グラント・グリーンと共にルー・ドナルドソンのバンドに参加していました。
なのでこのトリオの息はぴったりで相性抜群なんです!
更に、トランぺッターのブルー・ミッチェルも参加した2菅編成のクィンテットで録音されています。
アルバムは、明るめのハードバップ調の曲が6曲収録されています。
1曲目のハロルド・ヴィックの自作曲”Our Miss Brooks”が特に聴きどころです。
ゆったりとしたテーマメロディーが流れる中、ベン・ディクソンのダダダダダッ♪という煽りを受けて2菅のユニゾンのキメ部分と共に盛り上がっていきます。
このキメの後にグラント・グリーンのギターソロが始まるところが何度聴いても鳥肌もんの素晴らしさです♪
ちなみにこの曲の別バージョンを収録したグラント・グリーンのアルバムもありますのでそちらの方もチェックして下さい!
その他にもアップテンポな2曲目の”Trimmed In Blue”や4曲目の”Dotty’s Dream”に6曲目のタイトル曲の”Steppin’ Out”は、この時代を象徴するかのような軽快なハードバップ調の曲です。
ハンク・モブレーやデクスター・ゴードンにジャッキー・マクリーンなどのブルーノート・レーベルの作品群が好きな方にもおすすめです。
ソウルジャズ/ジャズファンク的なアルバムではありませんが、オルガン系のハードバップ作品としては秀作ですのでぜひこの『Steppin’ Out』も聴いてみて下さい。
【3枚目のおすすめアルバム】 Big John Patton – 『Let ‘Em Roll』
今回ご紹介する6枚のアルバムの中で僕が一番好きなアルバムです。
それどころか、グラント・グリーンのオルガン作品の中でも一番好きなアルバムです。
グラント・グリーンのリーダー作しか聴いてないって人は、ぜひこのアルバムを聴いてみて下さい。
いや、グラント・グリーンが本当に好きなら、絶対に聴いていなくてはいけない作品だと思いますよ!(念押し!それぐらい僕は好きです。笑)
確かニュー・マスターサウンズのエディ・ロバーツもこの作品が一番好きだとか雑誌のインタビューで言っていたはず!?
エディ・ロバーツが2016年辺りからアメリカの地元でやっている(エディ・ロバーツはイギリス人ですが今はアメリカに移住しています。)グラント・グリーンのトリビュートライヴ企画でもこのアルバムの曲を多くチョイスしてカヴァーしていました。
そんなこのアルバムは、本作のリーダーのオルガン奏者ビッグ・ジョン・パットンとグラント・グリーンの他に、今回はベン・ディクソンではなくオーティス・フィンチがドラムを叩いています。
そしてこのアルバムのオシャレなジャケットと同様に、中身の音楽をより洗練されたものにしてくれているのが、新主流派のヴィブラフォン奏者ボビー・ハッチャーソンです。
この頃のグラント・グリーンは、ボビー・ハッチャーソンのリーダー作に参加したり、自身のアルバム『Idle Moments』に参加してもらったりしていました。
グラント・グリーンの最高傑作!?『Idle Moments』
ジャズを聴き始めの方はもしかしたら意外に感じられるかもしれませんが、ヴィブラフォンとギターの相性って抜群なんです!
そこにオルガンも入ってくると、何とも言えないような洗練されたオシャレなサウンドが出来上がります!
オルガン+ギター+ヴィブラフォンの組み合わせが、ここまでの音楽的化学反応を起こすとは……驚きのオシャレなサウンドです!
僕はこのオシャレなサウンドが大好きです♪
その中でもこの1965年の作品『Let ‘Em Roll』は、ずば抜けた出来です!
もっとこの4人で作品を残して欲しかった……ライヴ録音とかしてないのかな?ともったいなく感じるぐらい素晴らしい作品です!
1曲目のタイトルトラックの”Let ‘Em Roll”からすでにオシャレサウンド全開なのですが、一番の聴きどころはグラント・グリーンが大活躍する2曲目の”Latona”です。
「ラトーナ」とは、ギリシャ神話のアポロの母親のことですが、どこかそんな神話のような神聖な曲調に聴こえるのは、オルガンとヴィブラフォンの教会音楽のような響きによるものなのでしょうか!?
そしてこの曲でのグラントのアドリヴ演奏は最高峰の演奏です!
グラントのシグネチャー・フレーズも多数登場するギターソロは必聴です!
他にも4曲目のどこかマヌケなテーマメロディが面白いハンク・モブレー作の”The Turnaround”や、それとは逆にハードバップ的でかっこいいビッグ・ジョンのオリジナル曲の5曲目の”Jakey”なんかも素晴らしい曲です。
デザイナブルでオシャレなアルバムジャケットも手元に置いておきたくなる僕のお気に入りの作品です♪
これは本当におすすめです!
未聴の方は、ぜひ聴いてみて下さい♪
このオシャレなジャケットデザインは、後続の様々な作品に流用されてもいますね。
【絵になる美女ジャケシリーズ】It’s A Groovy Thing! お勧めの3種類のJazz Funkコンピレーション
【4枚目のおすすめアルバム】 Big John Patton – 『Got A Good Thing Goin’』
4枚目にご紹介するアルバムも先ほどと同じくビッグ・ジョン・パットンがリーダーの作品です。
こちらのアルバムは、ボビー・ハッチャーソンが抜けてメロディー楽器はビッグ・ジョンとグラント・グリーンのみになります。
そしてドラムも代わってヒュー・ウォーカーが叩いています。
女性がダンスしているアルバムジャケットのようにリズムを強調するためか、本作にはコンガでリチャード・ランドラムが参加しています。
1曲目の”The Yodel”は、そのままヨーデル調のテーマメロディーをオルガンとギターがユニゾンで奏でます。
そのバックでドラムとコンガがダンサンブルなリズムをキープしている踊りたくなるような楽しい曲です♪
この曲と続く2曲目の”Soul Woman”は、ビッグ・ジョンとグラントの共作です。
3曲目の”Ain’t That Peculiar”と共に、この冒頭3曲はドラムのグラッセラ・オリファントのアルバムにビッグ・ジョンとグラントが参加した際にも演奏されています。
そのアルバムは、グラッセラ・オリファントの1967年の『The Grass Is Greener』という作品です。
こちらも要チェックです!
ビッグ・ジョンの『Got A Good Thing Goin’』は、4曲目のサム・クックのカヴァー曲”The Shake”を挟んで5曲目の名作曲家でピアニストでもあるデューク・ピアソンの曲”Amanda”で締めくくられます。
この時期のグラント・グリーンのギターは、以前にもましてシャープになっていて切れが抜群です!
音数はそんなに多くなくって、ましてや速弾きをしているわけではないのですが……
音の切り方が絶妙で、その辺がこの時期のグラントのギターソロにスピードを感じるところだと思います。
コンガの参加でよりリズムが強調された『Got A Good Thing Goin’』もおすすめの作品です!
【5枚目のおすすめアルバム】 Reuben Wilson – 『Love Bug』
グラント・グリーンの息子グレッグ・グリーンことグラント・グリーンJr.とも後に共演することになるオルガン奏者のリューベン・ウィルソンです。
1969年の『Love Bug』は、後にアイドリス・ムハンマドと名前を変更するレオ・モリスがドラムを叩いています。
そのためストレート・アヘッドなジャズというよりも、ソウルジャズ風の曲調が多く収録されています。
またトランペットの名手リー・モーガンと、マイルス・デイヴィスのクインテットにも一時期在籍していたテナーサックス奏者のジョージ・コールマンも参加した2菅編成のクインテットです。
ゆったりとした1曲目の”Hot Rod”から、続く2曲目のテンプテーションズやスプリームスが歌った”I’m Gonna Make You Love Me”や3曲目のアレサ・フランクリンが歌った名曲”I Say Little Prayer”のカヴァー曲などソウルジャズ風の曲が印象的です。
そんな中でもやはりタイトルトラックの”Love Bug”が一番の出来です!
リューベン・ウィルソンの自作曲で、グラント・グリーンもシグネチャー・フレーズ満載でギターソロを熱く弾いています!
これもまたオルガンジャズを代表するような名曲のひとつだと思います。
リューベン・ウィルソンの作品の中でも、グラント・グリーンが参加しているこの作品がやはり僕は一番好きです。
ちなみに過去にこのブログで書いていたグラント・グリーンJr.とリューベン・ウィルソンの共演作の記事も下記に貼っておきますので、ぜひリンク先より読んでみて下さい。
リューベン・ウィルソンの『オルガン・ブルース』
グラント・グリーンの息子のファンキーなリーダー作『Jungle Strut』を聴こう!
【6枚目のおすすめアルバム】 Sonny Stitt & Don Patterson – 『Brothers 4』
最後にご紹介するのは、テナーサックス奏者のソニー・スティットとオルガン奏者のドン・パターソンの共演作にグラント・グリーンが参加した1969年のアルバム『Brothers 4』です。
ドラムにはビリー・ジェイムスが参加したカルテット編成です。
この時期のグラント・グリーンの参加作品は、どちらかっていうとソウルジャズ/ジャズファンク系の曲調が多いのですが、このアルバムはストレート・アヘッドなジャズを演奏しています。
やはりその辺はソニー・スティットに合わせているのでしょうか?
しかしそれでもこの時期のグラント・グリーンのキレッキレのギターソロは、初期のジャズを演奏するグラント・グリーンとは別人の様でもあります。
60年代後半あたりから、グラント・グリーンのギターソロのリズムの切れが増していきます!
とにかくこのアルバムを通して聴けるグラント・グリーンのギターソロの凄まじさと言ったら……筆舌に尽くしがたい素晴らしさです。
1911年にアーヴィング・バーリンが作曲した古き良き時代の名曲”Alexander’s Ragtime Band”なんかも3曲目に収録されています。
楽し気なサックスのテーマメロディーのバックで、グラントが半音を上げ下げするヴィブラート交じりのコンピングを弾いていたりします。
そしてソニー・スティットのゆるゆるなサックスソロの後に(笑)キレッキレのグラント・グリーンのギターソロが始まります!
テーマこそ弾いていませんが、どう考えてもこのアルバムのメンバーの中でグラント・グリーンが断トツに演奏力が高いです!
どうせならこの面子でグラント・グリーンをリーダーにしたアルバムを制作して欲しかったところです。
ソニー・スティットでは華がないです。(笑)
またソニー・ロリンズやジョン・コルトレーンからも影響を受けていたグラント・グリーンが彼らの演奏曲”St. Thomas”に”Good Bait”、”Tune Up”を演奏しているのも見逃せません!
ただしテーマを弾くのはソニー・スティットとドン・パターソンなのですが……。
グラントは、コンピングとソロに徹しています。
そして本作のリーダーのソニー・スティットよりも上手いギターソロをぶち込んできます!(笑)
このアルバムは、キレッキレのグラント・グリーンのギターソロを聴くために存在していると僕は考えています。(笑)
キレッキレのグラント・グリーンを味わうためにもぜひこの『Brothers 4』を聴いてみて下さい。
以上が『グラント・グリーンがサイドマンで参加したオルガンジャズの名盤6選』でした。
ぜひ今回ご紹介した6枚の作品と、その他の関連作品を聴いてみて下さい。
それでは、また他のテーマで次回もブログ記事を書いていきたいと思います。
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