2019/08/05
デュオにオルガンに…High Noteレーベルからリリースされたパット・マルティーノのおすすめアルバム3選!
High Noteレーベルからリリースされたパット・マルティーノのおすすめアルバム3選!
オルガン編成にデュオ編成に……様々なマルティーノを楽しめる3作品!
今回はジョージ・ベンソンと同時期にデビューしたジャズ・ギタリストのパット・マルティーノが、2010年代に入ってHigh Noteレーベルからリリースした中で個人的におすすめしたいアルバムを3枚ご紹介します。
この3作品のアルバム・ジャケットは共通のデザインで統一されているので、ジャケットを見て楽しむこともできます。
またこの3作品どれも新録音の作品ではなく過去の未発表音源なんかの発掘リリースとなっております。
それではさっそく3作品を順番にご紹介したいと思います。
Pat Martino – 『Undeniable』
01.Lean Years
02.Inside Out
03.Goin’ to a Meeting
04.Double Play
05.Midnight Special
06.’Round Midnight
07.Side Effect
Personnel:
Pat Martino – Guitar
Tony Monaco – Hammond organ
Eric Alexander -Tenor Saxophone
Jeff “Tain” Watts – Drums
Recorded : Live at Blues Alley, Washington, DC on June 26-28, 2009.
アルバムの内容
2012年にリリースされた『Undeniable』は、オルガン・トリオ編成にエリック・アレキサンダーのテナー・サックスを迎えたカルテットで2009年にワシントン州で行われたライヴを収録した作品です。
長年ブランフォード・マルサリスのバンドに在籍していたドラムのジェフ・ワッツとは、マルティーノは本作が初共演となります。
ちなみに6曲目のセロニアス・モンクの名曲”‘Round Midnight”以外は全てマルティーノのオリジナル曲です。
まず1曲目”Lean Years”は、1968年に制作された2ndリーダー作の『Strings!』から久しぶりの選曲です。
あの作品では、のピアノが参加していましたが、本作ではトニー・モナコのオルガンと一緒に演奏しています。
テーマは、サックスとユニゾンで弾いています。
まずはマルティーノのギター・ソロから始まります。
近年のマルティーノの特徴でもある3~4弦のダブルストップを多用した中音域でのプレイが今風です。
続くエリック・アレキサンダーのサックス・ソロは、短いながらもソニー・ロリンズのような力強さを感じさせるソロです。
3番手はオルガン・ソロの後は、再びテーマに戻ります。
どことなくブルーノート時代のラリー・ヤングを思わせるオルガン・ソロです。
2曲目”Inside Out”では、2分33秒辺りでマルティーノのスウィープ奏法から始まり2分37秒からはしつこいほどのシーケンス・フレーズが飛び出します。
この辺はやはりグラント・グリーンから受け継がれるオルガン・ジャズ系を演奏するギタリストにとっての定番フレージングですね。
オルガンのロングトーンが活躍する軽快な3曲目”Goin’ to a Meeting”を挟んで、マルティーノのマシンガン奏法を楽しむことが出来る4曲目”Double Play”が始まります。
特に4分4秒から始まる連続繰り返しフレーズは圧巻です!
これにはオーディエンスも沸きまくています!
5曲目”Midnight Special”でも5分50秒辺りから繰り返されるシーケンス・フレーズでオーディエンスが興奮しまくっています!
セロニアス・モンクの名バラード曲の6曲目”Round Midnight”は、サックスはお休みでオルガン・トリオで静かに演奏されています。
最後の7曲目”Side Effect”で再度サックスも参加して明るく軽快な楽曲でライヴが締めくくられます。
オルガンとの共演ということもあってか、グラント・グリーン風のアーシーなシーケンス・フレーズやダブルストップを交えつつも、マルティーノらしいインテレクチュアルな音選びにセンスを感じます。
オルガン・ジャズ好きの人にもぜひおすすめしたい好盤です♪
Pat Martino with Jim Ridl – 『Nexus』
01.Recollection
02.Tenetree
03.Sun On My Hands
04.The Phineas Trane
05.Country Road
06.Interchange
07.Oleo
08.Naima
Personnel:
Pat Martino – Guitar
Jim Ridl – Piano
アルバムの内容
2015年にリリースされた『Nexus』は、ピアノ奏者ジム・リドルとのデュオ作品です。
録音されたのは1994年のようで、完全未発表音源として2015年にリリースされました。
ピアノとのデュオということもあってか、まるでビル・エヴァンスとジム・ホールのデュオを思わせるような静謐な演奏が繰り広げられています。
1曲目の”Recollection”なんてまさに『Undercurrent』に収録されていてもおかしくないような緊張感のある演奏です。
3曲目の”Sun On My Hands”のゆったりとした雰囲気も『Undercurrent』風ですね。
5曲目の”Country Road”は、マルティーノの教則DVDなんかでも演奏されていた楽曲ですが、こうやって音源がリリースされるのはこれが初めてです。
そして最後にソニー・ロリンズの”Oleo”とジョン・コルトレーンの”Naima”のカヴァーが収録されているのも見逃せません。
どちらの楽曲もジャズ・ギタリストがよく取り上げる楽曲ですね。
特に原曲とは違ってワンコードで押しまくったアドリブ演奏が展開される”Oleo”は必聴です!
Pat Martino with Bobby Rose – 『Alone Together』
01.Four On Six
02.Alone Together
03.What Are You Doing the Rest of Your Life
04.Sunny
05.Left…or Right
06.The Visit
07.One For My Baby
08.Israfel
Personnel:
Pat MArtino – Guitar
Bobby Rose – Guitar
アルバムの内容
ボビー・ローズとのギター・デュオ作『Alone Together』は、2012年にリリースされていますが音源自体は1977年に録音されたものです。
そのため録音状態は少し粗目で聴きづらい部分もあったりします……。
またマルティーノのソロのバックでフロントと同じぐらいの大きな音で「バキバキ」とバッキングを演奏するボビー・ローズのギターの音が目障りに感じなくもありません……。
フロントよりも目立っちゃだめでしょ!と言いたくもなりますが、しかしギター・デュオで聴くウェス・モンゴメリーの”Four On Six”は新鮮です。
ボビー・ローズは終始バッキングに徹しているので、ギターの音のデカさに目をつぶれば、マルティーノのリード演奏を存分に楽しめる作品だと言えます。
1972年の名ライヴ盤『Live!』でも演奏していたマルティーノ必衰の名演”Sunny”も、ここでギター・デュオの形で再演されています。
もちろん本作でもマルティーノは燃え上がっています!
この”Sunny”目当てで本作を聴いていいぐらいに熱い演奏です!
後半はブルージーな5曲目の”Left…or Right”や7曲目のバラード演奏”One For My Baby”などもバラエティーがあって良いのですが……如何せん録音状態は良くありません。
最後の8曲目”Israfel”もまた”Four On Six”や”Sunny”のようにハイテンションで燃え上がります!
こういったテンポの速い楽曲であれば、音の悪さを感じさせないぐらいなのですが、どうしてもバラード演奏などでは録音状態の悪さが気になります。
しかし貴重なギター・デュオ作品としては一聴の価値はあると思います。
以上、【デュオにオルガンに…High Noteレーベルからリリースされたパット・マルティーノのおすすめアルバム3選!】でした。
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