2021/06/12
ジャズ・ファンク好き必聴!おすすめの『Legends of Acid Jazz』シリーズ10選
ジャズ・ファンク好き必聴の『Legends of Acid Jazz』シリーズ!
単独作品として未CD化だったジャズ・ファンクのアルバムなどを2in1の形で発売した好企画盤!
90年代中盤から後半にかけてリリースされた『Legends of Acid Jazz』というCD盤のシリーズがあります。
このシリーズは、90年代前半に再評価された70年代オルガン系ジャズ・ファンクの作品をCD化したものです。
中には、単独作品として未CD化だったジャズ・ファンクのアルバムなども含まれています。
このシリーズのひとつの特徴として、CD1枚にLP盤2作品が収録された2in1のCDがいくつかある点です。
今となってはデジタル・リマスターされていない音源ばかりなので、音質的な問題こそありますが…アルバムとしての存在価値は現在でも変わらず、あれから20年以上経った今でもおすすめできる内容となっております。
その理由はもちろん先にも述べましたとおり、今だに未CD化の音源がいくつか含まれているからです。
どうしても一般的な人気はでにくいニッチなジャンルでもあるため、CD化どころかデジタル音源の発売すらされていないのが70年代オルガン系ジャズ・ファンク作品の難点でもあります。
しかも原盤のLPとなれば、滅多にお目に掛かることの出来ないレアものばかりで、中古で見つけたとしても高額である場合がほとんどです。
そんな悩みをちょっとだけ解決してくれたのがこの『Legends of Acid Jazz』シリーズです。
今回は多数あるそのシリーズの中から、僕がおすすめしたいアルバムを10枚ご紹介したいと思います。
ご紹介順は、アーティスト名のABC順です。
ここでこういった作品を取り上げることで、また20年振りにこういった未CD化作品の多くが、CDやデジタル音源で復刻して販売されることを願ってのことです。
それでは、さっそくご紹介していきたいと思います。
01.Billy Butler – 『Legends Of Acid Jazz』
あのコーネル・デュプリーにも影響を与えたビリー・バトラーは、コーネルの得意曲”Honky Tonk”の作者でもあります。
コーネル・デュプリー好きだけでなく、グラント・グリーンやケニー・バレル、はたまたタイニー・グライムス等のブルージーでソウルフルなジャズ・ギタリスト好きにはおすすめのギタリストでもあります。
そんなビリー・バトラーの『Legends of Acid Jazz』シリーズは、1969年のアルバム『This Is Billy Butler!』と(6曲目まで)1971年のアルバム『Night Life』の2作品が収録されたアルバムです。
『Night Life』の方は、過去にもCD化されており、デジタル音源でも入手可能です。
なので本作は、ビリー・バトラーの初リーダー作でもある『This Is Billy Butler!』が目玉音源となります。
ナット・アダレイ作の定番曲”Work Song”を含むソウルフルなジャズ・ギター演奏は、この時点で円熟の域に達しており、バラード曲”She Is My Inspiration”で聴くことが出来るギターのボリュームの上げ下げを用いたバイオリン奏法等、聴き所も満載です!
『Night Life』の方には、”Wave”や”Watch What Happens”のような有名曲もカヴァーしており、テーマ部分でバイオリン奏法やブリッジ・ミュートを用いた”Wave”の演奏は一聴の価値ありです。
ジャズ・ファンクやソウル・ジャズ系のギター好きなら必ずチェックしておきたいアルバムですね♪
02.Charles Kynard- 『Legends Of Acid Jazz』
オルガン奏者のチャールズ・カイナードのレア盤2作品を収録したCDになります。
1~6曲目までが1970年作品『Afro-Disiac』の音源で、ギタリストにグラント・グリーンが参加しています。
ちょうどこの頃のグラント・グリーンは、後期ジャズ・ファンク路線の時でして、ギターのキレッキレ具合が最高潮の時代です。
それだけでも聴く価値は十分にありますが、更に7~11曲目までの音源も価値ありです!
こちらの5曲は、同じく1970年にリリースされたアルバム『Wa-Tu-Wa-Zui (Beautiful People)』からの音源になります。
グラント・グリーンに代わって、こちらの方にはメルヴィン・スパークスが参加しています。
あくまでもバッキング時は、5~6弦ルートのジャジーなコード中心で弾くグラントとは違い、メルヴィンの方は、1~2弦を中心に弾く完全にファンクなスタイルのリズム・ギターを聴かせてくれています。
そのため、単純なファンク度でいうとこちらの5曲の方が上です。
ちなみに”Zebra Walk”は、ザ・ニュー・マスターサウンズが海外のライヴで度々取り上げており、(なぜか日本ではやってくれません…。)そのリーダーでもあるエディー・ロバーツが自身のソロ・ツアーでもよくカヴァーしていたジャズ・ファンク・クラシックとも言える楽曲です。
ザ・ニュー・マスターサウンズ好きは必聴の楽曲ですね!
その次に収録されている”Something”は、もちろんジョージ・ハリスン作のビートルズの曲です。
この曲は、ジャズ・ファンク系ミュージシャンからも大人気で、よく登場します。
どちらもチャールズ・カイナードの作品ではありますが、グラント・グリーンやメルヴィン・スパークスのレアな音源が聴けるということに価値のあるCDです。
03.Ivan “Boogaloo Joe” Jones – 『Legends Of Acid Jazz』
グラント・グリーン直系のジャズ・ファンク・ギターを得意とするアイヴァン・”ブーガルー”・ジョー・ジョーンズ(以降:ブーガルー・ジョー)の『Legends Of Acid Jazz』シリーズは、2枚存在しています。
まずはVol.1の方からですが、こちらは1~6曲目までがブーガル・ジョーの2ndリーダー作で1969年にリリースされた『Boogaloo Joe』というアルバムからの音源になります。
残りの音源は、CDで何度も再発され続けているブーガル・ジョーの一番の人気作『Right On Brother』からの音源となります。
なので、本CDの目玉は1~6曲目までになります。
なんといっても、”Boogaloo Joe”や”Boardwalk Blues”のようなアップ・テンポの曲で「これでもか!これでもか!」とギターを弾きまくるブーガルー・ジョーが最高です♪
もちろんそれだけでなく”Boardwalk Blues”と似た似たジャズ・ブルース曲の”6:30 Blues”や、以外にもバラード演奏が得意なブーガル・ジョーの真骨頂とも言える歌心溢れる演奏を聴くことが出来る”Don’t Deceive Me (Please Don’t Go)”も聞き逃せません!
なぜこんな素晴らしい作品をCD化しないのか?と不思議に感じてしまいますが…ニッチな作品である事実も否定できないので、今はこの『Legends Of Acid Jazz』で楽しみましょう!
04.Ivan “Boogaloo Joe” Jones – 『Legends Of Acid Jazz Vol.2』
引き続きブーガル・ジョーの『Legends Of Acid Jazz』シリーズになりますが、本CDは単独では未CD化のレア音源ばかりになります。
1~6曲目までがブーガル・ジョーにとっての5枚目のリーダー作となる1971年の『No Way!』からの音源で、残りが6枚目のリーダー作で同じく1971年リリースの『What It Is』からの音源です。
どちらも同じメンバーで録音されており、ドラムにバーナード・パーディ、サックスになんとグローバー・ワシントンJr.が参加しています。
グローバー・ワシントンJr.といえば、スムースなフュージョンを演奏するサックス奏者のイメージが強いですが、70年代の初期のデビュー頃はこういった熱いジャズ・ファンクを演奏していました。
このブログでも以前ご紹介していたグローバー・ワシントンJr.の初リーダー作『Inner City Blues』が、そもそもジャズ・ファンク作品でしたからね
グローバー・ワシントンJr.のデビュー作にしてジャズファンク名作『Inner City Blues』を聴こう♪
さて、この『Legends Of Acid Jazz Vol.2』の一番の聴き所は、1曲目に収録されている”No Way”になります。
この曲は、ブーガル・ジョーの代表曲”Right On”に勝るとも劣らない激ジャズ・ファンク曲で、ギターだけでなくグローバー・ワシントンJr.のサックスも暴れ回る超凶暴なジャズ・ファンク曲になります!
グローバー・ワシントンJr.といえば爽やかなフュージョンのイメージしかない方にとっては、「えぇ!この熱い演奏しているのが、あのグローバー・ワシントンJr.なの?」となることでしょう。
全ジャズ・ファンク・ファン必聴の名曲です!
05.Johnny ‘Hammond’ Smith – 『Legends Of Acid Jazz』
オルガン奏者ジョニー・”ハモンド”・スミスの『Legends Of Acid Jazz』は、1969年の『Soul Talk』と『Black Feeling!』の2作品を合わせたCDです。
どちらも単独作品としては未CD化です。
どちらの音源にも、ドラムにバーナード・パーディと、ジャズ・ファンク名曲”Fire Eater”でお馴染みの熱きテナー奏者ラスティ・ブライアントが参加しているのが目玉となります。
06.Leon Spencer – 『Legends Of Acid Jazz』
オルガン奏者レオン・スペンサーの『Legends Of Acid Jazz』は、1970年のデビュー作『Sneak Preview!』と『Louisiana Slim』が収録されたアルバムです。
『Louisiana Slim』の方は、このブログでも過去に取り上げていましたが、過去にCD化された音源となります。
どことなくクールなジャズファンク盤レオン・スペンサーの『ルイジアナ・スリム』を聴こう♪
なので、本CDの目玉は1~6曲目の『Sneak Preview!』の音源となります。
ギターにメルヴィン・スパークス、ドラムにアイドリス・ムハマッド、トランペットにヴァージル・ジョーンズと、その筋のメンバーを集め、更にここでもグローバー・ワシントンJr.がサックスで参加しています。
ジャズ・ファンクな”The Slide”で始まったかと思うと、次にディズニーが元ネタでジャズ・スタンダード曲となった”Someday My Prince Will Come”が続いたり…更にはミーターズの”Message From The Meters”をカヴァーしていたり…と、統一性がないアルバムではありますが、演奏の方は最高です♪
07.Melvin Sparks – 『Legends Of Acid Jazz』
ミスター・ジャズ・ファンク・ギタリストとでもいうべきメルヴィン・スパークスにも『Legends Of Acid Jazz』が存在しています。
いきなりスライ&・ザ・ファミリー・ストーンの名曲”Thank You (Falettin’ Me Be Mice Elf Again)”で始まる本CDは、1970年のデビュー作『Sparks!』と1971年の2nd『Spark Plug』の2in1アルバムです。
ザ・ニュー・マスターサウンズも何度かライヴでカヴァーした”Who’s Gonna Take The Weight”も吹くんだ本CDは、ブーガル・ジョーの『Legends Of Acid Jazz』と同じく、ジャズ・ファンク・ギターがお好きなら必ず聴いておきたい音源ばかりです。
08.Rusty Bryant – 『Legends Of Acid Jazz』
ジャズ・ファンクを代表する名曲”Fire Eater”で有名なサックス奏者ラスティ・ブライアントにも『Legends Of Acid Jazz』が2枚存在しています。
まずはこちらのVol.1の方ですが、1969年の『Night Train Now!』と1970年の『Soul Liberation』が収録されています。
『Night Train Now!』の方は、クラレンス・”ゲイトマウス”・ブラウンもカヴァーしたルー・ドナルドソンの”Funky Mama”やジミー・フォレストの”Night Train”が取り上げられており、ギターにブーガル・ジョーも参加しています。
『Soul Liberation』の方は、エディ・ハリスの”Cold Duck Time” や、この作品の録音にも参加したオルガン奏者チャールズ・アーランド作の”Lou-Lou”と”Soul Liberation” が収録されています。
こちらの方には、ギターにメルヴィン・スパークスが参加しています。
どちらも名ジャズ・ファンク・ギタリストのレアな演奏が聴けるというのが一番の魅力となります。
09.Rusty Bryant – 『Legends Of Acid Jazz Vol.2』
ラスティ・ブライアントの『Legends of Acid Jazz』シリーズのVol.2の方には、代表作の『Fire Eater』と、その次のアルバムにあたる『Wild Fire』が収録されています。
なので、本CDの聴きどころは、『Fire Eater』収録の1~4曲目ではなく、それ以外の6曲となります。
ドアーズの”Riders On The Storm”をブーガルー調に取り上げていたり、スティーヴィー・ワンダーの”If You Really Love Me”を取り上げていたりします。
1曲目のみアーネスト・リードがギターを弾いていますが、それ以外の曲ではジミー・ポンダーがギターを弾いています。
ジミー・ポンダーもジャズ・ファンク系作品ではお馴染みのギタリストになりますが、他のジャズ・ファンク・ギタリストよりもジャジーなのが特徴です。
このジミー・ポンダーがジャジーなギター・ソロを披露するドアーズのカヴァー曲”Riders On The Storm”は必聴です!
10.Sonny Phillips – 『Legends Of Acid Jazz』
オルガン奏者ソニー・フィリップスは、1993年7月に渋谷On-Air Tokyoで行われたバーナード・パーディをリーダーにしたジャズ・ファンク・バンドにも参加していた人物です。
その模様はDVD作品『Coolin”N Groovin’ 』で観ることが出来ます。
そんなソニー・フィリップスの『Legends Of Acid Jazz』は、1970年の初リーダー作『Sure ‘Nuff』と『Black on Black!』の2作品がまとめられたCDです。
『Sure ‘Nuff』の方には、ギターにブーガル・ジョー、サックスにヒューストン・パーソンが参加しており、『Black on Black!』の方には、ギターにメルヴィン・スパークス、サックスにラスティ・ブライアントが参加しています。
そしてどちらの作品でもドラムを叩いているのは、バーナード・パーディになります。
それにしてもリーダーのソニー・フィリップスが目立たないミュージシャンであるため、見落としがちな作品とはなりますが…聴くべき楽曲はいくつか存在しています。
例えば、ソニー・ロリンズ作の”Oleo”でジャジーなギター・ソロを披露するブーガル・ジョーや、グラント・グリーンが書いたジャズ・ブルース曲”Blues In Maude’s Flat”でギター・ソロを弾きまくるメルヴィン・スパークスは必聴です!
こちらのCDも、ブーガル・ジョーやメルヴィン・スパークスのレアな音源を聴くことが出来る点が魅力ですね。
以上、10作品のご紹介でした。
どれも単独作品としては未CD化の音源を聴くことが出来るレアなアルバムばかりです!
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