2023/01/30

おすすめのジャズピアノ作品5選

デューク・エリントンデューク・エリントンなどのジャズピアノの巨人が残した名盤の中で特におすすめしたい5作品を選んでご紹介したブログ記事のタイトル画像です。

個人的におすすめしたいジャズ・ピアノの名作5選!

何度聴いても感動できる名作ばかり5枚のアルバムを選びました。

今回は僕が大好きなジャズ・ピアノの作品を5枚選んでご紹介したいと思います。

 

僕自身はギターを弾くのでどちらかというとギター作品が何よりも好きなのですが、しかし『ジャズ』というジャンルにおいては必ずしもギター作品だけが良いものだとは思っておりません。

 

やはりジャズの花形楽器トランペットやサックスがリーダーの作品の方が名盤は多いと思います。

 

しかしそういったリード楽器以外でもギターと同じく元はコード・バッキングの役割だけを担っていたピアノにも数多くの名作が存在しています。

 

なんだかんだで美しピアノの音色は聴いていて落ち着くので僕もピアノがリーダーの作品で好きなアルバムはたくさんあります。

 

その中でも僕自身が特によく聴くことが多いアルバムを今回は5作品選んでみました。

 

あくまでもギター好きが選ぶジャズ・ピアノ作品という選定ではございますが、「これからジャズを聴いてみたいな~」といったジャズ初心者さんにもおすすめできるアルバムばかりなので、ぜひこちらのブログ記事を参考にしてみて下さい。

 

それではアーティスト名のアルファベット順で5作品ご紹介したいと思います。

 

 

Bill Evans – 『You Must Believe in Spring』

マイルス・デイヴィスの名盤『So What』の制作にも大きく関わったジャズ・ピアノの巨人ビル・エヴァンスは数多くのリーダー作を残しています。

 

その中でも代表曲の1つ”Waltz For Debby”が収録されたライヴ盤『Waltz for Debbie』は、ジャズ専門誌で必ず取り上げられる名盤中の名盤です。

 

しかし僕が一番好きなビル・エヴァンスの作品は『Waltz for Debbie』ではありません。

 

むしろ晩年に制作されたスタジオ・アルバム『You Must Believe in Spring』の方が好きです。

 

ビル・エヴァンスは1980年に50歳で亡くなっているのですが、アルバム『You Must Believe in Spring』は死後の1981年にリリースされています。

 

収録曲の録音自体は1977年に行われていました。

 

70年代後半のエヴァンスは、時代の流れに沿ってエレピを使ったアルバムもいくつかリリースしていたのですが、どれも「らしくない」作品で僕はどうも好きになれずにいます。

 

しかしこの『You Must Believe in Spring』は、アコースティックなピアノが主役で、全盛期のエヴァンスが戻ってきたかのような繊細なタッチが魅力のアルバムに仕上がっています。

 

編成はベーシストのエディ・ゴメスとドラマーのエリオット・ジグモンドと主役のビル・エヴァンスというシンプルなピアノ・トリオです。

 

そのためエヴァンスのピアノを思う存分味わえる内容でもあります。

 

ところどころでエディ・ゴメスのベースソロが気になる部分もありますが…。

 

何と言ってもアルバム1曲目の”B Minor Waltz (for Ellaine)”が感動的です。

 

耳を澄ませてエヴァンスの静謐なピアノの音色を聴いてみて下さい。

 

ピアノとベースとドラムというたった3つの楽器しかいないのに、どこまでも奥の深い世界観が広がっているかのような楽曲です。

 

この曲を聴くと、映画で観た霧のかかったヨーロッパの古城を思い浮かべます。

 

タイトル曲の “You Must Believe in Spring”は、1967年のミュージカル・コメディ映画『ロシュフォールの恋人たち(原題:The Young Girls of Rochefort)』の挿入歌として使われていた曲です。

 

ミシェル・ルグランが作曲しています。

 

映画では、”Chanson de Maxence(シャンソン・ドゥ・マクソンス=マクサンスの歌)“というフランス語名で歌われています。

 

エヴァンスはこの曲も美しタッチで弾いています。

 

そして次の”Gary’s Theme”も美しく哀しい音色が魅力のバラード曲です。

 

題名にある「ゲイリー」とは、この曲の作曲者で1971年に心臓発作で亡くなったヴィブラフォン奏者ゲイリー・マクファーランドのことです。

 

この孤独の深淵に沈吟するかのような世界観をピアノで表現できるのは、世界中探してもビル・エヴァンス以外にはいないんじゃないかな?と思えるような深い演奏です。

 

本作はこういったカバー曲や映画の主題歌を多く収録しています。

 

アルバム最後の “Theme from M*A*S*H (Suicide Is Painless)”は、映画『M☆A☆S☆H マッシュ』のテーマ曲です。

 

この曲は後にジミー・スミスがジョージ・ベンソンと共演したアルバム『Off The Top』でも取り上げられていました。

 

“My Favorite Song”などもそうですが、いつの時代も映画の楽曲はジャズの世界で人気の曲の1つですね。

 

エヴァンスのオリジナル曲は 、”B Minor Waltz (for Ellaine)”と “We Will Meet Again (for Harry)”のみですが「ビル・エヴァンスの世界観」を味わう上ではこの作品が一番適していると思います。

 

ちなみに”We Will Meet Again (for Harry)”は、麻薬中毒で自殺した兄のハリー・エヴァンス・Jrに捧げられた哀しい楽曲です。

 

僕は本作『You Must Believe in Spring』を初めて聴いた時から変わらず大好きでありますが、とても暗い作品なので普段はあまり聴かないことも多いです。

 

しかしエヴァンスのピアノの音色で言えば、本作が最も美しいと感じています。

 

哀しみから生まれる美しさとても言いますでしょうか!?

 

この世界観はビル・エヴァンスだからこそ到達できたものなんだな…と思います。

 

Duke Ellington – 『Money Jungle』

先ほどのビル・エヴァンスのアルバムが「静」であれば、こちらのデューク・エリントンのアルバム『Money Jungle』は「動」だと言えます。

 

ジャズ・ピアノの大御所デューク・エリントンが、自身よりも20歳近く年下のチャールズ・ミンガスとマックス・ローチを起用してピアノ・トリオで作ったアルバムです。

 

アルバム・ジャケットの写真を見ると、エリントンに教えを請うかのようなマックス・ローチに対してミンガスの方は既に巨匠と渡り合う覚悟が出来ているように見えます。

 

アルバムの第一音もエリントンではなくミンガスのベースですからね。

 

その1曲目”Money Jungle”が本作の全てを表しています。

 

ミンガスがウッドベースを「バインバイン♪」と弾くとそれに呼応してローチがドタバタとドラムを叩き始めます。

 

巨匠を前に怯まない若手リズム隊をバックに「わしに比べるとまだまだひよっ子だな!」言わんばかりにエリントンがピアノを弾き始めます!

 

自身のオーケストラでの優雅な演奏からは想像できないようなアバンギャルドなピアノ演奏です。

 

20歳も年の離れた若手よりも、年上のエリントンが一番革新的な演奏をしています。

 

「デューク・エリントン?あぁあのオーケストラのね…。」と言った方にぜひ聴いてもらいたいアルバムです!

 

エリントンとミンガスとローチがガチンコでぶつかり合ったアルバムです!

 

数多のカバーが存在する過去の名曲”Caravan”も、エリントン自身が最もアバンギャルドに再演しています!

 

とにかく激しい!

 

そんな中にあって逆に目立つのが美しいバラード曲”Fleurette Africaine (African Flower)”です。

 

「アフリカの花」という邦題を持つこの曲の深淵な世界観…。

 

僕は趣味で海外旅行に行った際に現地の美術館に寄るのが好きなのですが、なぜか毎回美術館で絵画を眺めているとこの曲が頭の中で流れ始めます。

 

その理由をちゃんとした言葉にする能力は僕にはありませんが、ここでのエリントンのピアノ演奏は絵画と同じく「芸術性」を感じさせてくれる名演だと信じています。

 

先ほどのビル・エヴァンスの『You Must Believe in Spring』を聴いて哀しい気持ちになったら、次はこの『Money Jungle』を聴いて熱い気持ちになってみてはいかがでしょうか?

 

Duke Jordan – 『Flight to Denmark』

まずは何と言っても雪景色の美しいこのアルバム・ジャケットです。

 

真っ白な雪の積もった森林に独り佇むデューク・ジョーダン…。

 

ニューヨーク生まれのジャズマンではありますが、1978年からデンマークのコペンハーゲンに移住し活動の場をヨーロッパに移しています。

 

若い頃は「喧嘩無敗」の異名を持った程、腕っ節のよい青年だったみたいですが、ピアノの演奏になると非常に端正な演奏をしています。

 

「燻し銀ピアニスト」とはまさにデューク・ジョーダンの事で、通好みのプレイヤーとして取り上げられることもあります。

 

若い頃の僕は純粋にこのジャケット写真を美しいと感じ、聴くことにしました。

 

ジョーダンのオリジナル曲”No Problem”から始まり、ジェームズ ” ジミー”・ヴァン・ヒューゼンが作曲したスタンダード曲の1つ”Here’s That Rainy Day”に流れる冒頭2曲は芸術的な美しさを感じさせます。

 

そして何と言っても次の”Everything Happens to Me”が素晴らしいです。

 

この曲はジャズ・ピアニストのマット・デニスが作曲をした美しいバラード曲で、トム・アデアが歌詞を付けました。

 

フランク・シナトラやチェット・ベイカーが歌ったことでも有名です。

 

またデューク・ジョーダンよりも先にセロニアス・モンクがアルバム『Solo Monk』でピアノによるインスト・バージョンで演奏しています。

 

しかしそのモンクの名演よりも更に端正な音でピアノを演奏している本作のデューク・ジョーダンのバージョンが僕の中では一番の名演です。

 

ちなみにこの曲はウディ・アレン監督の映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』でも効果的に使われていました。

 

通好みのデューク・ジョーダンと言われることもありますが、しかしこの『Flight to Denmark』は万人受けするような聴きやすいアルバムです。

 

初めてのジャズ・アルバムとしても十分におすすめ出来る作品です。

 

Kenny Drew – 『Dark Beauty』

先ほどのデューク・ジョーダンと同じく初期の頃は「通好みのピアニスト」等と呼ばれていたケニー・ドリューもおすすめのピアニストです。

 

ケニー・ドリューもニューヨーク出身ですが、1961年に一度パリに渡り、それから1964年になりデンマークのコペンハーゲンに活動の拠点を移しています。

 

先ほどのデューク・ジョーダンと同じくヨーロッパで人気を得たジャズマンでもあります。

 

1つ違うのがケニー・ドリューの方は1993年に亡くなるまでに数多くのアルバムをリリースして、通好みから人気者へと変わっていきました。

 

そんなケニー・ドリューの「通好み」と「人気者」の境目となりそうな1974年のアルバム『Dark Beauty』が僕は一番好きです。

 

アルバムは軽快にスウィングする”Run Away”で颯爽と始まりますが、何と言っても2曲目のタイトル曲”Dark Beauty”が美しい曲です。

 

この曲はケニー・ドリュー自身のペンによるもので、当時ヨーロッパで人気者だったベーシストのニールス・ヘニング・オルステッド・ペデルセンが弾くアルコ奏法が良い味を出しています。

 

バイオリンやヴィオラのような優雅な音色はまさにヨーロッパ式の格調の高いサウンドです。

 

他にもマイルス・デイヴィスの”All Blues” やスタンダード曲の”It Could Happen to You”にデイヴ・ブルーベックの”In Your Own Sweet Way” 等、美しい楽曲が収録されています。

 

派手に弾きまくるのではなく、優美なタッチで美しくメロディアスにピアノを奏でるケニー・ドリューはジャズ初心者さんにも安心しておすすめ出来るジャズマンです。

 

まずは僕が一番好きなこの作品『Dark Beauty』から聴いてみてはいかがでしょうか?

 

Tommy Flanagan Trio – 『Overseas』

ジョン・コルトレーンの『Giant Steps』やソニー・ロリンズの『Saxophone Colossus』のような歴史的な名盤に必ずのように名を連ねているのがトミー・フラナガンというピアニストです。

 

僕は10代の頃にジョン・コルトレーンを初めて聴いてジャズに目覚めました。

 

同じくしてソニー・ロリンズにも出会いました。

 

その2人の巨匠がジャズの歴史を変えたと言っても過言ではない『Giant Steps』と『Saxophone Colossus』を録音する際にトミー・フラナガンをピアニストに起用しています。

 

そのことから僕は「あのコルトレーンとロリンズに起用されたピアニスト!これは凄そうだ!」と思い直ぐにフラナガンの代表作の『Overseas』を聴きました。

 

何て言うか、聴きやすいです!

 

これまでにご紹介していた4名よりも遙かに聴きやすいピアニストです。

 

その「聴きやすい」という僕の評価は、「初めてジャズを聴く10代の耳にも馴染みやすい」ということです。

 

僕は10代の頃はハードロックやグランジのような激しい音楽が好きだったのですが、それと平行してジョン・コルトレーンやソニー・ロリンズも聴いていました。

 

正直言いますと、ビル・エヴァンスやデューク・ジョーダンにケニー・ドリューは当時の僕には難しかったです…。

 

それにデューク・エリントンに関しては『Money Jungle』を聴いたのは20歳を超えてからだったので「オーケストラの退屈な人」と勘違いしていました。

 

しかし10代の頃に初めて聴いたトミー・フラナガンの『Overseas』は、「まさにイメージ通りの大人のジャズの世界」でした。

 

ビル・エヴァンスやデューク・ジョーダンは10代の僕には上品すぎました。(今は大好きですよ!)

 

もちろんトミー・フラナガンが品がないと言うことではありませんが、イメージ通りのジャズ・ピアノを演奏してくれるピアニストでした。

 

だからコルトレーンやロリンズの歴史的名盤に起用されたんだな!と納得しました。

 

リーダーが求めるサウンドを的確に提供してくれる…これって地味に見えてかなり難しいことだと思います。

 

個性を出し過ぎてはいけないけれども、しかし何かしらのオリジナリティを見せないと参加している意味がなくなってくる…そういったことをトミー・フラナガンは上手く出来るのでしょうね。

 

『Overseas』は最もおすすめ出来るトミー・フラナガンの作品です。

 

出来れば追加曲が多い緑のジャケットのリマスター盤での購入をおすすめします。

 

 

 

以上、【おすすめのジャズピアノ作品5選】でした。

 

よく考えたらどれもピアノ・トリオ作品でしたね。

 

やはりピアノがリーダーのジャズ作品はトリオ作品が最も素晴らしい編成だと思います。

 

それと僕はビル・エヴァンスやデューク・ジョーダンにケニー・ドリューのような端正な音色が好きなようです。

 

今回ご紹介したアルバムは僕の思い入れの強い作品ばかりですが、これからジャズを聴いてみたいな~といったジャズ初心者さんにも自身を持っておすすめできる素晴らしい作品ばかりです。

 

ぜひ「大人のジャズの世界」を味わってみて下さい♪

 

 

 

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