カテゴリー:Music

2019/09/21

チャーリー・ハンターの代表曲のひとつ”Mestre Tata”が収録された名盤『Right Now Move』を聴こう♪

チャーリー・ハンターの2003年の名盤『Right Now Move』をご紹介します。

他の作品でも何度か取り上げていた”Mestre Tata”のオリジナル録音も収録!

今回ご紹介するのは、チャーリー・ハンターの2003年の名盤『Right Now Move』というアルバムです。

 

数多くあるチャーリー・ハンターの作品の中でも、本作は特に重要な作品だと言えます。

 

その理由は何と言ってもチャーリー・ハンターの代表曲のひとつ”Mestre Tata”が収録されているからです。

 

この曲はチャーリー・ハンターのライヴでも、演奏されることの多い定番曲でもあります。

 

それだけでなくこの曲はチャーリー・ハンターが客演した他の作品でも何度か取り上げています。

 

例えばヘッド・ハンターズのドラム奏者マイク・クラークが中心となって2000年に結成されたジャズ・ファンク・バンドの”マイク・クラーク・プレスクリプション・リニューアル”名義で行われたライヴ盤『Live At the Fox Theatre』でも1曲目に取り上げられています。

 

ザ・ヘッドハンターズの一員マイク・クラークが“プレスクリプション・リニューアル”名義で行ったライヴ盤『Live At the Fox Theatre』を聴こう♪

その他にもチャーリー・ハンターが、アール・チナ・スミスとアーネスト・ラングリンという2人のレゲェ・ギタリストと共演した異色作『Innovation!』でも3曲目に収録されていました。

 

チャーリー・ハンターと2人のレゲェ・ギタリストによる異色作『Innovation!』を聴こう♪

このように”Mestre Tata”は、チャーリー・ハンターの全楽曲の中でも特に重要な楽曲だと言えるでしょう。

 

それでは今回はその”Mestre Tata”のオリジナル録音を含む2003年の名盤『Right Now Move』をご紹介したいと思います。

 

 

Charlie Hunter Quintet – 『Right Now Move』

 

01.Mestre Tata
02.Oakland
03.Changui
04.Try
05.Whoop-Ass
06.Interlude1
07.Wade In The Water
08.20th Century
09.Interlude5
10.Winky
11.Freak Fest
12.Mali
13.Le Bateau Ivre

 

Personnel:
Charlie Hunter – 8-string Guitar, Pandeiro
John Ellis – Tenor Saxophone, Bass Clarinet
Curtis Fowlkes – Trombone
Gregoire Maret – Chromatic Harmonica
Derrek Phillips – Drums

 

Recorded : at Bedford Studio, Brooklyn, NY.

 

アルバム参加メンバー

本作の主役は、もちろんチャーリー・ハンターです。

 

チャーリー・ハンターは、上3本がベース弦で下5本がギター弦という変則8弦ギターを使っています。(※最近は7弦のギターも使っているようです。)

 

その特殊なギターをギターアンプとベースアンプの2台と繋ぎ、たった1人でギターパートとベースパートを弾きこなす達人です。

 

通常のベースプレイヤーが演奏するベースラインを弾きながら、ギター側でコード弾きをしたりソロを弾いたりと多彩なプレイを持ち味としています。

 

そういった演奏スタイルの影響なのか?どうかはわかりませんが、ギターソロはメロディアスというよりもジョン・スコフィールドや後期ジム・ホールのようなホールトーン・スケールを多く用いたアウトフレーズを弾くことが多いです。

 

またコンテンポラリー系のジャズ・ギタリストが多用するコーラス・エフェクターを使うというのもチャーリー・ハンターのスタイルのひとつです。

 

初期の頃はワウペダルも使用していましたが、2000年を超えた辺りからコーラス以外のエフェクターはあまり使わなくなったようです。

 

というわけで、本作のギターパートとベースパートは全てチャーリー・ハンターが1人2役で弾いています。

 

なので、ここにドラムのデレク・フィリップスが参加したデュオ形式でもバンドとしてのサウンドが成り立ちます。

 

しかし本作の面白いところは、ここに他の3つの楽器が参加しいる点です。

 

まず1人目は、、2006年にリリースされたチャーリー・ハンターの『Copperopolis』にも参加していたジョン・エリスです。

 

ジョン・エリスは、テナーサックスとバスクラリネットを演奏しています。

 

もう1人の管楽器奏者はトロンボーン奏者のカーティス・フォークスです。

 

カーティス・フォークスは、チャーリー・ハンターの2015年の作品『Let The Bells Ring On』にも参加しています。

 

そして最後の1人にジャズ・ハーモニカ奏者のグレゴア・マレが参加しています。

 

本作の面白さはこのグレゴア・マレの吹くスティーヴィー・ワンダー風のクロマチック・ハーモニカにあると言えます。

 

それぐらいグレゴア・マレの参加がプラスに働いた作品だと言えます。

 

この5人によるクィンテット編成で本作は吹き込まれています。

 

ちなみにチャーリー・ハンターは、曲によっては、パンデイロというサンバやボサノバで使われることの多いブラジル風のタンバリンも叩いています。

 

それではアルバムの中身を見ていきましょう。

 

 

アルバムの内容

1曲目はさっそくチャーリー・ハンターの代表曲のひとつ”Mestre Tata”が収録されています。

 

先にご紹介していた『Live At the Fox Theatre』や『Innovation!』に収録されたバージョンよりも、少しテンポを落としてゆったりと演奏されています。

 

冒頭の2周あるテーマメロディーはテナーサックスを中心に、トロンボーンとハーモニカが絡み合うように演奏されています。

 

1周目はテナーサックスとトロンボーンがユニゾンで吹いていますが、2周目になるとテナーサックスを中心にトロンボーンとハーモニカが別々に絡み合うように吹いています。

 

その間のチャーリー・ハンターは、コード弾きをしながら途中にオブリガードを挟んだりしています。

 

もちろんその時もベースラインはキープしたままです。

 

テーマが終わるとをコーラスを効かせたギターの音色でアウトフレーズ中心のギターソロが始まります。

 

ギターソロの中盤にはテナーサックスやハーモニカがフリーキーに絡んできたりと、なかなか面白いアンサンブルを楽しむことができます。

 

ちなみに曲名にある”Mestre”というのは、イタリアの都市「メストレ」のことです。

 

“Tata”とは、幼児言葉で”Bye Bye”を表します。

 

次の2曲目”Oakland”もチャーリー・ハンターのライヴではちょくちょく登場する楽曲です。

 

スティーヴィー・ワンダー風の半音ハーモニカとチャーリー・ハンターのコーラスを効かせた幻想的なギターが中心でテーマを演奏しています。

 

サックスとトロンボーンはバックでロングトーンを吹いて楽曲の盛り上げ役に徹しています。

 

チャーリー・ハンターのギターソロが始まると、ドラム以外の他の3つの楽器が思い思いにアンサンブルを盛り上げるべくオブリガードを挿入し始めます。

 

ギターのソロが終わるとベースソロに移ります。

 

もちろんこのベースソロもチャーリー・ハンター自らが弾いています。

 

ベースソロの途中からハーモニカのソロに移り、そのまま後テーマはないまま楽曲は終了します。

 

3曲目”Changui”は、3つの吹奏楽器が分厚いサウンドでテーマを吹くラテン風味の楽曲です。

 

テーマが終わるとサックスソロ→ギターソロと続いて、再びテーマに戻ります。

 

4曲目”Try”は、チャーリー・ハンターのギターとベースによるイントロからドラムがインして、他の3つの楽器によるテーマが始まります。

 

最初にソロを演奏するのはハーモニカでトゥーツ・シールマンスもびっくりなハーモニカ演奏を披露しています。

 

次にテナーサックスの長めのソロを挟んで一旦テーマに戻り、最後はトロンボーンソロのまま終わります。

 

5曲目”Whoop-Ass”は、チャーリー・ハンターのファンキーなギター・カッティングのイントロから始まります。

 

3つの吹奏楽器が絶妙に絡み合うテーマメロディーが終わるとテナーサックス→ギターの順番でソロが始まります。

 

ソロこそありませんが、トロンボーンの音域が目立つ楽曲でもあります。

 

6曲目”Interlude1″は、タイトル通りに55秒だけ挿入された次の曲への繋ぎとなるインタールードです。

 

チャーリー・ハンターがリズミカルに叩くパンディロのビートの上を、ハーモニカが中心になってメロディーを吹き、トロンボーンがパーカッシブなフレーズを吹いてバスクラリネットがベースラインを吹く形です。

 

7曲目”Wade In The Water”は、本作唯一のカヴァー曲になります。

 

他の楽曲は全てチャーリー・ハンターのオリジナル曲ばかりです。

 

この”Wade In The Water”という曲は、アフリカン・アメリカンにとっての『スピリチュアル・ソング(黒人霊歌)』でもあります。

 

1871年にフィスク大学への資金集めのために組織されたアフリカ系アメリカ人のア・カペラアンサンブル・グループ『フィスク・ジュビリー・シンガーズ』が1901年に歌ったことが、この曲の歴史上の最初の登場だったと言われています。

 

この曲もデューク・エリントンの有名曲”Take The A Train”やジョン・コルトレーンの”The Underground Railroad”等と同じように、ハリエット・タブマンが黒人奴隷達がカナダへ逃亡するのを援助していた組織『アンダーグラウンド・レールロード』に関連した楽曲です。

 

チャーリー・ハンターはこの古い時代のトラディショナル・ソングを、メインとなるメロディーは残したままで、新時代の複雑なリズムを付け加えることで現代風にアレンジして取り上げています。

 

ギターが中心となりテーマと最初のソロを弾いた後は、トロンボーンのソロが後に続きます。

 

本曲では、ジョン・エリスは終始バスクラリネットを吹いてベースのような役割を果たしています。

 

8曲目”20th Century”は、イントロのチャーリー・ハンターのギターリフから独特のリズムが登場するグルーヴィーな曲です。

 

テーマが終わるとトロンボーンソロ→サックスソロ→インタールード→ハーモニカソロといった形で締めくくられています。

 

9曲目”Interlude5″もチャーリー・ハンターのパンディーロの上を3つの吹奏楽器が絡み合う53秒程度のインタールードです。

 

10曲目”Winky”は、チャーリー・ハンターの弾くベースから始まり、そのラインをそのままトロンボーンが受け継ぎ、サックスとハーモニカがユニゾンでテーマを吹いています。

 

最初にソロを吹くのはハーモニカで次のサックスソロに移ると急にドラムがパターンを変えて激しめに叩き始めます。

 

その後も、まるで決まりがなく自由にジャムりながら曲が演奏されているかのように各楽器のアンサンブルが変化していく面白い曲構成になっています。

 

スタジオ作品でもこういったアドリヴ的要素を織り交ぜて聴き手を飽きさせないような驚きの演奏をするのがこういった『ジャム・バンド』と呼ばれるミュージシャンの強みでもあります。

 

11曲目”Freak Fest”は、ドラム以外の4つの楽器がお互いに上手いことユニゾンしたり別フレーズを弾いて絡み合ったりする不思議なテーマを持つ楽曲です。

 

まずはトロンボーンソロに始まり、ギターソロに後テーマで終わる曲構成です。

 

12曲目”Mali”は、全楽器によるキメ→サックスのフレーズ→全楽器によるキメ→ハーモニカのフレーズ→全楽器によるキメ→トロンボーンのフレーズ→ドラムのカウント→ドラムビート→ギターとハーモニカのユニゾンでテーマ&サックスとトロンボーンのオブリガードといったユニークな構成で最初のテーマ部分が演奏されています。

 

その後は、長めのハーモニカのソロ→短めのギターソロ→後テーマで終わります。

 

13曲目”Le Bateau Ivre”は、バスクラリネットのメインとなるリフから始まる曲です。

 

そこにハーモニカとトロンボーンのテーマとチャーリー・ハンターとドラムのバッキングが乗っかります。

 

テーマが終わるとギターソロ→テーマ→クールダウンしてベースラインのみ→ドラムとギターが参加して演奏を維持→他の3つの吹奏楽器も参加して後テーマで終わります。

 

全13曲、ここに参加した全楽器どれもに見せ場のある(そして参加したことに意味のある)よく練られた曲構成を持つ楽曲ばかり収録された名作に仕上がっています。

 

 

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
おすすめ曲は、#1 #2 #3 #5 #7 #8 #11

 


 

 

以上、【チャーリー・ハンターの代表曲のひとつ”Mestre Tata”が収録された名盤『Right Now Move』を聴こう♪】でした。

 

カヴァー曲が1曲しかないため、全編を通して少しクセのあるチャーリー・ハンターの楽曲を楽しめるアルバムです。

 

それと珍しいハーモニカの参加も本作の魅力のひとつです。

 

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