カテゴリー:Music

2018/09/30

オルガンが荒れ狂う!ラスティ・ブライアントのジャズファンク名盤『Fire Eater』を聴こう♪

Jazz Funkおすすめの名盤探訪シリーズ!

前回のロニー・スミスの『Move Your Hand』に引き続きジャズファンクの名盤をご紹介するシリーズです!

 

歌も歌うオルガン奏者ロニー・スミスの傑作ライヴ盤『Move Your Hand』を聴こう♪

さて、今回はオハイオ州を代表するサックス奏者ラスティ・ブライアントがリーダーの作品です。

 

ラスティ・ブライアントの生まれはウェスト・バージニア州なのですが、生涯の大半をオハイオ州で過ごしたので”オハイオ州を代表するサックス奏者”と言っても差し支えないでしょう。

 

ところで、オハイオ州といえば以前ご紹介していたオハイオプレイヤーズを思いつきますね。

 

【ファンクおすすめの名盤シリーズ①】オハイオプレイヤーズの名盤3選+α

 

ここでせっかくなのでオハイオ州について僕の知っていることを書いてみたいと思います。

 

 

 

 

オハイオ州とブラックミュージック

 

オハイオ州は五大湖のひとつであるエリー湖の南に広がる地域で、水上交通網の発展と共に一大工業都市へと成った州です。

 

また水上交通の要所としてだけでなく、古くは南北戦争以前の時代から南部の奴隷州と北部の自由州を分ける境界線としての役割も果たしていました。

 

そのため南部から北部へ川を渡ってオハイオ州へと逃げ出してくる黒人たちが多かったようで、こうした歴史的背景からオハイオ州では古くから奴隷制度の廃止が訴えられていました。

 

1833年に創設されたオベリン大学なんかは当初から黒人の入学が認められていました。

 

そういった歴史的背景のあるオハイオ州から黒人たちがブラックパワーを炸裂させるような熱く自由奔放なファンクミュージックが盛んになったのではないかな?とも思います。

 

 

ちなみに僕が以前ジョン・コルトレーンの『Africa/Brass』のブログ記事で書いていた「地下鉄道(アンダーグラウンド・レイルロード)」と呼ばれる組織がつくられたのもこのオハイオ州です。

 

ジョン・コルトレーンのインパルスレーベル第一弾『Africa/Brass』を聴こう!

この組織は、迫害を受けていた黒人たちを奴隷制度のないカナダへ逃亡させるための手助けを行っていました。

 

特にシンシナティという町は、その拠点ともいえる都市で現在も逃走ルートや隠れ家の一部が史跡として残っているようです。

 

当時、この組織によって救われた黒人は6万人にものぼるそうです。

 

この「地下鉄道(アンダーグラウンド・レイルロード)」という組織は「クェーカー教徒」を中心に構成されています。

 

そしてオハイオ州のモットーである『神となれば、何事も可能』は、黒人解放に尽力した彼らの信念を表した言葉です。

 

いかにオハイオ州という地域が「奴隷解放運動」に力を注いできたのか歴史の重みを感じますね。

 

また誰しもが知るような有名人を輩出した州でもあります。

 

発明家のトーマス・エジソンや飛行機を発明したライト兄弟、映画監督のスティーヴン・スピルバーグに宇宙飛行士のニール・アームストロングなんかがそうです。

 

全員教科書に載るような偉人ばかりですね!

 

そんな土地で活動していたのが今回ご紹介するラスティ・ブライアントです。

 

それでは、今回はラスティ・ブライアントがプレスティッジ・レーベルで1971年に吹き込んだジャズファンクの名盤をご紹介したいと思います。

 

 

Rusty Bryant – 『Fire Eater』

01.Fire Eater
02.Free At Last
03.The Hooker
04.Mister S.

 

Personnel:
Rusty Bryant – Tenor Saxophone
Bill Mason – Organ (tracks 1, 2)
Leon Spencer, Jr. – Organ (tracks 3, 4)
Wilbert Longmire – Guitar
Idris Muhammad – Drums

 

 

アルバムの内容

 

この作品の1曲目の”Fire Eater”はザ・ニュー・マスターサウンズが初の公式ライヴ盤『Live at La Cova』でカヴァーしたことによって近年のジャズファンク・シーンでも再び脚光を浴びるようになりました。

 

ザ・ニュー・マスターサウンズの初の公式ライヴ盤『Live at La Cova』を聴こう!

もちろんザ・ニュー・マスターサウンズだけでなく様々なバンドが取り上げています。

 

公式盤では発表されていませんが、ソウライヴが過去にライヴでやっていたりもしました。

 

また晩年のメルヴィン・スパークスもこの曲を得意曲にしていました。

 

 

ライヴではアドリヴソロが盛り上がりすぎて毎回10分以上の長尺曲になっています!

 

ラスティ・ブライアントのこのオリジナルバージョンも約10分あります!

 

ワンコードのシンプルな曲なんですが、どうもこの曲を演奏するソロイストたちは長めのアドリヴを弾いてしまいがちですね。(笑)

 

バンドの基本編成は、主役のラスティ・ブライアント+オルガントリオというジャズファンクの基本型です。

 

ドラムにはジャズファンク系の名ドラマーのアイドリス・ムハマッドが参加しています。

 

アイドリス・ムハマッドという名前はイスラム教に改宗した後に変更した名前で、元はレオ・モリスという名前でした。

 

グラント・グリーンやルー・ドナルドソンなんかのソウルジャズ/ジャズファンク名盤に多数参加しています。

 

ルー・ドナルドソンのソウルジャズ作品『Hot Dog』を聴こう!

ニューオーリンズ出身のドラマーなので、同地特有のネチっこいシンコペーとするドラミングが特長でもあります。

 

オルガンには、1曲目と2曲目にビル・メイソンが参加して、熱いオルガンソロを弾きまくってくれています!

 

3曲目と4曲目には1971年のジャズファンク名盤『Louisiana Slim』を制作したオルガン奏者兼コンポーザーのレオン・スペンサーが参加しています。

 

というのは、3曲目の”The Hooker”と4曲目の”Mister S.”はレオン・スペンサーの書いた曲だからなんです。

 

おそらく同じプレスティッジ・レーベル所属のミュージシャンだからお互いが曲を提供し合って、作品に参加し合ったのではないでしょうか?

 

ちなみに『Louisiana Slim』もプレスティッジ・レーベルの一連のオルガンジャズ作品です。

 

この『Louisiana Slim』もいつかこちらのブログで取り上げたいと思います。

 

 

タイトル曲の”Louisiana Slim”は、ザ・ニュー・マスターサウンズのエディ・ロバーツがソロライヴでよくカヴァーしていたジャズファンク名曲でもあります。

 

さて、1曲目の”Fire Eater”に戻りましょう。

 

オルガンのイントロからサックスとギターがユニゾンでテーマを弾きます。

 

このテーマメロディはまさにジャズファンクの定番!とも言いたくなるような印象に残る名テーマです。

 

テーマが終わるとギターのウィルバート・ロングマイヤーが先陣を切ってソロを弾きます!

 

前回ご紹介していたロニー・スミスの『Move Your Hand』に参加していたラリー・マギーと違って、こちらの腕はなかなかのものです!

 

キレが違います!

 

ラスティ・ブライアントとは付き合いも長く、この作品よりも以前の1960年代にハンク・マーのバンドで一緒に演奏していました。

 

どことなくこの時代のジョージ・ベンソンを彷彿させるフレージングが特徴的です。

 

特にジャズファンク系のギター好きの僕が気づいたのは、この曲の1分44秒の連続トリルや、2分9秒から2分15秒辺りまでの上昇して下降してを繰り返すようなコード分解アルペジオ系のシーケンスフレーズなんかが70年代初期のエリック・ゲイルを彷彿させます。

 

エリック・ゲイルのギターソロと言えば、スタッフの頃のようなB.B.キング系の甘~いチョーキングを多用したスクィーズギターを思い浮かべる人が圧倒的に多いんじゃないかな?とは思うのですが、CTIレーベルに所属していた1971年頃はジャズファンク系のギターソロを弾くこともありました。

 

例えば、スタンリー・タレンタインの1971年の『Salt Song』の1曲目の名曲”Gibraltar”や、ジョニー・ハモンドの同じく1971年の作品『Breakout』の1曲目キャロル・キングの曲”It’s Too Late”なんかでコード分解アルペジオ系のシーケンスフレーズを聴くことができます。

 

その辺のフレージングが、1971年当時のウィルバート・ロングマイヤーとエリック・ゲイルがそっくりだなって感じました。

 

キレッキレのギターソロの後は、親分ラスティ・ブライアントのサックスソロです!

 

元ホンカーだけあって豪快なブローで攻め続けます!

 

攻めて攻めて攻め切ったところで、オルガンのビル・メイソンに交代です。

 

そしたらこのビル・メイソンが、親分そっちのけでブッチ切れちゃいます!(笑)

 

「ラスティ・ブライアントがリーダー?知らねーよ!」とでもいうかのようにオルガンを弾きまくっています!

 

ラスティ・ブライアントが書いた曲なのに親分よりも熱いソロを弾いています!

 

鍵盤の全ての場所を使って燃え上がります!

 

まさに彼こそが”Fire Eater=「けんかっ早い人」”そのものです!(笑)

 

ギターのウィルバート・ロングマイヤーも最初のうちはソロイストを煽ってオブリガートを入れますが、途中からついていけなくなっています。

 

残るはドラムのアイドリス・ムハマッドだけです。

 

途中から2人だけで演奏しています。

 

最初のギターとサックスのソロも大概すごかったのに、オルガンソロが、オイシイとこを全部持っていっちゃいます!(笑)

 

この曲がジャズファンク名曲となったのは印象的なテーマメロディだけでなく、もしかしたら弾きすぎの熱いオルガンソロがあったからなのかもしれませんね⁉

 

とにかくこのオルガンソロを聴くために聴いてもらいたいぐらい熱いです!

 

オルガンソロの後にちょっとしたドラムソロを挟んで、ようやく親分とロングマイヤーが戻ってきてテーマメロディに戻ります。

 

ブッチ切れてたオルガンも正気に戻ってテーマフレーズの後にオブリガートを弾いています。

 

これ1曲でお腹いっぱいになりそうなぐらいカロリーの高いジャズファンク曲でした!

 

続く2曲目”Free At Last”は、ロングマイヤーとラスティ・ブライアントが書いたミドルテンポの曲です。

 

ロングマイヤーが書いただけあってイントロはギターから始まり、テーマもギターが中心でサックスとのユニゾンで演奏されています。

 

ソロのトップバッターは今回はオルガンのビル・メイソンです。

 

先ほどの”Fire Eater”ほどはブッチ切れてはいませんが(笑)、今回もソロは長めです。

 

本当に素晴らしいオルガン奏者です。

 

彼はこの後、世俗音楽の世界から離れて妻と共にゴスペル・ミュージックに回帰するのですが、この”Free At Last”の演奏もどことなく教会音楽のようにホーリーな響きが伝わってきます。

 

ソロの2番手はロングマイヤーのギターです。

 

相変わらずキレが良いです!

 

4分49秒から4分59秒の間にまたしてもお得意のコード分解アルペジオ系のシーケンスフレーズを聴くことができます。

 

こういったフレーズを上手く弾きこなすには、リズム感……特にタイム感が良くなければ不可能なんです。

 

タイム感が良くってバックのドラムとしっかりと合わせれなければ、ぐちゃぐちゃな演奏になってしまいます。

 

簡単なフレージングだから真似しようとして、舐めてかかると痛い目にあいます。

 

キレの良いギターソロの後は、ラスティ・ブライアントが貫禄のある豪快なサックスソロを披露します!

 

この作品がジャズファンクの名盤となった理由は、この3人のソロイストの腕が確かだからなんですね♪

 

シンプルな曲調ばかりですが、各人のソロは本当に個性的で幅が広く、聴くものを飽きさせません!

 

続く3曲目からオルガン奏者がレオン・スペンサーに変わります。

 

そのレオン・スペンサー作のゆったりとしたジャズブルース曲”The Hooker”は、サックスとオルガンのテーマがいきなり始まります。

 

ギターはコンピングに回ります。

 

ファーストソロはラスティ・ブライアントのスケールの大きいアドリヴソロです。

 

13歳の頃から地元のナイトクラブで演奏していたというキャリアの長さを感じさせるようなベテランの余裕が感じられます!

 

サックスソロの後はギターがブルージーなソロを弾きます。

 

こういったジャズブルースの曲こそギタリストならちゃんと弾けないといけない曲だと思います。

 

急下降するクロマチックフレーズなどがちょっとジョージ・ベンソンっぽかったりもしますね。

 

そして次はオルガンソロです。

 

ビル・メイソンのようなブッチ切れ系のソロではなくって、メロディーを丁寧に奏でるソロをレオン・スペンサーは弾いています。

 

ところどころロングトーンを用いてブルージーな雰囲気を演出していますね。

 

しかしこのアルバムのバッキング陣はサボりませんね!(笑)

 

アイドリス・ムハマッドもウィルバート・ロングマイヤーもソロイストを煽るようにバッキングを盛り上げ続けます!

 

3人のソロが終わるとテーマに戻って終了です。

 

最後の4曲目”Mister S.”もレオン・スペンサーの曲です。

 

オルガンのイントロからそのままオルガンのテーマが始まります。

 

「あれ?主役のラスティ・ブライアントは?」って感じですね。(笑)

 

テーマ部分は完全にオルガントリオだけで演奏しています。

 

2回テーマを弾き終わったところでやっとリーダーのご登場です!

 

調子の良いサックスソロが始まります!

 

その次は少し斬新なフレーズも弾くオルガンソロです。

 

ギターがバックで煽りまくっています!(笑)

 

ロングマイヤーは働き者ですね。(笑)

 

そしてギターソロの番になるとこれまたキレのあるアドリヴ演奏が始まります。

 

さすがにジョージ・ベンソンの域には達してはいませんが、かなりの腕前だと思います!

 

何よりもグルーヴした弾き方がジャズファンク系の曲にピッタリです♪

 

ギターのソロが終わるとリーダーのラスティ・ブライアントを忘れたまま(笑)オルガンのテーマに戻って曲が終わります。

 

最後の曲だけまるでレオン・スペンサーの作品にサイドマンでラスティ・ブライアントが参加したような形になっていますが、それもご愛敬!(笑)

 

一応形的にラスティ・ブライアントがリーダー名作品ではありますが、ギターやオルガンやドラムも聴き所満載なので、サックスだけでなくバンド全体の音を楽しむことの出来る名盤だと思います。

 

ジャズファンクというジャンルが好きになったのならば、まずは最初の方にこの作品を聴いておかなければいけない定番のアルバムです!

 

「ジャズファンクってどんなジャンルの音楽?」と聴かれたのならば「まぁとりあえずこの”Fire Eater”でも聴いてよ。これがジャズファンクだからさ!」と言ってもいいでしょう。

 

 

定番にして名盤です!

 

ジャズファンク好きなら必ず聴きましょう♪

 

 

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