2021/03/30
グラント・グリーンも参加したレアなサックス奏者ソニー・レッドの『Images』を聴こう♪
知られざるアルトの名手ソニー・レッドの『Images』を聴こう♪
グラント・グリーンやブルー・ミッチェルも参加した異色作
以前、【知られざるアルトの名手ソニー・レッドと共演したドナルド・バードの3部作+α】というブログ記事で、一度取り上げたことがあるソニー・レッドというアルト・サックス奏者がいます。
知られざるアルトの名手ソニー・レッドと共演したドナルド・バードの3部作+α
ある程度ジャズがお好きな方であれば、アルト奏者で「ソニー」の名で思いつくのは、ソニー・スティットやソニー・クリスだと思います。
特にマイルス・デイヴィスのバンドにも参加したことがあるソニー・スティットの方は、自身のリーダー作に於いてもオルガン・ジャズの名作など様々な作品を残しているので、真っ先に思いつくべきでしょう。
そう考えると、ソニー・レッドはまさに「知る人ぞ知る」といった存在ではありますが、今回ご紹介する『Images』のようにハード・バップの隠れた名作とでも言える作品を残していたりもします。
興味深いことに、共にブルージーな演奏を得意とするトランペッターのブルー・ミッチェルとギタリススとのグラント・グリーンが別々に参加した異色作がこの『Images』というアルバムです。
Sonny Red -『Images』
1961年6月と12月の2回に渡るセションをまとめたのがこの『Images』というアルバムです。
スイスのアーティスト、エリック・ベイノン作の前衛的なコラージュがアルバム・ジャケットに使われてはいますが、収録された楽曲はストレートなハード・バップが中心です。
アルバム前半の1~3曲目が6月の録音で、こちにはブルー・ミッチェルが参加しています。
残りの後半3曲が半年後の12月の録音で、グラント・グリーンが参加しています。
アルバム最後の”Bewitched,Bothered And Bewildered”以外は全てソニー・レッドのオリジナル曲です。
まず1曲目”Images”は、ジョージ・タッカーの渋いウッドベースのイントロから始まり、モーダルなバリー・ハリスのピアノがコンピングを弾き始めます。
真っ先にテーマを吹くのはブルー・ミッチェルで、その後主役のソニー・レッドが続きます。
若干、音にブレのあるソニー・レッドに対して、ブルー・ミッチェルは堂々とテーマを吹ききっています。
モーダルではあるけれども、決して前衛的でも実験的ない、今の時代となってはよくあるパターンのジャズです。
2曲目”Blues For Donna”は、まるで初期のアート・ブレイキー&ザ・メッセンジャーズ風の賑やかなハード・バップ曲です。
いつも酔っ払ったようなアルト・サックスを吹くルー・ドナルドソン以上にブレが気になるソニー・レッドの演奏ではありますが、フレージングはチャーリー・パーカーから受け継いだかのようなストレートな演奏です。
3曲目”Dodge City”も2曲目同様に賑やかなハード・バップ曲です。
というよりも、それこそチャーリー・パーカー時代に逆戻りしたかのような古き良き時代のビ・バップを思い起こさせるようなテーマ・メロディーを持つ曲です。
前衛アート風のアルバム・ジャケットからは想像も出来ないような、ストレートなジャズで逆にびっくりします。(笑)
ここまでがブルー・ミッチェルとの2管編成での録音で、次の曲からはソニー・レッドの1管のみになり、ギタリストとしてグラント・グリーンが加わります。
4曲目”Blue Sonny”は、曲名通りにアーシーなジャズ・ブルー曲になります。
ソニー・レッドなのにブルーとはこれいかに!?
この12月の録音の際にグラント・グリーンを起用したのは、こういったブルージーなオリジナル曲が出来たからなのかな?と勘ぐってしまいます。
もちろんジャズ・ブルースこそ一番の得意ジャンルとするグラント・グリーンのギター・ソロが一番の聴き所なのは言うまでもありませんね。
5曲目”The Rhythm Thing”は、ソニー・レッドとグラント・グリーンがユニゾンでテーマを弾くアップ・テンポなバップ曲です。
前衛の欠片も感じさせない古めかしい楽曲ではありますが…それは1960年という時代に録音されたからであって、ビ・バップも1940年代には前衛音楽であったでしょうからね。
当時、まだ自身のリーダー作を制作したばかりのデビュー間もないグラント・グリーンではありますが、もう既に自身のギター・プレイのスタイルを確立していたことが窺えます。
「魅惑されて」の邦題で有名な”Bewitched,Bothered And Bewildered”は、ジョン・オハラの作品が元となったミュージカル『パル・ジョーイ』の挿入歌です。
ドリス・デイを始めエラ・フィッツジェラルドやフランク・シナトラ、更にはリンダ・ロンシュタットまでもが取り上げた美しいバラード曲です。
この美しい曲を、ソニー・レッドがブレながらもワンホーンで見事に吹き上げます。
この時の録音にグラント・グリーンは参加してはいるのですが、なぜかこの曲ではギターを弾いていません。
せめて1コーラス分だけでもソロを弾いていて欲しかったかな…と思います。
以上、ブルー・ミッチェルやグラント・グリーンが参加したレアなサックス奏者ソニー・レッドの『Images』のご紹介でした。
グラント・グリーンがサイドマンとして参加していた「知る人ぞ知る」意外なアルバムでもありますが、初期のグラント・グリーンのギター・ソロを聴くことが出来る貴重なアルバムでもあります。
ぜひ聴いておきましょう♪
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