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カテゴリー:Music

2019/10/11

ジャズファンク・ギタリストのメルヴィン・スパークスが1997年に制作した16年振りとなるリーダー作『I’m A ‘Gittar’ Player』を聴こう♪

ジャズファンク・ギタリストのメルヴィン・スパークスが1997年に制作したリーダー作『I’m A ‘Gittar’ Player』をご紹介します。

メルヴィン・スパークスの思いを詰めた渾身の一作!

久しぶりにメルヴィン・スパークスのアルバムご紹介となります。

 

ちょうど前回、同じジャズファンク系ギタリストのジョージ・フリーマンをご紹介していたのですが……

 

ジャズファンク・ギタリストのひとりジョージ・フリーマンの『Franticdiagnosis』を聴こう♪

今回はこのブログでもたびたび登場している僕の尊敬するギタリストのひとり、メルヴィン・スパークスのご登場です!

 

御年92歳にして今もって健在のジョージ・フリーマンに対して、メルヴィン・スパークスは残念ながら2011年に64歳で亡くなっています。

 

そんなメルヴィンが最期にリリースした2006年の名作『Groove On Up』は、僕もリアルタイムで購入して聴きまくったアルバムです。

 

最期の最期にキャリアを代表するような力の入った名作を残してくれたことは、ファンとしては喜ばしいことなのですが……実は今回ご紹介する『I’m A ‘Gittar’ Player』という作品は、『Groove On Up』に繋がる重要な復活作でもあります。

 

 

16年振りとなる復活作は最終作に『Groove On Up』にも繋がる重要作品⁉

それは『Groove On Up』のご紹介記事にも書いていたのですが、本作に収録されている幾つかの曲はその後ブラッシュアップして『Groove On Up』に収録されることになりました。

 

【名ジャズファンク・ギタリスト】メルヴィン・スパークスの最期のアルバム『Groove On Up』を聴こう♪

そういった意味では、『Groove On Up』の未完成バージョン?と言えない曲もあったりはするのですが……それよりも本作は16年振りに制作された復活作!としての重要さもあります。

 

60年代後半からオルガン奏者のチャールズ・アーランドを始め、ベテラン・サックス奏者のルー・ドナルドソンやヒューストン・パーソンにハンク・クロフォード等数多くのミュージシャンの作品にサイドマンとして参加していたメルヴィンなのですが、70年代に入って遂にリーダー作を制作するととなりました。

 

その後、1981年までにアルバム6作分の吹き込みをしているのですが、80年代に入ってオルガン系のジャズファンク人気が落ちてしまうとリーダー作を制作しなくなりました……。

 

しかし90年代にアシッドジャズ/レア・グルーヴのムーヴメントが盛り上がったおかげで、オルガン系ジャズファンクも見直されるようになり、満を持して1997年にこの『I’m A ‘Gittar’ Player』がリリースされることになりました!

 

実に16年振りとなる90年代唯一の作品は、「オイラはギッター弾きじゃい!」と言わんばかりの題名が付けられています。

 

“Guitar”ではなく“Gittar”と記載されているのは、わざと南部訛りの発音をスペルにしたからだと思います。

 

メルヴィン・スパークスは、アメリカのテキサス州ヒューストンに生まれていますが、その後ジャズを演奏するために大都会NYへと移住しています。

 

僕ら日本人からしたらヒューストンも巨大なビルが並ぶ十分大都会に感じるのですが……でもアメリカの映画やドラマを見ていると南部出身の人らはNYやL.A.の都会っ子からしたら、かなり訛りの強い田舎者扱いされていたりしますよね。

 

そういったのも込めてあえて“Gittar”と訛りを強調したのだと思います。

 

復活作は、テキサスの南部魂を込めてやろう!といったところでしょうか。

 

でも僕も大阪人なので少し気持ちがわからなくもないです。

 

大阪も十分大都会なのですが、しかし東京に行くと田舎者とまではいかないものの「大阪弁ってきついよね!」と言われたりもしますからね。

 

文章で書いてると大阪弁はあまり出ませんが、話し始めると「そうやで。」「~やんな?」とモロに大阪弁になります。(笑)

 

なんとなくメルヴィンの気持ちがわかるような?気がします。

 

それでは16年振りのリーダー作となる渾身のジャズファンク作品『I’m A ‘Gittar’ Player』をご紹介します。

 

 

Melvin Sparks – 『I’m A ‘Gittar’ Player』

 

01.Mr. Texan
02.Balcony
03.Jiggy
04.Boogie Street
05.I’m A ‘Gittar’ Player
06.Sparkling
07.Taste The Flavor
08.All Day, All Night
09.Get Down Tonite

 

Personnel:
Melvin Sparks – Guitar & Lead Vocals
Ed Pazant – Alto Saxphone
Ron Levy – Organ
Fred McFarlane – Fender Rhodes Piano, Clavinet
Danny Mixon – Piano
Stanley Banks – Bass on Tracks 05, 06 & 08
Eric Sealls – Bass
Scott Lebish – Drums
Idris Muhammed – Drums on Tracks 05 & 08
Steve Kroon – Percussion
Pucho – Timbales on Track 03
Idrissa & Ayisha Hassan, Kevin & Band – Vocals on Track 08
Jen Durkin – Vocals on Track 09
Back-toBack – Rap & Vocals on Track 08

 

Recorded and Mixed at The Magic Shop, New York City.

 

ユニークなケースの作り

本作はキャノンボール・レコードという会社からリリースされているのですが、爆弾のロゴマークが印象的な2014年に設立された現行のインディー・レーベルとは違う会社です。

 

ミネソタ州チャナッセンのレコード会社で、ちょうど1997年から2000年にかけて幾つかの作品をリリースしていたみたいです。

 

今はもう存在しないレーベルなのかな?

 

よくはわかりませんが、その小さなレーベルがメルヴィンに目を付けて本作がリリースされるに至ったようです。

 

現行のインディー・レーベルの方は爆弾のロゴマークなのですが、こちらのキャノンボール・レコードの方は砲弾が飛んでいくようなロゴマークを使っています。

 

僕はキャノンボール・レコードの作品を本作しか持っていないので、他の作品がどうなのかはよくわかりませんが……でも本作はちょっとした面白い作りになっています。

 

本作を買ってCDを聴いているときにすぐに気づいたのですが、「あれ?ケースから何か音がする?」と思い見てみると……

 

ケースの端っこにコロコロと転がるパチンコ玉のようなものが入っていたんです!

 

なんともユニークなアイデアが気に入りました!(笑)

 

なので、このブログを読んでこの作品を聴きたくなったという方にも、ぜひともCDで手にしてもらいたいと思いました。

 

それではアルバムの中身も見ていきましょう。

 

 

アルバムの内容

全9曲中最後の”Get Down Tonite”以外全てメルヴィンの自作曲になります。

 

まずはオシャレなスムースジャズ風の1曲目”Mr. Texan”から始まります。

 

ノーマン・ブラウンが演奏しそうな雰囲気の曲なのですが、先に『Groove On Up』を聴いていた僕は「あれ?このメロディーって”Groove On Up”と同じ?」と気づきました。

 

そうなんです、この”Mr. Texan”は後に『Groove On Up』のタイトル曲へと進化しています。

 

“Groove On Up”では、ホーン隊抜きでメルヴィンがテーマを弾いていたのですが、こちらの”Mr. Texan”にはアルト・サックスが参加していてギターとユニゾンでテーマを吹いています。

 

こちらの方がサウンド的にはゴージャスな仕上がりではありますが、テンポが緩くリズムにキレがありません。

 

曲のメロディーは良いだけに、少しダラッとした演奏だったのを”Groove On Up”で更にグルーヴィーに仕上げたのかもしれませんね。

 

メルヴィンのギターソロも9年後の”Groove On Up”の方がよりキレが増しています。

 

その代わり、本作ではサックスソロとピアノソロを聴くことが出来ます。

 

完全にギターが主役だった『Groove On Up』と違って、本作は通常のジャズ作品のように各楽器のソロ回しを楽しむことも出来ます。

 

メルヴィンのファンキーなカッティングから始まる2曲目”Balcony”もその後別の曲へと進化した楽曲です。

 

この曲は後に2004年にリリースされる『It Is What It Is』のタイトル曲”It Is What It Is”へと進化しています。

 

『It Is What It Is』にもサックスは参加していたのですが、違いがあるとすれば鍵盤楽器が少し違っています。

 

どちらの作品にもオルガンは共通して参加していますが、本作には更にダニー・ミクソンによるピアノも付け加えられています。

 

オルガンはバッキングのみとなりますが、メルヴィンのギターソロの後にファンキーなピアノのソロも聴くことが出来ます。

 

もちろんピアノソロも素晴らしいのですが、どうしてもイナタいジャズファンクというよりもオシャレなスムースジャズ的になってしまいますね。

 

3曲目”Jiggy”も後に『Groove On Up』の1曲目”MyKia’s Dance”へと進化した楽曲です。

 

本作ではテーマが始まる前にメルヴィンが少しソロフレーズを弾いてイントロが違っているのですが、どうもこのフレーズが蛇足だったためか”MyKia’s Dance”ではカットされています。

 

どうしても『Groove On Up』を聴いた後だと、未完成の手探りな楽曲に聴こえてしまうのは仕方ないことですね……。

 

しかしこれが後に名作『Groove On Up』に繋がったと思うと、価値はあります。

 

4曲目”Boogie Street”は、メルヴィンも当時のお気に入り曲だったのか?90年代のライヴでよく演奏されていた曲です。

 

この曲も後に『It Is What It Is』に収録される”A Love Jam”へと進化することになります。

 

他の楽曲が進化の過程でテンポアップしているのに対して、この曲は逆にテンポダウンさせているのは興味深い点です。

 

僕は本作収録の少し早いテンポの方が好きです♪

 

5曲目”I’m A ‘Gittar’ Player”は、「オイラはギッター弾きじゃい!」とメルヴィンが楽し気に歌うブルース曲です。

 

メジャー系のコード進行に、冒頭のギターソロではメルヴィンがちょくちょく使うミクソリディアン・スケールを用いたディキシーランド・ジャズ時代から伝わる伝統的なフレーズを弾いていたりもします。

 

メルヴィンの幻想的なトレモロ・ピッキングによるイントロから始まるバラード曲の6曲目”Sparkling”も後に『Groove On Up』に収録されています。

 

『Groove On Up』では、”I Want To Say Thanks”という曲目になりました。

 

聴き比べしてみると「9年でメルヴィンのプレイスタイルはこうも変わったのか!」と感じることも出来ます。

 

どうしてもオルガン系ジャズファンク・ギタリストって、そこまでギターに興味がない人が聴くと「マンネリのワンパターンな演奏……」と思われそうなのですが……でも同じようでいて進化していってるんです!

 

グラント・グリーンもジャズファンク初期の『Carryin’ On』と最終作の『Easy』では少し変わっていますからね。

 

あのアイヴァン・”ブーガルー”・ジョー・ジョーンズですら勢い重視だった『Right On Brother』から最終作『Sweetback』になるとよりピッキングが正確になっていたりします!

 

メルヴィンも本作では溌溂としたバラード演奏だったのが、9年後にはより間を意識した演奏に代わっていて渋さが増していたりします。

 

7曲目”Taste The Flavor”もその後2005年の作品『This Is It!』収録の”Bounce”という曲に進化することになる楽曲です。

 

トランペットを含むホーン隊が派手な”Bounce”とは違って、本作の”Taste The Flavor”の方ではサックス1本とギターがユニゾンでテーマを弾いています。

 

8曲目”All Day, All Night”は、メルヴィンお得意のアップテンポのブルースです。

 

今度は女性バックコーラスを従えてメルヴィンがまるでクラレンス・”ゲイトマウス”・ブラウンかのように気持ちよくブルースを歌っています。

 

ロン・リーヴィーによるオルガンソロもゴイゲンです♪

 

最後の9曲目”Get Down Tonite”は、KC&ザ・サンシャイン・バンドの1975年の曲のカヴァーです。

 

本作では冒頭に女性ラップを起用しています。

 

その後ギターのイントロがあり、メルヴィン自ら歌も歌っています。

 

ブルース曲ならまだ良いのですが……さすがにこういったキャッチーなファンク曲を歌うとなると、メルヴィンの歌はお世辞にも上手いとは言えません。(笑)

 

カヴァーの選曲は素晴らしいのですがね……。(笑)

 

 

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
おすすめ曲は、#1 #2 #4 #5 #6

 

 

以上、【ジャズファンク・ギタリストのメルヴィン・スパークスが1997年に制作した16年振りとなるリーダー作『I’m A ‘Gittar’ Player』を聴こう♪】でした。

 

メルヴィン・スパークス16年振りのリーダー作となった『I’m A ‘Gittar’ Player』は、その後の2000年代の名作群へと繋がっていったある意味でリハビリのような作品となりました。

 

9曲中、3曲のボーカル曲を除いた6曲がその後、他のアルバムに形を変えて収録されることになります。

 

そう考えると、メルヴィン最期の3作品のデモ音源のような気もしなくはないのですが……しかし決して演奏の質が低いわけではありません!

 

パチンコ玉が入ったCDケースの作りも面白いので(笑)、ジャズファンク・ギターがお好きな方におすすめのアルバムです♪

 

 

 

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