2024/08/10
さらにレゲエにハマる!レゲエ入門後に聴きたい歌もの曲中心のおすすめアルバム20選
さらにレゲエを聴きたい人におすすめしたい追加のアルバム20選
つい先日レゲエ入門として【にわかでもいいじゃん!レゲエ初心者さんにおすすめしたい歌もの曲が詰まったアルバム20選】というブログ記事を書きました。
今回はその続きで、前回ご紹介したレゲエ入門におすすめのアルバム20枚を聴き終えた方に、もっとたくさんのレゲエ作品を聴いてもらいたいと思い、追加で20枚をご紹介したいと思います。
にわかでもいいじゃん!レゲエ初心者さんにおすすめしたい歌もの曲が詰まったアルバム20選
本ブログ記事を読む前に、一度上記のブログ記事も読んでいただけたら幸いです。
レゲエ入門後に聴きたい歌もの曲中心のおすすめアルバム20選
今回も前回と同じく「インストもの」が中心ではなく「歌もの」が中心のアルバムを選んでいます。
中には数曲インスト曲が混じったアルバムもあったりしますが、あくまで主役はボーカルです。
また前回は僕自身の好きなアルバムを中心に選びつつも、「レゲエを聴く上で必ず聴いておきたいベタなアルバム」も含まれるように多少の配慮はしました。
しかし今回は、ベタではない地味なアルバムやマニアックなアルバムも選んでいます。
そのため、前回以上に「キャッチーではない楽曲」や「アウト・オブ・キー(Out of key)」といった「わざとキーを外して歌う」という歌唱法が多く登場するアルバムも含まれています。
そういったアルバムも選んでいますが、レゲエにハマった人に聴いてもらいたいアルバムを僕なりに選んだつもりです。
それでは「さらにレゲエにハマる!レゲエ入門後に聴きたい歌もの曲中心のおすすめアルバム」を20枚をご紹介します。
ご紹介する順番はアーティスト名のアルファベット順になります。
前回は70年代が中心でしたが、今回はそれ以外の年代からもいくつか選んでいます。
レゲエ入門後に聴きたい歌もの曲中心のおすすめアルバム20選
01.Black Uhuru – 『Red』
ブラック・ウフルは、1972年にジャマイカにてガース・デニスとドン・カルロス、デリック・”ダッキー”・シンプソンによって結成されたレゲエ・グループです。
しかし1977年にガース・デニスとドン・カルロスが脱退して、代わりにマイケル・ローズとエロール・ネルソンが加入します。
1978年になると今度はエロール・ネルソンが脱退して、代わりに女性ボーカリストのピューマ・ジョーンズが加入することになります。
リード・ボーカルのマイケル・ローズにバック・ボーカルのダッキー・シンプソンとピューマ・ジョーンズの3人の時代に『Sinsemilla』、『Red』、『Chill Out』、『Anthem』といった名作を次々にリリースしています。
この辺りのアルバムはどれを聴いてもハズレがないのですが、今回は僕の好みで『Red』を選びました。
このアルバムが一番全体を通してのクオリティーが高いと思います。
ちなみにブラック・ウフルのアルバムもバックを務めるのは数多くのレゲエ・アルバムでバックを務めるリズム・セクションのスライ&ロビーです。
そのため安心して聴くことが出来ます。
02.Carlton And The Shoes – 『This Heart Of Mine』
カールトン・アンド・ザ・シューズは、カールトン・マニングがリード・ボーカルを務めるボーカル・トリオです
1978年にリリースされたデビュー作『Love Me Forever』は、ジャマイカのレゲエ専門レーベル「スタジオ・ワン」の数ある作品の中でも最高峰の評価を得ている名盤なのですが…ここは僕が好きな2作目のアルバム『This Heart Of Mine』の方をおすすめします。
1982年にリリースされた本作『This Heart Of Mine』は、「ラヴァーズ・ロック(Lovers Rock)」を代表するような名盤だと言えます。
「ラヴァーズ・ロック」とは、主にラヴ・ソングを題材としたメロディアスでスウィートなレゲエ曲のことを言います。
特に2曲目に収録されている”Give Me Little More”は素晴らしく、R&B調ではありますがラヴァーズ・ロックを代表する名曲の1つと言えるでしょう。
この曲は本作リリース前の1980年にシングルとしてもリリースされています。
ちなみにこの曲は、1996年にクレモンティーヌが日本のミュージシャンをバックに起用してシングル盤としてもリリースしています。
普通にR&Bアレンジも出来る名曲です♪
ゆったりとした優しいタッチのレゲエをお探しの方に、ぜひおすすめしたいのがこのカールトン・アンド・ザ・シューズの名盤中の名盤『This Heart Of Mine』です。
ちなみに本作でソウルフルなリード・ギターを弾いているのは、ソウル・シンジケートでお馴染みの名物ギタリストのアール・”チナ”・スミスです。
03.The Congos – 『Back In The Black Ark』
コンゴスは、元タータンズのセドリック・マイトンとロイ・ジョンソンによって70年代半ばに結成されたボーカル・グループです。
後にワッティ・バーネットが加わり、現在はケンロイ・ファイフも加わった4人編成のグループです。
1977年に1stアルバム『Heart of the Congos』でデビューしており、現在までに20作品ほど残しています。
今のところ2022年にリリースした『Foot Prints In The Sand』が最新作です。
今回は僕がお気に入りのアルバム『Back In The Black Ark』を選びました。
本作『Back In The Black Ark』は、2009年にリリースされています。
アルバム・タイトルにある「ブラック・アークに戻る」というのは、リー・”スクラッチ”・ペリーのレコーディング・スタジオ「ブラック・アーク・スタジオ(Black Ark Studios)」での録音に戻るといったところでしょうか。
音楽性はいつものルーツ・レゲエ作品なのですが、ブルック・ベントンの名バラード曲”Rainy Night in Georgia”を微妙に声真似してカヴァーしています。
コンゴスは常にルーツ・レゲエ作品を作り続けているので、どのアルバムから聴いても間違いないのですが、今回はこの『Back In The Black Ark』をおすすめします。
04.Delroy Washington – 『I-Sus』
デルロイ・ワシントンは、1952年にジャマイカで生まれたシンガーですが、60年代に家庭の事情でロンドンに移り住んでいます。
そのため生粋のジャマイカンとは違うので、1976年にリリースされたデビュー作となる本作『I-Sus』を制作する際にトロンボーンでも参加していたリコ・ロドリゲスに「ナイヤビンギ(ラスタの思想を歌う)」等の指導を受けて制作されています。
正直「ラスタ思想」に関しては、異文化に生きる僕には理解しきれない深い世界観だと思うのですが…必ずしも音楽は「その思想を理解できないと聴く価値はない」ものではないと思っています。
音楽とは、書いて字の如く「音を楽しむ」ことが一番大事なので、デルロイ・ワシントンの歌声と、そのバックで流れるファウンデーション・リディム(ルーツ・レゲエのリズム)を楽しむ聴き方で良いと思います。
むしろ異文化に生きている日本人が「ラスタの思想は現地のジャマイカ人誰よりも理解している!」と言うのも何か違う気がしますからね…。
そんな本作には、先ほどご紹介していたリコ以外にも、トランペットにエディー・”タンタン”・ソーントン、ベースにジョージ・オーバン、ドラムにアスワドのドラミー・ゼブが参加しています。
ギターを弾くのは、アスワドやバーニング・スピアのアルバムにも参加したことがあるドナルド・グリフィスです。
デルロイ・ワシントン自身もリズム・ギターを担当しています。
アルバム最後の”The Streets Of Ladbroke Grove”にのみ”Police and Thieves”(ポリスとコソ泥)の曲で有名なジュニア・マーヴィンがゲストでギターを弾いています。
本作を制作する上で、ボブ・マーリーの名盤『Catch a Fire』を参考にしたようで、そのため僕のように「ラスタ思想」に疎い人間でも楽しんで聴くことが出来るアルバムです。
確かに曲調はボブ・マーリー風でかなり聴きやすいアルバムです。
難しいことは考えずに、楽しんで聴きたい作品ですね♪
ちなみに本作の後、デルロイ・ワシントンは1977年にそのものズバリ『Rasta』というアルバムを制作しています。
そちらは本作ほどキャッチーではないので、今回は選びませんでした。
05.Delroy Wilson – 『Captivity』
デルロイ・ウィルソンは、1948年生まれのジャマイカのシンガーです。
1961年になり、デルロイ・ウィルソンは13歳の頃に初録音を行っており、スカやロックステディ時代から活動している古参シンガーです。
70年代になるとボブ・マーリーの大活躍と共に、レゲエ・シーンもルーツ・レゲエが主流となりました。
もちろんデルロイ・ウィルソンも70年代辺りからルーツ・レゲエのスタイルでアルバムを制作しています。
今回おすすめする『Captivity』は、1973年にリリースされた4作目のアルバムです。
基本はデルロイ・ウィルソン自身が書いたオリジナル曲で構成されたアルバムですが、中にはリー・”スクラッチ”・ペリーの” Beat Down Babylon”や米国のロックンロール・シンガー、ロイド・プライスの曲”Just Because”のカヴァー曲も含みます。
この”Just Because”のレゲエ・アレンジが素晴らしく、デルロイ・ウィルソンの歌の力を感じられる良い例です。
本作以外にもデルロイ・ウィルソンは20枚以上のアルバムをリリースしているのですが、個人的にはこの『Captivity』のゆったりした雰囲気が好きです♪
06.Dr. Alimantado – 『Best Dressed Chicken in Town』
セックス・ピストルズのボーカル、ジョニー・ロットンにも賞賛され、その他のパンク・ロッカー達にも人気があったドクター・アリマンタドのデビュー作『Best Dressed Chicken in Town』です。
1978年にリー・”スクラッチ”・ペリーのブラック・アーク・スタジオやキング・タビーのスタジオで録音された曲で構成されているため、ダブの要素も含んだアルバムです。
その後のポスト・パンクやニュー・ウェーブの誕生に大きな影響を受けた定番アルバムでもあります。
前回ご紹介していたキャッチーな歌もの中心のルーツ・レゲエ作品群と比べると本作は異質で、クセも強いのでもしかしたら人によっては聴き辛い作品かもしれません。
それこそアウト・オブ・キーの歌唱法で、思いっきり歌がズレていることが多々あります。
しかし僕たち日本人が普段ロックやポップスで聞き慣れた音楽は、元は西洋音楽の「ドレミファソラシ」の音階で作られた楽曲ばかりです。
知らず知らずのうちに僕たちは西洋音楽に慣れ過ぎてしまっていて、悪く言えば「毒されている」のかも知れません!?
もしかしたらドクター・アリマンタドのような、西洋の音楽理論から外れたエモーショナルな歌い方こそ、「魂がこもった歌声」なのかも知れません。
とにかく…レゲエを知る上では、いずれは聴いておいた方が良い「避けて通れない定番アルバム」です。
07.Horace Andy – 『Midnight Rocker』
ホレス・アンディは、1951年生まれのジャマイカのシンガーです。
1972年にアルバム『Skylarking』でデビューして以降、現在に至るまでに40作品近くのアルバムをコンスタンスにリリースしています。
かなり多作なミュージシャンなので、どのアルバムをご紹介するか迷いましたが…ここは珍しく最新作を選んでみました!
本作『Midnight Rocker』は、2022年にリリースされたばかりのニュー・アルバムです。
とはいっても、仕方なく最新作を選んだわけではなく、本作は相変わらずクオリティーの高い名作でした!
本作には、1980年にリリースしたアルバム『Natty Dread a Weh She Want』に収録していたジャズの定番曲”Take Five”を元にした名曲”This Must Be Hell”のセルフ・カヴァーも含まれています。
しかし2020年代を越えてもレジェンド・レゲエ・マンによるリアルなルーツ・レゲエ作品の新作が聴けるとは…嬉しい限りです。
ホレス・アンディよりもミック・ジャガーの方が8歳も年上だと考えると、まだまだこれからの活躍も期待できそうな現役のレゲエ・シンガーです。
ちなみに本作にはメタリカの『Load』、『Reload』のように対になる続編アルバム『Midnight Scorchers』もリリースされています。
こちらも要チェックですね!
Tシャツ付きの限定盤もあります!
08.Ijahman – 『Are We A Warrior』
アイジャーマン・レヴィは、1946年生まれのジャマイカのシンガーです。
1963年に家族の事情で英国に移住しています。
1966年と1969年に、ザ・ユース(The Youth)名義で2枚のシングルをリリースしてもいます。
本作『Are We A Warrior』は、1979年にリリースされた2作目のアルバムです。
ラスタ思想の濃かったデビュー作『Haile I Hymn』と比べると幾分か聴きやすくはなった本作は、アイジャーマンの優しくスウィートな歌声が味わえる作品です。
オーティス・レディングのファンで、英国での生活も影響しているのか?歌い方も安定しており、大まかにキーを外すこともありません。
収録曲は5曲と少ないのですが、7分越の曲が3つも収録されています。
09.Jah Lion – 『Colombia Colly』
ジャー・ライオンは、1947年生まれのジャマイカのシンガー兼DJです。
本名は、パトリック・ロイド・フランシスといい「Jah Lion」というアーティスト名はリー・”スクラッチ”・ペリーが付けました。
本作『Colombia Colly』は、1976年にリリースされた3作目のアルバムです。
「歌もの」とは言ってもジャー・ライオンはDJでもあったので「トースティング」というラップのようなスタイルで歌って(いや、喋って!?)います。
むしろこの「トースティング」がヒップホップの発展に大きな影響を与えたと言われています。
もともとは1960年代にジャマイカのダンスホールで音楽を流していたDJがリズミカルに言葉を喋り始めたのがこの「トースティング」の始まりと言われています。
先ほどご紹介していたドクター・アリマンタドとはまた違った聴き辛さがありますが…でもこのジャー・ライオンもレゲエを聴く上で知っておいた方が良いミュージシャンの1人です。
10.Jimmy London – 『Welcome To My World』
ジミー・ロンドンは、1949年生まれのジャマイカのシンガーです。
元はボーカル・デュオのジ・インスピレーションズのメンバーでしたが、1972年にアルバム『Bridge Over Troubled Waters』でソロ・デビューを果たしています。
本作『Welcome To My World』は、1978年にリリースされた3作目のアルバムです。
本作のレコーディングは英国で行われています。
ジミー・ロンドンの歌い方は、ボブ・マーリー等のメロディアスに歌うスタイルで、かなり聴きやすい歌声です。
全体的にかなりゆったりとした作風で、まさに多くの人がイメージする「レゲエ・ミュージック」がここに収められています。
知名度こそ低いアルバムですが、レゲエ初心者さんでも安心して聴くことが出来る作品です。
11.Jimmy Riley – 『Showcase』
ジミー・ライリーは、1974年生まれのジャマイカのシンガーでもありプロデューサーでもあるアーティストです。
本作『Showcase』は、1978年にリリースされた4作目のアルバムです。
ジミー・ライリーの渋い声にレヴォリューショナリーズやバニー・リーのハウスバンドだったアグロベーターズをバックに従え、ダブ交じりのルーツ・レゲエを聴かせてくれます。
曲の途中からダブ特有の反響音が組み込まれているのは、本作のミックスをキング・タビーのスタジオで行ったからです。
このダブ処理が上手く作用しており、ジミー・ライリーのソウルフルな歌声はそのままだとレゲエ風のR&Bに留まりそうなところを、この過激な処理によってレゲエらしさが強調されています。
またアグロベーターズでドラムを担当しているカールトン・”サンタ”・デイヴィス(ソウル・シンジゲートやビッグ・マウンテンにも参加)のハイハットを強調した「フライング・シンバル」と呼ばれるサウンドが、このダブ処理の箇所で大活躍しています。
ジミー・ライリーは渋い声でソウルフルに歌うタイプなので、ポップスやR&Bがお好きな方だったらすんなりと聴くことが出来ると思います。
それでいて曲の途中からレゲエらしいダブの要素も出てくるので、「さらにレゲエにハマる!」という今回のテーマにピッタリのアルバムとして強くおすすめしたいです。
知名度こそ低いけれど個人的にもかなり好きなアルバムなので、レゲエをお好きな全ての人に聴いてもらいたい名作です!
12.John Holt – 『A Love I Can Feel』
ジョン・ホルトは、1947年にジャマイカのキングストンで生まれたレゲエ・シンガーです。
ボーカル・グループのパラゴンズのメンバーとしても活動していました。
そのパラゴンズ時代にヒット曲”The Tide Is High”を書いたのもジョン・ホルトでした。
この曲は、NYのニュー・ウェーブ・バンド、ブロンディ(Blondie)や、イギリスのガールズ・グループ、アトミック・キトゥン(Atomic Kitten)のカヴァーでポップス好きの人の間でも人気の曲ですね。
僕もブロンディのカヴァーでこの曲を知りました。
そんなジョン・ホルトは、亡くなる2014年までに50作品近く制作した多作なミュージシャンでした。
作品数が多すぎて1つ選ぶのは難しいのですが…1970年のデビュー・アルバム『A Love I Can Feel』を選びました。
ジョン・ホルトは、数多いレゲエ・シンガーの中でも随一の歌唱力を誇るシンガーで、R&Bやポップスのカヴァー曲も数多く残しており、特にグローヴァー・ワシントンJr.の名曲”Just the Two of Us”のレゲエ・カヴァーなんかはクオリティーも高いです。
1982年にはズバリ『Just the Two of Us』なんていうアルバムもリリースしていますが、ここはシンプルに1曲を除いて全てジョン・ホルトのオリジナル曲が揃ったこの『A Love I Can Feel』をおすすめします。
“If It Don’t Work Out”のみカントリー、ポップ・シンガーのジョン・D・ラウダーミルクが書いた曲です。
ジョン・ホルトに関しては80年代にリリースされたアルバムも良い物が多いのですが、まずはこのデビュー作を聴いてみてください。
13.Johnny Clarke – 『Rockers Time Now』
ボブ・マーリーの名曲”No Woman No Cry”のカヴァーでも知られるジョニー・クラークは、1955年生まれのジャマイカのシンガーです。
現在までの26枚近くのアルバムを制作しており、多作なミュージシャンでもあります。
今回は1976年リリースの8作目『Rockers Time Now』をおすすめします。
ワウギターがワカチョコなる1曲目”Rockers Time Now”からルーツ・レゲエ度は高く、アグロベーターズがバックを担当しているだけあって演奏力も申し分ないです。
ジョニー・クラーク自身の歌声は、ソフトでクセもなくとても聴きやすいアルバムに仕上がっています。
ワウギター好きにもおすすめしたいアルバムです♪
14.Massive Dread – 『Massive Dread』
あまりにも強烈なマッチョなアルバム・ジャケットがインパクト大なマッシヴ・ドレッドの1stアルバム『Massive Dread』です。
マッシヴ・ドレッドことデニス・ジェームスは、1960年生まれのジャマイカのDJです。
スライ&ロビーのリズム・セクションをバックに、アンセル・コリンズの弾くオルガンと、セッション・ギタリストのボーピー・ブラウンのワウギターがハーモニーを奏でます。
その上にマッシヴ・ドレッドのクセが強すぎる鼻につく声でキーを外しまくったトースティングを始めます。
正直言うと、僕は本作を最初に聴いた時は、クセの強すぎるマッシヴ・ドレッドの歌い方が苦手で、あまり好きではないアルバムでした。
それがだいぶ間を空けて数年後に改めて聴いてみると…不思議とこの声にも慣れてきて、むしろ聴くのがクセになるような謎の魅力に取り憑かれました。
まぁバックの演奏陣のレベルが高すぎるってのもありますが…しかし聴けば聴くほどにハマってしまうスルメのような作品です。
クセツヨなためレゲエ初心者さんにはおすすめではありませんが、「もっと深くレゲエという音楽を聴いてみたい!」と考えている方には、ぜひ聴いて欲しいアルバムです。
繰り返しになりますが、バックの演奏のレベルは高いですからね。
レゲエを知る上で必ず聴いておきたいアルバムの1つです。
15.The Mighty Three’s – 『Africa Shall Stretch Forth Her Hand』
マイティ・スリーズは、バーナード・ブラウンとカールトン・グレゴリーとノエル・ブラウンから成るジャマイカのコーラス・トリオです。
本作『Africa Shall Stretch Forth Her Hand』は、1978年にリリースされていた唯一のアルバムです。(『Mighty Threes Dub』というダブ作品も存在しています。)
長らく廃盤が続いていた作品で、いわゆるレア・グルーヴ的なアルバムです。
しかし本作収録の”Rasta Business”とダブ曲の”Sata”は1979年に両A面シングルとしてリリースされた名曲なので、レゲエ好きなら一度は聴いておきたい作品です。
ただし、この”Rasta Business”は、カールトン・グレゴリーが書いた曲であって、グレゴリー・アイザックが1976年に書いた同名曲や、バーニング・スピアの2009年の同名曲とは別物です。
どれも曲名が同じだけで、別の曲になります。
レアなアルバムですが、隠れたルーツ・レゲエの名作です。
16.The Pioneers – 『Long Shot』
パイオニアーズは、アーリー・レゲエ期を代表するボーカル・グループです。
本作『Long Shot』は、1969年にリリースされた2作目のアルバムです。
タイトル・トラックの”Long Shot (Kick De Bucket)”が英国で大ヒットをしたことで一躍人気者となりました。
とにかくソウルフルで美しいコーラス・ワークが魅力のグループで、まるでレゲエ版モータウンとでもいった感触です。
17.The Regulars – 『I & I』
レギュラーズは、1976年に結成されたUKの7人組レゲエ・バンドです。
1979年リリースのデビュー作『Victim』と、1980年リリースの本作『I & I』の2枚のアルバムを残しています。
メンバーは、下記の通りです。
●アラン・キング(ボーカル)
●トニー・ルークウッド (ボーカル)
●ジョージ・クラーク (キーボード)
●ノーマン・エバンクス (リード ギター)
●パトリック・ドネガン(リズム ギター)
●トレヴァー・サーモン (ベース)
●エロール・フランシス (ドラム)
80年代に差し掛かったアルバムですが、本作はルーツ・レゲエ色が濃く、今回のテーマに即した「歌もの」アルバムだと言えるので選びました。
ただし、いわゆるレア・グルーヴ系とでも言える作品なので、入手するのは困難かもしれません⁉(中古でならまだどこかで販売されているのかも?)
楽曲の質も演奏力も悪くはないのですが、時代が遅かったのか?大したヒットも残せずに、そのまま大きなレコード契約を結ぶことが出来ず、グループは解散しました。
しかし歴史の闇に消えてしまうにはもったいない名作なので、今回ここでご紹介することにしました。
レアなレゲエ・アルバムを聴いてみたい方は、ぜひ探してみて聴いてみて下さい。
5曲目の”Dress Up Yourself”は、ちょうどこの時代に流行ったフェイザーを薄くかけたリードギターのイントロで始まる曲です。
18.Sugar Minott – 『More Sugar』
なかなか入手困難なレア作品が続きますが…こちらもおすすめのアルバムです。
シュガー・マイノットは、ダンスホール・レゲエの創始者の一人として知られる人物ではありますが、本作『More Sugar』彼のアーティスト名通りに甘いお砂糖のようなスウィート・ソウルなレゲエが収録されたアルバムです。
1982年にリリースされた10作目のアルバムで、ラヴァーズ・ロックの名作でもあります。
1曲目の”Party Time”は、前回ご紹介していたヘプトーンズのカヴァーです。
“Ghetto Funk”なんかは60年代のソウル風です。
“Have No Fear”や”Ghetto Girl”といったメロウな曲は、まさにラヴァーズ・ロックの名曲です。
甘~いレゲエを聴きたい方におすすめのアルバムです。
19.Trevor Hartley – 『Innocent Lover』
トレバー・ハートレーは、1958年生まれの英国のレゲエ・シンガーです。
生まれはジャマイカなのですが、70年代後半にロンドンに移り住んでいます。
しゃがれたスモーキーな歌声が特徴的で、ラヴァーズ・ロックを得意としたシンガーです。
1988年にシングル曲”Hooked On You”で全英レゲエ・チャートの1位を獲得し、再起を果たしていますが…大手レーベルとの契約はミスマッチだったようで、アルバム制作には至っていません。
その後、1994年になりようやく2作目のアルバム『Hartical』をリリースしますが、鳴かず飛ばずで…2001年のシングル”Pride & Ambition”以降はリリースが無い状態です。
本作『 Innocent Lover』は、1979年にリリースされた1stアルバムで、こちらもレア・グルーヴ系の貴重な作品となっております。
しかしリリースした時代が遅かったためにヒットしなかっただけで、アルバムのクオリティーは決して低くはありません。
ラヴァーズ・ロック好きにもおすすめしたい、隠れたルーツ・レゲエの名作です。
20.Vivian Jones – 『Bank Robbery』
最後にご紹介するのは、1957年にジャマイカで生まれたレゲエ・シンガーのヴィヴィアン・ジョーンズです。
両親は数年前にロンドン移住しており、10歳の時にヴィヴィアン・ジョーンズも両親のもとへ移住しました。
音楽活動を始めた当初はDJとして活動していましたが、70年代になると、ザ・スパルタンズ、ザ・ドクター・バーズ、ザ・マイティ・ヴァイブス、ザ・ピーシズといったバンドのメンバーにもなりました。
そして1980年にソロ・アーティストとして独立してレコーディングを始めています。
2021年に最新作『60th』をリリースしており、まだまだ現役のシンガーです。
本作『Bank Robbery』は、1983年にリリースされたデビュー作です。
本作以降も硬派なルーツ・スタイルを続けていくヴィヴィアン・ジョーンズなのですが、その始まりとしては十分すぎる出来です。
ジャマイカ生まれとはいえ、ロンドン育ちなのでボーカル・スタイルは、メロディアスに歌うスタイルです。
アーティスト名のアルファベット順なので最後のご紹介となりましたが、レゲエ入門盤として聴いても問題なく聴けるアルバムです。
以上、【さらにレゲエにハマる!レゲエ入門後に聴きたい歌もの曲中心のおすすめアルバム20選】でした。
いかがでしたでしょうか?
前回の入門編よりは、多少マニアックなアルバムも含めてみました。
またコンゴスやホレス・アンディのように、今も現役で素晴らしいルーツ・レゲエ作品をリリースし続けているアーティストに関しては、あえて2000年代以降の新しい作品を選びました。
さらにマッシヴ・ドレッドのように最初は聴き辛いアルバムや、知名度の低いシンガーにレアなアルバム等、前回よりもバラエティーに富んだ選考もしたつもりです。
前回のブログ記事を読んである程度レゲエを聴いてみたという方は、ぜひ今回ご紹介した20作品も追加で聴いてみて下さい。
それでは今後もこのブログをよろしくお願いします。
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