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カテゴリー:Music

2019/04/13

ジョー・ヘンダーソンのマルチな才能が垣間見えた1973年の名作『Multiple』を聴こう♪

ジョー・ヘンダーソンのマルチな才能が垣間見えた1973年の名作『Multiple』を聴こう♪

オーヴァーダビングを効果的に利用したジャズ・ロック作品!

前回ご紹介していたジョー・ヘンダーソン(以下:ジョーヘン)の1972年の作品『Black Is The Color』の続きになります。

 

オーヴァーダビングも多用したジョー・ヘンダーソンの1972年のジャズ・ロック作品『Black Is The Color』を聴こう♪

今回ご紹介するのは『Black Is The Color』がリリースされた次の年、1973年に制作された『Multiple』というアルバムです。

 

『Black Is The Color』から始まったロック・バンドのようなオーヴァーダビングを用いた録音方法は、本作でも継続されています。

 

むしろ前作以上に効果的にオーヴァーダビングを利用できている作品だとも言えます。

 

それではさっそくご紹介したいと思います。

 

 

Joe Henderson – 『Multiple』

01.Tress-Cun-Deo-La
02.Bwaata
03.Song For Sinners
04.Turned Around
05.Me, Among Others

 

Personnel:
Joe Henderson – Tenor Saxophone, Vocals, Soprano Saxophone, Flute, Percussion
Larry Willis – Electric Piano, Synthesizer
David Holland – Bass, Double Bass
Jack DeJohnette – Drums
Arthur Jenkins – Percussion, Congas

 

Additional Musicians:
James Ulmer – Guitar on Track 01
John Thomas – Guitar on Track 03

 

Recorded : at Mercury Sound Studios, New York City, on January 30 and 31, 1973

 

アルバム参加メンバー

本作のリーダーはもちろんジョー・ヘンダーソンです。

 

テナー・サックスにソプラノ・サックス、そしてフルートにパーカッションなど様々な楽器を取り扱い、アルバム・タイトル通りにマルチな才能をフルに活かしています。

 

また1曲目と2曲目では歌も披露しています。

 

といっても、鼻歌程度の歌唱力ではありますが……。(笑)

 

バックを支えるリズム隊は、元マイルス・デイヴィスのバンドに在籍していたベーシストのデイヴ・ホランドとドラムのジャック・デジョネットは、前作『Black Is The Color』から引き続き参加しています。

 

この2人の名前を見ると、マイルス・デイヴィスの『ロスト・クインテット』が思い浮かびますね。

 

後は、チック・コリアとウェイン・ショーターが必要ですが……そのお話はまた別の機会にでも。(笑)

 

さて、本作に参加している鍵盤奏者はチック・コリアでも前作に参加していたジョージ・ケイブルスでもありません。

 

ラリー・ウィリスが参加しています。

 

ラリー・ウィリスもこの時代にいくつかのジャズ・ロック/ジャズ・ファンク系のリーダー作を残しています。

 

そのどれもが聴く価値のある名作ばかりですので、いずれこのブログでも取り上げていきたいと思います。

 

更にこの3人にアーサー・ジェンキンスのコンガを足した編成で基本のベーシック・トラックが録音されています。

 

そこにジョーヘン自身のオーヴァーダビングによる多重ホーン隊が登場したり、曲によってはギターもオーヴァーダビングされています。

 

まず1曲目に参加しているギタリストは、ジェームス・ブラッド・ウルマーです。

 

フリー・ジャズの始祖であるオーネット・コールマンのバンドに在籍していたことで知られる名手です。

 

フリー・ジャズ系のギタリストでしたが、年を追うごとにブルースを歌い出した変わった経歴を持つギタリストでもありますね。

 

そして3曲目に参加しているギタリストは、ジョン・トーマスです。

 

ジャズ・ドラマーのアート・テイラーやオルガン奏者のチャールズ・アーランドやトランペッターのチャールズ・トリヴァー等のバンドに在籍していたギタリストです。

 

この2人のギタリストの演奏は後からオーヴァーダビングされています。

 

といっても、表立って派手なソロを弾いているわけではありません。

 

あくまでもバッキングの効果音として参加している程度です。

 

と言ったわけで、ジェームス・ブラッド・ウルマー好きの方がギター・ソロを期待して本作を購入すると肩透かしを食らうと思います。

 

「ジェームス・ブラッド・ウルマーのギターの音さえ聴こえていればそれでいい!」という、余程のファンの方以外はギター目当てで本作を聴くことはおすすめしません。

 

あくまでも「ジョー・ヘンダーソンのサックスを聴くためのアルバム」です。

 

しかし1970年代のジャズ・ロック作品としての質は高いですので、ギターだけでなくぜひともジョーヘンの個性豊かなサックスの音色にも耳を傾けて欲しいな~とは思います。

 

それではアルバムの内容を見ていきましょう。

 

アルバムの内容

前作の『Black Is The Color』は、全曲がジョーヘンによるオリジナル曲でした。

 

しかし本作『Multiple』では、ジョーヘンの曲は3曲だけになります。

 

代わりに2曲目がジャック・デジョネットで4曲目がデイヴ・ホランドの曲になります。

 

本作の演奏にも参加しているリズム隊2人の提供曲なのですが、これがアルバムに違和感なくフィットしています!

 

それどころか、この2曲も外せない良曲なんです!

 

なんだかんだでこの2人も自身がリーダーを務めれるだけあって、素晴らしい曲を書きますね♪

 

まずは1曲目”Tress-Cun-Deo-La”は、ジョーヘン作のジャズ・ロック曲です。

 

デジョネットの「チチキ♪チチキ♪チチキ♪チチキ♪」という調子の良い8ビートがバックを支えます。

 

曲が始まると、ジョーヘンのテナーと同時にジョーヘンの歌も始まります。

 

この歌とテナーのユニゾンは、オーヴァーダビングによる賜物ですね。

 

ただ……歌に関しては、本当に鼻歌程度です。(笑)

 

「なぜ歌ったのか?」と疑問に感じなくもないです。(笑)

 

歌心溢れるサックスのテーマだけでよかったようにも感じます。

 

しかしサックス・ソロが始まると、そんなこと忘れてしまいそうなぐらい熱いアドリヴ演奏が繰り広げられています!

 

かなり長く、4分近くソロを吹いた後は、ラリー・ウィリスのエレピ・ソロに移ります。

 

そしてデジョネットによる軽いドラム・ソロを挟んだ後、再び「歌」が登場して曲が終わりを迎えます。

 

最後の歌部分ではジョーヘンによるフルートの音色もオーヴァーダブされています。

 

「ジョーヘンの歌」を収録する必要性があったのか?は、よくわかりませんが(笑)……楽曲の質は高いので聴く価値のある曲ですね♪

 

2曲目”Bwaata”は、ジャック・デジョネットのペンによる美しいバラード曲です。

 

デジョネットの細かいシンバル音とラリー・ウィリスの幻想的なエレピのイントロの後に、ジョーヘンの温かみのあるサックスがテーマ・メロディーを美しく奏でます。

 

まるでチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエバーを聴いているかのような奥行きのあるサウンドを聴くことが出来ます。

 

こういった楽曲は、70年代前半のクロスオーヴァー時代特有のサウンドですね♪

 

デジョネット、ほんと良い曲を書きますね♪

 

3曲目”Song For Sinners”は、またしてもジョーヘンの「歌」が登場します。

 

しかも今回は不気味な「祈り」のような声が響き渡ります……。

 

これってリターン・トゥ・フォーエバーを意識したのでしょうか?

 

しかしフローラ・プリムの美しい歌声と違って、ジョーヘンの低い声による「アァァァ~~~」という声を聴いていると……呪われそうです。(笑)

 

1曲目と同じように楽曲の質は高いのに、この不気味な声が気になって仕方ないもったいないアレンジの曲です……。

 

4曲目”Turned Around”は、デイヴ・ホランドによるジャズ・ロック曲です。

 

デジョネットの力強いドラミングと粘るようなホランドのエレキ・ベース、そのリズムに呼応するようにラリー・ウィリスのエレピも弾んでいます!

 

そして火を噴くように熱いアドリヴを吹きまくるジョーヘン!

 

特に2分42秒辺りから始まるフラジオ奏法は、サックスから本当に炎が噴き出ているかのような熱さです!

 

最後の5曲目”Me, Among Others”は、ラリー・ウィリスのエレピによる神秘的なイントロから始まる楽曲です。

 

やっと「歌わない」ジョーヘンのオリジナル曲が最後になって聴くことが出来ます。(笑)

 

前作『Black Is The Color』の最終曲”Current Events”と同じように、本作最終曲の”Me, Among Others”も過激でアヴァンギャルドなアドリヴ合戦を聴くことが出来る曲です。

 

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
おすすめ曲は、#1 #2 #4

 

以上、【ジョー・ヘンダーソンのマルチな才能が垣間見えた1973年の名作『Multiple』を聴こう♪】でした。

 

全5曲、ジョーヘンの歌は微妙ですが(笑)……質の高いジャズ・ロックを聴くことが出来る名作です♪

 

しかしアルバム・ジャケットのデザインも、もう少しなんとかならなかったものか……と感じますね。(笑)

 

ジャケットのデザインがダサいのに、実は中身は優れたジャズ・ロックの曲が収録されているなんて……気づきませんよね。

 

なんとなくジャケットのデザインでも損している気がする名作でした。(笑)

 

 

 

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