カテゴリー:Music

2019/10/12

ジェームス・ブラウンのカヴァー曲を含むジャズファンク期のグラント・グリーンの異色作『Shades Of Green』のおすすめ♪

ジェームス・ブラウンのカヴァー3曲を含むジャズファンク期のグラント・グリーンの異色作『Shades Of Green』をご紹介します。

久しぶりのグラント・グリーンの作品ご紹介は、ジェームス・ブラウンのメドレーを含む異色作!

このところジャズファンク系ギタリストのアルバムご紹介が続いているのですが……今回もその続きです。

 

ジョージ・フリーマン、メルヴィン・スパークスときたので、ここで本命!グラント・グリーンのご登場です!

 

もしかしたらこのブログをいつも読んで下さってる方がいましたら、僕が最も尊敬するギタリストがグラント・グリーンであることはご存じかもしれませんが(?)、そういえばこのところ1年近くグラント・グリーンの作品ご紹介が止まっていました……。

 

前回は2018年11月23日にご紹介していたグラント・グリーンのキャリアを代表するような名盤『Visions』でした。

 

グラント・グリーンのジャズファンク期の最高傑作⁉『Visions』を聴こう♪

今回はその『Visions』の7ヵ月後に同じブルーノート・レコードに吹き込まれた異色作『Shades Of Green』をご紹介したいと思います。

 

 

本来ファンクではないポップス曲等をジャズファンクに料理したグラント・グリーンのセンスが光る名作!

今回ご紹介する『Shades Of Green』は、グラント・グリーンのジャズファンク期の後期に当たるアルバムです。

 

この後にブラックスプロイテーション映画のサントラ盤として制作された『The Final Comedown』を省けば、グラントのブルーノート・レコードでの最後のリーダー作となります。

 

もちろんこの時期のグラント・グリーンは、ライヴ盤でいうところの『Live At The Lighthouse』や『Live At The Club Mozambique』を録音していた時期なので絶好調の時です。

 

なので演奏面に関しては心配することがありませんが、驚くのが本作の収録曲になります。

 

グラントのオリジナル曲は1曲のみで、他は『Visions』以上に多彩なカヴァー曲が取り上げられています。

 

この時期のグラントがハマっていたであろうジェームス・ブラウンのメドレーを含む3曲のカヴァーに、本来はファンクとはかけ離れているようなポップス曲にミュージカルの曲など多彩なジャンルの曲をジャズファンクに料理したグラント・グリーンのセンスが光る名作に仕上がっています。

 

また本作は後にザ・ニュー・マスターサウンズも取り上げることになるジェームス・ブラウンの”In The Middle”の初のジャズファンク・カヴァーを含む貴重な作品でもあります。

 

それでは作品のご紹介したいと思います。

 

 

Grant Green – 『Shades Of Green』

01.I Don’t Want Nobody To Give Me Nothing, Open Up The Door I’ll Get It Myself ~ Cold Sweat
02.Sunrise, Sunset
03.Never My Love
04.Got To Be There
05.California Green
06.If You Really Love Me
07.Cast Your Fate To The Wind
08.In The Middle

 

Personnel:
Grant Green – Guitar
Jimmy Sedlar, Joe Newman, Joe Wilder, Victor Paz – Trumpet
George Marge, John Leone, Phil Bodner, Romeo Penque – Woodwind
Jimmy Buffington – French Horn
Harry DiVito – Trombone
Dick Hickson – Bass Trombone
Billy Wooten – Vibraphone
Emmanuel Riggins – Electric Piano, Clavinet
Wilton Felder – Bass
Nesbert “Stix” Hooper – Drums
King Errison – Percussion

 

Recorded : Englewood Cliffs, NJ, n November 23 & 24 (Rhythm), December 16 & 17 (Horns), 1971.

 

アルバム参加メンバー

本作は後の西海岸フュージョン組が数人参加して制作されています。

 

まずグラント・グリーンの代表作のひとつ『Live At The Lighthouse』にも参加してウネるようなファンク・ベースを弾いていたザ・クルセイダーズのサックス奏者でもありベーシストでもあるウィルトン・フェルダーが参加しているのがポイントです。

 

ウィルトン・フェルダーは、他にもジミ-・スミスの『Root Down』でもジャズファンクのお手本のようなベースを弾いていましたね。

 

本作にはザ・クルセイダーズ繋がりでドラム奏者のスティックス・フーパーも参加しています。

 

更に『Visions』から引き続きエレピ奏者のエマニュエル・リギンズとヴィブラフォン奏者のビリー・ウッテンも登場します。

 

このメンバーにゴージャスなホーン隊やパーカッションも参加してアンサンブルを盛り上げてくれています。

 

参加メンバーも一流ばかりが揃っているので期待して聴くことが出来ますね♪

 

アルバムの内容

本作の1曲目は、ジェームス・ブラウンのメドレーで始まります。

 

“I Don’t Want Nobody To Give Me Nothing, Open Up The Door I’ll Get It Myself”と”Cold Sweat”の2曲を繋げた見事なアレンジが施されています。

 

どちらの曲も1970年のジェームス・ブラウンのライヴでも定番の曲でしたね。

 

ちなみにグラント・グリーンの”I Don’t Want Nobody To Give Me Nothing, Open Up The Door I’ll Get It Myself”は、つい最近発掘リリースされた未発表ライヴ盤の『Funk In France』にも収録されていました。

 

元の曲自体がかっこいい2曲のファンクを上手いこと繋げています。

 

ちなみにこのアレンジは、後に『The Final Comedown』のアレンジも手掛けることになるウェイド・マーカスによるものです。

 

ウェイド・マーカスと言えば、以前このブログでもご紹介していたジェイ・バーリナーの 『Bananas Are Not Created Equal』でも彼の曲を取り上げられていましたね。

 

数多くのレコーディングに参加したスタジオ・ミュージシャン ジェイ・バーリナーの 『Bananas Are Not Created Equal』を聴こう♪

さて、このメドレーはイントロからテーマ、アドリヴソロまで全てをリーダーであるグラントが弾き、他の楽器陣はバッッキングに徹しています。

 

原曲のメロディーをギターで弾いてはいますが、リズムはアップテンポではなくゆったりと心地良くグルーヴする感じに変えられています。

 

3分を過ぎてホーン隊が登場する辺りから”Cold Sweat”に代わります。

 

3分10秒でグラントが弾いているメロディーは”Cold Sweat”のギターリフです。

 

いつものダブルストップを半音スライドさせるお得意のシーケンス・フレーズも4分34秒で登場するグラント・グリーン印のジャズファンク・ギターを味わうことが出来ます。

 

2曲目”Sunrise Sunset”は、なんとジェリー・ボックの書いた『屋根の上のヴァイオリン弾き』のミュージカル曲のカヴァーです。

 

作詞家シェルドン・ハーニックが書いた歌詞には、「ついこないだまで小さな子供だった男の子や女の子がいつの間にか立派に大きく成長し家庭を築いていく様を見て、日々は”日は昇り日は沈む”うちに瞬く間に過ぎ去ってしまう。」という人間の短い一生を歌った悲哀が込められています。

 

こういったブルース(音楽ジャンル的なことではなく憂鬱とした気分)を弾かせるとグラント・グリーンの右に出る者はいません!

 

シャッフルのリズムでなくとも、チョーキングを用いなくとも、グラント・グリーンのギターは咽び泣きます。

 

この曲を演奏したいがために木管楽器隊を起用したのか?彼らが大活躍するアレンジが施されています。

 

「ミュージカルの曲なのにどこがジャズファンクなの?」と言った疑問を感じるかもしれませんが……これは『Visions』でモーツァルトの曲”Mozart Symphony No. 40 In G Minor, K550, 1st Movement”や『Green Is Beautiful』でビートルズの”A Day In The Life”を取り上げていたのと同じようなパターンになります。

 

2分30秒辺りでグラントのギターによる合図となるフレーズと共にファンク度が増して、よりギターソロも激しさを増します。

 

モーツァルトやビートルズの時と同じように「もはや何の曲だったかわからないけど、とにかくかっこいいジャズファンクに変わった!」と言ったところです。

 

グラントが好きな曲を選んだけれども、それはあくまでもモチーフであって本領発揮のギターソロではジャズファンクしちゃう!というのがこの頃のグラント・グリーンの特徴でもあり魅力の一つです。

 

3曲目”Never My Love”は、アソシエーションズという白人フォークロック・バンドの1967年の楽曲で「かなわぬ恋」という邦題が付けられた曲です。

 

ちょうどグラントがこの曲を取り上げたのと同時期に黒人コーラス・グループのフィフス・ディメンションも取り上げていた美しいバラード曲です。

 

この名曲をグラントが持ち前の歌心溢れるソウルフルなギタープレイでじっくりと料理しています。

 

ビリー・ウッテンのフロントを邪魔しないツボを押さえたヴィブラフォンの音色がより楽曲の美しさを際立たせています。

 

4曲目”Got To Be There”は、作曲家エリオット・ウィレンズキーが書いたお馴染みジャクソン5の名曲です。

 

幼い頃の天才マイケル・ジャクソンが歌ったあの美しい歌メロを聴くだけでも涙が溢れてきそうな感動的なメロディーですよね……。

 

ちなみに原曲ではデイヴィッド・T・ウォーカーがリズムギターを弾いています。

 

グラントは『Visions』でもジャクソン5の”Never Can Say Goodbye”を取り上げていたのですが、今回の”Got To Be There”も本当にギターが歌っています!

 

出来ることならば、グラント・グリーンによる全編ジャクソン5の名曲をカヴァーした企画盤を制作して欲しかったほどにグラントのプレースタイルにピッタリの楽曲です。

 

今流行りの(?)インストソウル物でも天下を取れるぐらいの出来ですよね♪

 

デイヴィッド・T・ウォーカーにもコーネル・デュプリーにもエリック・ゲイルにも、フィル・アッップチャーチにも負けていません!

 

やはりそこは本職がジャズギタリストだけあって、ケニー・バレル共々歌メロを弾くことに関してはソウル系ギタリストよりも上手いと言えます。

 

感動的な3曲が続いた後は、本作唯一のグラント・グリーンの自作曲”California Green”が5曲目(レコード盤だとB面の1曲目)に収録されています。

 

グラントがダブルストップで弾くテーマにビリー・ウッテンのヴィブラフォンもユニゾンで合わせて盛り上げてくれています。

 

これまで1曲目以外はジャズファンクとはかけ離れているようなポップスやミュージカルの曲のカヴァーが続きましたが……グラントのオリジナル曲は、まさに正統派のジャズファンク!といったお手本のようなかっこいい楽曲です。

 

グラントの作曲能力が衰えてないことを確認できたようでホッとするのですが(笑)、多彩なカヴァー曲の中にあってこの自作曲が一番ジャズファンクしているのが嬉しいれしいところです♪

 

本来なら”Windjammer”や”Upshot”や”Jan Jan”よりも、グラントの自作曲であるこの”California Green”こそが、ジャズファンク・クラシックとなるべきなのに……誰もカヴァーしない隠れた名曲で終わっているのがもったいないところです。

 

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いつの日にか、僕自身がバンドやセッションで取り上げれたら……
理想的なのですがね♪

6曲目” If You Really Love Me”は、スティーヴィー・ワンダーのカヴァー曲です。

 

当時のスティーヴィーと公私ともにパートナーだったシリータ・ライトとの共作で、本作『Shades Of Green』がリリースされる僅か数ヵ月前にアルバム『Where I’m Coming From(青春の軌跡)』に収録されたばかりで、当時のホットなヒット曲でした。

 

「愛してくれるなら」の邦題で知られる当時の最新ヒット曲を、わりと原曲に忠実にギターインストに変えて演奏しています。

 

7曲目”Cast Your Fate To The Wind”もこれまた驚きの選曲なのですが……スヌーピーの登場するテレビ番組『ピーナッツ』のアニメーションの音楽で知られるジャズピアニストのビンス・ガラルディが1963年に書いたしっとりとした美しい楽曲です。

 

当時のグラントには幼い子供がいたのでこういった楽曲も取り上げたのでしょうか?

 

なんにしても原曲が美しい曲なので問題はないのですが……やはりここでもモーツァルトやビートルズのカヴァーと同じ手法が取られています。

 

バラード演奏と思いきや、グラントのギターソロが始まる1分26秒辺りからエマニュエル・リギンスの弾くファンキーなクラヴィネットのワウワウ音をバックにジャズファンクに変貌します!

 

もはやバラード曲におけるグラント・グリーンのジャズファンク化は、伝統芸の一つです!(笑)

 

そしてアルバム最後の収録曲で再びジェームス・ブラウンのカヴァー曲となる8曲目”In The Middle”は、ここでグラントが取り上げたことによって今や”Ain’t It Funky Now”と同じようなジャズファンク定番曲となりました。

 

元はと言えば、ジェームス・ブラウンの全編インスト・アルバムだった1969年の『The Popcorn』に収録されていた楽曲です。

 

【ファンクおすすめの名盤シリーズ④】ジェームス・ブラウンのファンキーなインスト・アルバム2選‼

この曲は、後にザ・ニュー・マスターサウンズのライヴでも定番曲となりました。

 

2016年のスタジオ・セッションを収録した企画盤『The Nashville Session』で初めて公式リリースされた曲だったのですが……

 

実は2008年ぐらいのかなり早い時期からザ・ニュー・マスターサウンズはライヴでこの曲を演奏していました。

 

 

楽曲のテンポやアレンジこそ変えられていますが、もちろんザ・ニュー・マスターサウンズがこの曲を取り上げたのはグラント・グリーンの影響です。

 

本作はグラント・グリーンが取り上げたことによってジャズファンク定番曲にもなった”In The Middle”の最初の録音を聴ける貴重な作品でもあります。

 

 

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おすすめ曲は、#1 #4 #5 #6 #8

 

 

以上、【ジェームス・ブラウンのカヴァー曲を含むジャズファンク期のグラント・グリーンの異色作『Shades Of Green』のおすすめ♪】でした。

 

グラント・グリーンが長年在籍していた(一度短期間離れている時期もありましたが……)ブルーノート・レコードにおける実質最後のリーダー作となる『Shades Of Green』には、多彩なカヴァー曲が収録されています。

 

ポップスやミュージカルもありつつ、お得意のジェームス・ブラウンのカヴァーも含まれています。

 

もちろんジェームス・ブラウンのカヴァー曲の出来が特に良いのは言うまでもありませんが、それだけでなくジャクソン5やスティーヴィー・ワンダーのようなキャッチーなR&Bにおけるグラント・グリーンのソウルフルなギター演奏も聞き逃せません!

 

それに唯一の自作曲”California Green”も、本来であればグラント・グリーンを代表するジャズファンク・クラシックへとなるべき曲だと言えます。

 

どうしても『Visions』や『Green Is Beautiful』に『Carryin’ On』と比べると地味な部類に入る作品ではありますが……捨て曲は一切なしの名作なんです♪

 

メロディアスなジャズファンク好きにおすすめしたいアルバムです♪

 

 

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