2018/09/29
歌も歌うオルガン奏者ロニー・スミスの傑作ライヴ盤『Move Your Hand』を聴こう♪
Jazz Funkおすすめの名盤探訪シリーズ!
このところ僕の中でまたジャズファンク熱が再熱しています!
もともとスタンダードなジャズものや、ストレートなファンクものよりも、そのどちらもがいい具合に混じったジャズファンクが一番好きでした。
しかしそれでけが好きなわけでは決してありませんので、他のジャンルの音楽を聴くことも、もちろんあります!
ブルースだってR&Bだってロックだってレゲェだって、なんならヒップホップも大好きです!
でもいつも最終的に僕が戻ってくる場所は『ジャズファンク』なんです。
というわけで、このブログの「Music」のカテゴリーも、ブルースが出てきたと思ったら急にポップスのお話になったりレゲェが登場したりもしますが、なんだかんだで結局のところ”Jazz Funk”のタグが付いた記事が一番多いのかな?と思います。
前2回は、オドネル・リーヴィとアイヴァン・”ブーガルー”・ジョー・ジョーンズのジャズファンク系ギタリストのご紹介でした。
オドネル・リーヴィ最高傑作『SIMBA』を聴こう♪
アイヴァン・”ブーガルー”・ジョー・ジョーンズの最終作『Sweetback』を聴こう♪
今後も出来ればこのブログではジャズファンク多めにお届けしていきたいと思います。
それでは今回は僕の好きなオルガン奏者のロニー・スミスの作品のご紹介です。
Lonnie Smith – 『Move Your Hand』
01.Charlie Brown
02.Layin’ In The Cut
03.Move Your Hand
04.Sunshine Superman
05.Dancin’ In An Easy Groove
BN:4326
Personnel:
Lonnie Smith – Organ, Vocals
Ronnie Cuber – Baritone Saxophone
Rudy Jones – Tenor Saxophone
Larry McGee – Guitar
Sylvester Goshay – Drums
なんだかかっこいいんだか、ちょっとダサいんだかよくわからないジャケ写が特徴のアルバムですね。(笑)
でも中身の音楽はソウルジャズ系のジャズファンク作品となっております。
全体的にゆる~いテンポが心地よい曲ばかりなので、グラント・グリーンの名作『Live at the Lighthouse』のような勢いのあるジャズファンクを期待するとちょっと違うなってなると思います。
ああいう勢いのあるファストなテンポじゃなくって、もっとR&Bに近いグルーヴです。
グラント・グリーンの『Live at the Lighthouse』は、かっこいい楽曲が目白押しですが聴く方もあのテンションに耐えれるような体力がいります!(笑)
体調がすぐれないときに聴いたりすると結構しんどかったり……もします。(笑)
しかしこの『Move Your Hand』は、ゆったりと心地よいグルーヴなので、いつ聴いてもOKな気がします。
ただこれから気合を入れたい!って時はグラント・グリーンの『Live at the Lighthouse』をの方を強くおすすめします!(笑)
さて、本作にはロニー・スミスと共に当時のジョージ・ベンソンのバンドに参加していたバリトン・サックス奏者のロニー・キューバーも参加しています。
ロニー・キューバーと言えば、僕はザ・ガッド・ギャングも思い出すのですが……そういえばこのブログでまだザ・ガッド・ギャングやスタッフって取り挙げていなかったような??……そちらの方も近いうちに取り上げれたらな~と思います。(笑)
それ以外の参加メンバーは知名度の低いメンバーです。
ギターもメルヴィン・スパークスやジョージ・ベンソンではなく、ラリー・マギーなる人物です。
このラリー・マギーは、なんとなくグラント・グリーンの系譜のジャズファンク系ギターの演奏をそつなくこなしてはいます。
しかし地味です……。
グラント・グリーンの影響を受けつつもうまく換骨奪胎出来なかった例という感じがします……もはやこのジャンルでは、ヘタな方です。
グラント・グリーンは当然として、メルヴィン・スパークスやアイヴァン・”ブーガルー”・ジョー・ジョーンズなんかと比べると、イマイチなギタリストだと感じてしまいます。
なんだかんだでシンプルなフレージングが多いオルガン系のジャズファンク・ギタリストたちですが、メルヴィン・スパークスやジョージ・ベンソンにオドネル・リーヴィなんかのテクニックはしっかりしたものですからね!
もしこの作品にグラント・グリーンやメルヴィン・スパークスが参加していたなら……と思ったりもしますが、まぁ色々と大人の事情もあるので仕方いことですね。
それでは中身の方を見ていきましょう。
アルバムの内容
CDでは5曲目にボーナストラックの”Dancin’ In An Easy Groove”が収録されていますが、オリジナルのLP盤では1~4曲目までの全4曲入りでした。
どの曲も8~10分と長尺演奏が続くので4曲でも約39分ほどの長さがあります。
1,2曲目がA面で、3,4曲目がB面でした。
僕はCDで持っていますが、上記の写真をご覧の通り紙ジャケ仕様で所有しています。
まず1曲目のコースターズのカヴァー曲”Charlie Brown”から始まります。
この曲は晩年のメルヴィン・スパークスがライヴで毎回のように演奏していました。
またザ・ニュー・マスターサウンズもライヴでたま~に演奏することがありました。
なのでジャズファンク・クラシックの曲と言っても良さそうですね。
僕個人としてはオリジナルのコースターズのバージョンよりも、このオルガンインストのバージョンの方がもちろん好きです♪
イントロはロニー・スミスの不穏なオルガンの低音のリフから始まり、ロニー・キューバーのバリトンサックスとルディ・ジョーンズのテナーサックスのハーミニーが加わります。
ファーストソロはオルガンから始まり、次にギターソロへと展開していきます。
ジャズファンク期のグラント・グリーンのフレージングに似たような弾き方ではあるのですが……なんでしょう、この勢いのなさは……。
ピッキングのもつれも目立っています。
単純にラリー・マギーというギタリストの力量不足を感じます……。
イマイチなギターソロの次はロニー・キューバーのバリトンソロです!
やっと安心できます!(笑)
さすがにロニー・キューバーは上手いですね!
今現在も現役で長く続けているには訳があります!
次にテナーサックスソロが始まります。
ラリー・マギーのギターほど悪くはないです!(笑)
ただ、この作品のソロイストの中ではリーダーのロニー・スミスとロニー・キューバの「ロニーロニー・コンビ」(笑)がやはり抜けています!
4人全員がソロを弾き終えるとテーマメロディーに戻って1曲目が終わり、お客さんの小さい拍手が聞こえてきます。
お客さん少なかったんだなぁ……となんだか悲しい想像をしてしまいます。(笑)
まぁグラント・グリーンの『Live at the Lighthouse』みたいに勢いのあるライヴではないので、盛り上がり辛くって拍手が小さいだけなのかもしれませんね⁉
2曲目の”Layin’ In The Cut”は、ロニー・スミスの自作曲です。
テーマ部分でロニー・スミスのオルガンに呼応する2名のホーン隊とのコール&レスポンスが楽しめます。
ワンコードの曲調なので、それぞれの楽器隊が思い思いにソロを弾き続けるので10分以上の長尺曲となっています!
テナーサックス→バリトンサックス→ギター→オルガンとソロ回しが続きます。
相変わらずギターはピッキングのもつれが気になります……。
まぁこの作品の主役はリーダーのロニー・スミスなので、オルガンソロがかっこよければ万事OKですよね♪(笑)
ギターのリズム感がイマイチなのに対して、ロニー・スミスのオルガンソロはとってもファンキーなので、このアルバムの中でもこの曲のオルガンソロは聴き所です♪
3曲目は、LP時代だとB面の1曲目になりますが、これまたロニー・スミスの自作曲で彼自身がオルガンを弾きながら歌う名曲”Move Your Hand”です。
この歌が悪くないんですよね♪
グルーヴィーでどこか妖しい曲調に、ロニー・スミスのしゃがれ声がすごく合っています。
ロニー・スミス本人は自分が歌うことに関して、レコード会社の勧めで「歌ものは儲かるので」ってことで無理やり歌ったらしいです。
ちなみに2013年の『In the Beginning』という2枚組のアルバムでも、この”Move Your Hand”を再演して歌っていました。
こちらもおすすめです。
LP盤だと最後の曲になる4曲目の”Sunshine Superman”は、スコットランド出身のシンガー、ドノヴァンの1966年のヒット曲です。
ロニー・スミスのバージョンは、ドノヴァンの原曲よりも更にゴキゲンな演奏です♪
2本のホーンがゴキゲンさを表現してくれています。
ゴキゲンなテナーサックス→ヘロヘロなギター→ファンキーなオルガンとソロが続きます。
ロニー・キューバーのソロはありません。
この曲も10分以上ある長尺演奏です。
CD盤のボーナストラックでもある5曲目の”Dancin’ In An Easy Groove”もロニー・スミスの自作曲になります・。
パーカッションも入ったラテン風味の心地よいグルーヴの曲です。
12分近くある長い曲で、テナーサックス→ギター→バリトンサックス→オルガンとソロが続き、ちょっとしたドラムソロが入ります。
ちょっとダレてますね……。
収録時間の問題もありますが、当時この曲が収録されなかったのもうなずけます。
先の”Sunshine Superman”で、ゴキゲンなままアルバムは終わっていた方が作品としては、まとまりがあり綺麗に終わった感じがします。
あくまで5曲目は「オマケ」って感じで、LP盤収録の4曲を本編として聴いた方が良いと思います。
しかし、4曲はどれもオルガン系ジャズファンクを代表するような楽曲と演奏ですのでぜひ聴いてみてください!
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