2019/05/30
ジョー・ヘンダーソンが2つのカルテットで録音した代表作『Tetragon』を聴こう♪
ジョー・ヘンダーソンが1967年と1968年に2つのカルテットで録音した音源をまとめた代表作『Tetragon』をご紹介します。
マイルストーン・レコードでの2作目にして代表作!
もしこのブログを定期的に読んでくださっている方がいらっしゃいましたら……気づいた方もいるのかも⁉
何のことかって言うと……このブログでジミー・スミスの作品をご紹介した後は大体ジョー・ヘンダーソン(以下:ジョーヘン)の作品をご紹介しています。(笑)
最初は単なる偶然だったのですが、今回は狙ってやりました。(笑)
昨日はジミー・スミスの『Bashin’』のご紹介だったので、本日はジョーヘンの代表作『Tetragon』にしました。
ジミー・スミスのヴァーヴ時代一作目『Bashin’』を聴こう♪
というのも、このブログでジミー・スミスやジョーヘンを取り上げることが多いことからお分かりになると思いますが……ジョーヘンの吹く渋いテナーサックスの音色がすごく好きなんです♪
僕自身が10代の頃にジョン・コルトレーンやソニー・ロリンズを聴いてジャズに目覚めたからテナー・サックス作品が好きだということもありますが……それともうひとつの理由として、僕の好きなジャズ・ギタリストのグラント・グリーンの代表作『Idle Moments』にジョーヘンが参加していたからというのも好きな理由です。
グラント・グリーンの最高傑作!?名盤『Idle Moments』をおすすめしています。
あのアルバムで聴くことのできるジョーヘンのブラック・フィーリング溢れるテナーの音は最高としか言いようがないくらいです!
さて、今回ご紹介するのはジョーヘンが1967年9月27日と1968年5月16日に2種類のカルテット編成にて録音した楽曲をまとめた作品『Tetragon』です。
ジョーヘンは数多くの名作を残しているのですが、その中でも本作はブルーノート時代の『In ‘n Out』や『Inner Urge』と並ぶような代表作のひとつと言えます。
ちなみに本作はサックスとピアノ+ベース+ドラムというシンプルなワンホーン・カルテットにて演奏された純粋なジャズ曲ばかりが収録されています。
なので、「これから本格的なジャズを聴いてみたいな~!」という『脱ジャズ初心者』向けの作品だといえます。
それではジョーヘンの代表作のひとつ『Tetragon』をご紹介したいと思います。
Joe Henderson – 『Tetragon』
01.Invitation
02.R.J.
03.The Bead Game
04.Tetragon
05.Waltz for Zweetie
06.First Trip
07.I’ve Got You Under My Skin
Personnel:
Tracks 01-03 & 05
Joe Henderson – Tenor saxophone
Don Friedman – Piano
Ron Carter – Bass
Jack DeJohnette – Drums
Tracks 04 & 06-07
Joe Henderson – Tenor saxophone
Kenny Barron – Piano
Ron Carter – Bass
Louis Hayes – Drums
アルバム参加メンバー
本作は1曲目から3曲目と5曲目が1968年5月16日に録音されていて、残りの4,6,7曲目の3曲が1967年9月27日に録音されています。
どちらの録音にも、リーダーであるジョーヘンとベーシストのロン・カーターは共通で参加しています。
その代わりピアノとドラムが交代しています。
1967年のセッションの方では、名手ケニー・バロンがピアノを弾きルイス・ヘイズがドラムを叩いています。
代わって1968年のセッションの方では、ドン・フリードマンがピアノを弾きジャック・デジョネットがドラムを叩いています。
どちらかというと……ケニー・バロンが参加した1967年の演奏の方がクォリティーが高く感じられます。
アルバム・タイトルにもなったジョーヘン作の”Tetragon”も、そのケニー・バロンが参加したほうのカルテットで演奏されています。
アルバムの内容
アルバムは1曲目”Invitation”から始まります。
この曲は後に発売されるライヴ盤『At The Lighthouse』でも取り上げられていたジョーヘンのお得意曲になります。
オリジナルはブラニスラウ・ケイパーが書いたジャズ・ナンバーです。
低音を中心に渋くテーマを吹き上げるジョーヘンの演奏が堪りません♪
『間』と『流れ』を使い分けたような緩急自在のソロはさすがです!
サックス・ソロの次にはドン・フリードマンによる優雅なピアノ・ソロもあります。
次の2曲目”R.J.” はロン・カーターが書いたモード系のジャズです。
ジョーヘンが独りで吹くイントロから始まり、1音で「お、デジョネットだ!」とわかってしまうジャック・デジョネットの特徴的なドラミングが入って曲が始まります。
さすがにこういったモード調の楽曲はジョーヘンにとってはお手の物で、過激にアドリヴ・ソロを吹きまくっています!
残念ながらサックス・ソロの後に続くドン・フリードマンのピアノ・ソロが退屈に聴こえてしまうほど、ジョーヘンの演奏スタイルにぴったりの楽曲です。
3曲目”The Bead Game” も同じくモード調の楽曲です。
こちらの方はジョーヘンのオリジナル曲になります。
ジョーヘンのイントロから一気に過激なサックス吹きまくりのテーマへと移ります!
しかし2分30秒辺りから始まるドン・フリードマンのスケール分解フレーズは……退屈です。
スケール練習を無理やり聴かされているようなソロ演奏です。
毎回「この部分はなくっても良かったんじゃないかな~?」と感じます。
無駄に長いピアノ・ソロも3分40秒辺りからジョーヘンが「早く終われよ!」って感じで割って入って、なんとかサックス・ソロに移っていきます。(笑)
退屈だったドン・フリードマンのスケール練習を我慢すると、アイデア満載のジョーヘンの過激なサックス・ソロに移るのですが……変にピアノのコンピングの音も大きくって集中できません。
その後、ロン・カーターのいまいち面白みに欠けるベース・ソロまであったりして……「ジョーヘンのソロだけにしておけばよかったものを……。」とせっかくの過激な楽曲が台無しになりそうになっています。
ジョーヘンとジャック・デジョネットは素晴らしいんですけどね……。(笑)
さて、気を取り戻して本作一番の聴きどころ4曲目”Tetragon”に移りましょう!
こちらの方はドン・フリードマンからケニー・バロンにピアノが交代しています。
この曲もジョーヘン作のモード・ジャズです。
先ほどの3曲目から打って変わって、ジョーヘンのソロだけでなく、ケニー・バロンの弾くメロディアスで軽快なピアノ・ソロも素晴らしい出来です♪
相変わらずロン・カーターの蛇足なベース・ソロがありますが……。
ただベース・ソロで一旦クール・ダウンした後に、勢いよくジョーヘンのサックスが入ってくる辺りはかっこいいので許せます。(笑)
次の5曲目”Waltz for Zweetie”は、ウォルター・ビショップJr.の書いた楽曲です。
再びドン・フリードマンが参加したカルテットでの録音曲ですが、しかしこういったワルツ調の楽曲だとドン・フリードマンの演奏も悪くなかったりもします。
3曲目の退屈だったスケール練習ソロとは違って、この曲での優雅なピアノ・ソロは曲長にあっています。
6曲目”First Trip”は、再びロン・カーター作の楽曲です。
作曲者本人の退屈なベース・ソロを省けば……悪くない出来の曲です。(笑)
最後の7曲目”I’ve Got You Under My Skin”は、コール・ポーター作のジャズ・スタンダード曲です。
ケニー・バロンの弾く軽快なイントロからジョーヘンの吹く温かみのるテーマがなんとも美しい出来です!
まるでソニー・ロリンズを彷彿させるような豪快なテナー演奏です♪
どう考えてもドン・フリードマンよりもリズミカルに弾くケニー・バロンのピアノの方が僕は好みです♪
以上、【ジョー・ヘンダーソンが2つのカルテットで録音した代表作『Tetragon』を聴こう♪】でした。
初めてのジャズは体験済みで、しかしもっと本格的にジャズの世界にのめり込んでいきたい!といった『脱ジャズ初心者』を目指す方にはぜひとも早めに聴いてもらいたいと思う作品です♪
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