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カテゴリー:Music

2019/04/12

ジミー・スミスの代表曲のひとつ”Organ Grinder Swing”を含む1965年の大ヒット・アルバムを聴こう♪

ジミー・スミスが1965年にオルガン・トリオで制作した『Organ Grinder Swing』をご紹介します。

ジミー・スミスの代表曲のひとつ”Organ Grinder Swing”を含む大ヒット・アルバム!

前回、ジミー・スミスのヴァーヴ・レコード時代の名盤『The Cat』をご紹介していました。

 

ジミー・スミスの代表曲のひとつとなった“The Cat”を含む1964年の大ヒット・アルバム!

今回もその続きで、同じくヴァーヴ・レコード時代の1965年にリリースされた『Organ Grinder Swing』をご紹介したいと思います。

 

前回の『The Cat』がラロ・シフリンの指揮による豪華なビッグ・バンド形式のアルバムだったのに対して、本作はシンプルなオルガン・トリオ編成で制作されています。

 

ビッグ・バンド形式の華やかな作品も聴いていて本当に素晴らしいと感じるのですが、しかしやはりジミー・スミスの卓越したオルガン演奏を存分に味わうのに適した編成はシンプルなトリオ作品だと思います。

 

しかも本作には、ジミー・スミスと相性抜群のジャズ・ギタリストのケニー・バレルが参加しています。

 

『The Cat』の方でもバレルは参加していたのですが、目立ったギター・ソロはありませんでした。

 

しかし本作ではしっかりとギター・ソロを弾いているので、ジャズ・ギター好きの方にも聴きどころの多い作品に仕上がっています。

 

ちなみにドラムにもジミー・スミスと相性の良いグラディ・テイトが参加しています。

 

この最高のメンバーによる本作『Organ Grinder Swing』は、なんとビルボード・チャートの最高位で15位を記録しています。

 

当時はちょうどビートルズやローリング・ストーンズにテンプテーションズなんかのロックやポップス系が猛威を振るっていた時代です。

 

そんな中にあって、ジャズのそれもインスト・アルバムが15位を記録したことは凄い事だと思います。

 

『The Cat』の方が12位と順位は上だったのですが、しかしあの作品には派手なビッグ・バンドが参加しているのでシンプルな編成の本作よりも人気が高いのは当然だと感じます。

 

そうなってくると、歌なしなでオルガン+ギター+ドラムというたった3つの楽器だけでこの順位はとても偉大なことだと思います。

 

しかもギターのサウンドも派手に歪んだ音色とかではなく、あくまでクランチになりかかった程度のクリーン・トーンの音色です。

 

派手さが全くないシンプルな編成で演奏された本作がここまで大ヒットしたのも、やはり3人の卓越した演奏能力があってこそだと感じます。

 

それでは『Organ Grinder Swing』をご紹介したいと思います。

 

 

Jimmy Smith – 『Organ Grinder Swing』

01.Organ Grinder’s Swing
02.Oh No, Babe
03.Blues for J
04.Greensleeves
05.I’ll Close My Eyes
06.Satin Doll

 

Personnel:
Jimmy Smith – Organ
Kenny Burrell – Guitar
Grady Tate – Drums

 

Recorded : June 14 & 15, 1965
Released : 1965

 

アルバムの内容

本作は2曲目と3曲目以外は全てカヴァー曲になります。

 

まず1曲目”Organ Grinder’s Swing”は、作曲家のウィル・ハドソンが1936年に書いたとても古い曲です。

 

オリジナルは、首から下げて演奏する手回しタイプのオルガンを歌った楽曲で、女性ジャズ・ボーカリストのエラ・フィッツジェラルドが歌ったことで有名です。

 

同年にベニー・グッドマンも自身の楽団で取り上げています。

 

その後、ジャス・ギタリストのジャンゴ・ラインハルトやサックス奏者だとバスター・スミスにコールマン・ホーキンスなんかも取り上げています。

 

 

 

同じオルガン奏者だとワイルド・ビル・デイヴィスが1961年に同名タイトルで『Organ Grinder’s Swing 』という作品を先にリリースしていたりもします。

 

 

さて本作では、軽快なジミー・スミスのオルガンから始まります。

 

テーマを弾くのはもちろんジミー・スミス自身で、ケニー・バレルはスウィングするバッキングで楽曲の骨子を支えています。

 

最初にソロを弾くのはバレルです!

 

いつもの如くペンタトニック・スケールを中心にブルージーなギター・ソロを奏でます!

 

次にジミー・スミスのオルガン・ソロが続き、たった2分16秒で曲はカット・アウトして終わりを迎えます。

 

しかしラジオ向けのこの短さがシングル盤にちょうど良かったのかもしれませんね。

 

この曲はシングル・カットされてビルボード・ホット100の92位を記録しています。

 

100位以内の92位だとすごく低く感じますが、しかし通常であればチャート・インすら困難なジャズのインスト曲がこの順位なら十分過ぎると感じます。

 

やはりアルバム・タイトルに使用されただけあって、本作の一番の目玉はこの”Organ Grinder’s Swing”です。

 

元はと言えばカヴァー曲なのですが、この後ジミー・スミスのライヴでも定番曲となりました。

 

やはりジャズ・オルガン奏者の第一人者が、”Organ”という言葉が曲名に付く楽曲を演奏すると様になりますね。

 

ジミー・スミスのボイスから始まる2曲目”Oh No, Babe”は、9分にも及ぶ長尺のオリジナル曲です。

 

最初の1分程は、ジミースミスがひとりでオルガン演奏をしています。

 

その後、バレルのギターとテイトのドラムが徐々に入ってきて、そのままギター・ソロが始まります。

 

タメを効かせたギター・ソロは、かつてブルーノート時代に録音した『Home Cookin’』に収録されていた”See See Rider”を思い起こさせます。

 

キャッチーな1曲目の後に、こんな渋いジャズ・ブルース曲を持ってくるとは!さすがですね。

 

しかしこんな渋い曲が収録されたアルバムが、よくも15位まで上り詰めたものです!

 

3曲目”Blues For J”もジミー・スミスのオリジナル・ジャズ・ブルースです。

 

曲名の”J”はおそらく自身の名前”Jimmy Smith”の事かな?と思うのですが、ケニー・バレルが大活躍する楽曲です!

 

やはりこういったジャズ・ブルースを演奏させるとケニー・バレルは天下一品です!

 

オルガンをバックにジャズ・ブルースを演奏させてケニー・バレルの右に出る者などいませんね!

 

しかしバレルのギター・ソロの後に「いやいや主役は俺なんだ!」とばかりにジミー・スミスが登場して、更に熱いアドリヴを繰り広げます!

 

バレルの倍以上の長さのオルガン・ソロを弾いています!

 

もちろんオルガン奏者の歴史の中でも随一の腕前を持つジミー・スミスです!

 

やはり本作のリーダーはケニー・バレルではなくジミースミスだということを実力で示してくれています!

 

この2曲を聴くと、1950年代後半のブルーノート時代の良き時代を思い出しますね。

 

4曲目”Greensleeves”は、同年にケニー・バレルも自身のリーダー作『Guitar Forms(ケニー・バレルの全貌)』で取り上げていた有名なイギリス民謡の曲です。

 

 

ジャズの世界でのこの曲は、ジョン・コルトレーンがインパルスレーベル第一弾として制作した『Africa/Brass』に収録されていたのが有名ですね。

 

ジョン・コルトレーンのインパルスレーベル第一弾『Africa/Brass』を聴こう!

本来はゆったりとしたテンポで哀愁漂う演奏がされる楽曲なのですが、本作ではかなりアップ・テンポのスウィングで演奏されています。

 

でも、これがかなりかっこいいんです♪

 

実際にこのテンポでこの曲をしっかりと演奏しようと思うと、かなりの腕前が必要となってきます。

 

しかしそこは伝説に残るような一流のミュージシャンばかりの演奏です。

 

ジミースミスのテーマから、バックのバレルとテイトが煽りまくっています!

 

「まだか?まだか?」とテーマが終わるや否や、バレルのギター・ソロが始まります!

 

よほど待ち遠しかったのか?それとも自身が好きな曲過ぎたのか?最初からフル・スロットルでギター・ソロを存分に弾ききっています!

 

続くジミー・スミスのソロも、完全に先のバレルに対抗するかのような弾きまくりのソロになります。

 

鍵盤から火がついて煙が巻き起こるんじゃないだろうか?と思えるほどの弾きっぷりです!

 

常人であれば、指の骨が砕けてしまいそうな鍵盤いじめとでもいうべきオルガン・ソロです!

 

このテンポの曲を9分近くテンションを落とさずにキープしたまま演奏が続きます!

 

もうこの1曲だけでお腹いっぱいです。

 

先の”Greensleeves”が、あまりに凄すぎたためどうしても残り2曲は影が薄くなってしまいますね。

 

5曲目”I’ll Close My Eyes”は、トランペット奏者のブルー・ミッチェルの名演でも知られるイギリスの作曲家ビリー・リードが書いたバラード曲です。

 

個人的には、映画『大統領の執事の涙』で使われていたのが印象に残ります。

 

この名バラード曲を、とても静かに品良くジミースミスがオルガンで奏で上げます。

 

まるで教会音楽のような静謐な雰囲気の中、ケニーバレルもまるでゴスペル・クワイアの一員になったかのような、歌心溢れるギター演奏でメロディーを奏でます。

 

そしてアルバムの最後は、6曲目”Satin Doll”で締めくくられています。

 

この曲は、デューク・エリントンが書いたスタンダード曲になります。

 

ウェス・モンゴメリーがデビュー作で取り上げていたことでジャズ・ギター好きには有名な楽曲ですね。

 

ウェス・モンゴメリーがオルガン・トリオで制作した3枚のおすすめアルバム♪

本作ではジミースミスがオルガンでテーマを奏でます。

 

先の高速”Greensleeves”が無ければ、ゆったりとしたこの曲も悪くはないのですが、あの曲のせいでとても影の薄い演奏に感じてしまいます。

 

“I’ll Close My Eyes”もこの”Satin Doll”も、アレンジがありきたりな普通の感じですからね。

 

速いテンポの”Greensleeves”と比べると、どうしてもインパクトは薄くなってしまいます。

 

やはり本作は、何と言っても”The Organ Grinder’s Swing”と2曲のジミー自作のジャズ・ブルースと”Greensleeves”を聴くべきアルバムですね♪

 

 

 

以上、【ジミー・スミスの代表曲のひとつ”Organ Grinder Swing”を含む1965年の大ヒット・アルバムを聴こう♪】でした。

 

ビートルズ全盛期に、こういったインストのオルガン・ジャズ作品が15位を記録したことはとても凄い事だと思います。

 

しかも聴きやすいキャッチーな曲は、”The Organ Grinder’s Swing”と”Satin Doll”ぐらいで、残りの曲は渋めの曲ばかりが収録されています。

 

しかしこういった作品がチャート・イン出来たということは、オルガン・ジャズというジャンルの可能性を感じさせますね。

 

それでは今後もジミー・スミスの他の作品を取り上げたいと思いますので、ぜひまたこちらのブログを読みに来てください。

 

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