
2025/04/23
スティーヴィー・レイ・ヴォーンのおすすめアルバム11選:ブルース魂溢れるギターサウンドを体感しよう!

スティーヴィー・レイ・ヴォーンの魅力を伝える11枚の名作
スティーヴィー・レイ・ヴォーンは、ブルースギターの伝説的存在として音楽史にその名を刻んでいます。
レイ・ヴォーンの情熱的でパワフルなギタープレイと、魂を揺さぶるサウンドは、今なお多くの音楽ファンを魅了し続けています。
本記事では、そんなレイ・ヴォーンのキャリアを象徴するスタジオ・アルバムやライブ・アルバムの中から、特におすすめの11作品を厳選してご紹介します。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの音楽の多様性や深みを体感し、ブルースの魅力を存分に味わってみてください。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの紹介
スティーヴィー・レイ・ヴォーンは、アメリカ合衆国を代表するギタリストであり、ブルース・ロックの復興に大きく貢献した伝説的なアーティストです。
1954年、テキサス州ダラスに生まれたレイ・ヴォーンは、幼い頃からギターに親しみ、10代でプロとしてのキャリアをスタートしました。
その卓越したギターテクニックとソウルフルな演奏スタイルは、ジミ・ヘンドリックスやアルバート・キングといったブルース界の巨匠たちから強い影響を受けています。
ちなみにスティーヴィー・レイ・ヴォーンの兄ジミー・ヴォーンは、ブルース・ロック・バンドのファビュラス・サンダーバーズでギターを弾いています。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンのバンド、ダブル・トラブル(Double Trouble)は、彼の名を世界に広めるきっかけとなりました。
特に1983年にリリースされたデビューアルバム『Texas Flood』は、ブルース界において歴史的な名作とされています。
このアルバムに収録された”Texas Flood”や”Pride and Joy”は、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの代表曲として今も多くのファンに愛されています。
また、アルバム『Couldn’t Stand the Weather』に収録された”Cold Shot”や”Tin Pan Alley”も彼のギタープレイの深みを示す名曲として知られています。
ヴォーンはそのキャリアを通じて、グラミー賞を含む数々の賞を受賞し、音楽業界から高く評価されました。
1980年代、ロックとブルースが一体となったレイ・ヴォーンの音楽スタイルは、主流音楽にブルースの新たな波をもたらしました。
そのエネルギッシュなライブパフォーマンスも観客を魅了し、レイ・ヴォーンのライブ・アルバム『Live Alive』はその証と言えるでしょう。
しかし、レイ・ヴォーンの輝かしいキャリアは1990年のヘリコプター事故で突然終わりを迎えました。
それにもかかわらず、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの音楽は今も色褪せることなく、多くのギタリストや音楽ファンに影響を与え続けています。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの遺産は、ロックンロールの殿堂入りや彼を記念したイベントなどを通じて、後世に語り継がれています。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの音楽に触れることは、ブルースとロックの真髄を知る旅です。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの楽曲は、新たなインスピレーションを与えてくれることでしょう。
またスティーヴィー・レイ・ヴォーンと言えば、ストラトキャスターの使用で有名でもあります。
サンバースト系のボディにブラックのピックガードが付いたストラトは、レイ・ヴォーンのトレードマークとも言えるギターです。
近年ではトム・ミッシュがレイ・ヴォーン・モデルのギターを使っていたり、古くはジョン・メイヤーもレイ・ヴォーンの影響を受けて使っていました。
ジョン・メイヤーに関しては、歌い方までもレイ・ヴォーンからの大きな影響が見られます。
またストラトと共にレイ・ヴォーンのギターサウンドになくてはならないのが、アイバニーズのオーバードライヴ・エフェクター「チューブスクリーマー」です。
TS9と呼ばれるそのエフェクターは、ストラトキャスターに繋いで音を出すだけで、レイ・ヴォーン風の音になってしまうほどに特徴的です。
コツは、歪みを抑えてエフェクター側の音量を上げて、ギターのボリュームやトーンをフルではなく7~8ぐらいにするとレイ・ヴォーン風の音を作ることが出来ます。
今でも多くのギタリストが、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのギターサウンドを模倣しています。
それではここからは、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのおすすめアルバムを11枚ご紹介します。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンのスタジオ・アルバム6作品
Stevie Ray Vaughan & Double Trouble – 『Texas Flood』
1983年にリリースされたスティーヴィー・レイ・ヴォーン & ダブル・トラブルのデビューアルバム『Texas Flood』は、ブルース・ロックの歴史において欠かせない作品です。
邦題は『テキサスフラッド~ブルースの洪水』でした。
このアルバムは、レイ・ヴォーンの卓越したギタープレイとソウルフルな歌声を存分に楽しめる名盤です。
特に、第一弾シングル”Love Struck Baby”は、軽快でエネルギッシュなロックンロール色が濃いブルースロック・ナンバーとしてファンの心をつかみました。
続く第二弾シングル”Pride and Joy”は、シンプルなブルース進行ながら、レイ・ヴォーンの情熱が込められたギターワークが際立つ一曲です。
余談なのですが、僕自身はリアルタイムでレイ・ヴォーンを聴いたわけではないのですが、初めてこの”Pride and Joy”を聴いた時は衝撃を受けました。
それまでいくつかブルース音楽を聴いてはいたものの、カントリー・ブルースではなくエレキギターの演奏で単音のベースラインの裏で1~3弦を中心としたコードを弾くスタイルは驚きでした。
まるでロバート・ジョンソンのように1人2役でギターを弾いているようでした。
それとも、ライトニン・ホプキンスとエディ・テイラーが同時に弾いているかのようでした。
今となってはジョン・メイヤーもブルースを演奏する際に普通にこのスタイルで演奏しているのでそこまで特殊なスタイルではないのですが、若かった頃にこの演奏を聴いたときは本当に衝撃的でした。
さて、話を戻しますと…アルバムタイトル曲の”Texas Flood”は、元々1958年にブルース・ミュージシャンのラリー・デイヴィスが発表した楽曲です。
この曲は1974年にフェントン・ロビンソンがアルバム『Somebody Loan Me a Dime』でカバーしており、レイ・ヴォーンがさらに昇華させた形で収録されています。
この楽曲では、レイ・ヴォーンの深みのあるギターサウンドとソウルフルなボーカルが見事に調和し、ブルース・ファンにとって必聴の一曲となっています。
他にも、『Texas Flood』には見逃せないトラックが多数収録されています。
“Lenny”は、レイ・ヴォーンが当時の恋人に捧げた美しいインストゥルメンタル曲で、後にジョン・メイヤーが2003年のライブ盤『Any Given Thursday』でカバーしました。
また、ソウライヴも2003年のライブ盤『LIVE!』や2009年の『Live at Blue Note Tokyo』で”Lenny”をカバーしており、異なるスタイルでこの名曲を蘇らせています。
さらに、アルバム冒頭を飾る”Testify”は、アイズレー・ブラザーズの楽曲を大胆にカバーしたものです。
レイ・ヴォーンのギターは原曲に新たな命を吹き込み、アルバムの勢いを象徴する楽曲となっています。
“Tell Me”は、ブルースの巨匠ハウリン・ウルフのカバーで、レイ・ヴォーンの深いブルースへの敬意が感じられる一曲です。
また、”Mary Had a Little Lamb”はバディ・ガイによるユーモラスなブルース曲をカバーしており、アルバムに軽快なアクセントを加えています。
『Texas Flood』は、レイ・ヴォーンのブルースに対する情熱と創造性が詰まったアルバムです。リリースから40年以上経った今も、ブルース・ロックを愛する人々に愛され続けています。
Stevie Ray Vaughan & Double Trouble – 『Couldn’t Stand the Weather』
スティーヴィー・レイ・ヴォーン & ダブル・トラブルの2枚目のアルバム『Couldn’t Stand the Weather』は、1984年にリリースされたブルース・ロックの名作です。
このアルバムは、レイ・ヴォーンのギタープレイがさらに進化したことを示すものであり、彼の音楽キャリアにおいて欠かせない一枚です。
オリジナル曲とカバー曲が絶妙に融合した内容で、ブルースファンだけでなく、幅広いリスナーから支持されています。
アルバムは、疾走感のあるインストゥルメンタル曲”Scuttle Buttin'”で幕を開けます。
この曲は、レイ・ヴォーンの卓越した速弾き技術が堪能できる人気のナンバーです。
ジミ・ヘンドリックスのように開放弦を上手く取り入れたフレージングはさすがです。
そして、アルバムタイトル曲の”Couldn’t Stand the Weather”は、彼の特有のグルーヴ感とエモーショナルなギターワークが際立つ名曲で、ブルースロックの真髄を体感できます。
注目すべき収録曲の一つが、”The Things (That) I Used to Do”です。
この曲は、ブルースの先駆者ギター・スリムがオリジナルを手掛けた楽曲で、レイ・ヴォーンのバージョンでは彼の個性が色濃く反映されています。
また、ジミ・ヘンドリックスの代表曲”Voodoo Child (Slight Return)”をカバーしたバージョンも収録されており、レイ・ヴォーンがヘンドリックスに対して深い敬意を抱いていることが伺えます。
このカバーは、レイ・ヴォーン独自の解釈とダイナミックなギタープレイが融合した圧巻の仕上がりです。
さらに、”Tin Pan Alley (aka Roughest Place in Town)”も特筆すべき一曲です。
この曲は、ブルースマンでプロデューサーでもあったボブ・ゲッディンズが作詞作曲し、ジミー・ウィルソンが1953年に歌ってヒットさせたブルースナンバーです。
ちなみにティンパン・アレーとは、元々ニューヨークのマンハッタン28丁目にある音楽出版の中心地を指す通称で、アメリカの大衆音楽史に深く根付いた名称でもあります。
レイ・ヴォーンはこの楽曲に深い感情を込め、彼のバージョンではより深みのあるブルースを堪能できます。
他にも”Cold Shot”はシンプルながら心地よいグルーヴが特徴で、多くのファンに愛される楽曲です。
また、”Honey Bee”では、レイ・ヴォーンの遊び心とエネルギッシュな演奏が楽しめます。
“Stang’s Swang”はジャズの要素を取り入れたインストゥルメンタルで、レイ・ヴォーンの多彩な音楽的才能を感じさせます。
ちなみにレイ・ヴォーンは、ブルースだけでなくグラント・グリーンやケニー・バレルといったブルージーなジャズ・ギタリストからも影響を受けています。
後にご紹介しますが、ケニー・バレルの名曲”Chitlins con Carne”もカバーしているぐらいですからね。
この曲に関しては、レイ・ヴォーンが敬愛するバディ・ガイやオーティス・ラッシュも演奏していたってのはありますが、それでもさすがにオリジナルがケニー・バレルであることを知らずに弾いていたとは考えられません。
『Couldn’t Stand the Weather』は、ブルース・ロックの魅力が詰まったアルバムであり、スティーヴィー・レイ・ヴォーンが残した音楽的遺産を語る上で欠かせない作品です。
このアルバムを聴くことで、レイ・ヴォーンの類まれな才能とブルースへの愛情を改めて感じることができるでしょう。
Stevie Ray Vaughan & Double Trouble – 『Soul to Soul』
スティーヴィー・レイ・ヴォーン & ダブル・トラブルの3作目となるアルバム『Soul to Soul』は、1985年にリリースされました。
本作は、このバンドの音楽的な幅をさらに広げた作品です。
このアルバムでは、新たなメンバーとしてキーボード奏者のリース・ワイナンズが加わり、サウンドにより深みとダイナミズムが加わりました。
ブルースを基盤にしながらも、ソウルやジャズの要素も取り入れたこのアルバムは、レイ・ヴォーンの音楽的探求心が感じられる一枚です。
第一弾シングル”Lookin’ Out the Window”は、軽快なリズムとキャッチーなメロディが特徴の楽曲で、アルバムの中でも特に親しみやすいナンバーです。
そして、第二弾シングルの”Look at Little Sister”は、ハンク・バラード&ザ・ミッドナイターズによる楽曲をカバーしたものです。
原曲のエネルギーを保ちながら、レイ・ヴォーンらしいギタープレイが光る一曲です。
他の収録曲も魅力的なものばかりです。
ジミヘンもカバーしたことのある”Come On (Part III)”は、ニューオーリンズ出身のアール・キングによる楽曲のカバーで、レイ・ヴォーンの得意とするスリリングなギターソロが聴きどころです。
また、”Gone Home”はジャズ・サックス奏者エディ・ハリスがオリジナルを手掛けた曲で、レイ・ヴォーンはギターでそのエモーショナルなメロディを見事に表現しています。
“You’ll Be Mine”は、ブルースの巨匠ハウリン・ウルフの楽曲をカバーしたもので、レイ・ヴォーンのブルースへの深い愛情が伝わる仕上がりとなっています。
アルバムの中で特に注目すべき曲の一つが”Life Without You”です。
この楽曲は、レイ・ヴォーンが作曲した渾身のバラードで、彼の人生観や感情が込められた非常に個人的な作品です。
レイ・ヴォーンのギターとボーカルが一体となった感動的な演奏は、多くのファンの心を掴みました。
さらに、”Say What!”はワウギターの特徴を最大限まで活かしたファンキーなリズムが特徴で、レイ・ヴォーンの新たな音楽的アプローチを示しています。
ブルース色は薄めではありますが、”Scuttle Buttin'”と並ぶレイ・ヴォーンを代表するギター・インスト曲となりました。
“Ain’t Gone ‘n’ Give Up on Love”では、深いブルースの感情が表現され、彼のソウルフルな演奏が楽しめます。
『Soul to Soul』は、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの音楽的成長を感じさせるだけでなく、ダブル・トラブルが一丸となって生み出したエネルギーに満ちたアルバムです。
Stevie Ray Vaughan & Double Trouble – 『In Step』
スティーヴィー・レイ・ヴォーン & ダブル・トラブルの4作目のスタジオアルバム『In Step』は、1989年にリリースされた作品です。
この作品は、レイ・ヴォーンがアルコールや薬物依存を克服し、新たなスタートを切った後に制作されたもので、音楽的にも精神的にも成熟した彼の姿が反映されています。
アルバムは、ロックンロール色が濃くエネルギッシュなギターリフと力強いボーカルが印象的な”The House Is Rockin'”から始まります。
続く”Crossfire”や次の”Tightrope”共にロック色の濃い曲調で、渋めのジャケット・アートワークとは裏腹に過去作以上にブルースよりロックに近寄った内容となっています。
しかしその次の”Let Me Love You Baby”と”Leave My Girl Alone”は、どちらもブルースの巨匠バディ・ガイの楽曲をカバーしたものです。
ここにきてブルースを2曲カバーしており、レイ・ヴォーンはこれらの曲を通じて、バディ・ガイへのリスペクトを表現しながらも、自身の個性を加えた演奏を披露しています。
また、”Love Me Darlin'”は、ハウリン・ウルフのオリジナルをカバーした楽曲で、レイ・ヴォーンのギターが深いブルースの感情を巧みに伝えています。
レイ・ヴォーンらしいコーラス・エフェクターを効かせたギターリフで始まる”Wall of Denial”では、力強いメッセージ性のある歌詞とダイナミックな演奏が融合し、アルバムの中でも特に印象的な一曲となっています。
ジャジーなインストゥルメンタル曲の”Riviera Paradise”は、アルバムの最後を飾る美しい楽曲です。
リラックスしたテンポの中にも深い感情が込められ、レイ・ヴォーンの多才さを感じさせる一曲となっています。
この楽曲は、レイ・ヴォーンのアルバムにおける異なる側面を示すもので、”Lenny”と並んでファンの間でも高い評価を受けています。
『In Step』は、スティーヴィー・レイ・ヴォーンが人生の新たなステージに進んだことを象徴するアルバムであり、彼の音楽的探求心と情熱が詰まった作品です。
ブルースを基盤としながらもロックやジャズの要素を取り入れたこのアルバムは、初心者から熱心なファンまで幅広く楽しめる内容となっています。
このアルバムを通じて、レイ・ヴォーンの卓越した音楽の世界を堪能してみてください。
The Vaughan Brothers – 『Family Style』
スティーヴィー・レイ・ヴォーンと兄のジミー・ヴォーンがヴォーン・ブラザーズ(the Vaughan Brothers)名義で1990年にリリースしたアルバム『Family Style』は、二人の兄弟愛と音楽的な絆を存分に感じられる作品です。
このアルバムは、スティーヴィーが不慮の事故で亡くなるわずか1か月前にリリースされたもので、彼の遺作ともいえる特別な意味を持つアルバムとなっています。
『Family Style』は、ブルースを基盤としながらも、ファンクやロック、R&Bの要素を取り入れた多彩な楽曲が魅力です。
冒頭を飾る”Hard to Be”は、軽快でファンキーなリズムが特徴の楽曲で、二人のギターワークが絶妙に絡み合います。
また、”White Boots”では、ジミーの個性的なボーカルとレイ・ヴォーンの情熱的なギターサウンドが調和し、兄弟ならではの一体感を感じさせます。
アルバムからのシングル曲である”Tick Tock”は、二人のヴォーカルが際立つ感動的な楽曲です。
この曲は、平和や希望のメッセージを込めた歌詞が印象的で、多くのファンに愛されています。
一方で、”D/FW”はインストゥルメンタル曲で、二人のギターの対話のような演奏が聴きどころです。
この曲は、ダラス・フォートワース地域(D/FW)へのオマージュとして制作されました。
さらに、”Good Texan”は、力強いリズムセクションとエネルギッシュなギターが特徴の楽曲で、テキサス出身の二人らしいサウンドが詰まっています。
アルバム全体を通じて、兄弟の音楽的ルーツや親密な関係が色濃く反映されており、彼らのブルース愛が存分に感じられます。
『Family Style』は、兄弟の特別な絆を音楽を通じて表現した貴重な作品です。
スティーヴィーとジミー、それぞれの個性が融合したこのアルバムは、ブルースファンだけでなく、幅広いリスナーにおすすめです。
この作品を聴くことで、二人の音楽的才能と兄弟愛の深さに触れてみてはいかがでしょうか。
Stevie Ray Vaughan & Double Trouble – 『The Sky Is Crying』
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの死後にリリースされたアルバム『The Sky Is Crying』は、レイ・ヴォーンの未発表音源を集めた特別な作品です。
1991年にリリースされたこのアルバムは、レイ・ヴォーンの深い音楽的才能と情熱が凝縮されており、ブルース愛好家から高い評価を受けています。
タイトル曲の”The Sky Is Crying”は、エルモア・ジェームスのカバーで、レイ・ヴォーンの感情豊かなギターとソウルフルな演奏が際立っています。
また、”May I Have a Talk with You”はハウリン・ウルフのカバーで、彼独特のギターリフと迫力あるサウンドが楽しめます。
“Close to You”は、マディ・ウォーターズの名曲をレイ・ヴォーン流にアレンジしたもので、原曲の雰囲気を尊重しつつ彼ならではのパワフルな演奏が印象的です。
さらに注目すべきは、ジミ・ヘンドリックスの名曲”Little Wing”をインストゥルメンタルでカバーしている点です。
歌声をあえて省き、ギターのみでメロディを奏でることで、ヘンドリックスへの深い敬意を表しています。
このカバーは、レイ・ヴォーンのギター表現力の高さを改めて感じさせる名演です。
また、”Wham”はロニー・マックのカバーで、エネルギッシュなギターワークとスピード感が魅力的な一曲です。
ジャズ・ギタリストのケニー・バレルの代表曲”Chitlins con Carne”のカバーも収録されています。
この楽曲は多くのブルースマンに愛されており、ジュニア・ウェルズ(ギターはバディ・ガイ)、オーティス・ラッシュ、ジミー・ドーキンス、ロバート・ウォードなどがカバーしています。
レイ・ヴォーンのバージョンでは、ジャズとブルースの要素を見事に融合させたアプローチが光ります。
『The Sky Is Crying』は、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの音楽的遺産を感じられるアルバムです。
未発表音源という特別感と、ブルースやジャズの名曲に対するリスペクトが込められた演奏は、レイ・ヴォーンのファンだけでなく、ブルースやギター音楽に興味のあるすべての人におすすめです。
この作品を通じて、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの音楽の深さと情熱をぜひ体感してみてください。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンのライブ・アルバム5作品
Stevie Ray Vaughan & Double Trouble – 『Live Alive』
スティーヴィー・レイ・ヴォーン & ダブル・トラブルのライブ・アルバム『Live Alive』は、1986年にリリースされました。
この作品は1985年から1986年にかけて行われた複数のライブ公演から選ばれた演奏が収録されており、レイ・ヴォーンのギターとバンドの圧倒的なライブ力を体感できる一枚となっています。
まさに圧巻のライブ・パフォーマンスを収録したアルバムです。
収録曲の中でも注目すべきは、スティーヴィー・ワンダーの名曲”Superstition”のカバーです。
このバージョンはレイ・ヴォーンならではのブルース・ロックなアレンジが加えられ、原曲とはまた違ったエネルギーを放っています。
また、”Willie the Wimp”はビル・カーターが1985年のアルバム『Stompin’ Grounds』でリリースした”Willy The Wimp (And His Cadillac Coffin)”のカバーです。
このオリジナル曲が収録されたアルバムには、レイ・ヴォーンの兄ジミー・ヴォーンもギターで参加しており、兄弟の音楽的つながりを感じられる興味深い背景があります。
さらに、”I’m Leaving You (Commit a Crime)”はハウリン・ウルフの”Commit a Crime”のカバーです。
ハウリン・ウルフの右腕として知られる名ギタリスト、ヒューバート・サムリンは1980年代にテキサスで活動を行っており、その際にレイ・ヴォーンとも何度か共演しています。
このエピソードは、テキサス・ブルース・シーンにおける彼らの重要な交流を物語っています。
“Commit a Crime”のオリジナルは、そのヒューバート・サムリンのギターが凄まじい勢いなので必聴です!
そりゃレイ・ヴォーンのみならずエリック・クラプトンやジミー・ペイジなど錚々たるロック・ミュージシャンに影響を与えてるだけはあるよね~といった感じで、もはやブルースを超えた最初期のハードロックとも呼べる名演です。
他にも、”Pride and Joy”や”Texas Flood”といった彼の代表曲も収録されており、ライブならではの力強い演奏を楽しむことができます。
特にギターソロの情熱的な表現は、レイ・ヴォーンの真骨頂といえるでしょう。
『Live Alive』は、ブルース・ロックのライブ・アルバムの中でも名作のひとつとして評価されています。
スタジオ録音では味わえないレイ・ヴォーンとダブル・トラブルの生のエネルギーをぜひ体感してみてください。
Stevie Ray Vaughan & Double Trouble – 『In the Beginning』
スティーヴィー・レイ・ヴォーン & ダブル・トラブルのライブ・アルバム『In the Beginning』は、彼らの初期のエネルギッシュな演奏を記録した貴重な作品です。
このアルバムは1980年4月1日、テキサス州オースティンのロカール「スチームボート1874( Steamboat 1874)」におけるライブを収録しており、後の世界的成功を予感させる圧巻のパフォーマンスが楽しめます。
収録曲の中でも、フレディ・キングのカバーである”In the Open”は、ブルースのルーツを色濃く感じさせる1曲です。
レイ・ヴォーンのギターは、フレディ・キングのダイナミックなスタイルを彷彿とさせながらも、独自の表現力で観客を魅了しています。
また、オーティス・ラッシュの名曲”All Your Love (I Miss Loving)”も収録されており、レイ・ヴォーンの繊細かつ情熱的な演奏が際立っています。
さらに、”They Call Me Guitar Hurricane”はギター・スリムの”Guitar Slim”を元にしたカバー曲で、タイトルどおりの嵐のようなギタープレイが圧巻です。
アルバムのハイライトとも言える”Shake for Me”は、ハウリン・ウルフのカバー曲で、レイ・ヴォーンがハウリン・ウルフのバンドでギターを担当していたヒューバート・サムリンに大きな影響を受けたことを感じさせる1曲です。
この曲では、グリス(スライドによる音の移動)を多用したギターソロが際立ち、ヒューバート・サムリンへの敬意と、レイ・ヴォーンの独自性が見事に融合しています。
また、レイ・ヴォーンのオリジナル曲”Slide Thing”も見逃せません。
この曲では、スライドギターを駆使した卓越した演奏が披露され、レイ・ヴォーンのテクニックと創造性の高さが存分に発揮されています。
このライブ盤を通して、レイ・ヴォーンの原点とも言える音楽スタイルを知ることができ、彼の音楽的進化を感じることができます。
『In the Beginning』は、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの音楽的ルーツを探る上で欠かせないアルバムです。
レイ・ヴォーンの初期のエネルギーとブルースへの情熱を存分に楽しむことができるこの作品を、ぜひお聴きください。
Stevie Ray Vaughan & Double Trouble – 『Live at Carnegie Hall』
1997年にリリースされたスティーヴィー・レイ・ヴォーン & ダブル・トラブルのライブ・アルバム『Live at Carnegie Hall』は、1984年10月4日に行われたカーネギーホールでの記念すべき公演を収録したものです。
このライブは、レイ・ヴォーンの30歳の誕生日を祝う特別なもので、多彩なゲストと共に熱気あふれるパフォーマンスが繰り広げられました。
収録曲の中でも特に注目したいのが、ギタースリムのカバー曲”Letter to My Girlfriend”です。
この曲では、レイ・ヴォーンの情熱的なギターと歌声が一体となり、観客を魅了しました。
また、アルバート・キングの名曲”C.O.D.”も収録されており、こちらではゲストボーカルとして女性歌手のアンジェラ・ストレーリが参加しています。
彼女の力強い歌声とレイ・ヴォーンのギターが織りなすコラボレーションは、このライブ盤の大きな見どころです。
さらに、”Iced Over”はアルバート・コリンズの”Collins’ Shuffle”のことを指しており、この曲ではレイ・ヴォーンがコリンズへの敬意を表すかのような、シャープでエネルギッシュなギタープレイを披露しています。
このほか、ブルースの伝統を踏まえた彼のオリジナル曲や情熱的な即興演奏も、このアルバムの魅力をより一層引き立てています。
『Live at Carnegie Hall』は、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの圧倒的なライブパフォーマンスを記録した傑作です。
この一夜限りの特別なステージは、レイ・ヴォーンのブルースへの愛と、観客との一体感を存分に感じさせる内容となっています。
Albert King with Stevie Ray Vaughan – 『In Session』
スティーヴィー・レイ・ヴォーンとブルース界の巨匠アルバート・キングが共演したアルバム『In Session』は、1983年にTV収録されました。
その後1999年にCDでリリースされた伝説的なライブ音源です。
この作品は、二人のギタリストの卓越した技術とブルースへの情熱が存分に感じられる貴重な記録となっています。
アルバムは、アルバート・キングの”Call It Stormy Monday”から幕を開けます。
この曲では、キングの太く深いギタートーンとレイ・ヴォーンの若々しいエネルギーが絶妙に絡み合い、観客を引き込む冒頭を飾っています。
続く”Old Times”や”Match Box Blues”では、二人の異なるスタイルのギタープレイが融合し、それぞれの個性を際立たせながらも見事なハーモニーを生み出しています。
また、アルバム収録曲の中でも特に注目したいのが”Blues at Sunrise”です。
この曲は、キングの深い表現力とレイ・ヴォーンの情熱的なフレーズが互いを補完し合う、まさにブルースの名演です。
“Pride and Joy”では、レイ・ヴォーンが自身の代表曲を披露し、彼の個性的なスタイルをキングに示しています。
この時の演奏は、レイ・ヴォーンがいかにキングの影響を受けながらも、自身の独自性を確立したかを感じさせます。
さらに、アルバムには”Ask Me No Questions”や”Don’t Lie to Me”といったブルースの名曲が含まれており、どれも聴き応えのあるパフォーマンスです。
特に、二人がギターで繰り広げる掛け合いは、ブルース・ファンなら一度は体験しておきたい聴覚の楽しみと言えるでしょう。
『In Session』は、世代を超えたブルースの巨匠同士の共演が生み出した傑作です。
アルバート・キングの熟練したプレイと、レイ・ヴォーンの瑞々しい感性が織り成すこのアルバムは、ブルースの真髄を知りたい方にとって必聴の一枚です。
別売りされていた映像作品もセットにしたDVD付きの完全版もあります。
DVDは、必見です!
ちなみに最初にこのアルバムがCD化された際には、”Born Under a Bad Sign”や”Texas Floodがカットされていましたが、今では全て収録された完全版がリリースされています。
Stevie Ray Vaughan & Double Trouble – 『Live at Montreux 1982 & 1985』
スティーヴィー・レイ・ヴォーン & ダブル・トラブルのライブ・アルバム『Live at Montreux 1982 & 1985』は、彼らの初期の成長過程と、後の成功を収めた姿の両方を記録した貴重なライブ音源です。
このアルバムには、1982年と1985年にスイスのモントルー・ジャズ・フェスティバルで行われた二つの異なる公演が収められています。
それぞれの公演は、レイ・ヴォーンのキャリアにおいて重要なターニングポイントを象徴しています。
1982年の公演は、アルバムの前半に収録されています。この年、レイ・ヴォーンはまだ無名のギタリストでしたが、圧倒的なパフォーマンスで観客を驚かせました。
フレディ・キングの定番曲”Hide Away”から始まり、”Rude Mood”に流れるオープニングの勢いあるインスト2曲で一気にオーディエンスの気を引きます。
続いて”Pride and Joy”も収録されており、後に代表曲となるこの楽曲を早くも披露しています。
さらには”Love Struck Baby”のようなアップテンポな楽曲では、彼レイ・ヴォーンのエネルギッシュなギタープレイが光り、”Texas Flood”では、その深いブルースフィールが強烈な印象を残します。
当時の観客は、レイ・ヴォーンの独特なスタイルに戸惑いも見せましたが、この公演がデヴィッド・ボウイの目に留まり、レイ・ヴォーンのキャリアが一気に加速するきっかけとなったのです。
後半の1985年の公演では、既に成功を収めたアーティストとしての自信が感じられます。
“Scuttle Buttin'”や”Say What!”などのインスト曲では、テクニカルでダイナミックなギター演奏が披露され、観客を圧倒しました。
また、”Pride and Joy”や”Couldn’t Stand the Weather”といった代表曲では、レイ・ヴォーンの成熟した表現力が聴きどころです。
“Voodoo Child (Slight Return)”の圧巻のパフォーマンスは、ジミ・ヘンドリックスへの敬意と、レイ・ヴォーン自身の個性が見事に融合した名演と言えます。
またバラード曲の”Life Without You”が演奏されているのも、レイ・ヴォーンの成長を感じさせます。
このアルバムは、二つの異なる時期のライブを比較することで、レイ・ヴォーンの音楽的成長を感じ取ることができます。
特に、1982年と1985年の間で、レイ・ヴォーンのギタープレイがどれほど進化し、表現力が深まったかがはっきりと分かります。
また、バックバンドであるダブル・トラブルの堅実な演奏も、このライブの完成度をさらに高めています。
『Live at Montreux 1982 & 1985』は、スティーヴィー・レイ・ヴォーンという伝説的なギタリストの軌跡を追う上で欠かせない一枚です。
レイ・ヴォーンの才能と情熱を存分に感じられるこのアルバムは、ブルースファンやギタリストにとって必聴の作品です。
本作の映像作品もリリースされています。
僕も若い頃にこのライブ映像を何度も何度も繰り返して見ていました。
ブルースギター好きなら必見の内容です!
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの音楽でブルースの真髄に触れる
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの音楽は、ブルースの伝統を守りながらも独自のスタイルで進化させた、まさに唯一無二の存在です。
レイ・ヴォーンのアルバムは、テクニックだけでなく、心の奥底から溢れるエモーションに満ちています。
今回ご紹介した11枚の作品は、それぞれがブルースの多彩な側面を映し出す傑作ばかりです。
ぜひこれらのアルバムを通じて、レイ・ヴォーンの音楽が持つ深い魅力を体感してください。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの世界に浸りながら、ブルースの真髄を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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