2019/02/13
【ブルース・ピアノとブルース・ギター夢の共演!】メンフィス・スリムとバディ・ガイの1970年のおすすめの共演作『South Side Reunion』を聴こう♪
ブルース・ピアニストのメンフィス・スリムとブルース・ギタリストのバディ・ガイの共演作『South Side Reunion』
不遇時代のバディ・ガイのギターが聴ける貴重なアルバム!
久しぶりにバディ・ガイの登場です!
このところ、エリック・クラプトンのブログ記事が多く続いていたので、そのクラプトンに大きな影響を与えたブルース・ギタリストのバディ・ガイは、このブログでも何度か登場しています。
今回は、そんなバディ・ガイの不遇時代だった1970年代初頭に、ブルース・ピアニストのメンフィス・スリムと録音したアルバムのご紹介です。
Memphis Slim & Buddy Guy – 『Southside Reunion』
01.When Buddy Comes to Town
02.How Long Blues
03.Good Time Charlie
04.You Called Me at Last
05.You’re the One
06.No
07.Help Me Some
08.Rolling and Tumbling
– Bonus Tracks –
09.Jamming at the Castle
10.You’re the One [Alternative Version]
Personnel:
Memphis Slim – Piano, Vocals
Buddy Guy – Guitar, Vocals
Philip Guy – Rhythm Guitar
Junior Wells – Harmonica
Jimmy Conley – Alto Saxophone
A.C. Reed, Jimmy Conley – Tenor Saxophone
Ernest Johnson – Bass
Roosevelt Shaw – Drums
アルバムの内容
アルバム1曲目の”When Buddy Comes To Town”は、ルーズベルト・サイクスのようなメンフィス・スリムの転がるようなピアノのイントロから始まります。
イントロが終わるとさっそくバディ・ガイのギターソロから勢いよく始まります!
メンフィス・スリムもバディを名前を何度か呼びます。
バックでリズムギターを弾いているのはバディの弟のフィル・ガイです。
バディはギターソロの途中からちょっとした歌も歌います。
その後、メンフィス・スリムのピアノソロ→アルト・サックスのソロと進んで、最後はジャムって終わる感じの曲です。
基本は転がるピアノに乗せてシャッフルする楽し気なナンバーです♪
5分5秒辺りから、クラプトンにも影響を与えたバディのラン奏法が聴けます。
このラン奏法は、グラント・グリーンのシーケンス・フレーズのように、同じフレーズをしつこく何度も弾く奏法です。
これによって楽曲を盛り上げることが出来るんです。
2曲目”How Long Blues”は、伝説のブルースマン、リロイ・カーの名曲です。
T-ボーン・ウォーカーやB.B.キングなど多くのブルースマンに取り上げられたスタンダード曲でもあります。
歌うのはメンフィス・スリムです。
しかし一番の聴きどころはやはりバディのギターソロです!
歌のメロディー部分を基本にして、メロディアスなソロを構築しています。
バディ・ガイはギターソロを派手に弾きまくることが多いのですが、こういったシンプルなソロもなかなか味わい深く弾きこなしています。
3曲目”Good Time Charlie”では、バディとコンビを組んでいたブルース・ハーピストのジュニア・ウェルズも登場します。
イントロはそのジュニア・ウェルズのブルース・ハープから始まります。
リードボーカルはメンフィス・スリムです。
バディのギターソロもあります。
この時期はギターを歪ませすぎていないので、1音1音がクリアーに聴きとることが出来ます。
80年代以降は、不遇時代のうっ憤を晴らすかのように激しく歪ませていますからね…クリーントーンでギターを弾くバディの演奏は今となっては貴重ですね。
ギターソロの後にはA.C. リードのサックスソロもあります。
4曲目”You Called Me at Last”は、ゆったりとしたオシャレなピアノのイントロから始まるスロー・ナンバーです。
バディだけでなく、メンフィス・スリムも自分の歌に合わせてオブリガード・フレーズを弾いています。
この曲では少しキレ気味のバディのギターソロが聴けます。
ギターソロの2周目5分10秒辺りの2音を続けざまに繰り返す弾き方はなかなか斬新ですね!
5曲目”You’re the One”は、ジミー・ロジャースの曲…と思いきや全く別の曲です。
この曲ではメンフィス・スリムだけでなく、バディ・ガイも歌を歌います。
ギターソロの序盤はゆったりと始まりますが、徐々に細かいフレーズを弾きまくり盛り上げます。
6曲目”No”は、再びジュニア・ウェルズも参加したゆったりとしたテンポのブルースです。
1分2秒辺りで聴けるドミナント・コードからトニックに戻る際に音を伸ばして弾くオブリ・フレーズはバディがよく弾く手癖フレーズです。
そして2分2秒から始まるギターソロは更に聴きどころです!
出だしこそゆったりとしたフレーズを弾いて…4小節目辺りから1拍に詰め込めるだけの細かいフレーズを詰め込んで弾きまくっています!
これぞバディ・ガイの真骨頂!と言った、ところでしょうか⁉
ちなみにギターソロ前にメンフィス・スリムが”Buddy Guy!”と紹介しています。
またジュニア・ウェルズも終盤にソロを吹いているのですが、その際も”Junior Wells!”とメンフィス・スリムが紹介しています。
7曲目”Help Me Some”は、アップテンポのブギウギ・ナンバーです。
こういったブギウギの曲にはやはり転がるようなピアノがマッチするので、他の曲の時よりも若干ピアノの音が大きく鳴っています。
最後の締めはピアノがリードする、俗にいう「ブルース・エンディング」です。
ジャズの”Take The A Train”とかでよくやる「ジャ~ジャッジャッ、ジャラララ~~ン♪」というお決まりのフレーズです。
定番すぎて捻りはないのですが、しかしエンディングで迷った際はこれさえ弾いていれば取りあえずは失敗しない便利なフレーズです。
本編最後の8曲目”Rolling and Tumbling”は、ハンボーン・ウィリー・ニューバーン作の定番曲です。
本来であれば、マディ・ウォーターズ風にスライドギターを使って演奏するところですが、バディ・ガイがスライドギターを得意としないためか?スローなアレンジで演奏しています。
全く別の曲のように聴こえますが、歌詞がちゃんと”Rolling and Tumbling”ですね。
まぁこういったアレンジもあるんだよって感じではありますが、スライドギターを弾かなくっても、「あのリフ」を普通に押弦で弾いても良かったんじゃないかな⁉とは思います。
「あのリフ」がないために、歌詞を聴かないと何の曲かわからなかったりもします。
最後の2曲”Jamming at the Castle”と”You’re the One [Alternative Version]”は、CD盤のボーナス・トラックです。
“Jamming at the Castle”は、高速ブギウギ・ナンバーです!
インストなので本編から漏れたのでしょうが、演奏陣の盛り上がりが素晴らしいので聴く価値はあります♪
バディの後にフィルもギターソロを弾いています…が、やはり兄貴には遠く及ばない力量ですね。
さすがにバディの方がギターの腕は上です!
“You’re the One [Alternative Version]”の方は、5曲目の別バージョンです。
バディの歌う箇所がこちらの方が多くなってます。
しかし基本的に本作のリードボーカルは、メンフィス・スリムなので別テイクとなったのでしょうかね⁉
歌に関しては、バディよりもメンフィス・スリムの方が良いのでそれも仕方ないと思います。
以上、【メンフィス・スリムとバディ・ガイの1970年のおすすめの共演作『South Side Reunion』を聴こう♪】でした。
ブルースの歴史の中ではかなり地味な作品ではありますが、70年代のバディの貴重なギター演奏が聴ける作品でもあります。
個人的には、最近の歪ませまくったロック調のバディのギターよりも、シンプルだったこの頃のギター・トーンの方が好きです。
こんな感じでバディは、ギターを歪ませないで弾いた方がいいんですがね。
まだ元気なうちに、ギターを歪ませないバディの最新作が聴きたいところですね♪
この『South Side Reunion』のようなギターの音色が最高だと思います♪
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