2018/06/07
ソウライヴのアラン・エヴァンスも認めた!? オン・ザ・スポット・トリオの2ndアルバム『SHAG』を聴こう!
Souliveのアラン・エヴァンスも認めたバンドOn The Spot Trio
米国サンタクルス出身の実力派オルガントリオ!
以前このブログでもデビューアルバムについて取り上げたことのある米国のサンタクルス出身の実力派オルガントリオの“On The Spot Trio(オン・ザ・スポット・トリオ)”です。
”On The Spot”には「即席の」という意味があり、そこに3人編成の”Trio”という単語を付け加えただけのシンプルなバンド名です。
もちろんメンバーも3人のみです。
ギターのダニー・メイヤーに、オルガンのクリス・ユンカーとドラムのジェフ・ウィルソンの3名から成るバンドです。
3人とも米国のサンタクルスというアメリカでも随一のリベラルな町出身のミュージシャンです。
サンタクルスとは、スペイン語で「聖なる十字架」の意味で、サンフランシスコよりも更に南に位置するサーフスポットとしても有名な地域です。
そのためなのか?このオン・ザ・スポット・トリオの曲調も少しサイケデリックな風味が混じっていたりします。
以前このバンドの1stアルバムをご紹介した際に結成に至るまでの流れは書きましたのでそちらの方も参考にして下さい。
Souliveも認めた!現代的オルガントリオ”On The Spot Trio”のデビュー作
2011年に制作されていながらも2014年になるまでリリースされなかった曰く付きの2ndアルバム?
さて、2010年にデビュー作を制作したオン・ザ・スポット・トリオは、翌年にすぐさま2ndアルバムの制作に取り掛かりました。
もともとこのバンドのメンバーは、3人ともソウライヴに憧れていました。
そのため1stアルバムの頃から、初期のソウライヴのような音楽性が特長でした。
ギターのダニーがツアー先でソウライヴのリーダーでありドラムを担当するアラン・エヴァンスと知り合い、憧れのソウライヴのリーダーに熱烈なラブコールを送ったことで1stアルバムのプロデュースをアランが担当してくれました。
そしてこの2作目を制作していたのですが、2012年になりダニーがアランの新しいプロジェクトであるアラン・エヴァンス・トリオのギタリストに抜擢されました。
そのことによって、ダニーは西海岸に位置するサンタクルスとは反対方向の東海岸のマサチューセッツ州に引っ越さなければいけなくなりました。
そうしてオン・ザ・スポット・トリオは、活動を休止せざるを得なくなります。
2012~2013年の間、ダニーはアラン・エヴァンス・トリオの一員として活動を行います。
その間に残されたクリス・ユンカーとジェフ・ウィルソンは、”On The Spot Duo”として2人でライヴ活動を行っていたようです。
しかしそれから紆余曲折あってアラン・エヴァンス・トリオは名前を変えて”PLAYONBROTHER”というロック系のバンドに変わってしまいます。
そのバンドのオルガン奏者が脱退したことで、後任にクリス・ユンカーが選ばれました。
こうしてダニーとクリスは再開して、オン・ザ・スポット・トリオも復活することとなります。
そういった経緯があって2011年に録音されておきながらも未発表になっていたこの2ndアルバムは、ついに2014年に日の目を見ることとなりました。
On The Spot Trio – 『SHAG』
01.Critically Acclaimed Shit
02.Jabo
03.Two Lips
04.Shag
05.Zodiac Galaxy Love Sunset (With Alan Evans)
06.Soul Banshee
07.For One
08.Stressing The Mechanism
09.The Lamp
10.Zodiac Galaxy Love Sunrise
Danny Mayer – guitar
Kristopher Noel Yunker – organ
Jeff Wilson – drums
アルバムの内容
このアルバムは、前作の1stアルバムよりも落ち着いた感じのミドルテンポの曲が多くなっています。
#1の”Critically Acclaimed Shit”は、少しヘヴィーなギターのテーマリフが印象的な曲です。
ライヴで演奏する際は長尺ギターソロになり、このアルバムバージョンの倍の長さになります。
#2の”Jabo”はゆったりとしたテンポにどことなくミーターズ風のテーマが乗る曲調です。
この曲もライヴ演奏の際は長尺ギターソロになるのですが、毎回20分近く(!)になっています。
それだけにライヴの締めに演奏されることが多いようです。
#3の”Two Lips”は、これまたゆったりとしてグルーヴに乗ってダニーのワウギターがワカチョコ鳴り響く曲です。
ライヴではあまり演奏されていません。
#4のタイトルトラックである”Shag”は、少し渋いテーマメロディーのミドルテンポの曲です。
こちらもライヴ演奏になると15分を超える長さになります。
ダニーのアドリヴギターソロが止まらない感じです。
#5の”Zodiac Galaxy Love Sunset”は、10曲目にも同じ曲名がありますが、こちらの方にはなんとアラン・エヴァンスがドラム、ギター、作詞、ボーカルで参加しています。
#10の方の”Zodiac Galaxy Love Sunset”は、トリオによる演奏です。
しかしはっきり言ってアランの参加したこの5曲目のバージョンの方が遥かにかっこいいです!
さすがはソウライヴのリーダーですね!
この曲はライヴ演奏の際は、通常の長さで終わります。
その代り(?)スタジオ版よりも更にファンキーなワウギターを弾いて演奏されています。
#6の”Soul Banshee”もゆったりしたミドルテンポのファンク曲です。
曲の途中での展開が面白い曲調です。
もちろんライヴ演奏では倍以上の長さになります。
#7の”For One”は、ギュワッギュワァァァ~~~ンというイントロの後に、ゆったりとしたワウのワカチョコがあって、その後チャカポカ♪チャカポコ♪とメロディーが始まります。
スタジオ版ではスペイシーなソロ展開があります。
ライヴではこれまたダニーがギターを弾きまくったり、途中でパーカッションのブレイクが入ったり……と倍以上の長さになります。
#8の”Stressing The Mechanism”は、ゆったり目のテンポが多いこのアルバムの中では少し速い曲調です。
たまにしかライヴ演奏はされていないちょうです。
#9の”The Lamp”は、ミドルテンポの曲です。
ライヴ演奏では、少しテンポを上げて演奏されています。
そして#10は、5曲目の”Zodiac Galaxy Love Sunrise”の歌なしのトリオバージョンです。
以上の全10曲が2ndアルバム『SHAG』の内容です。
演奏能力は申し分なく、曲も練られてはいるのですが、インスト系のファンクバンドの宿命ともいうべきか、似たような曲調が多いのが難点です。
アドリヴ系のギターやオルガンのソロが好きな人には、最高な音楽性なのですが、そういったアドリヴ演奏に興味のない人からしてみれば退屈に聴こえてしまうかもしれませんね。
同じようなジャンルの、ソウライヴやニュー・マスターサウンズと比べると、よりアドリヴソロに重点を置いた「ジャムバンド」的な要素が大きい分、その2バンドほどの人気が出ないのも仕方ないような気がします。
しかし個人的には、その2バンドと並ぶぐらいとても好きなバンドですのでお勧めです。
現在も活動中??
このアルバムをリリース後に、オン・ザ・スポット・トリオは2015年の多くの時間をライヴツアーに費やします。
またギターのダニー・メイヤーは別で自身の名を冠したダニー・メイヤー・トリオとしても活動をしています。
そちらの方は、オルガンではなくベーシストが参加していて、オン・ザ・スポット・トリオとは違いファンクロックなバンドとなっていました。
そして2016年、2017年もオン・ザ・スポット・トリオとして多少の活動はしていたようです。
しかし2018年に入ってからは目立った活動はしておらず、そして2014年リリースのこの『SHAG』以来の3rdアルバムの予定もなく…どうなってしまったんだろう?という感じです。
今年は、ソウライヴやニュー・マスターサウンズがどちらも久しぶりのニューアルバムをリリースしてくれました。
しかし今のところ、このオン・ザ・スポット・トリオの方は何も活動をしていないようです。
今のところ日本ではほぼ無名に近くって人気もあまりないようですが、個人的には、好きなバンドなので3rdアルバムを制作してぜひ日本公演を行ってほしいところです。
今後に期待!?ですかね。
まずはこのアルバムに続く3rdアルバムを制作してもらわないとね。
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