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カテゴリー:Music

2018/11/11

後期グラント・グリーンのジャズファンク道はここから始まった!『Carryin’ On』のご紹介です♪

後期グラント・グリーンのジャズファンク道はここから始まった!

約3年振りにブルーノート・レーベルにて制作したリーダー作『Carryin’ On』

約3年間ブルーノート・レーベルから離れていたグラント・グリーンが1969年に再び同レーベルに復帰して吹き込んだ久しぶりのリーダー作『Carryin’ On』のご紹介です。

 

後期グラント・グリーンのジャズファンク道はここから始まった!と言えるような過去の作品にはなかったソウル系のファンキーな楽曲満載です♪

 

『Carryin’ On』に至るまでの道のり

僕の最も好きなギタリストでもあるグラント・グリーンは、1960年にブルーノート・レーベルと契約してから、同レーベルの看板ギタリストとして1966年までにリーダー作やサイドマンとして約70回近くも録音セッションに参加していました。

 

グラント・グリーンの記念すべき初リーダー作品『Grant’s First Stand』を聴こう!

しかし1966年7月のスタンリータレンタインの『Rough ‘n’ Tumble』に参加したのを最後に一旦、ブルーノート・レーベルとの契約が途切れています。

 

 

これにはブルーノート・レーベルの創始者であったアルフレッド・ライオンの引退や、グラント自身の体調の問題及びドラッグによる悪癖などが原因としてあります。

 

1968年には、ドラッグ関連のトラブルで服役もしているようです。

 

そんなこんなで不運な時期が続いたグラントでしたが、1969年になると再びブルーノート・レーベルへと復帰することになります。

 

まずは挨拶代わりに当時新人だったオルガン奏者のリューベン・ウィルソンの2作目のリーダー作だった『Love Bug 』に客演することになります。

 

 

この時にグラント・グリーンがリューベン・ウィルソンの作品に参加したことが、後にグラントの息子とリューベン・ウィルソンが共演することに繋がると考えると面白いものですね。

 

 

グラント・グリーンの息子のジャズファンクなリーダー作『Jungle Strut』を聴こう!

 

体調の問題やドラッグの問題はあったのでしょうが、『Love Bug 』におけるグラントのギタープレイは全く衰えていませんでした。

 

むしろ過去の演奏よりも、更にグルーヴ感が増してキレのあるリズムで演奏するように変化しています。

 

フレージングもよりシンプルに、無駄な音を一切廃した的確な音だけを弾くようになっていました。

 

この時期からグラントのプレイスタイルも演奏する曲も変化していきます。

 

その辺の変化が最初に感じられるのがこのブルーノート・レーベル復帰第一弾のリーダー作となった『Carryin’ On』です。

 

それでは1969年の名盤『Carryin’ On』をご紹介していきたいと思います。

 

 

 

 

Grant Green – 『Carryin’ On』

01.Ease Back
02.Hurt So Bad
03.I Don’t Want Nobody To Give Me Nothing (Open Up The Door I’ll Get It Myself)
04.Upshot
05.’Cease The Bombing

 

Personnel:
Grant Green – Guitar
Claude Bartee – Tenor Saxophone
Willie Bivens – Vibraphone
Clarence Palmer – Electric Piano
Earl Neal Creque – Electric Piano on Track 05
Jimmy Lewis – Bass
Leo Morris (a.k.a Idris Muhammad) – Drums

 

Recorded October 3, 1969.

 

Blue Note:4327

 

『Carryin’ On』について

まずアルバムタイトルの『Carryin’ On』とは……

 

“Carring-on”という英語には「いちゃつき、ふしだらな振る舞い」という意味があります。

 

それを表してか、アルバムのジャケットも道でナンパしているような男女の写真が使われていますね。

 

正直このジャケットデザインはちょっとね……。(笑)

 

しかしジャケットのデザインがダメだからと言って中身の音楽までダメなわけではありません!

 

ジャケットデザインと音楽の良さは必ずしも比例しませんからね。

 

ちなみに”Carring-on”には、他にも「騒ぎ、騒々しい行為」という意味もあります。

 

アルバムの中身の音楽に関しては、「騒ぎ、騒々しい行為」という意味の方でしょうね。

 

グラント・グリーンのここに至るまでの吹込みとしては……

 

間に他レーベルでの吹き込みや未発表音源のリリースはあったものの……グラントのブルーノート・レーベルにおけるリーダー作としては、1964年の名盤『Street Of Dreams』以来となります。

 

ブルーノート・レーベル復帰第一弾となった本作から、グラントの演奏する楽曲は、過去の作品のようなスタンダードなジャズナンバーやジャズブルース系の曲ではなくなってきています。

 

この作品から当時のヒットチャートを賑わすようなR&Bやファンク系の曲のカヴァーが増えてきています。

 

それに伴ってアルバムに参加するメンバーにも変化が起きています。

 

参加メンバー

これまでのグラントの作品に参加していたジャズ系のミュージシャンではなく、よりソウルフルな演奏に向いたジャズファンク系の参加メンバーに変わっています。

 

まずドラムのレオ・モリスの参加も大きいと思います。

 

レオ・モリスとは、改名する前のアイドリス・ムハマッドのことです。

 

ニューオーリンズ出身の彼のドラミングがジャズファンクというジャンルの発展に大きな影響を与えたことは言うまでもないようなことですね。

 

この時期の多くのソウルジャズやジャズファンク系の作品に参加しています。

 

またベースのジミー・ルイスは、アイヴァン・”ブーガルー”・ジョー・ジョーンズの代表作『Right On Brother』でもベースを弾いていたベーシストです。

 

他にも後に名曲”Windjammer”を書くことになる、プーチョ&ラテン・ソウル・ブラザーズの音楽監督でもあったキーボード奏者のニール・クリーキーが5曲目の”’Cease The Bombing(爆撃をやめろ)“にのみ楽曲提供および演奏面でも参加しています。

 

その3名に付け加えサックス奏者のクロード・バーディにヴィブラフォン奏者のウィリアム・ビヴンズやエレクトリック・ピアノにクラレンス・パルマーが参加したメンバーでの吹込みになります。

 

それではアルバムの楽曲紹介にいきたいと思います。

 

 

アルバムの内容

全5曲と収録曲は少ないですが、10分を超える”Upshot”など演奏時間が長めの楽曲ばかりです。

 

まず復帰第一弾の1曲目に選ばれた曲は、ミーターズの曲”Ease Back”のカヴァーです。

 

ミーターズの原曲では、レオ・ノセンテリの短めのギターソロがあるのみですが、さすがにジャズ系のミュージシャンが集まったグラント・グリーンのカヴァーバージョンではそうはいきません!

 

テーマを弾き終わったらまずはリーダーのグラント・グリーンのギターソロが始まります。

 

今まで以上にシンプルなフレージングで、無駄な音を一切廃した的確な音のみを使ってソロを構築しています。

 

またリズムのキレがこの頃から以前以上に増しているような気もします。

 

それはもしかしたら、4ビートが中心だったストレートアヘッドなジャズの楽曲から、8ビートや16ビートのリズムが多くなったR&Bやファンクの曲調に合わせてグラントのギターのリズムも変わっていったのではないのかな?と思います。

 

グラントのソロの後はサックスが引き継ぎます。

 

少しグラントと比べると勢いのない感じがしますが……ゆる~い楽曲には合っているソロかもしれませんね。

 

サックスのソロが終わるとテーマに戻って、再度グラントのアドリヴソロが始まってフェードアウトします。

 

まずは挨拶代わりの1曲目で掴みはOKですね♪

 

2曲目”Hurt So Bad”は、アンソニー&インペリアルズのカヴァー曲です。

 

オリジナルの哀愁はそのままに、更に渋くかっこいいアレンジでグラントはカヴァーをしています。

 

もちろんテーマを弾き終わるとアドリヴソロが始まります。

 

こういった歌ものでテーマやアドリヴソロを弾かせると、グラント・グリーンは天下一品ですね!

 

2分を過ぎた辺りでコード上の音を低い音から高い音へと上がっていくところがスリリングです!

 

その後サックスソロと続き、そのままユニゾンで弾くテーマに戻ります。

 

ちなみにこの曲はリンダ・ロンシュタットも1980年にカヴァーしています。

 

さて、次の3曲目”I Don’t Want Nobody To Give Me Nothing (Open Up The Door I’ll Get It Myself)”は、ジェームス・ブラウンのカヴァー曲です。

 

この曲はグラントも気に入っていたのか?次の自作曲”Upshot”と共に、このアルバム制作後に行われたヨーロッパ公演でも取り上げられていました。

 

その様子は、今年序盤についにリリースされた未発表ライヴ音源の『Funk In France』で聴くことが出来ますよ♪

 

それまでのチャーリー・パーカーにソニー・ロリンズやジョン・コルトレーンのジャズ曲ではなく、ジェームス・ブラウンのファンク曲を取り上げるところに過去との変化が感じられますね。

 

この曲ではサックスのソロはなく、ギターソロとエレピのソロのバックでオブリガートをしているのみです。

 

もちろんグラントはアドリヴでギターソロを弾きまくっています!

 

次の5曲目の”Upshot”は、本作唯一のグラントのオリジナル曲になります。

 

“Windjammer”や”Jan Jan”に”Sookie Sookie”と並ぶジャズファンク期の代表曲でもあります。

 

むしろ”Windjammer”や”Jan Jan”に”Sookie Sookie”などは全てカヴァー曲ですので、グラントの自作曲だということで”Upshot”の価値は大きいと思います。

 

この時期はカヴァー曲の方が多いのですが、自作曲のクォリティーの高さもやはりグラントが本質はジャズミュージシャンなんだと思える部分でもあります。

 

本作は”Upshot”を聴くためのアルバム!と言っても過言ではないぐらいにかっこいい曲です。

 

ちなみに初期のソウライヴが”Upshot”をよくライヴでカヴァーしていました。

 

やはりエリック・クラズノーもグラント・グリーンから大きな影響を受けているんですね。

 

文句なしにこのアルバムのハイライトは、「結末、結論」を意味する曲名のこの”Upshot”です。

 

そして最後に収録されたバラード曲”’Cease The Bombing(爆撃をやめろ)“は、上記にも書いていましたニール・クリーキーの曲です。

 

この曲のみ作者のニール・クリーキーがエレピで参加して実際に演奏もしています。

 

ちょうどベトナム戦争の混乱でアメリカが大変だった時期と重なります。

 

そういった戦争や当時の政治に対する反戦曲なんでしょう。

 

ただそういった思想とは別にしても美しい楽曲です。

 

特にグラントの歌心あふれるテーマメロディーの後に始まるヴィブラフォンの美しい音色のソロは、心が癒されます。

 

ヴィブラフォンの泥の後は、グラントのオクターヴ奏法も駆使したアドリヴソロが始まります。

 

そしてニール・クリーキーの優しい音色のエレピソロへと続きます。

 

あまりにも美しいこのバラード曲は、再度テーマを挟みグラントの2回目のアドリヴソロのままフェードアウトしていきます。

 

 

 

以上、グラント・グリーンのブルーノート・レーベル復帰第一作目の『Carryin’ On』は、捨て曲一切なしの全5曲が収録されています。

 

『Carryin’ On』は名曲”Upshot”と共に絶対に聴いておくべき後期グラント・グリーンの名盤だといえます!

ソウルジャズ好きの方にもオルガン系ジャズファンク好きの方にもおすすめですよ♪

 

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