カテゴリー:Music

2019/01/01

ケニー・バレルのブルージーな最高傑作!『Midnight Blue』を聴こう♪

ケニー・バレルのブルージーが1967年に制作した最高傑作『Midnight Blue』

ブルージーなジャズ・ギタリスト、ケニー・バレルが”ブルー”なムードを表現した名盤!

今回はジャズを代表するレコード会社のひとつ、ブルーノート・レーベルを代表するジャズ・ギタリストのケニー・バレルの最高傑作をご紹介したいと思います。

 

ブルーノート・レーベルの創始者であるアルフレッド・ライオンは、ジャズと同じようにブルースが好きだった人物でした。

 

彼の元でアルバム制作を行う際には、ちょっとした面白い条件がありました。

 

それはレコーディングをする際は必ずオリジナル・ブルース曲を1曲は用意してくるようにミュージシャンにリクエストをしていたようです。

 

これによってブルース調のハード・バップが多く制作され、後のファンキー・ジャズが生まれる要因となったようです。

 

アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズの代表曲『Mornin’』が誕生したのもそういった経緯があってのことだと思われます。

 

また無類のブルース好きのライオンは、ギターという楽器にも愛着があったようです。

 

レーベルの初期の頃は、タル・ファーロウやサル・サルヴァドールにルー・メッカなどの白人ジャズ・ギタリストの作品を制作していました。

 

しかし彼らにはライオンが望むような”ブルース・フィーリング”が足りていなかったようです。

 

そこに突如、黒いフィーリングを持った若手黒人ジャズ・ギタリストがデトロイトからニューヨークへとやってきました。

 

1955年の末、同郷のジャズ・ピアニストのトミー・フラナガンと一緒にニューヨークに移住してきたのがライオンが待ち望んだ”ブルース・フィーリング”を持ち合わせたケニー・バレルでした。

 

ライオンはバレルにこう言ったようです。

 

「君のようなギタリストを探していたんだよ!」

 

この事で、バレル自身も自分のスタイルに自信を持てるようになったと語っています。

 

そして1956年の初リーダー作以降バレルは、数多くのリーダー作及びサイドマンとして様々なセッションに参加していくことになります。

 

それでは今回は、「ブルーノート」というブルースの音階上の特徴となっている音を表したレーベル名に相応しい”ブルース・フィーリング”たっぷりの名盤『Midnight Blue』をご紹介します。

 

 

 

Kenny Burrell – 『Midnight Blue』

01.Chitlins con Carne
02.Mule
03.Soul Lament
04.Midnight Blue
05.Wavy Gravy
06.Gee, Baby, Ain’t I Good to You
07.Saturday Night Blues

 

Personnel:
Kenny Burrell – Guitar
Stanley Turrentine – Tenor Saxophone
Major Holley Jr. – Bass
Bill English – Drums
Ray Barretto – Congas

 

Blue Note: 4123

 

Recorded: Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ. January 8, 1963.
Released: 1963

 

アルバムについて

リズミカルなコンガの音色が印象的なピアノレスの作品となったこの『Midnight Blue』は、バレルがある特定の雰囲気を想定してそれに見合った一連の曲を構想して作られたコンセプト・アルバムでもあります。

 

アルバム・タイトル通りに「日が暮れた後の雰囲気」や「哀愁漂うブルース・フィーリング」など……。

 

またマイルス・デイヴィスが1959年に制作した『Kind Of Blue』のような静謐なムードなど……。

 

 

そうした”ブルー”なムードの曲を書いていくうちに自然とバレルの頭の中でコンガの音が鳴っていたようです。

 

ピアノレスにしてコード楽器を自身のギターのみにすることや、同じく”ブルース・フィーリング”を持ち合わせたサックス奏者のスタンリー・タレンタインを起用することまでバレル自身のアイデアによるものです。

 

それだけでなく、なんとこの作品の印象的なアルバム・ジャケットのデザインに至るまで、全てバレルのアイデアのようです。

 

「気に入ってもらえるかどうかわからないけど……」とバレル自身が考えた大雑把なデザインのアイデアをライオンに見せたところ、「良いね!」と言って採用してもらったとのことです。

 

そうして出来上がった本作は、まさにバレルのジャズ・ギタリストとしての全てが詰まった歴史的名盤となりました。

 

後にバレル自身もライオンの奥さんから聞いた話によると……

 

『Midnight Blue』は、アルフレッド・ライオンが手掛けた数多くの作品の中でも一番のお気に入りで、ライオンが亡くなった後、亡骸と共にこのアルバムも埋葬されたとのことです。

 

なぜライオンがこの作品を一番気に入っているのかバレルが奥さんに聞いてみたところ、「全ての音符がスウィングしているからだよ!」とライオンが言っていたと答えています。

 

これってジャズ・ミュージシャンに取って最高の褒め言葉でもありますね。

 

こういったエピソードや素晴らしいカヴァー・デザインに”ブルー”なムードのコンセプトだけでなく、全てにおいて文句の付け所がひとつもないアルバムだと言えます。

 

アルバムの内容

1曲目”Chitlins Con Carne”は、ジュニア・ウェルズ(ギターを弾くのはバディ・ガイ)を始め、オーティス・ラッシュやスティーヴィー・レイヴォーンなどジャズ畑とは違うブルース・ミュージシャンにカヴァーされた名ジャズ・ブルース曲です。

 

曲調はメジャー調ながらも、限りなくマイナーな響きを持つこの曲は、進行も12バー・ブルース(ブルース形式)なのでブルース・ミュージシャンに人気なのも頷けます。

 

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Ryo
もちろん僕もこの曲大好きで
たまにギターの音出しの際に弾きます♪

 

渋いウッドベースのイントロから、まるで教会の鐘の音のようにテーマの間に鳴り響くコード音……そして♭5th音を強調したブルー・ノート・スケールを中心に展開されるギターソロなど、完璧な”ブルース・フィーリング”を表現した曲です。

 

次の2曲目”Mule”も1曲目から始まった”ブルー”なムードを引き継いだ渋い曲調です。

 

まるでブラインド・ウィリー・ジョンソンの”Dark Was The Night Cold Was The Ground”のような”聖と俗”=”ゴスペルとブルース”の間を行くような静謐な曲調です。

 

“Mule”とは「ラバ」の意味ですが、それ以外にも「(麻薬・密輸品などの)運び屋」の意味もあります。

 

禁酒法時代の1920年~1933年までに生まれたカントリー・ブルースを表現したような曲名だと感じます。

 

そして更に静謐な世界観が表現された3曲目”Soul Lament”は名演中の名演です!

 

初リーダー作を制作した年の1956年に録音された”But Not For Me”など、バレルの無伴奏の名演はいくつかあります。

 

そのひとつがこの”Soul Lament”です。

 

テーマメロディーの間にコードを挟む……ゴスペルやブルースで言うところの「コール&レスポンス」を一人二役で弾きこなしています。

 

たった2分44秒しかない短い曲ですが、その”ブルー”なムードは、抜け出すことの出来ない永遠の闇に誘われるかのような深淵の魅力をもっている楽曲です。

 

続く4曲目のタイトル曲”Midnight Blue”は、先ほどの”Soul Lament”から一転、スウィングするドラムとコンガがリズミカルな曲です。

 

この曲でもシングルノートで弾くメロディーとコードとの「コール&レスポンス」をギター1本で表現しています。

 

ピアノレスにしたのは、ギター1本によるハーモニーで”ブルー”なムードを表現したかったからなんだと、この曲を聴くと特に感じることが出来ます。

 

5曲目”Wavy Gravy”は、ヘヴィなウォーキング・ベースのイントロから始まる、これまた渋いブルースです。

 

アーシーなスタンリー・タレンタインのサックスソロも聴き所です♪

 

ここまで全てバレルが作曲した曲で、1曲目から続く”ブルー”なムードを基調とした組曲のようにも感じられます。

 

全ての曲が、どれもアルバム『Midnight Blue』を構成する上で不可欠なパズルのピースのようです。

 

まさに一貫したテーマの基に制作されたコンセプト・アルバムですね。

 

6曲目には本作で唯一のスタンダード・ナンバーである”Gee Baby, Ain’t I Good To You”が登場します。

 

ビリー・ホリディやエラ・フィッツジェラルド、ナット・キング・コールにペギー・リーやジュリー・ロンドンなど数多くのジャズ・シンガーに歌われたスタンダード曲です。

 

ジャズだけでなくT-ボーン・ウォーカーのようなブルース・ミュージシャンも取り上げた人気曲ですね。

 

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Ryo
ブルース系のセッションに行っても
たまに演奏されていたりします。

 

実は歌も上手いケニー・バレルなのですが、この作品では一切歌わずギターのみで全ての曲を演奏しています。

 

歌メロのテーマ部分を、コード間にメロディを挿入するスタイルのコード・ソロで弾いています。

 

あえてルート音を省略した形で、テンション・ノートを含むコードのトップ・ノートをメロディアスに展開して弾いています。

 

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Ryo
ギターのテクニックだけでなく
こういったアレンジも素晴らしいです♪

数多くある”Gee Baby, Ain’t I Good To You”の演奏の中で、このバレルの演奏が僕は一番好きです♪

 

そしてアルバム最後の収録曲7曲目の”Saturday Night Blues”もバレルの自作曲です。

 

“Gee Baby, Ain’t I Good To You”も含めて6曲目まで渋い曲が続いた作品なのですが、最後のこの曲は少し明るい雰囲気の曲調です。

 

しかしそれでも”ブルー”なムードは失われず、最後の最後まで見事に1冊の本のように整ったアルバムに仕上がっています。

 

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Ryo
おすすめ曲は、全曲です!
捨て曲は1つたりともありません!

 

以上、どこを切り取っても一切の無駄のない歴史的名盤【ケニー・バレルのブルージーな最高傑作!『Midnight Blue』】のご紹介でした。

 

 

2019年度の最初のブログ記事はケニー・バレルの『Midnight Blue』でした。

 

本当に素晴らしい名盤ですので、おすすめです♪

 

 

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