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カテゴリー:Music

2019/09/24

必聴のジャズ・スタンダード収録作品!パット・マルティーノ屈指の名盤『Exit』を聴こう♪

パット・マルティーノ屈指の名盤『Exit』をご紹介します。

契約解消の急ごしらえがキャリアを代表する名作に!

プレスティッジ・レコードにて1967年にリーダー作をリリースしたことで本格的にミュージシャンとしての活動が始まったジャズ・ギタリストのパット・マルティーノは、70年代に入るとミューズ・レコードに移籍していくつかの名作を残しています。

 

以前このブログでもご紹介していた1972年にライヴ名盤『Live!』もそのミューズ・レコードからリリースされています。

 

パット・マルティーノ怒涛のライヴ盤‼最高傑作『Live!』を聴こう♪

 

その後、1976年になり大手ワーナー・ブラザース・レコードに移籍するにあたり、ミューズ・レコードとの契約枚数に達していなかったために急遽アルバムを制作しなければいけなくなりました。

 

それが今回ご紹介する『Exit』というアルバムです。

 

1976年2月10月にマルティーノをリーダーにしたカルテット編成で制作されています。

 

急ごしらえだったためか、全6曲中自作曲は冒頭の2曲のみで、残りはジャズ好きなら誰もが知るようなスタンダード曲や人気曲のカヴァーで構成されています。

 

しかしこの時期のマルティーノの演奏は鬼気迫るような凄みがあり、例えベタなジャズ・スタンダードの曲であったとしても、まるで何かに取り憑かれたかのようにギターを弾きまくっています。

 

以前ご紹介していた『Live!』が、パット・マルティーノのキャリアを代表するライヴ盤なら、こちらの『Exit』はスタジオ盤の代表作と言えるでしょう。

 

それでは今回はパット・マルティーノの1977年の作品『Exit』をご紹介します。

 

 

Pat Martino – 『Exit』

01.Exit
02.Come Sunday
03.Three Base Hit
04.Days Of Wine And Roses
05.Blue Bossa
06.I Remember Clifford

 

Personnel:
Pat Martino – Guitar
Gil Goldstein – Piano
Richard Davis – Bass
Jabali Billy Hart – Drums

 

アルバムの内容

1曲目のタイトル・トラック”Exit”は、マルティーノの自作曲です。

 

いきなりフリー・ジャズ的な曲から始まりますが、本作に収録されているアヴァンギャルドな楽曲はこの曲のみです。

 

むしろ全体を通して聴いてみると、タイトル曲のこの曲だけが浮いてる気さえもします。

 

まるでエリック・ドルフィーや初期のエレクトリック・マイルスを聴いているような感触の楽曲ですが、フリーになりすぎることはないです。

 

2曲目”Come Sunday”は、デューク・エリントンが書いたバラード曲です。

 

先ほどのアヴァンギャルドな1曲目とは打って変わって、美しいピアノのコンピング、ゆったりとしたウッドベースにドラムのブラッシングをバックにマルティーノもメロディアスなギターソロを弾いています。

 

ホッと安心できるバラード演奏に1曲目のフリーな楽曲で諦めないでよかった~といったところでしょうか。(笑)

 

3曲目”Three Base Hit”は、マルティーノの自作曲です。

 

マイルス・デイヴィスの1958年の作品『Milestones』に収録されていたディジー・ガレスピー作のジャズ・ナンバー”Two Bass Hit”と似た曲名ですが、全く別物です。

 

「なんだ~引き続きスタンダード曲じゃないのか~」と思うなかれ……むしろこちらのマルティーノの曲の方がかっこいい曲なぐらいです!

 

ガレスピーの”Two Bass Hit”は今の時代に聴くと少々古めかしく聞こえますが……マルティーノ作の”Three Base Hit”は、アップテンポのモード・ジャズ風のモダンな楽曲です。

 

今の時代に聴いても古さを感じさせないオシャレな楽曲です♪

 

1曲目の”Exit”みたいな曲調よりも、こういった洗練されたコンテンポラリー・ジャズを中心にアルバム作りをして欲しかったかな?と感じます。

 

まぁでも当時の多忙極まりないマルティーノには、そんな時間はなかったことでしょう。

 

しかし次の4曲目”Days Of Wine And Roses”を聴けば、本作がカヴァー曲ばかりなのに名盤の誉れ高い傑作であることも頷けます。

 

“Days Of Wine And Roses”は、元はと言えば同名タイトルの映画『酒とバラの日々』の主題歌でした。

 

 

今となっては映画よりもこの名曲の方が有名ですね。

 

僕も原作映画は観ましたが……個人的にはとても退屈な映画でした。

 

でもこの名曲がジャズ・スタンダードにまで上り詰めたのは納得できます。

 

文句なしに歴史に残る名曲ですね!

 

パット・マルティーノにも大きな影響を与えたジャズ・ギタリストの最高峰ウェス・モンゴメリーも1963年のオルガン・トリオ作品『Boss Guitar』にて取り扱っていた楽曲です。

 

ウェス・モンゴメリーがオルガン・トリオで制作した3枚のおすすめアルバム♪

そのウェスの名演をも超えるような演奏がここに収録されています!

 

あの印象的なテーマメロディーを多くのジャズ・ギタリストは派手めに弾きがちなのですが……マルティーノは少し気怠い雰囲気で弾き始めます。

 

このアンニュイなニュアンスがとても現代的です。

 

ギターソロ前には速めのテンポでフレーズを挟み、そのままセンスの塊のようなメロディーラインを見事に弾ききっています。

 

「これもその場のアドリヴで弾いたの?」と驚くような流麗さは、まさに屈指の名演です!

 

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この曲目当てで本作を購入しても良い程に素晴らしい演奏です♪

 

5曲目”Blue Bossa”も、ジャズ・セッションなどでもお馴染みのスタンダード曲です。

 

トランペット奏者のケニー・ドーハム作のサンバ調の楽曲で、ジョー・ヘンダーソンのブルーノート・レーベルからリリースされた初リーダー作『Page One』の1曲目に収録されていた名曲です。

 

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先ほどのゆったりとしたロマンチックなバラードから打って変わって、初心者泣かせなアップテンポで演奏しています。

 

レベルの高いジャズ・セッションでは、初心者イジメではないですが……こういった初心者好みのシンプルなスタンダード曲をわざと速すぎるテンポで演奏して、着いてこれた者だけを認める!みたいなことがビ・バップ時代から現代まで受け継がれています。

 

そんな初心者泣かせ風のアップテンポでマルティーノは、カヴァーしています。

 

もう既にマルティーノは、非凡な才能を持つジャズ・ギタリストであることはわかりきっていますので、今更ゆっくりなテンポやノーアレンジでスタンダード曲を扱っても意味がないですからね。

 

マルティーノこそ、こういったアップテンポで素人との違いを見せつけるべきですからね!

 

もちろん素人には到底不可能なほど、十八番のマシンガン・ピッキングから繰り出される息継ぎなしの埋め尽くすようなフレーズを以てしてソロを弾ききっています。

 

最後の6曲目”I Remember Clifford”もジャズマンに人気のカヴァー曲です。

 

トランペット奏者のリー・モーガンの名演が一番有名だと思うのですが、若くして亡くなった不世出の天才トランペッター、クリフォード・ブラウンに贈られた名バラード曲です。

 

作曲は、テナー・サックス奏者のベニー・ゴルソンに拠るものです。

 

アップテンポで狂喜乱舞の”Blue Bossa”から一転して、落ち着きを取り戻したかのようにマルティーノが美しいメロディーを奏でます。

 

名演”Days Of Wine And Roses”に負けずとも劣らず素晴らしいバラード演奏です♪

 

本当に楽器演奏の上手いミュージシャンというのは、単に難しいフレーズを弾けたりだとか、速いフレーズをミストーンなく弾けるだけではないと思います。

 

こういったバラードの名曲を「まるでシンガーが歌うように楽器を歌わせる」ことが出来て初めてだと感じます。

 

そういった点でも本作の”Days Of Wine And Roses”と”I Remember Clifford”は、パット・マルティーノという天才ジャズ・ギタリストの真の実力を知ることが出来る名演だと言えます。

 

 

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おすすめ曲は、#3 #4 #5 #6

 

 

以上、【必聴のジャズ・スタンダード収録作品!パット・マルティーノ屈指の名盤『Exit』を聴こう♪】でした。

 

後半のスタンダード曲による名演と比べると、アルバム・タイトル曲が聴きにくい曲だったりもしますが……しかし”Three Base Hit”のように今の時代にも通じるかっこいいコンテンポラリー・ジャズをマルティーノが書いている点も見逃せません。

 

全曲この路線で通して欲しかったところですが、しかし契約解消のための制限があったおかげで”Days Of Wine And Roses”の名演が生まれたとしたら、それも必然だったのかもしれませんよね。

 

ジャズ・ギター作品がお好きな人にはもちろん、自分でもジャズ・ギターを演奏するという人は必聴の作品です!

 

僕がもし「この作品聴かずしてジャズ・ギター語るなかれ!」のリストを制作するなら、その中の1作として必ずこのアルバムを選びます。

 

ジャズ・ギター好きは必ず聴きましょう♪

 

 

 

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