
2024/05/18
R.I.P.スティーヴ・アルビニ ~オルタナ、グランジ全盛期に活躍した名プロデューサー~

ビッグ・ブラックやシェラック等で活躍したスティーヴ・アルビニが2024年5月7日に亡くなりました。
インダストリアル・ロックの先駆け!?スティーヴ・アルビニが活動したバンド
先日の2024年5月7日にビッグ・ブラックやレ●プマン(倫理的によくない名前なので伏せ字にします。)にシェラック等のバンドでリーダー兼ボーカル、ギターを務めていたスティーヴ・アルビニ(Steve Albini)が亡くなりました。
この後にも今月はデイヴィッド・サンボーンやイリュージョンのキーボード奏者だったジョン・ホウケンが亡くなりましたが、僕にとってはスティーヴ・アルビニの訃報は特に残念に感じました。
スティーヴ・アルビニを知ったきっかけ
このブログでも過去に何度か書いていたことがあったのですが、若い頃の僕はアメリカン・ハードコア・パンクが大好きでした。
ブラック・フラッグやマイナー・スレットにデッド・ケネディーズやハスカー・ドゥ、そしてバッド・ブレインズといった有名どころのハードコア・パンク・バンドには大いにハマりました!
今でもむしゃくしゃした気分の時に彼らの音楽を聴いてストレスを発散することもあります。
そんな繋がりで僕がスティーヴ・アルビニ率いるビッグ・ブラックに出会うのは自然な流れでした。
それと高校生の頃にハマっていたニルヴァーナのカート・コバーンが影響を受けたバンドのひとつとしてビッグ・ブラックを挙げてもいました。
ビッグ・ブラックにとことんハマる10代の頃!
まず始めに僕は1987年のコンピレーション・アルバム『Rich Man’s 8 Track Tape』から聴きました。
そのアルバムの1曲目に収録されていた”Jordan Minnesota”を一発で気に入り、以降ビッグ・ブラックは好きなバンドのひとつとなります。
このコンピレーション・アルバム『Rich Man’s 8 Track Tape』は、1986年の1stフル・アルバム『
Atomizer』の全曲にシングルの『Heartbeat』とEP『Headache』の収録曲を含めたCDです。
続く2曲目の”Passing Complexion”で聴くことが出来る印象的なギターの金属音や無機質なドラムマシーンから「徹底的に感情を省くような冷たいサウンド」が感じられました。
そこに対比するかのように社会的にタブーとされる危うい歌詞を感情のまま叫ぶスティーヴ・アルビニの歌声…と言うか咆哮。
その後ナイン・インチ・ネイルズへと受け継がれていくようなインダストリアル・ロックの先駆けとも言えるサウンドは10代の少年が聴くにはあまりにも衝撃的でした!
まぁさすがに歌詞は英語だったので当時は意味はわからなく聴いていましたが…。
でも中二病とでも呼ぶべきか?10代の頃ってああいったノイジーでダークな音楽にハマる子も多いんじゃないかと思います。
僕もどちらかって言うとこういった「病んだ音楽」は好きな方です。
こうしてビッグ・ブラックにはとことんハマり、その後シングルやEP等も全て聴いています。
特に面白かったのがチープトリックの”He’s a Whore”をカバーした2曲入りシングルの『He’s a Whore / “The Model』です。
シングルのジャケットまでチープトリックのコスプレをしてパロっているのは笑えます。
ちなみにその後アルビニは1997年にチープトリックの両A面シングル曲『Baby Talk/Brontosaurus』のプロデュースを担当しています。
そしてその後ビッグ・ブラック解散後にアルビニが組んだレ●プマンやシェラック等も聴きましたが、僕としてビッグ・ブラック時代が一番好きで印象に残っています。
オルタナ、グランジ全盛期にプロデューサーとしても活躍!
ニルヴァーナやピクシーズの名作をプロデュース!
しかしスティーヴ・アルビニは、ビッグ・ブラック等のバンドでの活躍よりもレコーディング・エンジニアとして音楽史に貢献した業績の方がより重要だとも言えます。
それはニルヴァーナの『In Utero』やピクシーズの『Surfer Rosa』、そしてPJハーヴェイの 『Rid of Me』といった名盤が特に印象に残ります。
他にもブリーダーズの『Pod』やプッシー・ガロアの『Dial ‘M’ for Motherfucker』にタッドの『Salt Lick/God’s Balls』といったオルタナティヴ・ロック、グランジ、ジャンク等といった1980年代後半から1990年代半ばまでに素晴らしいアルバムをいくつかプロデュースしています。
特にニルヴァーナの『In Utero』は音楽の歴史に残る名盤として名高い作品なので知らず知らずのうちにスティーヴ・アルビニの作り出すサウンドを聴いている方は多いんじゃないかと思います。
もちろん僕もニルヴァーナのアルバムでは『In Utero』が一番好きです。
音楽の歴史を変えたという点では『Nevermind』の方が重要かも知れませんが、あのアルバムはポップス過ぎるのとブッチ・ヴィグがプロデューサーした軽いサウンドが少し残念な作品だと感じます。
その点、『In Utero』でのカートの硬質なギターの音は生々しいです!
まるでビッグ・ブラック時代のアルビニの金属音のようなあのギターサウンドが乗り移ったかのようでした。
僕がアルビニのプロデュース作品が好きな理由のひとつは、この硬質なギターサウンド作りにあります。
ちなみに『In Utero』に収録されている名曲”Dumb”で印象的なチェロを弾いている女性ケラ・シェイリーは、スティーヴ・アルビニの当時の彼女でした。
アルビニのプロデュースを選ばなかったフガジのアルバム
ところでそんなアルビニのプロデュースを選ばなかったバンドがいます。
それは元マイナー・スレットのイアン・マッケイ率いるフガジ(Fugazi)です。
1993年にリリースされた3作目『In on the Kill Taker』がそのアルバムです。
非公式でアルビニとレコーディング・セッションを行ったものの、フガジ側がその出来に満足出来ず結局バンドの(テッド・ニースリーの手も借りて)セルフ・プロデュースにてアルバムは完成しました。
いくらレコーディング・エンジニアとして全盛期だったとは言え、必ずしもアルビニ・サウンドを全てのバンドが望んでいたわけではないんですね…。
個人的におすすめしたいアルビニ・プロデュースの隠れた名作とは?
さてこのブログ記事の最後にアルビニ・プロデュースで僕が一番気に入っている作品をご紹介して終わりたいともいます。
それはニーナ・ゴードンとルイーズ・ポストといった美人シンガー2人がフロントを務めるポスト・グランジ・バンドのヴェルーカ・ソルトの作品です。
1996年にリリースされた4曲入りミニ・アルバム『Blow It Out Your Ass It’s Veruca Salt』がおすすめです!
このミニ・アルバムは翌年リリースされた2ndアルバム『Eight Arms to Hold You』の前にアルビニ・プロデュースで制作されました。
ここに収録された4曲はどれもヴェルーカ・ソルトのギターポップな性質に、アルビニ特有の硬質なギターサウンドが合わさった楽曲に仕上がっています。
ニーナのキュートな声のバックに、無機質でザラいた金属音のようなディストーション・ギターが重なることでダーク・ポップなサウンドが出来上がっています!
当時はやっていたレターズ・トゥ・クリオやリズ・フェアといったガール・ポップなオルタナティヴ・ロックとはまた違ったサウンドが完成していてとても素晴らしかったのですが…
結局アルビニとのセッションはこの4曲だけで終わってしまい2ndアルバムの『Eight Arms to Hold You』はメタリカやモトリー・クルーにボン・ジョヴィのプロデュースで知られるボブ・ロックが担当して「気まぐれヴォルケーノ・ガール」といったポップなハード・ロック・サウンドになってしまいました…。
僕としてはこの『Blow It Out Your Ass It’s Veruca Salt』のようなダークなサウンドでその後のヴェルーカ・ソルトは進んで欲しかったところですが…ヒット・アルバムを作るとなるとそうはいかないのでしょうね…。
結果としてボブ・ロックのプロデュースした『Eight Arms to Hold You』は、シングル曲”
Volcano Girls(邦題:気まぐれヴォルケーノ・ガール)“のヒットもあって売り上げ的には大成功となりました。
残念ながらスティーヴ・アルビニの路線でバンドが進むことはありませんでしたが、この『Blow It Out Your Ass It’s Veruca Salt』はニルヴァーナの『In Utero』がお好きな方でしたらきっと気にるかと思います。
おすすめです!
スティーヴ・アルビニが亡くなってから10日が経った5月17日(このブログ記事を書いている前日)にシェラックの10年ぶりとなる6作目のアルバム『To All Trains』がリリースされました。
このアルバムのリリース後はツアーも予定されていただけにスティーヴ・アルビニの早過ぎた訃報を聞いてとても残念な気持ちです。
もしこのブログ記事を読んで初めてスティーヴ・アルビニを知ったという方がいらっしゃいましたら、僕が若い頃にハマったビッグ・ブラックやニルヴァーナの歴史的名盤『In Utero』に、個人的におすすめしたいある美に・プロデュース作品の『Blow It Out Your Ass It’s Veruca Salt』をぜひ聴いてみて下さい。
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