
2010/02/12
グラント・グリーンの最高傑作!?名盤『Idle Moments』をおすすめしています。
1963年リリースのグラント・グリーンの最高傑作!?『Idle Moments』
Grant Green – “Idle Moments”
1. Idle Moments
2. Jean de Fleur
3. Django
4. Nomad
5. Jean de Fleur [Alternate Version][*]
6. Django [Alternate Version][*]
[*]=Bonus Track
Personnel:
Grant Green (g)
Joe Henderson (ts)
Bobby Hutcherson (vib)
Duke Pearson (p)
Bob Cranshaw (b)
Al Harewood (ds)
BN:4154
Recorded November 4, 15, 1963, NJ
広い音楽性を持つグラント・グリーン
普段からマディ・ウォーターズなどのブルースを聴いていたというジャズ・ギタリスト界きってのブルージーなギタリストのグラント・グリーン。
そのグラント・グリーンの’63年録音の渋いセッションを収めた1枚です。
新主流派ジャズへの挑戦
当時勢いを増していた新主流派ジャズ(New Main Stream)と呼ばれることになるジ ャズの新しい変革の波に
グラントがブルージーなギターを武器に、この新しいジャズの『言語』に果敢にも挑戦したのであった。
参加メンバーも新主流派
アルバムには、BNの新主流派を代表するかのような2人のメンバーが参加しているのが特徴的でしょうか!?
その2人とはヴィブラフォン奏者のボビー・ハッチャーソンとブラック・フィーリン グ溢れるテナー奏者のジョー・ヘンダーソンです。
(グラントはこの2人とは他のアルバムでも何度か共演しています。)
アルバムのキーパーソン
またこのアルバムのキーパーソンはなんといってもピアニストのデューク・ピアソン です。
ドナルド・バードに見出されたピアソンは後にBNのA&Rマンとしても活躍するのですが 、
彼の素晴らしさはその作曲能力とアレンジ力にあるんだと思います。
全4曲中、タイトル曲と4曲目の”Nomad”が彼の作曲です。
収録曲の内容は?
タイトルトラックの#1は渋くアーシーな曲調で、特にピアソンの味のあるコンピング は、
ジャズのかっこよさをとてもうまく表現しているように感じます。
グラントが情感たっぷりに弾くメロディーラインに、流麗なオブリガードを付け加えるピアソンの演奏は、まるでゴスペル音楽の「掛け合い」のようであります。
曲名こそ「無意味な(気だるい)時間」ですが、グラントの情感込めた演奏が身に沁みます…… 。
そんな中、新主流派の波も押し寄せてくる……。
まずはハッチャーソンが蝶が舞うかの如く華麗なソロ演奏を聴かせ……
そしてジョーヘンも彼の持ち味でもあるソウルフルなソロを奏でます。
そう、このジョーヘンがなんとも渋くってかっこいいのである!!
なにやら一聴すると弱々しく吹いてるかのように感じられそうですが、
無駄に力いっぱい吹くのではなく、一音一音に魂を込めてメロディーを構築していく 。
力が入っていないようで、しかし逆にこれほどまでに抑制された音で吹くには精神力 と忍耐力の全てを出し切らないと難しいんだろうなぁ……。
15分近い曲だが長さを感じさせない名演だと感じます。
「気だるい時間」だが、とても熟成されたスモーキーで渋い雰囲気を演出することに 成功しているといえます。
2曲目はこのアルバムの一番の聴きどころ
続くアップテンポの#2はグラントのオリジナル曲で、モーダルで美しい構成美を持っ た曲調が、
新主流派に立ち向かおうとするグラントの心意気を感じさせるような名曲 でしょう。
このアルバムのベスト・トラックだと個人的に感じます。
メインのメロディーをハッチャーソンやジョーヘンとハモる部分がとても印象的です 。
また流れるようなメロディラインを奏でるグラントのギターソロは、何度聴いても美しいですね。
終始スリリングな演奏で聴く者を飽きさせない!
名曲”Django”は、どうしてもグラントが演奏したかった曲
また#3は、ジャンゴ・ラインハルトに捧げられた名曲で
モダンジャズ・カルテット(MJQ)のジョン・ルイス作です。
どことなく物憂げな曲調が、グラントのよく歌うギターとジョーヘンの黒く渋いテナ ーとマッチしています。
グラントの絶妙なチョップ奏法が聴ける”Nomad”
そして最後のモーダルな曲#4も、このアルバムのキーパーソンであるデューク・ピア ソン作の渋いい曲です。
イントロのピアソンの弾く流麗なメロディーがとても洗練されています。
(ちなみにボーナストラックの別ver.では、ピアソンが面白いシーケンスフレーズを弾いていたりします。)
まずソロを吹くのはジョーヘンで、ブラック・フィーリング溢れる渋い演奏が楽しめ ます。
続くハッチャーソンのイマジネイティヴな美しいヴァイヴ演奏は、彼の非凡なる才能 を強く感じます。
このアルバムにハッチャーソンがいるといないとではだいぶ印象が 変わるんだろうな~と思う。それぐらいに重要な音でしょう。
その後のグラントの独特の『間』の取り方が面白いリズミカルなギターソロは必聴!!
リズムがズレそうでズレない8:23からのスリリングな連続チョップ奏法がかっこい い!
ブルージーなジャズギタリストってだけじゃない!
このアルバムを聴いて思うのが、
ブルージーなジャズギタリストであるが、どんなタイプの楽曲にも対応できたのがグ ラントの強みだと思います。
(後にクラシックのモーツァルトの交響曲第40番ト短調もカヴァーしてたりもする 。
またグラントの息子が語るには、ブルースだけでなくクラシックやあらゆる音楽を自宅 では聴いていたらしい。)
初めて聴いたグラント・グリーン
初めて聴いたグラント・グリーンのアルバムがこれだったので特に思い入れが深いです。
しかも買った理由が、たまたまブルーノート・レーベルのジャズにハマっていて、たまたま当時、大阪の梅田にあったJEUGIA(だいぶ前になくなりました。)で輸入盤ジャズCDのバーゲンセールのワゴンでこのCDを見かけたからです。
初めてこのジャケを見た瞬間に……あまりのジャケの渋さに、アルバムの内容も何も知らないのに、即買いしました!
まぁたまたま輸入盤セールで確か800円ぐらいで売っていて安かったってのもありますが……。(笑)
しかし買って損は全くしませんでした!
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