2019/12/31
レア・グルーヴおすすめの名盤まとめ!個人的におすすめしたいソウル、ファンク系のレア盤をご紹介!
個人的におすすめしたいソウル、ファンク系のレア・グルーヴ作品をまとめたブログ記事です。
これまでにジャズやブルースにネオソウルやディープファンク等、いくつかの音楽ジャンルに関して僕がおすすめしたい作品をまとめたブログ記事を書いていました。
今回はそのシリーズと同じで、僕が実際に自分で聴いてみて好きになったレア・グルーヴの作品をまとめてみたいと思います。
ただこれまでの『まとめ記事』との違いは、10選、20選といったご紹介する作品数に限度を決めるのではなく、ひたすら僕の好きな作品をご紹介していきます。
そのため、『時間が空いた時に随時更新』という形式になります。
またその後、思い出したり新たに聴いたりしたレア・グルーヴ作品が増えることもあります。
なので、しばらく間をおいて再度この記事を見に来てもらえると、ご紹介作品が増えていることもあります。
『レア・グルーヴ』というジャンル分けのあいまいさについて
それと『レア・グルーヴ』というジャンル分けも、なかなか難しかったりします。
人によってはレア・グルーヴと感じる作品であっても、また別の人によっては「これはレア・グルーヴではない!」と思うことでしょう。
あくまでもこのブログでは、僕がレア・グルーヴ作品だと思っているものをご紹介します。
僕が思う『レア・グルーヴ』とは、主に60年代後半~70年代後半のソウル/ファンク系の作品が中心です。
スライ&ザ・ファミリー・ストーン、ジェームス・ブラウン、ザ・JBズ、ミーターズ、アース・ウィンド・アンド・ファイアー等の有名なファンクバンドから影響を受けたミュージシャンが中心となります。
彼らからの影響を感じさせながらも、ヒット曲に恵まれず有名になれなかったソウル/ファンク系の作品です。
有名にこそなれなかった「レア」な存在ではありますが、しかし良い曲や素晴らしい演奏を埋もれたままにするのはもったいないな~と思います。
ぜひこのブログ記事を通して、僕が紹介する『レア・グルーヴ』作品を多くの人に聴いてもらえたら嬉しく思います。
それではご紹介順はアーティスト名のABC順で取り上げていきたいと思います。(※コンピレーションに関してはアルバム名の頭文字を取って順番に組み込んでいます。)
ちなみにオリジナル・アルバムだけでなく、オムニバスやコンピレーション・アルバムも取り上げていきます。
※おすすめ曲に関しては、バラード曲よりもファンク曲中心に選んでいます。理由は、これを書いている僕がファンク好きだからです!(笑)
African Music Machine – 『Black Water Gold』
アフリカン・ミュージック・マシーンは、ベーシストでソングライターのルイス・ヴィルリーが率いるニューオーリンズ出身のファンク・バンドです。
本作『Black Water Gold』は、2000年にまとめられたコンピレーション・アルバムになります。
本作に収録されている全8曲は、それぞれ1972~1973年の間にリリースされた下記の4枚のシングル盤のA面B面曲をまとめたものです。
[まとめられたシングル盤]
●Tropical / A Girl In France (1972)
●Black Water Gold (Pearl) / Making Nassau Fruit Drink (1972)
●Never Name A Baby (Before It’s Born) / The Dapp (1973)
●Mr. Brown / Camel Time (1973)
アルバムの1曲目は、タイトルにも選ばれた”Black Water Gold”から始まります。
アフリカンなパーカッションのリズムに導かれファンキーなギターカッティング、ウネるベース、チャントのようなボーカル、そして華やかなホーン隊が盛り上がる正統派ファンク曲です!
レア・グルーヴ・クラシックといってもいい良質のファンク曲で、ザ・ニュー・マスターサウンズのギタリストのエディー・ロバーツが2013年にソロライヴでこの曲をカヴァーしていたこともあります。
その他の聴きどころとして、まずは3曲目の”A Girl in France”はファンキーなギターカッティング好きには外せない曲です♪
ホーン隊がメロディーをリードしてはいますが、ギタリストのジャンボの弾く単音リフとコードを組み合わせたキャッチーなカッティングが楽曲の中心となっています。
チャカポコ系のワウギター好きには4曲目”The Dapp”と5曲目”Never Name a Baby (Before It’s Born)”、8曲目”Camel Time”がおすすめです。
“The Dapp”はリズムギターが中心ですが、”Never Name a Baby (Before It’s Born)”ではまるでデイヴィッド・T・ウォーカーのようなワウギターソロも披露しています。
最後の”Camel Time”は、まるでカーティス・メイフィールドの『Superfly』やアイザック・ヘイズの『Shaft』等のブラックスプロイテーション映画のサントラに収録されていそうな緊張感漂うファンク曲です。
ファンク曲だけでなくソウルフルで温かみのある楽曲も収録されています。
7曲目の”Mixing Nassau Fuit Drink”がそれで、イナタいオルガンの音色がどこまでもソウルフルで癒されます。
4枚のシングルから全8曲をまとめたたった1作品のコンピレーションアルバムではありますが、捨て曲は一切なくソウル/ファンク好きであれば誰しもが気に入りそうな楽曲ばかりです。
どうしてもEW&FやT.O.P.のような一流どころと比べると演奏力は劣りますが……それ故にヒットに恵まれず「レア」な存在に留まってしまったのかな?という印象です。
やはりヒットするにもある程度の演奏力は必要ですね……。
しかし有名なR&Bやファンク作品ばかり集めた音楽雑誌に載っている「ありきたりなアルバム」に飽きた方には、まずはこのアフリカン・ミュージック・マシーンから『レア・グルーヴ』の世界に入門してみてはいかがでしょうか?
たまたまアーティスト名のABC順で最初にご紹介することになりましたが、個人的には「レア・グルーヴ初め」の1枚としても自信を持っておすすめできる作品がこれです。
ソウル/ファンク好きで未聴の方はぜひ♪
Amnesty – 『Free Your Mind: The 700 West Sessions』
この後にご紹介するレア・グルーヴ系の名コンピレーションアルバム『Cold Heat: Heavy Funk Rarities 1968-1974, Vol. 1』に本作収録の”Free Your Mind”が収録されていたインディアナポリス出身のバンド、アムネスティーというサイケデリック系のファンク・バンドです。
このバンドは1972~1973年に2枚の45回転シングル盤をリリースしたのみで、本作はそのシングル盤のうちの1枚”Three Cheers for My Baby”を含む未発表音源を2007年にまとめたコンピレーションアルバム『Free Your Mind: The 700 West Sessions』になります。
1曲目の”Can I Help You?”を聴いて思い起こすのは、ファンカデリックの2作目『Free Your Mind…And Your Ass Will Follow』のようなサイケデリック・テイストのファンク・ロック曲です。
ギターのサウンドこそエディ・ヘイゼルのようなファズを使った攻撃的な音ではありませんが、不安定なコーラスの入れ方などはP-ファンク的です。
続く2曲目”Love Fades”は、ボーカルとワウギターの音色がユニゾンで奏でるメロディーがかっこいいファンク・ロック曲です。
そしてやはり本作のベスト・トラックは、コンピレーションアルバムにも収録された4曲目の”Free Your Mind”です。
相変わらずボーカル陣のコーラスの不安定さはあるものの、ニューソウル時代を感じさせる明るいメロディーが聴くものに活力を与えてくれます。
他にも6曲目のワウギターがかっこいい”Lord Help Me”もファンキーでかっこいい曲です。
アルバム終盤の8~10曲目の3曲に関しては、ホーン隊だけでなくベースやドラム等のリズム隊も排したエレキギター1本の演奏のみをバックにボーカルが入ったシンプルな演奏です。
こちらのバンドもやはりEW&FやT.O.P.のような一流どころと比べるとコーラスの入れ方のヘタさや楽曲の詰めの甘さを感じさせますが……しかしそれもまた『レア・グルーヴ』を聴く上での楽しみと言えますね♪
Bubba Thomas and the Lightmen Plus One – 『Country Fried Chicken』
ドラマーのブッバ・トーマス率いるザ・ライトメンの1975年の3作目『Country Fried Chickenです。
グルーヴィーなドラムのイントロから始まる1曲目”Country Fried Chicken”からテキサス系の骨太ファンク絵巻が幕を開けます!
クリフ・ファルドスキの弾くワウギターに絡むホーン隊が華やかな正統派ジャズ・ファンク曲です。
2曲目はスティーヴィー・ワンダーの1973年の名盤『Innervisions』に収録されていたバラード曲”All In Love Is Fair”のカヴァーです。
本作ではボーカルパートはなく、代わりにパット・ウィリアムスの吹く幻想的なトランペットの音色が哀愁を漂わせています。
美しいバラード曲の次は、シンセサイザーのスペイシーなサウンドが時代を感じさせるジャズ・ファンク曲”Survival Song”に移ります。
イントロのギターカッティングが、どことなくジャクソン5の”I Want You Back”のようなモータウン系のファンクカッティングかと思えば、微妙に違ったオリジナル曲に変化していきます。
またギターソロはグラント・グリーン風のジャズ・ファンク系ではなく、どことなくデレク&ザ・ソミノス時代のエリック・クラプトンが弾いていそうなロック系のフレージングです。
そうかと思えば、次の4曲目”Herbs (Of Life)”ではフィル・アップチャーチ風のクロマチック・フレーズも多用したソウルインスト系だったりします。
これぞまさにレア・グルーヴ!と言いたくなるチャカポコ系のワウギターもかっこいい楽曲です♪
そして最後の6曲目の”Sweet Ray”では、10分33秒にも及ぶ長尺のジャズ・ファンクが収録されています。
フルートやトランペットのソロ演奏だけでなく、ジョージ・フリーマンのようなクロマチックで上昇していくレガート・フレーズが印象的なギターソロも含まれています。
全編ディープなテキサス系ジャズ・ファンクを味わえる名作です!
コーラスこそ含まれていますが、基本は歌なしのインストばかり6曲収録されたジャズ・ファンク系のレア・グルーヴ・アルバムです。
Burton Inc. – 『L.A. Will Make You Pay $$$』
この後にも登場するオクラホマのファンク・バンド、メッセンジャーズ・インコーポレイテッドの中心メンバーだったチャールズ・バートンとその妻のバーバラ・バートンの夫婦が結成したバートン・インク唯一のアルバム『L.A. Will Make You Pay $$$』です。
ドス黒いファンク・サウンドが特徴的だったメッセンジャーズ・インコーポレイテッドとは違って1976年というディスコ・ファンクの時代に制作された本作は、よりモダンに、そしてよりダンサンブルな楽曲が多く収録されています。
全ての楽曲は、チャールズ・バートンが中心となって制作され、数曲でバーバラが共作している形です。
勢いよいボーカルから始まる1曲目”L.A. Will Make You Pay”は、モロにダンスフロアー向けのディスコ・ファンク曲です。
次の2曲目”Sincerely Yours”は、曲名通りにスウィートなバラードに仕上がっています。
“Sincerely yours”とは、英語の手紙やメールの結びの言葉として使われる「敬具」のことで、「真心を込めて」という意味になります。
コンプレッサーを掛けたような粒立ちの良いギタートーンでチャールズがジャジーなソロも弾いています。
レア・グルーヴものにしては歌唱力も演奏力も高い作品ですが、当時はヒットしなかったんですね……。
3曲目の”Why Don’t You Let Me Know”や5曲目の”You Know I Love You”なんかは、今の時代に聴くといささか古く臭さを感じさせますが……1976年当時であれば最新のディスコ・サウンドだったと思われます。
逆に4曲目の”Who You Gonna Get”や6曲目の”Groovin’ At The Night Club”なんかは、スムースジャズ的なR&B曲として聴いてみると、まるでインコグニートやブランニューヘヴィーズのようなアシッドジャズのように感じられなくもないオシャレさです。
オシャレなギターフレーズは僕も真似して
ギターで弾いてみました♪
他にも9曲目なんかは、デイヴィッド・T・ウォーカーがバックでギターを弾くと合いそうなメロウ・グルーヴの楽曲です♪
ディスコ・ファンク時代に合った楽曲がいくつか収録されてはいますが、バラード曲の出来の良さの方が古さを感じさせず時代を超越して聴くことが出来ます。
『レア・グルーヴ』といっても、イナタいファンクものもあれば、本作のようなダンサンブルなディスコ・ファンクものも含まれる場合もあるので……細かいジャンル分けは難しいところですね。
The Brief Encounter – 『The Brief Encounter』
ザ・ブリーフ・エンカウンターは、ノースカロライナ州ウィルクス郡の町ノース・ウィルクスボロ出身の5人組兄弟のボーカルバンドです。
幻の1stアルバムと言われる本作『The Brief Encounter』は、市場価格25万円という高額で取引されたまさに『レア・グルーヴ』の作品です!
しかし今では普通にCD化されているので簡単に入手することが出来ます。
ベースがブリブリ鳴る1曲目”The Brief Encounter (Introduction)”は、極上のファンク・チューンです♪
左チャンネルにはコンプレッサーを掛けた粒立ちの良いサウンドのギターカッティングがグルーヴを醸し出し、右チャンネルにはフェイザーを掛けた「シュワシュワ」音のギターがゆっくりとウネるように鳴っています。
そこにジャクソン5ばりの兄弟ボーカルが絶妙なタイミングでコーラスを重ねていきます。
ファンク好きならこの1曲だけでも十分に聴く価値はあります!
その他にもフュージョン的なギターのイントロから始めるダンサンブルな3曲目”Smile”や華やかなホーンがかっこいい4曲目”Just One Moment”に、スライの”Thank You”を思わせる8曲目”Time Is Moving”、ギターリフのかっこいい9曲目”Get a Good Feeling”なんかはファンク好きにとっては堪らない楽曲でしょう。
ファンク曲だけでなく2曲目”Visions”や5曲目”Loving and Caring”に6曲目”In a Special Kind of Way”のようなオハイオ・プレイヤーズを彷彿させるスウィートなバラード曲もあります。
注目したいのがメロウな7曲目の”Good Thing, Bad Thing”です。
美しいコーラスに爽やかなギターカッティング、デイヴィッド・T・ウォーカー好きなら「こりゃ堪らん♪」な激メロウ曲ですね♪
ファンクにバラードにバランスの良い楽曲が収録された良質な作品です。
Various Artists – 『Cold Heat: Heavy Funk Rarities 1968-1974, Vol. 1』
このアルバムは、カリフォルニア州ロサンゼルスに拠点を置くインディーズ音楽レーベルのストーンズ・スロウ・レコーズからリリースされた1968年~1974年のディープなファンク曲をまとめたコンピレーションアルバムです。
先にご紹介していたアムネスティーの”Free Your Mind”も2曲目に収録されています。
本作の最後に収録されているリロイ&ザ・ドライバーズの”The Sad Chicken”というファンク曲は、一時期ザ・ニュー・マスターサウンズのライヴでも演奏されていたレア曲です。
この曲のギターリフや13曲目に収録されているザ・ソウル・セヴンの”Mr. Chicken”の単音ギターリフなんかを聴いていると、エディー・ロバーツのギタープレイはこういったレア・グルーヴ曲から大きな影響を受けているんだな~と感じられます。
僕のようなザ・ニュー・マスターサウンズが大好きな方にもおすすめのアルバムです♪
個人的に好きな楽曲は、1曲目のキャリーン&ザ・グルーヴァーズの”The Thing”と、アルバムのタイトルにも選ばれたリル・ハビエル&ザ・ファビュラス・ジェイズの”Cold Heat”、そして14曲目のレオン・ミッチソンの”Street Scene”です。
まず”The Thing”は、オープニングを飾るに相応しいミドルテンポのファンク・チューンです。
ウネるベースラインのイントロから始まり、そこにシングルコイルのピックアップから出力される硬質なトーンのギターカッティングが交わります。
D7を中心に半音グリスするだけのシンプルなカッティングに、華やかなホーンが合わさり「これからファンキーな曲がどんどんと始まるぞ!」と思わせてくれる期待感を煽るような楽曲です。
曲が展開される部分では、ワウペダルをONにしてイナタいフレーズを弾いています。
シンプルな楽曲ですが、ファンクバンドのライヴのイントロとして使っても良さそうな雰囲気の楽曲です。
“Cold Heat”の方は、クランチ気味のギターリフがファンキーな楽曲です。
ゴージャスなホーン隊にイナタいオルガンのサウンドもかっこいいです♪
そして”Street Scene”は、「これぞレア・グルーヴ系ワウギターのお手本!」と言える「チャカポコ♪」カッティングが印象的な楽曲です。
他にもキレッキレのジェームス・ブラウン・メドレーの7曲目”James Brown Medley: I Made a Mistake/Lowdown Popcorn”や曲名通りにミーターズを彷彿させる9曲目”The Cissy’s Thang”等かっこいい楽曲も満載です♪
また後続のディープ・ファンク系のバンドにも大きな影響を与えたように感じさせる楽曲も多く収録されています。
11曲目のジ・アリストクラッツの”Don’t Go”や12曲目のエボニー・リズム・バンドの”Drugs Ain’t Cool “に15曲目のカシミア・ステージ・バンドの”Scorpio”なんかの楽曲は、まるでスピードメーターが演奏しそうなディープ・ファンクっぷりです!
様々なミュージシャンの楽曲を寄せ集めたコンピレーションアルバムではありますが、個人的には全編ファンク・チューンばかりなのが良い点です。
こういったファンク系のコンピレーションで、途中にバラードが挟まれてアルバムの勢いが失われるとちょっと残念に感じちゃいますからね。
ザ・ニュー・マスターサウンズやスピードメーターにソウル・インヴェスティゲイターズやクッキン・オン・3・バーナーズ等のミーターズ系から影響受けた近年のディープ・ファンク好きの人にも自信を持っておすすめ出来る良質なコンピレーションアルバムです♪
Exit 9 – 『Straight Up』
9人編成の大所帯バンドのエクジット9は、16歳~20歳の若者で構成されたバンドです。
元々は小編成のコンボで活動していたようですが、その後ホーン隊を含めノネットまで膨れ上がったようです。
初期の頃はクオリファイド・ファンクという名前で活動していたようですが、9人編成になってからはエクジット9を名乗るようになっています。
アルバムは1975年のこの『Straight Up』の1作のみしかリリースしていません。
しかしかっこいい楽曲が多く収録されたアルバムなので、ファンク史の闇に埋もれさすにはもったいない作品だと言えます。
収録されている楽曲は、ボーカリストのジョニー・リオスを中心に、ベーシストのマイケル・ペルツァーとギタリストのホリス・グージが共作して書いています。
7曲目の”I Love You! I Love You Completely”のみソングライターのフィル・バーが書いた曲です。
この曲だけ他と比べるとキャッチー過ぎるようにも感じます。
全体的にはアフロ・ファンク系の楽曲で占められています。
特に1曲目”Jive Man”と2曲目”Straight Up”、そして4曲目”Fly”から5曲目”Miss Funky Fox”までのファンク曲の流れは最高です♪
間に3曲目のスウィートなバラード曲”Julie I Love You”が収録されているので、アルバムの勢いが止まるのは少し残念なところです。
終盤もワンネス・オブ・ジュジュを思わせる8曲目のコズミック・ファンク曲”Rhapsody in Funk”や9曲目の疾走系ジャズファンク曲”M.F.B.”等、バラード曲よりもファンク曲に魅力を感じるバンドです。
Fabulous Counts – 『Jan, Jan』
ミシガン州デトロイト出身のインスト・ファンク・バンドのファビュラス・カウンツの1969年のアルバム『Jan Jan』です。
ベースも兼任するモーズ・デイヴィスとギタリストのリロイ・エマニュエルを中心に2管のホーンを含む6人編成のバンドです。
グラント・グリーン好きの僕のこのブログでも何度となく登場したバンドでもありますね。
本作のタイトルにもある”Jan Jan”は、ジャズファンク期のグラント・グリーンのライヴ名盤『Live At The Lighthouse』で取り上げられたことで、そのジャンル界隈で有名になった楽曲です。
このことも何度かこのブログで指摘していたのですが……”Jan Jan”の作曲クレジットの記載に”Miles Davis”と書かれていることが多々あるのですが、マイルスの曲ではありません。
ファビュラス・カウンツのモーズ・デイヴィスが書いた曲です。
おそらく”Mose Davis”のスペルをミスして、知名度の高いマイルスの名前と間違ったんじゃないのかな?と思います。
しかし日本盤の『Live At The Lighthouse』の対談形式のラインナーノーツには、「さすがマイルス・デイヴィスの曲!」みたいに書かれていたりします……。
これは間違いです。
さて、本作収録の全11曲の中で彼らのオリジナル曲は5曲に留まっています。
他の6曲は有名曲やマニアックな楽曲のカヴァーになります。
まずはカヴァー曲なのですが、1曲目にジェームス・ブラウンの代表曲の1つ” It’s A Man’s, Man’s, Man’s World”が収録されています。
歌メロをモース・デイヴィスのオルガンがメインで弾くソウルジャズ・アレンジに仕上がっています。
2曲目”Simple Song”は、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの”Sing A Simple Song”のことです。
テーマはアルトとテナーの2管が吹いています。
3曲目にはなんとビートルズの名曲”Hey Jude”が登場します!
R&Bとしてはキング・カーティス、ジャズファンクとしてはクラレンス・ウィーラー&ジ・エンフォーサーズなんかも取り上げていたインストソウル系にも大人気の楽曲です。
5曲目の”Soulful Strut”は、歌手のバーバラ・アクリンが1969年に歌った曲”Am I the same girl?”を後にインスト・トラックとしてヤング・ホルト・アンリミテッドがシングルリリースした楽曲です。
特に驚きのないそのままのアレンジでカヴァーしています。
ちなみに2005年頃の、まだデビューして間もないザ・ニュー・マスターサウンズがこの曲をライヴで演奏していたこともあります。
7曲目の”Who’s Making Love”は、R&Bシンガーのジョニー・テイラーが歌った楽曲です。
インスト・バージョンとしては、1969年にジャズ・サックス奏者のルー・ドナルドソンがアルバム『Hot Dog』で取り上げていました。
この曲もザ・ニュー・マスターサウンズがライヴでちょくちょくやっている楽曲です。
そして最後のカヴァー曲”Girl From Kenya”は、ピアニストのリチャード ・”ポップコーン”・ワイリーが書いたファンク曲です。
“Jan Jan”以外のオリジナル曲では、クォーターチョーキングの音が鶏の鳴き声風に聞こえる2曲目の”The Bite”と6度音程のダブルストップを用いたギターリフが印象的な9曲目の”The Other Thing”がミーターズ風の楽曲です。
ブラス・ファンク曲の”Scrambled Eggs”も含む4曲がモース・デイヴィスの書いた曲で、残る1曲の”Dirty Red”をギタリストのリロイ・エマニュエルが書いています。
ギターリフが印象的な”Jan Jan”を選んだグラント・グリーンのセンスの良さも納得できますが、しかし他の4曲のオリジナル曲も悪くない出来です!
やはり本作の魅力は、有名なカヴァー曲よりも5曲のオリジナル曲にこそあると思います。
Fabulous Three – 『The Best of the Fabulous Three』
謎に包まれた6人組インスト・ファンク・バンドのファビュラス・スリーも『レア・グルーヴ』作品として注目したいところです。
出身地やバンドメンバーに関して何も記載がなくミステリアスなバンドなのですが、基本はキーボード+ギター+ベース+ドラムのバッキング部隊にサックス/フルート奏者がリードを吹く形です。
全体的にダークでダウナーな楽曲が多く、ザ・JBズのやEW&FやT.O.P.ような勢いのあるバンドを想像して聴くと良さを感じられないと思います。
しかし近年流行りのローファイ系のヒップホップ(俗にいうチルホップ)がお好きな人にはおすすめ出来るアルバムです。
正直、これといった目立った名曲が収録されているわけではありませんが……チルな音楽がお好きな人であれば心地良い作業用BGMとして楽しめることでしょう♪
取り合えず全編通して聴いてみてください。
Family Underground – 『Once in a Lifetime』
ニューオーリンズ出身のファンクバンド、ファビュラス・ファントムズが1979年に再結成して出来たのがこのファミリー・アンダーグラウンドです。
本作はアナログ盤未収録だった5曲を追加で収録したCD再発バージョンです。
そのため今では簡単に入手することが出来るアルバムです。
1曲目の”We Are Somebody”は、歌ものミーターズの”You’ve Got to Change (You’ve Got to Reform)”や”Stay Away”を彷彿させる楽曲ですが、2曲目以降はEW&Fやシックのようなモダン・ブギー・ファンクが多く収録されています。
しかしEW&Fに憧れたけれども、成りきれなかったバンドのようにも感じられ、これといった個性やバンドとしてのオリジナリティーがあまりないように感じてしまうのが彼らがヒットを逃し「レア」なままだった要因だと思います。
CD盤のボーナス・トラックの1つに、スティーヴィー・ワンダーの名曲”Superstitious”のカヴァーなんかも収録されていますが、これといった個性を感じられない「ありきたりなファンク・バンド」といった弱みが見え隠れします。
しかしキレの良いギターカッティングは、アル・マッケイやナイル・ロジャースにも勝るとも劣らない出来です♪
Freddie Terrell & The Soul Expedition – 『Soul Expedition』
ジョージア州アトランタ出身のイナタいギタリスト、フレディ・テレルが率いるソウル・エクスペディションのアルバム『Soul Expedition』です。
この1971年にリリースされた幻の作品が2005年に初CD化されて以来、ボーナストラックをいくつか追加して再発されています。
最初のリリースの際は、フレディ・テレル&ザ・ブルー・リズム・バンド名義で1969年にリリースされたシングル曲2強が追加され、その後ソウル・エクスペディション名義の1972年の2曲が追加されています。
その中でもCD盤最後に収録されているソウル・エクスペディション名義のザ・ステイプル・シンガーズのカヴァー曲”Respect Yourself”はかっこいいので必聴です!
歌なしのオルガンを中心にしたインスト・アレンジでカヴァーしています。
そのバックでフレディ・テレルの弾くワウギターが独特のウネりを演出しています。
さて、オリジナル8曲に関してなのですが……まずはテレルのオリジナル曲の1曲目”Itching”がまさに『レア・グルーヴ』しています!
「イッチング!」というボイスの後にチャカポコ系のワウギターが登場します。
ゴージャスなホーン隊がメロディーを奏でる中、フレディのワウギターはグルーヴをキープし続けます。
この1曲だけでもファンク好きの人には聴いてもらいたいと思えるかっこよさです!
ただその勢いは続かず、2曲目のスウィートなバラード曲”We Gonna Make It”やオーティス・レディングが歌いそうなオーソドックスなR&Bの3曲目”I’ll Be Standing By”を聴くと「1曲目の路線で通せば良かったのに……」と感じます。
4曲目の”Take It From The Top”に至っては、ブルース曲です。
歌なしのインスト曲で、作曲者のテレル自身がブルース・ギターの腕前を披露しています。
レコード時代のA面はここまでで、B面の1曲目となる次の5曲目”Night Life”で、ようやく”Itching”系のチャカポコ系のワウギターが活躍するレア・グルーヴ曲に戻ります。
正直、スウィートなバラードやオーソドックスなR&Bが上手い人なら他にもいくらでもいるので、”Itching”やこの”Night Life”路線でアルバム全体を占めてほしかったかな⁉と感じます。
6曲目”Get Down On It”は、微妙にスライの”Sing a Simple Song”からの影響を見せながらのインストソウル曲です。
7曲目” I Don’t Know What This World Is Coming To”は、勢いあるR&B調のインスト曲でテレルのワウギターも絶好調です♪
最後の8曲目”There Ain’t Enough Time”は、どこか調子の外れた質の低いR&B曲です。
こうやって見ると、テレルはオーソドックスなR&B曲が本当はやりたかったのかな?と思えてきますが、しかし本作の魅力はインストでワウギターが「チャカポコ♪」鳴るレア・グルーヴ曲の方だと言えます。
Various Artists – 『The Funky 16 Corners』
本作は、1960年代後半から1970年代中期の様々なファンク・バンドの曲が収録された2001年リリースのオムニバス作品です。
先にご紹介していた『Cold Heat: Heavy Funk Rarities 1968-1974, Vol. 1』と同じく、インディーズ音楽レーベルのストーンズ・スロウ・レコーズからリリースされた作品です。
クラブDJが喜びそうなネタ曲満載の良質なコンピでもあります。
また音楽をメロディーよりもリズム中心で聴くファンク好きの心を掴んで離さないようなかっこいいグルーヴ満載のアルバムでもあります♪
1曲目の”Intro”からワウギターが「チャカポコ♪」鳴ります。
この曲のオルガンのメロディーは、ジュニア・ウェルズお得意の”Messin’ with the Kid”だったり、次のアーニー・&・ザ・トップ・ノーツ・インクによる2曲目”Dap Walk”がモロにアーチー・ベル&ザ・ドレルズの代表曲”Tighten Up”だったりするのはご愛敬。
他にも聴きどころはたくさんあります。
ミーターズ風のギターリフが印象的なリズム・マシーンによる6曲目”The Kick”や、ソウル・ヴァイブレーションズによる9曲目の”The Dump”のジャジーなメロディーラインにファンクビートが混じりあった具合が堪らなくかっこいいので必聴です!
“The Dump”は、ホーン隊のメロディーラインがモロにクール&ザ・ギャングの”Let the Music Take Your Mind”なのはご愛敬。(笑)
クラブ系DJの受けが良い15曲目の”Can We Rap”は、 『Cold Heat: Heavy Funk Rarities 1968-1974, Vol. 1』の1曲目に収録されていた”The Thing”と同じカーリーン&ザ・グルーヴァーズのが楽曲です。
弱冠20歳の女性ドラマーのカーリーン・バトラーが実弟のクラリー・バトラーを率いて漆黒のグルーヴを叩きつける僕のお気に入りのファンク・バンドです。
18曲目には先にもご紹介していたブッバ・トーマス&ザ・ライトメンの”The Phantom”が収録されていたり、19曲目にグラント・グリーンとも共演経験があるヴィブラフォン奏者ビリー・ウッテンの名ライヴ盤からチョイスされた”In The Rain”が収録されたりしています。
その後もブラックスプロイテーション映画好きが喜びそうなリズムネタ満載の良質なオムニバス盤です。
またザ・ニュー・マスターサウンズやスピードメーターのようなディープファンク系がお好きな方にもおすすめのアルバムです。
ワウギター好きにもおすすめ♪
Various Artists – 『Funky Funky New York』
激レアでマニアックなファンク物を数多くリリースしているファンキー・デリシャス・レコードからリリースされた、1969年~1976年のNY発の良質なファンクバンドの音源ばかりを集めたオムニバス盤です。
本作は何といっても1曲目に収録された”Impeach the President”でしょう!
この曲は、ロイC&ザ・ハニー・ドリッパーズによって1973年に吹き込まれた曲で、多くのヒップホッパーのサンプリングネタになった名曲です。
その顔ぶれも凄まじく、2パックにノートリアス・B.I.G.だけでなくNasやデ・ラ・ソウルにLL・クール・J等、レジェンド級のヒップホッパーがネタとして使っています。
もはやこの曲のブレイクビーツこそが「ヒップホップそのもの」のような気がしてきます。
2曲目”Roy C’s Theme”も同じくそのロイC&ザ・ハニー・ドリッパーズによる楽曲です。
この2曲が本作の目玉ではありますが、その他にも興味深い楽曲がいくつか収録されています。
女性ボーカリストを擁したファミリー・ポートレートの2曲も面白く、4曲目の”Natural Man (I Need)”はレゲェ調で、5曲目の”Takin’ Inventory”はギターカッティングのグルーヴがクセになる1曲です。
9曲目から14曲目までの6曲は、この後にもご紹介するザ・パザント・ブラザーズ&ザ・ビューフォート・エクスプレスの楽曲が連続で続きます。
その中でも特にかっこいいのが13曲目”Chick a Boom”と14曲目”Mboga-Chakula”の2曲です。
10曲目”You Got To Do Your Best”は、モロにミーターズの”A Message From The Meters”だったりします。
ちなみに本作のジャケット写真は彼らのものです。
ワウギター好きには、8曲目のフランキー・フリーマンの”This Old Shack”やザ・パール・ミックスド・カンパニーによる15曲目の”Have You Had Any Lately (Instrumental)”にリトル・ジョージJr.による16曲目の”Funky Camel Walk”もおすすめです。
僕個人がNYという町が好きなのもありますが、本作は他のレア・グルーヴ系のコンピとは違ったNYならではのクールでオシャレな雰囲気があるのも好きな作品です。
The Gaturs Featuring Willie Tee – 『Wasted』
以前このブログでもご紹介していたニューオーリンズ系ファンク・バンドのゲイターズです。
詳しくは下記の個別記事を参照して頂きたいのですが……
【Rare Grooveの名盤】ミーターズ(The Meters)を聴いたらゲイターズ(The Gaturs)も聴こう!
やはり『レア・グルーヴ』的には、ワウギターがかっこいい2曲目の”Cold Bear”と3曲目の”Gatur Bait”がおすすめです。
こお2曲は、ザ・ニュー・マスターサウンズのエディー・ロバーツが2015年のソロツアーでも披露していたレア・グルーヴ・クラシックです。
全体的にはニューオーリンズ出身のバンドにしては少し粘り気が少なく淡白な演奏をするバンドではありますが、その分オシャレな演奏を味わうことが出来るアルバムです。
Hot Chocolate – 『Hot Chocolate』
冬に飲みたくなる飲み物のようなユニット名をしたホット・チョコレートも『レア・グルーヴ』には欠かせないバンドです。
同名のディスコ・バンドとは全くの別物です。
基本はシンガーのルー・ラグランを中心とした歌ものバンドなのですが、”Cissy Strut”風の2曲目”So Dam Funky”や”Sing a Simple Song”風の4曲目”Messin’ With Sly”のようなミーターズ系のインスト曲の方が魅力的です。
というよりも、個人的にはこの2曲を聴くためだけの作品です。(言い過ぎ⁉……笑)
出来ることならアルバム全編をこういったミーターズ系のインスト曲ばかりで占めてほしかったかな?と感じます。
H.P. Riot – 『H.P. Riot』
タワー・オブ・パワーと同じくベイエリア・ファンク系のサンフランシスコ出身バンド、H.P.ライオットの1973年作品『H.P. Riot』です。
ゴージャスなホーン隊にボーカル入りのファンク曲が炸裂するT.O.P.マナーな楽曲が目白押しです!
バンド名の”H.P. Riot “とは、1966年にサンフランシスコで起こった人種暴動”Hunters Point Social Uprising”から付けられています。
タワー・オブ・パワー系のブラス・ファンクもあれば、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのような低音ボイスも交えたコーラスが印象的な6曲目の”Good Time (Party)”なんかも収録されています。
もちろんスウィートなバラード曲も”Just Look Around the Corner”、”Love the Way You Love Me”、スティーヴィー・ワンダーの”Blame It On the Sun”と3曲も収録されています。
ワウギター好きには5曲目”I Need You”のイントロのギターや10曲目”The Dollar Sign”のカッティングなんかもおすすめです♪
全体的に高い演奏能力と整ったアンサンブルが魅力のバンドですが、タワー・オブ・パワーになりたいのか?はたまたスライを目指しているのか?とオリジナリティーに欠けるきらいがあります……。
これだったらタワー・オブ・パワーを聴いた方がもっと良い……のは当然なのですが、しかしそういったB級感も『レア・グルーヴ』を聴く楽しみでもあります♪
Intercity Sound Association – 『Philly Sound』
趣味の悪いエロジャケはどうかと思いますが……クラウス・R.・ナゲ率いるインターシティ・サウンド・アソシエーションもおすすめです。
ドイツのミュージシャンによる疑似フィリー・ディスコ・サウンドが堪りません♪
特に4曲目”Night Shift”や8曲目”Star Shot”に9曲目”Stone Path”、10曲目”Flash Point”のようなワウギターが登場する楽曲は、まるで米国のジャズ・ファンク・バンドのようでもあります。
どちらかというとイナタいファンク物よりもオシャレなヌー・ディスコ系がお好きな人におすすめの作品です。
Larry Saunders – 『Free Angela』
黒人解放運動の女性指導者アンジェラ・デイヴィスの強制収容に異を唱えた1971年のアルバム『Free Angela』です。
盲目のシンガーのラリー・サンダースを中心に、ザ・ホール・ダウン・ファミリーを率いたシンガーのタイロン・ トーマスやディッキー・ワンダーにジェラルディーン・ジョーンズ等の楽曲を集めたオムニバス形式のアルバムです。
アルバムのコンセプト通りに、やや重たい雰囲気の楽曲が多いもののトリを飾るジェラルディーン・ジョーンズのファンキーな”Geraldine Jones Soul Encyclopedia”なんかはレア・グルーヴしています♪
The Lewis Connection – 『The Lewis Connection』
かのプリンスが参加していた事で話題となったバンド、ザ・ルイス・コネクション唯一のアルバム『The Lewis Connection』です。
1stアルバム・リリース前のプリンスが1976年に本作に関わっています。
その音源が4曲目の”Got To Be Something Here”です。
このバラード曲でギターを弾いているのがプリンスなのですが……特に個性的な演奏をしているわけではなく、いくらプリンスが好きな人でも言われてみないとわからない程度です。
あの特徴的な『間』を上手く使ったファンク・カッティングをしているわけではありません。
それよりもメインボーカルのバックで聞こえてくるファルセットのコーラスの歌声の方で「あ、プリンスだ!」と気づけると思います。
プリンスの参加で話題となったレアな本作なのですが、プリンスの参加はこの曲のみです……。
初期のプリンスと言えば、ブートで聴くことが出来る1977年に録音された『Loring PArk Sessions 77』がコアなファンの間では有名なのですが、残念ながら本作ではあのアルバムのような濃いファンクを聴くことは出来ません。
なので、プリンスの参加もちょっとしたネタ程度で期待はしない方がよいです。
それよりも、70年代後半のミネアポリス・サウンドを味わえるファンク・アルバムとして聴きましょう。
ザ・ルイス・コネクションのリーダーは、後にプリンスのニュー・パワー・ジェネレーションに参加する事となるソニー・トンプソンです。
ソニー・Tとして知られる人物で、最近では同郷の後輩ミュージシャンのコリー・ウォンともよく共演しています。
さすがにプリンス界隈で活動していたミュージシャン達の集まりなので、単純なファンクだけでなくポップスやシンセポップにニュー・ウェイヴ系のゴッた混ぜサウンドが魅力です。
一筋縄ではいかないミネアポリス・サウンドの真髄をここでも聴くことが出来ます。
1曲目”Get Up”は曲名こそ単純ですが、サウンド作りは練りに練られています。
特にバンド名にもなったピエール・ルイスのシンセサイザーが大活躍しています!
ちなみに本作の曲作りは、ソニー・Tとピエール・ルイス、そしてピエールの兄弟のアンドレ・ルイスの3人で行われています。
プリンスが書いた曲はありませんが、曲作りにプリンスの影響が全くなかったとは思えないような仕上がりですね。
バックコーラスに1曲参加しているだけですが、やはりプリンスという不世出の天才の影が見え隠れするのは本当に凄いことです!
2曲目”Higher”も曲名こそシンプルですが、バッキバキのベースラインに革新的なホーン・アレンジに……こちらも質が高いです!
当時200枚程度しかプレスされなかった希少性から「レア」扱いされてはいますが、そこらのレア・グルーヴ系のバンドと比べると演奏力の高さと楽曲の質の高さは飛びぬけています!
この時代のミネアポリス音楽は実験的なサウンドで溢れていたんだな~と、自分もその時代その場にいて生で体験してみたかったと感じさせる作品です。
ベスト・トラックは、キャッチーなホーン・アレンジが耳に残る5曲目の”Dynamic Duo”です。
歌なしのインスト曲なのですが、メロディーラインのキャッチーさを聴くと「ここにもしプリンスが歌を乗せていたらヒットしただろうな~」ともったいなく感じるぐらいです。
全体的に古い音源で、しっかりとマスタリングされていなかったのか?音質が良くないのが難点ですが……楽曲の素晴らしさを考慮して我慢して聴いてみてください。
楽曲の質は高いです!
Marvin Holmes & The Rush Experience – 『Marvin Holmes & The Rush Experience』
サンフランシスコ・ベイエリアで活動していた幻のバンド、マーヴィン・ホームズ&ザ・ラッシュ・エクスペリエンスの1971年品『Marvin Holmes & The Rush Experience』も極上のレア・グルーヴ作品です。
同地のファンク・バンドと聞いてすぐに思いつくのがスライ&ザ・ファミリー・ストーンやタワー・オブ・パワーといった一流のバンドだと思うのですが、その2つのバンドに及びこそしないものの本作も彼らからの大きな影響が感じられる作品となっております。
特にスライっぽさを感じさせるマーヴィン・ホームズの歌い方はベイエリア・ファンクの伝統を受け継いでいるように思えます。
基本はマーヴィン・ホームズのボーカルと粘っこいワウギターが中心となったバンドなのですが、タワー・オブ・パワーのようにホーン隊も活躍するブラス系ファンクでもあります。
しかも本作に参加しているのが今を時めくジャズ系のホーン奏者なのがまた見逃せない点です。
当時コールド・ブラッドやアステカに参加していたトランペット奏者のトム・ハレルに、サンタナ・バンドにも参加していたトロンボーン奏者のスティーヴ・トゥーレが本作でホーン隊を務めています。
そこにボズ・スキャッグスやヴァン・モリソンのレコーディングにも参加していたセッション系のミュージシャンだったジム・ロサーメルのサックスも加わった3管編成です。
1曲目”Don’t Worry”のイントロからマーヴィン・ホームズのワウギターが粘っこいサウンドで鳴り響きます。
ホーン隊が加わってゴージャスなイントロが終わるとスライ・ストーンから大きな影響を受けたようなマーヴィン・ホームズのボーカルが始まります。
ソリッドにまとまったファンク・サウンドは、まさにタワー・オブ・パワーのようでもあります。
サックス・ソロを挟み、その後少し大人しくなったジミヘンのようなワウギター・ソロも登場します。
2曲目”Life”は、ミドルテンポの渋い楽曲です。
この辺のブルージーな感覚はスライやT.O.P.では聴くことが出来ないマーヴィン・ホームズ独特の楽曲ですね。
終始ホームズの糸を引くような粘っこいワウギターが印象的です。
こういったサウンドは、まるでカーティス・メイフィールドのようでもあります。
3曲目”Rush”は、インストナンバーで、ここでもホームズによるちょっとしたジミヘン風ギター・ソロが登場します。
4曲目”Texas Blood”は、キャッチーなロック系の楽曲で、ギターのバッキングパターンはジミー・リードの”Big Boss Man”をモダンに進化させたような弾き方です。
5曲目”Portions Of My Mind”は、曲中で何度か転調する変則的な楽曲です。
ファンク曲からバラードに変化したりと実験的ではありますが、逆に言うとまとまりのない楽曲でもあります……。
6曲目”Sanyas”は、フリーキーなホーン隊やピアノのイントロから当時のクロスオーバー・シーンのジャズを彷彿させる楽曲へと展開していきます。
トム・ハレルやスティーヴ・トゥーレのジャジーなソロが活躍するインスト・ナンバーなのですが、この辺が「ファンクをやりたかったのか?それともクロスオーバー系のジャズがやりたかったのか?」といったどっちつかずな感じがして、このバンドが長続きしなかった理由のようにも感じられます。
アルバム最後の7曲目”Think It Over”は、B.B.キングお得意の4音フレーズからなるメジャー・ペンタトニックのギターのイントロから始まるブルース・ナンバーです。
ホームズが歌うブルースなのですが、この辺も「ファンクをやりたかったのか?それともブルースがやりたかったのか?」と、どっちつかずな感じです。
やはり本作の魅力は、1曲目や3曲目のようなブラス系のファンク曲にあると思います。
Master Plan Inc. – 『Master Plan Inc.』
フレッド・ショーツなる人物が率いたシカゴのグループがこのマスター・プラン・インクというバンドです。
1980年に”Something To Be Done”というシングル盤を1枚リリースしたのみで消えていった幻のバンドで、そのオリジナル7オンチ盤は2000ドル(約20万越え!!!!)にも及ぶ高額で取引されているという伝説を持ったバンドです。
その希少性からも『レア・グルーヴ』と呼ぶに相応しいバンドなのですが、それも今は昔……。
今では簡単にCD盤で購入することが出来ます。
しかも大量の未発表音源付きで!
それが2013年にまとめられたこのコンピレーション・アルバム『Master Plan Inc.』です。
1973年から1984年の11年の間に録音されたデモ音源も含む様々な楽曲を収録したCDです。
時代と共に音楽性を少しずつ変化させていったバンドのようで、”Heartbreaker”のようなドス黒いファンク曲もあれば、先ほどのレア・シングル盤だったモダン・ソウル曲”Something To Be Done”や爽やかな”Try It, You’ll Like It”にディスコ・ファンク曲”How Slick Is Slick”等様々な楽曲が収録されています。
その分、全体のまとまりはなく、あくまでも「こんなバンドが存在していたんだな~」といった感じで聴くのが良いかと思います。
独特のメロウネスが感じられるバンドですね。
Mellow Madness – 『Mellow Madness』
80年代前半に米国ノース・カロライナ州ファイエットビルで結成されたメロウ・マッドネスは、2人の教育者が在籍する変わったバンドです。
メンバーのフランク・マクニールは学校の校長を務め、マラキ・シャープは高校バンドの教師を務めていたようです。
彼らが音楽教室を始めそこで音楽の才能を持った若い子らを教育していました。
本作はそのフランク・マクニールがプロデュースし、マラキ・シャープがアレンジを務めたアルバムです。
驚くことにベーシストとしてロン・カーターがクレジットされていたりします。
しかし演奏している楽曲はジャズやフュージョンではなく、歌ありのディスコ・ファンクになります。
ブラスはそこまで活躍せず、シンセサイザーとギターのカッティングが目立つスレイヴやサンのような感じです。
注目すべきは、モーリス・ターナーの弾くギター・カッティングのキレの良さにあります。
以前このブログでもご紹介していたジェームズ・メイソンやヴァーノン・バーチのようなキレの良いディスコ系のファンク・ギターを存分に味わうことが出来ます。
ただありきたりな楽曲群はどれも似たり寄ったりで印象に残るような強烈な曲が存在しないのが、これらの音源が「レア」な状態に陥っていた原因のようにも感じられます。
ジェームズ・メイソンやヴァーノン・バーチの楽曲がお好きな人にはおすすめのアルバムです。
Messengers Incorporated – 『Soulful Proclamation』
先にご紹介していたバートン・インクのチャールズ・バートンとその妻のバーバラ・バートンの夫婦が中心となって活動していたソウル/ファンクバンドのメッセンジャーズ・インコーポレイテッドの1972年リリースの唯一のアルバム『Soulful Proclamation』です。
こちらの作品も、オリジナル盤のLPが1,000ドル(約10万越え!!!!)を超える高額で取引されていたという逸話付きです。
今ではCDで簡単に入手することが出来るようになっています。
このバンドは、ギター&ボーカルのチャールズ・バートンを中心に、モーリス・マクレイヴンとソニー・モリソンの2管をフロントに添えています。
そこにバーバラのボーカルやモーリス・ラヴのオルガンとバックコーラスも加わります。
リズムを支えるのは、ジェームス・”バッキー”・ヤングのベースにモーリス・ハワードのドラムです。
何といってもこのバンドの魅力は、その演奏力の高さだと言えます。
1曲目”Soulful Proclamation”から「レア」なままで終わらせるにはあまりにもったいないレベルの高い演奏を聴くことが出来ます。
特にリーダーのチャールズが弾く太いトーンのギターは、なかなかの腕前です。
ギターソロではデイヴィッド・T・ウォーカーばりのワウギターを聴かせてくれます。
1曲目はボーカルありのR&B曲でしたが、2曲目の”Frequency Response”はワウギターが中心となったインストファンク・ナンバーです。
どことなくミーターズの”Good Old Funky Music”を彷彿させるようなイナタいワウギターのリフがかっこいい楽曲です。
すぐにこの曲を耳コピしました♪
オリジナル2曲の次はダイアナ・ロスやマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの歌唱で知られるバラード曲”Ain’t No Mountain (High Enough)”が3曲目に待ち構えています。
もちろんリードを歌うのはバーバラの方になります。
しかしこの曲に関しては、マーヴィン&タミーには遠く及びません……。
この辺はどうしても「一流ではなくB級」に感じられます。
4曲目”He Ain’t Heavy (He’s My Brother)”は、ケリー・ゴードンが1969年に歌った哀愁漂うバラード曲です。
その後1970年にイギリスのロックバンド、ザ・ホリーズが歌って世界的に有名になった楽曲です。
残念ながらこの曲もザ・ホリーズのバージョンを超えているとは言い難いです……。
音楽の良し悪しって演奏力や歌唱力だけではないですからね。
そこが難しい部分でもあり、面白いところでもあります。
2曲のカヴァーが続いた後は、モーリス・ラヴの書いた軽快なR&B曲の” Twenty Four Hours A Day”が5曲目に収録されています。
バーバラの歌うこの曲は、どことなく60年代初期のソウル・ミュージックのようで、1972年という時代を考えてみればいささか古臭い楽曲だということは否めません。
決して悪い曲ではないのですが、当時としても時代遅れな楽曲だったのでは?と感じます。
6曲目”If I’da Club”も同じくモーリス・ラヴの書いたオリジナル曲で、こちらも同じように少し古めかしいR&B曲です。
7曲目”Eleanor Rigby”は、なんとビートルズのあの有名曲です!
ポール・マッカートニーが書いたこの曲は、インストソウルやジャズファンク界隈でも人気のようで様々なミュージシャンが取り上げています。
本作でもギターががテーマを弾く歌なしのインストでカヴァーしています。
チャールズの弾くギターソロはまるでフィル・アップチャーチのようで、かなりの腕前です!
その後、ブルージーな8曲目”Rebecca”とゴスペル調の9曲目”Just Can’t Run Away”を挟み、アルバムは最後の10曲目”Rejoice”でワウギターが暴れまわるファスト・ファンクで締められています。
全体的に演奏力は高いのですが、ジャズファンクをやりたいのか?それとも有名R&Bのバラード曲を歌いたいのか?それとも60年代風ソウルをオリジナル・ナンバーで歌いたいのか?どっちつかずなまとまりのない選曲がヒットしなかった理由なのかな?と感じさせます。
個人的にはインストナンバーに魅力を感じるバンドです。
The Pazant Brothers – 『The Brothers Funk: Rare New York City Funk 1969-1975』
ザ・パザント・ブラザーズは、1950年代後半にライオネル・ハンプトンの楽団で音楽監督まで務めたサックス奏者のエディー・パザントと、その兄弟で1960年代後半にプーチョ&ザ・ラテン・ソウル・ブラザーズのトランペット奏者として活動していたアル・パザントによって結成されたR&B/ファンク・バンドです。
その後、1969年~1975年にかけてザ・パザント・ブラザーズ&ザ・ビューフォート・エクスプレスとしていくつかの録音を行っています。
このCDは、その間にリリースされていたシングル音源を1枚にまとめたアルバムです。
ちなみに7曲目に収録されている”Chicken Scratch”と8曲目の”Fly Vines”は、ザ・チリ・ペッパーズ名義でリリースされていたりというレッチリを彷彿させる面白話もあります。
さて、先にご紹介していたコンピレーション・アルバムの『Funky Funky New York』にもザ・パザント・ブラザーズ&ザ・ビューフォート・エクスプレスの音源が6曲収録されていたのですが、そのアルバムと同じ音源はありません。
なので、本作を持っていても『Funky Funky New York』は必要だったりします。
同名曲の”Chick A Boom”や”Back To Beaufort”に”You Got To Do Your Best”もバージョンが違います。
本作には全22曲も収録されているのですが、エディー・クーリー&ザ・ディンプルズの”Fever”やナット・アダレーの”Work Song”のカヴァーも含む冒頭6曲はかなり荒い演奏&録音クオリティだったりします。
それがザ・チリ・ペッパーズ名義の”Chicken Scratch”辺りから録音のクオリティも上がっていき、聴きやすくなります。
楽曲のアレンジの方もストリングスが入ってリッチでゴージャスに変化しています。
基本的にはジェームス・ブラウンやスライ&ザ・ファミリー・ストーンなんかの影響を感じさせるオリジナル曲が多数収録されています。
9曲目の”A Gritty Nitty”のコーラスなんて、まるで”Sing a Simple Song”だったりします。
しかし中にはプーチョ&ザ・ラテン・ソウル・ブラザーズのようなラテン風味の”Greasy Greens”や”A Back to Beaufort”をやっているのも面白いところです。
終盤に収録されている高速アフロ・チューンの15曲目”Loose and Juicy”や、キング・カーティスを彷彿させる16曲目”Clabber Biscuits”、キレのあるギター・カッティングが印象的な17曲目”Toe Jam”の3曲はクオリティ の高い演奏を聴くことが出来ます。
ちなみに19曲目”Spooky”は、ザ・ニュー・マスターサウンズがカヴァーしていたダスティ・スプリングフィールドの曲ではありません。
全く別のザ・パザント・ブラザーズのオリジナル曲です。
この曲もクオリティの高いジャズファンク曲なので必聴です!
個人的には序盤の荒々しい演奏のものよりも、クオリティの上がった後半の楽曲群により魅力を感じます。
Rasputin Stash – 『Devil Made Me Do It』
ベース兼ボーカリストのブルース・バトラー率いるシカゴ産のR&B/ファンク・バンドのラスプーチン・スタッシュが1972年にリリースした2ndアルバム『Devil Made Me Do It』です。
アルバムジャケットを見てみると……髭面にアフロヘアーのおじさんが自転車にまたがり、その後ろにはブラックスプロイテーション映画に出てきそうなギャング風のおじさん顔の人たちがいます。
しかし厳つい顔に似付かず、何故か商店街で遊びまわっている小学生のような恰好をした首から下の風貌がなんともシュールなジャケット絵が目を引きます。
一応デザイン職をしている僕としては、中身の音楽のことを何も知らなければ、このアルバム・ジャケットを見て聴いてみたいとはまず思いません。
しかしこのB級……いやC級以下のデザイン・センスこそまさに「レア」な存在感が醸し出されています。
それと中身の音楽も、悪くはありませんがいまいちパッとしないところがヒットしなかった原因でしょう。
アイザック・ヘイズを思わせるような1曲目”Ooh Baby”から既に「〇〇風」といったオリジナリティーの欠如を感じさせます。
しかし楽曲の質が低いわけではありません。
あまり印象に残らないというのが欠点です……。
続く2曲目のスウィートなバラード曲”I See Your Face”も、まるで「カーティス・メイフィールド風」ではあります。
スローから一転してアップテンポに転調する辺りはよく練られた楽曲です。
そして本作のアルバム・タイトルにもなった3曲目”The Devil Made Me Do It”が次に続きます。
イナタいワウギターやクラブ系DJ及びヒップホッパーが喜びそうなドラムブレイクもあり、本作随一の聴きどころとなっています。
その後も似た路線の4曲目”Hit It and Pass It”と5曲目”I Can Feel Your Love Jones”が続いた後は、豪華なストリングスやコーラスが「これぞシカゴ・ソウル!」と感じさせる”You’re So Special”等、質の高い楽曲が続きます。
決して楽曲の質や演奏能力が低いわけではありませんが、オリジナリティーがあまり感じられないのと、ジャケットのセンスの悪さで損しているように感じます。
シカゴ・ソウルものとしては、悪くない出来です!
しかしジャケットのセンスはD級です!(笑)
Ripple – 『I Don’t Know What It Is But It Sure Is Funky』
ミシガン出身の7人組バンド、リップルによるそのバンド名通りに「さざ波」が立つような1973年のファンク作品『I Don’t Know What It Is But It Sure Is Funky』です。
CD盤は4曲新たに追加してリリースされています。
骨太ファンク曲の”I Don’t Know What It Is, But It Sure Is Funky”やEW&Fのようなコーラスが分厚いファンク曲”Be My Friend”だけでなく、ドナルド・バードのようなファンキーなトランペットが登場するジャズファンク系のインスト曲”Ripplin'”が収録されていたりと多彩な収録曲が魅力です。
ちょっとしたジャズ/フュージョンの要素を感じられるのも特徴的なバンドです。
しかしやはり一番の魅力は、サンプリングネタとしても使われているタイトル曲の”I Don’t Know What It Is, But It Sure Is Funky”に限ります。
あまりに曲名が長いため、邦題は「ファンキー・バンプ」と全く違うタイトルが付けられた悲しき楽曲でもあります。
The Sidewinders – 『Flatfoot Hustlin’』
カナダ産7人組の激レア・ファンク・バンドのザ・サイドワインダーズは、今回ご紹介するレア・グルーヴ作品群の中でも僕自身が特に好きなアルバムです。
ちょっと個人的なお話なのですが、以前僕は自身のギターデュオ・ユニットに『ストリング・ワインダーズ』という名前を付けていました。
ある日、知り合いの女性シンガーの人が僕らのバンド名を勘違いして『サイドワインダーズ』と呼んでいたのですが、その際に頭の中で僕はこのザ・サイドワインダーズのことを思い浮かべていました。
もちろんその女性がこんなマニアックなバンドの事を知る由もありませんが、個人的には好きなバンド名に間違えられて面白かった出来事でした。
さて、このザ・サイドワインダーズが唯一1枚のみリリースした1977年のアルバム『Flatfoot Hustlin’』は、レア・グルーヴ作品のご多分に漏れずオリジナルのLP盤は数十万円以上で取引されていたという伝説を持っています。
それどころか現在では市場に出回っていないとまで言われているレア具合です。
しかしそれも納得のクォリティーの高い演奏を聴くことが出来ます♪
さすがに本作に収録されている楽曲を聴いて、EW&FやT.O.P.のようにヒットするバンドだとは考えられませんが……演奏力の高さや楽曲の質の高さは本物です!
特に7インチ45回転シングル盤としてリリースされていた1曲目”I Like To Dance”のかっこよさは堪りません!
今の時代に聴くとさすがに古さこそ感じますが、ファストテンポのブラスファンクとしては絶品の出来です♪
続く2曲目の”Time For Loving”は、その曲名から想像できるようなスウィートなバラード曲です。
アコースティックギターの美しい音色にフリューゲルホーンの優しい音色、そして伸びやかなボーカルに厚みのあるコーラス……甘々です!(笑)
レア・グルーヴ作品の多くは1曲目のファストナンバーの次にこういった甘いバラードが続きますね。
3曲目”A Voyage”は、たった1分しかないディスコ・ファンク系のインストナンバーです。
ソロ演奏などを増やしてもう少し長めに演奏しても良かったんじゃないのかな?
4曲目”I Like Your Stuff”は、どこかで聴いたことがあるような耳馴染みの良い歌ものソウルナンバーです。
もう少し時代が早ければヒットしたのかな?といったところです。
5曲目”Flat Foot Hustlin'”は、7インチ45回転シングル盤”I Like To Dance”のB面曲で同じようなファストファンクです。
6曲目”Gift To the Sun”は、ジャジーなサックスソロも登場するジャズファンク曲で、7曲目”Can’t You Feel the Fire”にはヘヴィーなファンク曲が待ち構えています。
なかなかバランスの良い選曲が続いた後、最後にもう一度”A Voyage”が登場します。
ただレアなだけでなく、演奏力&楽曲の質ともに申し分のないアルバムなので、ぜひファンクミュージック好きには聴いてほしいおすすめのアルバムです♪
The Soul Searchers – 『We the People』
1970年代半ばにワシントン大都市圏とその周辺で開発されたファンク音楽のサブジャンル『GO-GO』の創始者としても知られる『ゴッドファーザー・オブ・ゴーゴー』ことチャック・ブラウンが率いるファンク・バンド『ソウル・サーチャーズ』の1972年のレア・アルバムです。
今も現役で活動するチャック・ブラウンのグルーヴィーなワウギターのリフを中心に組み上げられた1曲目”We the People”がやはり一番の聴きどころとなります。
中盤でドラムブレイクも挿入したクラブDJやヒップホッパーが好みそうな曲展開が印象的です。
こういったワウギターのチャカポコ♪音はまさにレア・グルーヴの響きですね♪
2曲目に収録された”Your Love Is So Doggone Good”は、この時期のソウル/ファンク作品の多くと同じようにバラード曲となっております。
ファストナンバーの次はバラード……これはもう定番の流れですね。
3曲目の”It’s All in Your Mind”で再びワウギターがチャカポコ鳴るファンク・ナンバーに戻ります。
ラテン風味の4曲目”Soul to the People”は、オルガンのソロが活躍するインスト・ナンバーです。
5曲目にはジェームス・ブラウンの曲”Think”をカヴァーしています。
JBやリン・コリンズのバージョンよりも更にダンサンブルにアレンジされた極上のファンク・トラックです♪
続く6曲目”1993″は、ミドルテンポでじわじわと押し寄せるグルーヴが堪らなくかっこいい楽曲です。
壮大なイントロで始まる7曲目”When Will My Eyes See”は、大人な雰囲気のバラード曲です。
そしてアルバム最後の8曲目”Blowout”は、曲名通りに「どんちゃん騒ぎ」を思わせるジャズファンク曲です。
全体的に演奏力の高さが印象に残る絶品のアルバムです♪
チャック・ブラウンがお好きな人だけでなく、まだ見ぬ質の高いファンク・アルバムをお探しの方におすすめのアルバムです。
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