カテゴリー:Music

2019/10/01

その男…パット・マルティーノが弱冠22歳で吹き込んだデビュー作『El Hombre』を聴こう♪

天才ジャズ・ギタリスト、パット・マルティーノ衝撃のデビュー作『El Hombre』をご紹介します。

オルガン・ジャズの名作が豊富なプレスティッジ・レコードにて吹き込んだ初リーダー作!

現在もジャズ・ギター界の一線で活躍する不世出の天才ジャズ・ギタリストのパット・マルティーノの作品については、このブログでも何度か取り上げていました。

 

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今回は1967年に名門プレスティッジ・レコードにて吹き込んだデビュー作『El Hombre』をご紹介したいと思います。

 

 

Pat Martino – 『El Hombre』

 

01.Waltz For Geri
02.Once I Loved
03.El Hombre
04.Cisco
05.One For Rose
06.A Blues For Mickey-O
07.Just Friends
– Bonus Track for CD –
08.Song For My Mother

 

Personnel:
Pat Martino – Guitar
Trudy Pitts – Organ
Danny Turner – Flute
Mitch Fine – Drums
Vance Anderson – Bongos
Abdu Johnson – Congas

 

アルバムの内容

アルバムのタイトルにあるスペイン語の『El Hombre』とは、英語にすると『The Man』になります。

 

直訳すると「その男」という意味です。

 

デビュー作にして既に独自のスタイルを確立しているパット・マルティーノを表すのに最適なタイトルのようにも思えます。

 

この時点では、まだ22歳だったというのも凄いです!

 

しかも単にギターが上手いだけでなく、初リーダー作にして5曲ものオリジナル曲を収録している点も見逃せません。

 

ジャズの世界だと、収録曲をスタンダード曲ばかりで構成していても独自のアレンジを施してさえいれば、オリジナル曲がなくてもあまり文句を言う人は少ないかと思われます。

 

僕もなんだかんだで聴きやすいスタンダード曲が収録されているアルバムを見かけると「どんなアレンジで演奏しているんだろう?」と聴きたくなります。

 

もちろんその点も本作は満たしているといえます。

 

1931年にジョン・クレナーが作曲した7曲目の”Just Friends”は、今でもジャズ・セッションで人気のスタンダード曲です。

 

ジャズが好きなら誰しもが知っているようなこの名曲は、バーニー・ケッセルやグラント・グリーンにジョー・パスなんかのジャズ・ギタリストも取り上げています。

 

そんなビッグネームの中においても、本作のパット・マルティーノの”Just Friends”の演奏の方が飛びぬけて秀でている気さえします。

 

オルガンとドラムをバックに、芯のある太いミドルトーンを強調したギタートーンでご機嫌にギターをスウィングさせています♪

 

「本当に22歳の若者によるデビュー作なの?」と疑いたくなるような完成度の高さです!

 

僕の中では、”Just Friends”のジャズギターの一番の名演はこのマルティーノの演奏です。

 

ちなみに最初のテーマをギターが弾いてそのままギターソロを弾き、その勢いのままオルガンソロに移って、ロングトーンを効果的に使ったオルガンの後テーマから2回目のギターソロが始まりフェードアウトするアレンジです。

 

先に7曲目をご紹介してしまいましたが、最初に戻りましょう。

 

本作はマルティーノのギターをリーダーに女性オルガン奏者のトゥルーディー・ピッツとミッチ・フィンのドラムのオルガン・トリオを基本編成としています。

 

もちろんベースラインを弾いているのはオルガンです。

 

そこに曲によってボンゴとコンガのパーカッションと、ダニー・ターナーのフルートが参加します。

 

特にこのパーカッション組が効果的で、楽曲のリズム面を強化しています!

 

マルティーノ作の1曲目”Waltz For Geri”は、曲名通りに3拍子のワルツタイムです。

 

どことなくウェス・モンゴメリーからの影響を感じさせるギタープレイは、このデビュー曲から聴くことが出来ます。

 

面白いのがダブルストップのハーフチョーキングを交えた繰り返しのシーケンス・フレーズを3分32秒から24小節にも渡って展開している部分です。

 

グラント・グリーンやジョージ・ベンソンも得意とするこういった繰り返しのフレージングは、オルガンのコンピングと相性抜群だったりします♪

 

2曲目”Once I Loved”は、アントニオ・カルロス・ジョビン作の人気のボサノヴァ曲です。

 

ワルツの次はボサと、ジャズにおける人気のリズムパターン2つをデビュー作の冒頭2曲で取り上げているのも素晴らしいです。

 

コンガとボンゴが良い味を出す中、ウェスのようなオクターヴ奏法でテーマを弾くマルティーノのギターにうっとり出来ます♪

 

ゆったりしたラテンの次は、アップテンポの6/8拍子で演奏されるマルティーノの自作曲”El Hombre”です。

 

マルティーノは、フルートとユニゾンでテーマを弾いています。

 

ギターソロだけでなくフルートのソロも登場します。

 

2分49秒にはスウィープ奏法の繰り返しが出てきたり、この辺りはグラント・グリーン風のフレージングですね。

 

4曲目”Cisco”もフルートとユニゾンで演奏される自作曲です。

 

少し変則的なコード進行を持ったジャズ・ブルース曲ですが、マルティーノはチョーキングも上手く使い適度なブルージーさを表現しています。

 

フルートの登場はテーマ部分のみで、ソロを弾くのはギターのみです。

 

5曲目”One For Rose”も同じくフルートとのユニゾンのテーマで始まる楽曲です。

 

この曲ではテーマが終わるとまず最初にフルートがソロを取ります。

 

フルートのソロが終わるとすぐにマルティーノのソロに移ります。

 

2分6秒でまたしてもスウィープ奏法の繰り返しが登場します。

 

ここで勢いをつけてそのまま飛ばしていくのかな?と思いきや一旦スピードダウンしてウェス・モンゴメリー風のゆったりしたソロになったりと、盛り上げ方の工夫もされています。

 

6曲目”A Blues For Mickey-O”は、ミドルテンポのレイドバッしたジャズ・ブルース曲です。

 

こういった曲調にはオルガンが映えますね。

 

ギターソロの2分55秒から登場するダブルストップの繰り返しフレーズはグラント・グリーン風で、その直後3分17秒から始まるオクターヴ奏法のフレーズはウェス・モンゴメリー風です。

 

今でこそそのどちらのフレージングもジャズギターの世界では「あたりまえ」なのですが、当時としては「ハイブリッド」だったのかも知れません。

 

どちらにしてもこの曲のマルティーノのギターソロは、ジャズ・ブルースにおけるお手本のような理想的なギターソロだと言えます。

 

そして7曲目の名演”Just Friends”で本作は終了なのですが、CD盤には未発表音源として”Song For My Mother”というオリジナル曲が追加収録されています。

 

ホレス・シルヴァーの人気曲”Song For My Father”とは性別違いの曲名ですが、特に関連性はないと思われます。

 

マルティーノのこの曲は、オルガンの教会音楽のようなホーリーなロングトーンをバックにスローテンポで演奏されるバラード曲です。

 

フルートとユニゾンで演奏されているテーマ部分が、どことなくジョン・コルトレーンの名曲”Naima”ぽかったりもします。

 

ただこの曲が本編から省かれたのも何となく仕方ない気がしなくもないです。

 

どこか未完成で”Naima”には遠く及ばない出来だからです……。

 

この辺はまだ若さゆえの未熟さだったのでしょうか⁉

 

やはり本作は”Just Friends”の名演で締めくくられるべきですね。

 

 

Ryo@Dixiefunk Lab.の白アイコン
Ryo
おすすめ曲は、#1 #3 #4 #6 #7

 

以上、【その男…パット・マルティーノが弱冠22歳で吹き込んだデビュー作『El Hombre』を聴こう♪】でした。

 

 

 

 

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