2018/07/16
ザ・ニュー・マスターサウンズの初の公式ライヴ盤『Live at La Cova』を聴こう!
The New Mastersounds – 『Live at La Cova』
01.Miracles
02.Duffin’ ‘Round
03.You Got It All
04.3 On The B
05.Land Of Nod
06.The Tin Drum
07.La Cova
08.The Minx
09.Spooky
10.Fire Eater
Personnel:
Eddie Roberts – Guitar
Simon Allen – Drums
Pete Shand – Bass
Bob Birch – Organ
– Special Guest –
Sam Bell – Percussion
Released : 2006
このブログでは、僕の一番好きなバンドでもあるニュー・マスターサウンズ(以下:ニューマスター)の作品を1stから順番に取り上げていっています。
今回は、2005年にスペインのメノルカで2日間に渡り録音されたライヴ盤のご紹介です。
このライヴ盤はニューマスターの初の公式ライヴ盤として2006年に発売されました。
それまでにニューマスターは、3枚のオリジナルアルバムをリリースしています。
その3枚については以前このブログでも順番に取り上げましたので、ぜひ下記のリンク先より読んでみて下さい。
ザ・ニューマスターサウンズの初期の3枚のアルバムに関する記事
【DEEP FUNKの初まり】ザ・ニューマスターサウンズのデビューアルバム
ザ・ニューマスターサウンズの2ndアルバム『Be Yourself』
ザ・ニューマスターサウンズの3rdアルバム『This Is What We Do』
ちなみにこのライヴ盤から僕はニューマスターにハマりました!
偶然聴いた現代風のジャズファンク・バンド!
当時はちょうどジミー・スミスやグラント・グリーンのようなジャズファンクにハマっていました。
絶対に聴くべきJazz Funkのライヴ盤3選
それ以前は、僕はどちらかって言うと音楽はブルースが一番好きでした。
その当時は自身のバンド活動でもブルースバンドでギターを弾いていました。
そのブルースバンドをやっていた頃から、ミーターズが好きでミーターズのカヴァー曲なんかもやるようになっていました。
ミーターズやオルガン系ジャズファンクのようなインストのファンク音楽に興味を持ち始めたのがこの時期でした。
そんな時にたまたまタワレコに寄った際にこのライヴ盤を聴いたんです。
タワレコでブルース系のCDを物色している時に、なにやらミーターズ風の曲が流れていました。
しかし曲調こそミーターズ風ではありますが、どこかノリが新しい!
ギターの音なんかも70年代の録音には聴こえない。
「誰の曲だろう?めっちゃかっこいいなぁ~。」と現在演奏中の曲名が書いてある店内のモニターを見てみました。
すると「銀河系最強のファンクバンドの初の公式ライヴ盤発売中!」というまるでレアルマドリードのようなキャッチコピーに印象的なオレンジ色のアルバムジャケットが表示されていました。
すぐに特設されたコーナーを見つけて、試聴してみました。
一発でノックアウトでした!
まさに僕が探し求めてた音楽でした!
すぐにアルバムを購入して聴きまくりました!
そしてこの時に、ニューマスターが初来日するという記載があったのをみて、初来日を梅田のNOON + CAFEにも観に行きました!
店内で偶然に聴いて一瞬でハマったファンクバンドの初来日をたまたま運よく観れたのは幸運でした。
これが僕とニューマスターとの出会いでした。
あれからニューマスターの来日公演は、遠い地のフジロック以外は全て観に行っています。(日本に居ると僕は出不精なんです……。)
ライヴ音源も70種類以上は聴いています。
動画でも色々と観ました。
しかし今でもこの公式のライヴ盤が一番好きです!
ファースト・インパクトってデカいですよね!
このアルバムが僕のイメージするニュー・マスターサウンズというバンドです。
銀河系最強のライヴ盤!
アルバムは、1stアルバムに収録されていたモロ・ミーターズ風の曲”Miracles”から始まります。
スタジオ版よりも速いテンポで、よりグルーヴィーにかっこよく演奏されています。
このライヴ盤のこの”Miracles”を聴いて僕はニューマスターにハマったので思い出深い曲です。
ギターソロこそないですが、まるでミーターズの”Funky Miracle”のような曲名とギターのテーマリフがかっこいいです♪
続く2曲目は、このライヴ盤にのみ収録されているデイヴィッド・ニューマンの曲”Duffin’ ‘Round”のカヴァーです。
オリジナルは、ジャズファンク/ソウルジャズの名盤『Double Barrelled Soul』に収録されています。
オルガン奏者のジャック・マクダフとデイヴィッド・ニューマンの共演アルバムになります。
ニューマスターのバージョンもオリジナルにかなり忠実に演奏されてはいます。
オリジナルではデイヴィッド・ニューマンがフルートで吹くテーマを、ニューマスターのバージョンはオルガンが弾いています。
テーマが終わると、オリジナルと同じようにオルガンが先にソロを弾きます。
そしてエディ・ロバーツが次にギターソロを弾きまくります。
ニューマスターのオリジナル曲と勘違いしてしまいそうなぐらいバンドのイメージに合った選曲ですね♪
3曲目の”You Got It All”は、3rdアルバムの『This Is What We Do』に収録されたファンキーな曲です。
ギターやオルガンのソロはありませんが、その代りにゲストミュージシャンのサム・ベルがパーカッションでソロを叩きます。
オリジナルはザ・ブレンダーズLtdの曲になります。
4曲目の”3 On The B”は、エディ・ロバーツ作のギターリフが特長的なジャズファンク曲です。
確かこのライヴ盤が初収録のはずです!?
ギターソロは、まるでグラント・グリーンやメルヴィン・スパークスなんかのようなジャズファンク系の弾き方ですね。
すごくかっこいい曲なんですが、他のライヴ音源でもやっていないのでもったいないな~とも思う曲です。
良い曲なので定番曲としてやってもらいたかったところです……。
そういった意味でもこの公式ライヴ盤は貴重な音源でもあるんですよね。
5曲目の”Land Of Nod”は、3rdアルバム収録の曲です。
少しサイケでロックな曲調です。
当時はしょっちゅうライヴで演奏されていた曲で、確か僕が初めて観に行った来日公演でもやっていたような気がします。
ライヴのセットリストにテンポが速い曲が多い中、この曲はちょっとした休憩のような感じで気楽に聴けます。
しかし最近のライヴでは全くやらなくなりました。
このアルバムでは、まだ現在のオルガン奏者であるジョー・タットンにメンバーチェンジする前で、初代オルガン奏者だったボブ・バーチが弾いています。
ボブ・バーチがいなくなってからはあまりやらなくなった曲ですね……。
ジョー・タットンに代わってからも全くやっていないわけではないのですが、徐々にセットリストから消えていきました。
6曲目~8曲目の”The Tin Drum”、”La Cova”、”The Minx”も3曲とも全て3rdアルバムに収録の曲です。
ちょうど3rdアルバムの『This Is What We Do』がリリースされてすぐのライヴだったので、そこからの選曲が多くなるのも必然ですよね。
でもどの曲もクォリティーが高いのでメンバーも自身を持って演奏している感じです!
それどころか、スタジオアルバムよりもこのライヴバージョンの方が演奏に熱があるので更に良くなっている感じです。
やはりニューマスターは、ライヴバンドなのでライヴで演奏を聴くのが一番ですね!
“The Tin Drum”は、ゲストミュージシャンのパーカッション奏者サム・ベルが大活躍します。
エディ・ロバーツがワウギターでファンキーにリズムを刻む中、パーカッションがガンガンとソロを奏でます。
スタジオバージョンよりもグルーヴ度が増しています!
続く”La Cova”は、スタジオバージョンよりも妖しさが増した演奏です。
洞窟の中で演奏しているかのようなこのライヴ盤のジャケットのイメージにピッタリの曲調です。
“The Minx”は、今でもライヴで演奏されている定番曲です。
エディ・ロバーツのワウギターが特長的です。
スタジオバージョンよりもグルーヴ度が増して、更にアドリヴソロも盛り上がります!
どう考えてもライヴバージョンの方がかっこいいライヴ専用の曲だと思います。
毎回ニューマスターのライヴを観に行った時に聴くのが楽しみでもある曲のひとつです♪
さて、アルバムの終盤の2曲はどちらもカヴァー曲です。
9曲目の”Spooky”は、ダスティ・スプリングフィールドの曲です。
公式ではこのライヴ盤で初めて登場しました。
ドラムのサイモンがこの曲が好きなようでして、ニューマスターのライヴの定番曲になっています。
なのでもしかしたらこの曲をニューマスターのオリジナル曲だと勘違いしている人も多いのかも?と思います。
その理由のひとつに、このライヴ盤の日本語解説を書いている人が、”Duffin’ ‘Round”と”Fire Eater”がカヴァー曲であることは触れているのに、この”Spooky”については何も書いていないからです。
まぁグラント・グリーンのライヴでお馴染みの”Jan Jan”みたいに勘違いしている人が多いのでしょう。
“Jan Jan”は、ファビュラス・カウンツのオリジナル曲なのですが、未だに日本盤のライナーノーツでは「マイルス・デイヴィスの曲」と書かれています。
それどころか恥ずかしいことに、この日本人のライターが日本人のDJかなんかと対談している記事で「さすがマイルスの曲って感じでかっこいいですね!」とか書いてるぐらいですからね……。
さすがにお金貰ってプロとしてライナーノーツ書いてるのに、それはあまりにも酷いなって思いました。
この曲がマイルス・デイヴィス作となっている理由についての説明なのですが、まずデトロイト出身のファンク・バンドのThe Counts(The Fabulous Counts)のリーダーでキーボード奏者のモース・デイビスという人物が”Jan Jan”の作曲者です。
そのモース・デイビスのスペルが”Mose Davis”と表記されるべきなのに、間違って”Miles Davis”と記載されたことが原因だと思われます。
未だに”Jan Jan”がマイルス・デイヴィス作となっているのは、こういうことです。
そもそも海外版のアルバムの表記も間違ってはいるのですが、日本盤のライナーノーツもいい加減なこと書いてるんだな~と……。
僕のような素人が趣味で書いてるブログじゃなくって、プロのライターとしてお金を貰ってよくそんな適当なライナーノーツ書けるもんだな~って感じます……。
さて、話を戻しますと(笑)”Spooky”は、ニューマスターのライヴて定番曲です。
2018年現在のライヴでも6月にやっていました。
昨年のビルボード大阪での来日公演でももちろんやっていました。
もちろん僕もダスティ・スプリングフィールドの歌ものよりも、インストバージョンのニューマスターの演奏が好きです。
ライヴでも「そろそろ”Spooky”やる頃かな?」と大体の感覚で予想できるのですが(笑)期待してはいます。
そして初の公式ライヴ盤の最後の曲に選ばれたのは、ラスティ・ブライアントの名ジャズファンク曲”Fire Eater”です。
オリジナルは、1971年の名盤『Fire Eater』の1曲目に収録されていました。
オリジナルでは、ラスティがサックスで吹くテーマをエディ・ロバーツがギターで弾いています。
このライヴ盤ではエディ・ロバーツのギターソロはなくってベースのピートがブリブリとソロを弾いています。
僕はピートのベースソロって無駄がなくって結構好きなんですが……めったにソロを弾かないのがもったいない気がします。
ちなみに2018年6月の直近のライヴでも久しぶりに”Fire Eater”では演奏されていました。
その時はゲストギタリストと一緒にエディ・ロバーツもギターソロを弾いてはいました。
今でもたま~に演奏される曲です。
この曲は、エディ・ロバーツも尊敬する名ジャズファンク・ギタリストのメルヴィン・スパークスも得意曲でした。
2010年に亡くなるまで、ライヴの定番曲として毎回演奏していました。
確かに印象的なギターリフを持つワンコードのジャズファンクの名曲だと思います。
以上の10曲が、僕が今でも一番好きなニューマスターの初の公式ライヴ盤でした。
今回この記事で初めてニューマスターのことを知ったって方は、ぜひこのアルバムから聴いてみて下さい!
現代を代表するジャズファンクの名盤ライヴのひとつです!
ちなみにエンハンスト仕様のCDですので、PCで当日のライヴ映像もオマケで観れます。
“Baby Bouncer”と”Land Of Nod”が収録されています。
“Baby Bouncer”の方は、最近のライヴでも締めに演奏されるニューマスターを代表する名曲です。
なぜ本編のライヴアルバムに音源を収録しなかったのか?……謎です。
また以前ご紹介もしていたのですが、2nd『Be Yourself』の日本盤のボーナストラックとしてこのライヴ盤と同時期に録音された、オルガン奏者のリオン・スペンサーがオリジナルの”Where I’m Coming From”と、リューベン・ウィルソンの1969年のアルバム『Blue Mode』に収録されていたメルヴィン・スパークス作の”Bambu”のカヴァーも収録されていますのでこちらもチェックして下さい!
別バージョンも存在している!?
ところでこのライヴ盤なのですが、この10曲に更に3曲を追加した拡張バージョンもあります。
そちらのご紹介は次回にしたいと思いますのでご期待ください!
いつの日にかこの時のライヴ、2005年8月26日と27日の音源を全てまとめた完全版がリリースされて欲しいところです……。
ザ・ニューマスターサウンズのアルバムに関する記事