
2024/07/07
ポリスのおすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介!
【第21回】おすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介シリーズ
80年代に活躍したロック界のスーパー・トリオ、ポリスのおすすめアルバムをご紹介!
【おすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介シリーズ】の第21回です。
今回は80年代に活躍した英国のバンド、ザ・ポリス(The Police)のおすすめアルバムを5枚ご紹介します。
スティングも在籍した英国のスーパー・トリオ、ポリスについて
ポリスは、1977年にドラムのスチュワート・コープランドがフランス人ギタリストのヘンリー・パドゥバーニと共にロンドンで結成したバンドです。
そこにベーシストでボーカルや作詞作曲の能力もあるスティング(本名:ゴードン・サムナー)が加入したことで初期のメンバーが揃います。
しかしパドゥバーニのギターの腕に不満があったスチュアートは、スティングの薦めで既にベテランの域に達していたギタリストのアンディ・サマーズの加入を認めます。
サマーズはスティングやコープランドよりも一回り近く年上で、ビートルズと同じ世代でした。
ジャズやクラシックの素養もあり、派手なプレイこそしませんが確かな技術を持っていたサマーズは、数々のバンドやセッションを渡り歩いては芽が出ないままの不遇なミュージシャン生活を送っていました。
しかしスティングやコープランドといった才能を持った年下世代にバンドに誘われたことで転機を迎えます。
こうして安定感のあるギタリストを見つけたポリスは、パドゥバーニを外した3人組となりました。
今やスティングはソロ活動が大成功して、ソロ・アーティストとしての知名度の方が高くなってしまいましたが、それもサマーズやコープランドとのバンド活動で経験を積んだから掴めた成功でしょう。
デビュー当初は、コープランドの提案で当時の流行りの音楽であったパンク・ロックを演奏するバンドとして活動を始めました。
しかし既にベテランの域にあったサマーズだけでなく、コープランドのキレのあるドラムは数多のパンク・ロック・バンドと比べると「あまりに上手すぎる!」演奏でした。
スティングの歌い方こそ初期の頃はまだ慣れていない拙いものでしたが、じょじょにリード・ボーカルとしての実力も身に付いていきます。
それどころかスティングに至っては、バンドの後期になればなるほど作詞作曲能力が開花して、とんでもない名曲ばかりを作るようになります!
ポリスの最終作を聴けば「そりゃ~ソロでも成功するよね!」とうなずける内容です。
1stアルバムのみパンク・ロック風のアルバムでしたが、2作目以降はレゲェやダブの要素がプラスされた独自のロック・バンドへと変化していきます。
当時のポリスは、スティングのルックスの良さからアイドル的な人気もありました。
ちなみにレゲェはポリス以外にもザ・クラッシュにも影響を与えたように70年代に英国で流行っていたました。
当初曲作りのパターンに行き詰まっていたスティングにレゲェを教えたのはコープランドでした。
スティングの曲作りにレゲェの影響が出てきても、何でもそつなく演奏できる凄腕ギタリストのサマーズには何ら問題はありませんでした。
それどころか、レゲェ調の曲では通常使わないようなフランジャーを上手く合わせるなど、エフェクターでの音作りでも独自性を発揮します。
サマーズの使用エフェクターとして有名なのは、テープエコー(ディレイ)と、フランジャーにフェイザーです。
特にサマーズはディレイの使い方で後続のギタリストに実は大きな影響を与えています。
付点8分に設定された繰り返しの音をディレイで付け加えるギター・サウンドは、U2のジ・エッジにも影響を与えていると考えられます。
ジ・エッジ本人はディレイの使い方をパブリック・イメージ・リミテッドのキース・レヴィンから影響を受けたとも語ってはいましたが、おそらくサマーズのディレイの使い方からも大きな影響は受けているはずです。
あの当時、イギリス(及びアイルランド)に住んでいた音楽好きでポリスを聴いていないなんてあり得ないでしょうからね。
他には、アンディ・サマーズが「あの当時のパンク・バンドでフェイザーを使ったのは私が一番最初だよ。」といったことも語っています。
これに関しては、考察の余地があります。
なぜならパンク・バンドの代表でもあるセックス・ピストルズが1977年にリリースしたアルバム『Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex Pistols(勝手にしやがれ!!)』において、ギタリストのスティーヴ・ジョーンズがフェイザーのコントロールをゼロの状態にしてギターを弾いていたからです。
まぁ「どっちが先だから偉い!」とかは全くないのですが、荒々しくぶっきらぼうなイメージのあるパンク・ロック・バンドも実は様々なエフェクターを上手く使いこなしていたってのは事実です。
しかしこういったサマーズの多様性のあるエフェクターのサウンドが、トリオという少ない楽器隊の編成でも「スカスカにならない」サウンドを作り上げていました。
1977年から1986年と9年間の活動でしたが、ポリスはトリオ編成で出来るバンドの可能性を広げたことは間違いないです。
それでは今回もポリスのおすすめアルバムを5枚選んでランキング形式でご紹介します。
いつものようにベスト盤やライヴ盤にコンピレーション・アルバムは除きます。
…となると、実はポリスのスタジオ盤は5枚しか存在しないのですが、今回はその5枚を僕の好きな順番でランク付けしました。
まずは第5位からどうぞ。
ポリスのおすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介!
第5位:The Police – 『Zenyatta Mondatta』
第5位は、サマーズ自身も「あのアルバムはめちゃくちゃだった。出来ることなら取り直したい。」と後のインタビューで語った1980年の3作目『ゼニヤッタ・モンダッタ』です。
シングル・カットされた”Don’t Stand So Close to Me”と”De Do Do Do, De Da Da Da”の2曲こそライヴでの定番曲となりましたが…その他はパッとしない出来です。
デビューから2作目まではバンドとしての”挑戦”の時期でしたが、2ndアルバムのヒットで世界的に知られるバンドとなったためツアーに次ぐツアーでバンドは疲弊してしまいます。
そのツアーでもフロントマンのスティングやメインのメロディーを奏でるサマーズを差し置いて、まるで「俺が始めたバンドなんだから俺が一番目立っていいじゃないか!」と言わんばかりにコープランドの過剰なドラミングが幅を利かせます。
本来ならギターソロをバリバリ弾くことが出来るサマーズでしたが、彼は「バンド・サウンド」を大事にするギタリストだったのであえてギターソロは抑え、スティングの歌をサポートするためのリズム・ギターに徹していました。
なのにコープランドがドカバカとドラムを叩きすぎるため、2人は辟易してしまいます。
特にスティングとコープランドの軋轢が露骨なものになっていきます。
そんなツアー疲れの中での時間の足りなさや、スティングとコープランドの敵対心も相まって、この時期には既にバンドの状態は最悪でした。
シングル曲以外のレゲェ・トラックは前作の焼き増しのようで、サマーズが提供したおかしなメロディーのギターリフが反復する”Behind My Camel”に至ってはスティングとコープランドが共に「嫌いな曲」と公言する程でした。
シングル2曲のクオリティーの高さはさすがですが、それ以外は…凡作です。
第4位:The Police – 『Ghost in the Machine』
第4位は、1981年の4作目『Ghost in the Machine』です。
当初はトリオ編成でのギター演奏の可能性を追求していたサマーズが反対したにも関わらず、スティングがポリスの音楽性を広げると共に80年代に入り流行りのサウンドであったシンセサイザーを本作から大きくフィーチャーするようになります。
とは言え、当時は持っているだけでもホットなアイテムでもあったギター・シンセサイザーをサマーズは使いこなしてはいるんですがね…。
サマーズ作の”Omegaman”のソロで使われているのがローランドのGR-300を使用しています。
しかしサウンドの変化こそあれど、この時期からスティングの作曲の能力が大幅にアップしています!
シングル化された”Invisible Sun”に”Every Little Thing She Does Is Magic”に”Spirits in the Material World”、そして “Secret Journey”のクオリティーは高いです。
特に”Every Little Thing She Does Is Magic”は、全英1位を記録しており、ポリスの代表曲の1つへとなりました。
リリース前はサマーズはこの曲に自信が持てなかったようですが、スティングはヒットすることを確信していたようです。
こういったチャート入りする曲を見極めるセンスも、スティングがその後ソロ・アーティストとして成功できた秘訣でしょうね。
ちなみに”Demolition Man”は、スティングがジャマイカのシンガー・ソングライター、グレイス・ジョーンズに提供した曲です。
彼女が1981年にシングル・リリースした後に、5作目のアルバム『Nightclubbing』にも収録されました。
その曲をポリスでセルフ・カバーして収録しています。
ちなみにポリス・バージョンでサックスを吹いているのはスティング本人です。
プリミティヴなトリオ演奏は失われたアルバムでしたが、スティングのその後の躍進には必要な作品でした。
第3位:The Police – 『Outlandos d’Amour』
『Ghost in the Machine』ではプリミティヴな魅力はなくなっていましたが、デビュー作の『Outlandos d’Amour(アウトランドス・ダムール)』には荒々しいパワーで満ち溢れています!
当初は流行りのパンク・ロックをやろうとバンドを結成したコープランドの思惑が最も反映されたアルバムです。
とはいえ、ほとんどの曲をスティングが書いているので、「俺のバンド!」としたいのならコープランドはもっと作曲能力を磨くべきではありますがね…。
しかしさっそく本作からレゲェ風味は出ており、スティングにレゲェを進めたという面ではコープランドの貢献は大きいです。
そのおかげで今でもスティングがソロ活動でも度々演奏する名曲 “Roxanne”が誕生していますからね。
この曲と”Can’t Stand Losing You”と”So Lonely”の3曲はシングル・カットされた名曲です。
特に”Can’t Stand Losing You”はポリス流レゲェ・ロックの完成形とでも呼ぶべき名曲です。
また当時の流行りのパンク・ロックを真似した1曲目のアップ・テンポな “Next to You”では、他のパンク・バンドでは絶対にありえないようなスライドギターのソロをサマーズが弾いています。
他のパンク・バンドには失礼な言い方かもしれませんが…ポリスはパンク・ロックを演奏するには「あまりにも演奏が上手すぎる!」バンドでした。
なので本作以降はパンク度はどんどん下がっていきます。
スティングの作曲能力やサマーズの音響技術にコープランドの正確なドラミングは、パンク・ロックよりも、もっとサウンドに深みがあるアートなロックに向いています。
とはいえ、そんな技術力の高い3人があえて荒々しく演奏した本作は逆に魅力的でもあります。
第2位:The Police – 『Synchronicity』
第2位は、ポリス…というかスティングの恐ろしいほどの作詞作曲の才能が開花した『Synchronicity』です。
1983年にリリースされた5作目にしてラスト・アルバムとなった『Synchronicity』は、ポリスの音楽性が最も広がった名盤でもあります。
しかしながら、これをポリスと呼んでいいものかどうか…⁉
もはやスティングの才能に他の2人が置いて行かれています。
サマーズもコープランドも相変わらず演奏面での技術の高さでバンドに十分すぎるほどの貢献は出来ていますが、作詞作曲に関してはスティングが飛びぬけています!
シングル・カットさてた5曲、”Every Breath You Take”、”Wrapped Around Your Finger”、”King of Pain”、”Synchronicity I”、”Synchronicity II”はどれもスティング単独で書かれた曲です。
しかもどの曲もロックの歴史に残る名曲へとなっているのが恐ろしい程の才能です!
それどころかシングル化されていない”Walking in Your Footsteps”や”O My God”に”Tea in the Sahara”といった曲まで良曲なのは、もはや手に負えません。
もはやポリスの作品と言うよりもスティンの作品です。
サマーズやコープランドは、本人達が以前から懸念していたように「スティングのバック・バンド」化してしまっています。
でもギター好きの僕が個人的に言わせて貰えば、本作でのサマーズは演奏面では本当に素晴らしいです!
例えば”O My God”で聴くことが出来るサマーズの付点8分音符ディレイを使ったアンビエントなギターサウンドは、U2のジ・エッジに影響を与えているはずです。
直接ではなくっても、その後U2をプロデュースしたブライアン・イーノやダニエル・ラノワ辺りがこういったギターサウンドを聴いていたはずです。
この曲のギターサウンドは、U2の4thアルバム『The Unforgettable Fire』に収録されていた”Wire”や”Promenade”といった曲に影響を与えたように思えます。
また多くの人が大好きであろう全米No.1を記録した名曲中の名曲”Every Breath You Take”のサマーズのギターリフは名演です。
当初この曲を静かなバラードに仕上げようとしていたスティングに対し、コープランドは自身のドラムが目立つように派手なドラミングを提案しました。
ここでまた争いが起こっていた中、サマーズが間に入るとイラ立っていたスティングが「じゃぁお前がなんとかしてみろ!」と怒鳴ったらしいです。
そこで職人アンディ・サマーズの登場です!
なんと!あの名フレーズをサマーズは1テイクで撮り終えたとのこと!
サマーズの演奏後、周りにいたスタッフはあまりの素晴らしさにシーンとなっていたそうです。
サマーズがコントロール・ルームを出ると拍手喝采で迎えられたそうな。
このエピソードだけでも、いかにアンディ・サマーズというギタリストが音楽的に優れていたのかがわかりますね。
もちろん僕もこの曲のギターリフが大好きで、自分でもギターの音出しの際にしょっちゅう弾いています♪
他にも”Synchronicity II”におけるコードを崩したダブルストップ(2音フレーズ)のリフなども天才の閃きとしか思えない名演です。
ここであまり知られていない情報をぶっこみます!
“Synchronicity II”のシングル盤のアートワークは凄くかっこいいんです♪
なかなかシングル盤はみかけないですからね。
当時は俳優として映画にも出演していたスティングが、もはやイケメン・モデルのようですね。
さて、僕は本作を初めて聴いた時、サマーズ作のアバンギャルドな”Mother”が嫌いでした。
せっかくギターで良い演奏をして、スティングが名曲で固めてきたのに、なんでここでこんな変な曲を提供してるんだよ!と思っていました。
しかし色んな音楽を聴いた後にこの曲を再度聴いてみると…オルタナティブ・ロックではこういうのもありかな?むしろその後のオルタナの始祖とでも呼べそうな曲ではないのか⁉と思えるようになりました。
ただ…進んで聞きたい曲ではないですが。
第1位:The Police – 『Reggatta de Blanc』
1979年にリリースされた2ndアルバム『Reggatta de Blanc(白いレガッタ)』が僕が一番好きなポリスの作品です。
なんといっても先行シングルにも選ばれた”Message in a Bottle”から始まる流れが最高です♪
コードの横移動を同じパターンのアルペジオで弾くサマーズのこのギターリフは、アルバムの開幕に最も適したフレーズです。
ちなみにこの曲は、ジョン・メイヤーがライヴ盤『Any Given Thursday』にてアコースティック・ギターの弾き語りでカバーしていたりもします。
レゲェ風味のインスト曲”Reggatta de Blanc”では、コープランドの細かいドラミングにサマーズの付点8分ディレイを上手く使った空間に広がりのあるサウンドが堪りません。
1stアルバムを思い出させるパンキッシュな”It’s Alright for You”に、アルバムからの3rdシングルにも選ばれた”Bring On the Night”におけるサマーズの幻想的なアルペジオ…曲名のわりに明るい曲調の”Deathwish”とレコード時代のA面の流れは素晴らしいの一言です。
もちろんそれだけでなくB面の初っ端にこれまたポリスを代表する名曲の1つ、”Walking on the Moon”が収録されています。
この曲はアルバムからの2枚目のシングルに選ばれています。
レゲェ調のこの曲で「キャァァ~~~ン」と響くサマーズのあのギターの音色、初めて聴いた時僕はコーラスを使っているものだと勘違いしていました。
当時のサマーズへのインタビューを読んでみると、インタビュアーはみんな僕と同じようにコーラスだと思っていたようです。
しかしサマーズが自らネタ晴らしをしているのですが、これはエレクトロ・ハーモニクス社のフランジャー“Electric Mistress(エレクトリック・ミストレス)“を使って作ったようです。
ちなみに2023年にこの時期のアンディ・サマーズのフランジャーの音をモデリングしたエフェクター”Andy Summers Walking On The Moon”という製品もリリースされています。
このようにサマーズはエフェクター使いの名手でもあります。
さらに本作からの4枚目のシングルにはレゲェ・バラードの “The Bed’s Too Big Without You”が選ばれています。
『Synchronicity』は確かにポリスの5作品の中では最もクオリティーの高い最高傑作ではありましたが、しかしあの時期にはもはやスティングの能力が突出しすぎてソロ・アルバムのようになっていました。
そう考えるとまだ2作目だった本作『Reggatta de Blanc』は、ポリスというバンドが機能していたアルバムでした。
そういった理由もあって、僕はこの『Reggatta de Blanc』がポリスの作品の中で一番好きです。
第1位は、『Reggatta de Blanc』でした。
以上、【ポリスのおすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介!】でした。
ポリスは2007年に一度だけ再結成して、翌年2008年まで再結成ツアーを行いました。
その時の様子はライヴ盤『Certifiable: Live in Buenos Aires』としてリリースされています。
しかしスティングがソロ・アーティストとして大成功している限り、また再結成してポリス名義でアルバムをリリースしてくれることは限りなく可能性が低そうです…。
個人的にもスティングはソロ活動も好きなので、なんとも言えない気持ちなのですが…いつかちょっとした余裕があった時にポリス名義で再びツアーもしくはアルバムのリリースをして欲しいものです。
もしこれからポリスを聴いてみたいと考えている方は、このブログ記事を参考にポリスのアルバムを順番に聴いてみて下さい。
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