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2021/03/28

グラント・グリーンも参加したルー・ドナルドソンのソウルフルなブルーノート盤3部作

 
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グラント・グリーンも参加したルー・ドナルドソンのブルーノート盤『Here 'Tis』と『The Natural Soul』と『Good Gracious!』のソウル・ジャズ3部作をご紹介したブログ記事のタイトル画像です。

グラント・グリーンも参加したルー・ドナルドソンのソウルフルなブルーノート盤3部作

ルー・ドナルドソンがソウルフルなオルガンを起用した名盤3作品!

アート・ブレイキーがジャズ・ピアニストのホレス・シルヴァーを起用して結成した初代ジャズ・メッセンジャーズのメンバーとしてアルト・サックスを吹いていたのがルー・ドナルドソンでした。

 

歴史的名盤『Night at Birdland With Art Blakey Quintet(バードランドの夜)』でトランぺッターのクリフォード・ブラウンと共にフロントを張りハード・バップが生まれる瞬間に立ち会ったのも、ルー・ドナルドソンでした。

 

このブログ記事を書いている現在も、齢94歳にしてジャズ界最高齢のひとりとして健在なのは、喜ばしいところです。

 

そんなリビング・レジェンド(生ける伝説)のルー・ドナルドソンは、ストレート・アヘッドなジャズだけでなく、年代によってはソウルフルなジャズやファンキーなジャズを演奏していました。

 

特に70年代に入ってからは、ジャズ・ファンクを代表する名作が多かったりするのですが…当の本人は気に入ってはいなかったようです。

 

70年代当時は、ジャズはメインの音楽ではなく、流行りの音楽はロックやファンクに取って代わっていました。

 

50年代こそ、ジャズがメインストリームの音楽ではありましたが、60年代に入ってロックやソウル・ミュージックの台頭により影へと引っ込まなくってはいけなくなっていました。

 

しかしジャズの凄いところは、ロックやファンクの要素を取り入れて、ジャズ・ロックやジャズ・ファンクのような新たな音楽性として何度も復活を遂げたことです。

 

70年代の流行りの音楽、ファンクと混じったジャズ・ファンクは、ストレート・アヘッドなジャズ作品よりも売れるので、当時のプロデューサー達はこぞってジャズマンたちに流行りのファンクを取り入れるように迫ったようです。

 

そもそも50年代のジャズ自体も、古き良き時代のミュージカルや映画音楽を取り上げていたのだから、真新しいことでもないのですがね。

 

ジャズ・スタンダードとなった”Autumn Leaves(枯葉)“も、シャンソンが元ネタですからね。

 

さて、そんなルー・ドナルドソンも、70年代に入るとアルバムの売り上げのためにプロデューサー先行でキャッチーなジャズ・ファンクを多く吹き込んでいます。

 

僕自身はその時代の音楽性が大好きなのですが…ルー・ドナルドソンはあまり興味がないまま仕方なしにそういった音楽性をやっていたようです。

 

やはり古い時代のミュージシャンのためか、ハード・バップ系のストレートなジャズが好きなんでしょうね。

 

しかしそんなルー・ドナルドソンも、今回ご紹介する3作品に関しては、嫌々録音したのではないんじゃないだろうか?と思います。

 

というのは、ルー・ドナルドソンの呑気にも聴こえてしまうサックス・プレイはどこかR&Bの香りがします。

 

ジャズ・ファンクは好きではなかったのかもしれませんが、R&B調のソウル・ジャズは好きだったのではないだろうか?と勘繰ります。

 

このブログ記事でご紹介する3作品は、どれもブルーノート・レコードからリリースされており、そのどれもにオルガン奏者が参加しています。

 

更にソウルフルでブルージーなジャズ・ギタリストのグラント・グリーンも3作品全てに参加しています。

 

ソウル・ジャズを代表する名曲”Funky Mama”も登場するこの3作品は、全てソウル・ジャズ好き必聴のアルバムです。

 

 

それでは順番にご紹介したいと思います。

 

Lou Donaldson – 『Here ‘Tis』

1961年」1月23日に録音された『Here ‘Tis』は、ルー・ドナルドソンが自身のリーダー作として初めてオルガン奏者を起用した記念すべきアルバムです。

 

その初となるオルガン奏者として白羽の矢が立てられたのは、ソウルフルな演奏を得意とするベイビー・フェイス・ウィレットでした。

 

ちなみに『Here ‘Tis』が録音された1週間後に、ベイビー・フェイス・ウィレットの初リーダー作『Face To Face』が録音されています。

 

本作は、その『Face To Face』に参加していたグラント・グリーンも参加しています。

 

そこにドラムのデイヴ・ベイリーが加わり、全5曲のソウル・ジャズが録音されました。

 

1曲目”A Foggy Day”は、ジョージ・ガーシュイン作のロンドンの霧のことを歌ったオシャレな楽曲です。

 

本来ピアノで演奏した方が映えそうなこの曲を、敢えてオルガンを起用してソウルフルに演奏しているのは、なんともきょみ深いのですが…当のルー・ドナルドソン自体はいつもと変わりのない呑気なサックス演奏に徹しています。

 

ブルージーなだけでなく、こういったオシャレなジャズ演奏もお手の物なグラント・グリーンのギター・ソロも冴え渡っています。

 

続く2曲目”Here ‘tis”は、ルー・ドナルドソン作のオーソドックスなジャズ・ブルース曲です。

 

ジャズを演奏するギタリストなら誰しもが最初に練習するであろうバッキング・パターンをグラント・グリーンがここで披露しています。

 

グラント・グリーンは自身のリーダー作ではバッキングを弾くことがありませんでしたが、こういったアルバムのようにサイドマンとして参加している時には、バッキングをちゃんと弾くギタリストでした。

 

しかしやはりこの曲の主役はルー・ドナルドソンです!

 

どこかしら呑気なトーンではありますが、ソウルフルなブルース演奏をさせたら天下一品です!

 

ここまでジャズ・ブルースを上手く吹きこなすことが出来るアルト・サックス奏者はそうそういません。

 

3曲目”Cool Blues”は、ルー・ドナルドソンだけでなくアルト・サックス奏者であれば誰しもが影響を受け尊敬したであろうチャーリー・パーカーの楽曲です。

 

ジャズ・ギタリストのグラント・グリーンもチャーリー・パーカーから大きな影響を受けており、自身のリーダー作で何曲か取り上げていたりもします。

 

もちろん本作であのテーマ・メロディーを演奏するのはルー・ドナルドソンです。

 

残りの2曲”Watusi Jump”と”Walk Wid Me”もブルース進行のジャズになります。

 

全編を通してブルージーな楽曲が並ぶのは、やはりベイビー・フェイス・ウィレットやグラント・グリーンを起用したからこその選曲だったのではないでしょうか。

 

ジャズ・ファンクは不本意ながらも録音を行っていたと言うルー・ドナルドソンではありますが、しかし本作のようなソウル・ジャズは楽しんで録音したのではないだろうか?と思える好演です。

 

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Ryo
おすすめ曲は、2,3,4

Lou Donaldson – 『The Natural Soul』

グランダッサ・モデルズ社の所属タレントをアルバム・ジャケットに起用した『The Natural Soul』は、『Here ‘Tis』に続くオルガン・ジャズ作品です。

 

前作に引き続きグラント・グリーンが参加しているのですが、オルガン奏者はビッグ・ジョン・パットンに代わっています。

 

更にドラムがベン・ディクソンに変わり、トランペットにトミー・タレンタインが参加しています。

 

このグラント・グリーン、ビッグ・ジョン・パットン、ベン・ディクソンの3人は、当時のルー・ドナルドソンのバンドのメンバーでもありました。

 

またサックス奏者のスタンリー・タレンタインの兄にあたるトミー・タレンタインも、彼ら3人と同じようにソウルフルでブルージーなジャズを演奏するのが得意なミュージシャンです。

 

そんな気心が知れたであろう相性抜群のクインテット編成で録音された『The Natural Soul』は、ソウル・ジャズを代表する名盤に仕上がっています。

 

ビッグ・ジョン・パットンが書いた1曲目”Funky Mama”は、ゲイトマウス・ブラウンやデヴィッド・T・ウォーカー等ジャンルを超えたミュージシャンにもカヴァーされたソウル・ジャズを代表する名曲です。

 

まるでマ・レイニーやベッシー・スミスになったかのようなシンガー顔負けの歌心溢れるグラント・グリーンによるテーマ演奏は、まさに一度耳にしたら墓場に入るまで忘れることが出来ない印象深いものです。

 

本作のリーダーであるルー・ドナルドソンやトミー・タレンタインのフロントマンを差し置いて、主役を張るグラント・グリーンの勇ましさを聴きましょう!

 

どこまでもエモーショナルな演奏は、ギター・ソロが始まっても続きます。

 

引き続きトミー・タレンタインもトランペットで粋なソロを吹いて盛り上げます。

 

ルー・ドナルドソンのソロは、まるで酔っぱらいが吹いているかのようなのらりくらりとした演奏です。

 

19世紀のホンキートンクな酒場にいるかのような錯覚に陥る演奏ですね。

 

最後にソロを弾くビッグ・ジョン・パットンも素晴らしく、ブルージーな3連符を多用したグルーヴィーなソロは聴きものです。

 

2曲目”Love Walked In”は、前作の”A Foggy Day”と同様にジョージ・ガーシュイン作のオシャレなジャズです。

 

優しくテーマ・メロディーをルー・ドナルドソンが吹き上げ、一瞬のブレイクを挟みビッグ・ジョン・パットンのオルガン・ソロに移ります。

 

その後はトミー・タレンタイン→グラント・グリーン→ルー・ドナルドソンとソロ回しが続き、誰しもが原曲のメロディーを基調としたアドリヴ演奏を披露しています。。

 

2管のユニゾンによる派手なイントロで始まる3曲目”Spaceman Twist”は、ルー・ドナルドソンのオリジナル曲です。

 

曲名からして、サム・クックやウィルソン・ピケット辺りが歌いそうなツイスト風のダンサンブルな楽曲です。

 

4曲目”Sow Belly Blues”も同じくルー・ドナルドソンのオリジナル曲で、当時の流行りのR&Bやロックン・ロールの影響を受けたような曲です。

 

5曲目”That’s All”は、ボブ・ヘイムズが1953年に歌ったバラード曲のカヴァーになります。

 

原曲のゴージャスなストリングスを、ビッグ・ジョン・パットンのオルガンによるロングトーンに置き換え、ルー・ドナルドソンが哀愁を帯びたソロ演奏を吹き込みます。

 

どこまでも心に染み入るサックスの音色がとても美しい名演です。

 

アート・ブレイキーのバードランドのライヴ演奏では、バラード演奏に於ける主役の座をクリフォード・ブラウンの”Once in a While”に譲りましたが、本作の主役はルー・ドナルドソンです!

 

あの時のリベンジかのような美しいバラード演奏です♪

 

アルバム最後の”Nice ‘N Greasy”は、ジャズ・ピアニストのジョン・アドリアーノ・アセアが書いた楽曲です。

 

アルバム最後まで気の抜くことのできないソウル・ジャズの名演が続きます。

 

ちなみにCD化のボーナス・トラックとして7曲目に”People Will Say We’re In Love”も収録されています。

 

この曲は、ロジャース&ハマースタインによる1943年のミュージカル映画『オクラホマ』のテーマ曲です。

 

「人々は私たちが恋をしていると言う」という邦題が付けられたロマンチックなバラード曲を、アップ・テンポのソウル・ジャズに変えて演奏しています。

 

本作は、参加メンバーの相性も良く、どのソロ演奏もヘタなものは全くないアルバムです。

 

ソウル・ジャズ好きのみならず、オルガン・ジャズが好きな人であれば、必ず聴いておきたい名盤のひとつとなります。

 

なにはともあれ、本作のことが少しでも気になったのならまずは聴いてみることをおすすめします。

 

僕の好きなグラント・グリーンがサイドマンとして参加した数多くあるアルバムの中でも、本作はベスト3に入る名盤と言えます。

 

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おすすめ曲は、全曲です!
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グラント・グリーンがお好きなら
必ず聴いておきましょう♪

Lou Donaldson – 『Good Gracious!』

グッド・グレイシャスとは、「これは驚いた」や「とんでもない」の意味で、グラマラスな女性のお尻を通りすがり越しに見つめて驚くルー・ドナルドソンが、なかなかの昭和の親父っぷりですね。(笑)

 

下世話なアルバム・タイトルやジャケット同様に、1曲目の”Bad John”もイナタすぎるジャズ・ブルース曲です。

 

ルー・ドナルドソンのオリジナル、ビッグ・ジョン・パットンにちなんだタイトルを付けられた曲です。

 

ここでの”Bad”は、マイケル・ジャクソンの大ヒット曲と同じで「最高!」を意味するスラングになります。

 

その俗語通りに、ビッグ・ジョン・パットンのチョイ悪なロングトーンを多用したオルガン演奏を楽しむことが出来ます。

 

勢いが伝染したグラント・グリーンも、いつも以上にしつこく同じフレーズを繰り返して弾いています。

 

ビッグ・ジョン・パットンによる教会音楽のようなイントロで始まる2曲目”The Holy Ghost”もルー・ドナルドソンのオリジナル曲で、本作参加メンバーの誰しもが心の底からゴスペル音楽が好きなんだな~と感じられる楽曲です。

 

4曲目”Cherry”は、1920年代末にドン・レッドマンが書いた曲のカヴァーです。

 

ルイ・アームストロングにレイ・チャールズまでもが取り上げたバラード曲を、ルー・ドナルドソンは軽快なソウル・ジャズに変えて演奏しています。

 

4曲目”Caracas”は、ルー・ドナルドソンが書いたボサノバ風の楽曲で、グラント・グリーンによる珍しいコンピングを聴くことが出来ます。

 

イントロのアコースティック・ギターのように聞こえるギターのカッティングは、エレキ・ギターのボリュームを絞ってアンプからの出力を抑えて出したものだと思われます。

 

ギター・ソロを弾く際には、ギターのボリュームを全開にして弾いているのでしょう。

 

エレキ・ギターは、ボリュームの操作だけでもトーンが大きく変わる幅広い音色を持った楽器なのです。

 

5曲目”Good Gracious”もルー・ドナルドソンのオリジナル曲で、よくもまぁこんな愉快なテーマ・メロディーを思い付くもんだな~と感心させられる典型的なソウル・ジャズです。

 

アルバム最後の6曲目”Don’t Worry ‘Bout Me”は、ジャズ・ピアニスト兼作曲家のルーベ・ブルームが書いた失恋をテーマにした悲しいバラード曲のカヴァーです。

 

チャーリー・パーカーの”Laura”のフレーズを拝借したルー・ドナルドソンも、バード(鳥)となって遥か遠くの大空へと羽ばたいていくかのような伸び伸びとした演奏を聴かせてくれます。

 

グラント・グリーンにビッグ・ジョン・パットンとベン・ディクソンという気心知れた子分たちを引き連れて、ルー・ドナルドソンは本作で自身のソウル・ジャズ探訪の旅を終えています。

 

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Ryo
おすすめ曲は、1,2,4,6

 

以上、【グラント・グリーンも参加したルー・ドナルドソンのソウルフルなブルーノート盤3部作】でした。

 

どれもソウル・ジャズ必聴の3部作になります。

 

オルガン・ジャズ好きもグラント・グリーンのファンの人も、必ず聴いておきたい3作品です!

 

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