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カテゴリー:Music

2018/09/15

幻のトランペッター、ルイ・スミスがブルーノートレーベルに残した2枚の作品を聴こう!

アルフレッド・ライオンも愛した幻のトランペッター、ルイ・スミス

今回はブルーノートレーベルの創始者アルフレッド・ライオンにも愛された幻のトランペッター、ルイ・スミスが同レーベルに1957年と1958年に残した2枚の作品をご紹介します。

 

そのうち1枚の作品は元々はトランジション・レーベルの作品で、変名を使ってキャノンボール・アダレイが参加しています。

 

 

ミュージシャンよりも教職を選んだルイ・スミスというトランペッター

ルイ・スミスは、同じトランペッターのクリフォード・ブラウンやファッツ・ナヴァロに大きな影響を受けたトランペット奏者でした。

 

2人の偉大なるトランペターから大きな影響を受けているためか、その両方の良さを兼ね合わせたようなプレイをしていました。

 

1931年5月20日にテネシー州メンフィスに生まれたルイ・スミスは、あの若くして無くなった天才トランペッターのブッカー・リトルの従兄にあたります。

 

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そんなルイがトランペットを吹くきっかけになったのは、13歳の頃に通っていた学校で素人のジャズピアニストをしていた音楽教師の影響を受けてからです。

 

その後、ルイはテネシー州立大学やミシガン州立大学で楽理、ハーモニー、編曲などを学びます。

 

しかしジャズのアドリヴ演奏の仕方などは、レコードを聴いて独学で身につけたようです。

 

1954年になり2年間の兵役に就き、除隊後に南部のアトランタ高校の音楽教師になっています。

 

夜はジャズトランペッターとして活動をしていました。

 

この頃に同地へやってきたマイルス・デイヴィスにディジー・ガレスピーやクリフォード・ブラウンにリー・モーガンなどの偉大なトランペッターと共演もしています。

 

同じようにこの頃に名サックス奏者のキャノンボール・アダレイとも共演を果たしています。

 

そしてその頃の演奏を、トランジション・レーベルのオーナーだったトム・ウィルソンが気に入り、同レーベルで初の吹き込みを行うことになりました。

 

このトム・ウィルソンという人物は、後にボブ・ディランやサイモン&ガーファンクルなどをプロデュースして大成功を収めますが、この時代は不遇の時代でもあったようです。

 

彼のマイナー・レーベルだったトランジションもたったの4年で倒産しています。

 

ルイ・スミスがこの時、トランジション・レーベルに吹き込んだ初のリーダー作がブルーノートレーベルから発売された理由はそこにあります。

 

トランジション・レーベルが活動を停止したために、ルイの作品をブルーノートレーベルが買い取って発売することになりました。

 

そしてもう1枚、ブルーノートレーベルで吹き込みをしました。

 

しかしその後は1958年の夏までホレス・シルヴァーのクインテットに在籍しニューポート・ジャズフェスティバルにも出演しましたが、結局は元の音楽教師に専念することでジャズ界から身を引いてしまいます。

 

その後、約20年後の70年代になりスティープルチェイス・レーベルからいくつかの作品をリリースしますが、それも教師としての仕事を続けながらでした。

 

ルイ・スミスには、ニューヨーク・ジャズ界の熾烈な競争世界が肌に合わなかったようで、家族を養うために安定した収入が得られる音楽教師という職を選んだようです。

 

彼自身は一流の腕前を持ってはいましたが、ミュージシャンとして成功するには今も昔も「演奏技術」だけでは難しいですからね。

 

ルイ・スミスが自身の音楽活動に関してこう語っています。

 


 

「ブルーノートからアルバムをリリースしたのは良い思い出になっているけれども、それ以上のことでもそれ以下のことでもないと思っている。」

 


 

ルイ・スミスは自分自身がミュージシャンとして活動していくことよりも、若いプレイヤーたちに音楽を教えて彼らの才能を伸ばしていくことの方がより関心のあることだったみたいです。

 

さて、そんあルイ・スミスがブルーノートレーベルに残した作品は今回ご紹介する2作品あります。

 

当時の彼が私生活を優先したことは仕方の無いことだとは思いますが、しかし一ジャズファンとしてはなかなかの腕前を持ったトランペッターなのに少しもったいなくも感じたりします。

 

ぜひこのブログを通して多くの方に知ってもらいたいと思います。

 

 

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Louis Smith – 『Here Comes Louis Smith』

このアルバムが上記でもご紹介していましたトランジション・レーベルでルイ・スミスが吹き込んだ初リーダー作になります。

 

後にブルーノートレーベルが買い取ったためにブルーノートのカタログに載ることとなりました。

 

参加メンバーには、あのサックス奏者のキャノンボール・アダレイが”バックショット・ラ・ファンク”という変名で参加しています。

 

当時のキャノンボールはマーキュリー・レーベルとの専属契約を結んでいたためこのような変名を使ったようです。

 

他にはピアニストにデューク・ジョーダンとトミー・フラナガンがそれぞれ収録曲の半分ずつでピアノを弾いています。

 

ベースはダグ・ワトキンスでドラムはアート・テイラーが参加しています。

 

この時期のハード・バップ好きの方ならすぐに「おっ!」となるメンバーですよね。

 

僕はレッド・ガーランドの作品とか思い浮かびます。

 

なんしか参加メンバーに不足は一切無い一流のジャズマンが集まってルイ・スミスの初のリーダー作のお膳立てをしてくれています。

 

収録曲の全6曲中4曲はルイ・スミス作のオリジナル曲です。

 

1曲目の”Tribute To Brownie(ブラウニーに捧ぐ)“は、ピアニストのデューク・ピアソンがクリフォード・ブラウンに捧げて書いた曲になります。

 

この作品ではデューク・ピアソンではなくデューク・ジョーダンがピアノを弾いていますが…。

 

テーマの後にまずソロを吹くのはキャノンボールです。

 

相変わらずリズムに乗って聴きやすくってとてもわかりやすいメロディーラインを吹いています。

 

その後に決めフレーズをサックスとトランペットがユニゾンで吹きます。

 

続いてルイ・スミスのトランペットソロが始まります。

 

どこかクリフォード・ブラウンを彷彿とさせながら、キャノンボールの勢いに負けないような流麗なソロを展開しています。

 

そして三番手でデューク・ジョーダンも素晴らしいピアノソロを弾いています。アルバムの冒頭からこの作品が名作であることを決定づけてくれているかのようですね!

 

続くルイ・スミスの自作”Brill’s Blues”はブルージーなバラード曲です。

 

さすがにクリフォード・ブラウンの名演”Once In a While”には及びませんが、それでも温かく優しい音色は一級品です!

 

ただその後に続くキャノンボールが主役顔負けの素晴らしいソロを吹いていたりしますが…。

 

本当にキャノンボールのサックスは上手いですよね!

 

最後にデューク・ジョーダンの優雅なピアノソロも聴けます。

 

残りの4曲目のジャズスタンダード曲”Star Dust”以外の3曲はルイ・スミスの自作曲になります。

 

特にピアニストがトミー・フラナガンに変わって演奏される3曲目の”Ande”と6曲目の”Val’s Blues”の出来が素晴らしです。

 

“Ande”のイントロのトミー・フラナガンのピアノは必聴の優雅さです!

 

名盤の影にトミー・フラナガンの名前あり!

 

とはよく言ったもので、彼が参加することで楽曲がより洗練されていくのではないでしょうか⁉

 

1957年という時代の勢いのあるハード・バップを全編を通して聴くことのできる好盤だと思います。

 

 

ちなみにキャノンボール・アダレイが使った変名の”バックショット・ラ・ファンク”は、後にブランフォード・マルサリスのジャジー・ヒップホップバンドの「Buckshot Lefonque(バックショット・ルフォンク )」のヒントともなりました。

 

 

こちらも合わせておすすめです!…が、かなりヒップホップです。

 

 

Louis Smith – 『Smithville』

こちらのアルバムはブルーノートレーベルでの第二作目になりますが、正式にブルーノートで吹き込まれた作品だと考えたら唯一のブルーノートレーベルの作品だとも言えなくはありません。

 

というのは、先ほどの『Here Comes Louis Smith』は元はといえばトランジション・レーベルの作品なので、ニューヨークのどこかで録音されてはいるようですが、録音された場所がはっきりとはしていません。

 

対してこの『Smithville』は、ブルーノートでの正式な吹き込みですので、いつものニュージャージー州ハッケンサックにあるルディ・ヴァン・ゲルダーの実家スタジオにて録音されています。

 

そのためか音色が全く違っています。『Here Comes Louis Smith』の方が元気で溌剌とはしていますが、少し騒々しくも感じます。

 

しかしこちらの『Smithville』の方は、落ち着いた音色でマイルドな感触を聴くことが出来ます。

 

より温かみがあって聴き心地が良く感じます。

 

ジャズの「大人の雰囲気」を味わうには最適の音色なのではないでしょうか⁉

 

もちろん僕もこちらの『Smithville』の方が好みです。こちらの作品にはサックス奏者にチャーリー・ラウズが参加しています。

 

ジャズギター好きの僕としてはチャーリー・ラウズという名前を聴くと、どうしてもケニー・バレルの参加した『Bossa Nova Bacchanal』を思い出しますが、それはまた別の機会にでもこちらのブログで取り上げたいと思います。

 

他にはピアニストに、これまたアルフレッド・ライオンのお気に入りだったソニー・クラーク、ベーシストにポール・チェンバース、ドラムにアート・テイラーが参加して1958年の3月30日に録音されています。

 

収録曲の全5曲中、3曲がルイ・スミスのオリジナル曲です。

 

その他の2曲は有名なスタンダード曲です。

 

そのうちの1曲で本作の3曲目に収録されているジョージ・ガーシュイン作の”Embraceable You”は、ルイ・スミスが影響受けたクリフォード・ブラウンやファッツ・ナヴァロも取り上げています。

 

ルイ・スミスは彼らよりもテクニックで劣る反面、よりソフトな演奏で聴く人の耳に心地よい印象を残していきます。

 

もう1曲のカヴァー曲はあまりにも有名すぎるスタンダード曲の”There Will Never Be Another You”です。

 

さすがに名曲すぎるのでテーマメロディーは、よほど腕の悪い演奏者が吹かない限り素晴らしい演奏になりますね。

 

しかし先のアルバム『Here Comes Louis Smith』に参加していたキャノンボールのようにバリバリと勢いよくソロを吹くタイプではない落ち着いた演奏のチャーリー・ラウズは、ルイ・スミスと相性が良いように感じます。

 

それはこのカヴァー曲でのソロ回しで違和感を感じないからです。

 

キャノンボールの後にルイ・スミスが吹き始めると、どうしてもルイ・スミスの勢いがなくって違和感を感じてしまいました。

 

それがチャーリー・ラウズだとすんなりと聴くことが出来ます。ちなみにルイ・スミスの3曲の自作曲のうち2曲はアップテンポの楽しい曲調ですが、少しありきたりな曲に聴こえなくもないです。

 

その点、本作のタイトルトラックでもある1曲目の”Smithville”は落ち着いたスローテンポの曲で心地よく聴けます。

 

どこか哀愁を感じるような渋いテーマメロディーもかっこいいです!ポール・チェンバースのピチカート奏法によるイントロのベースラインから始まって、ルイ・スミスが単独でテーマを奏でます。

 

その後、ピアノが加わりブルージーなオブリガードをバックで弾いてくれています。

 

そして1分30秒を過ぎた辺りからサックスが絡んできて曲のテーマが完結します。

 

先にソロを吹くのはチャーリー・ラウズで、曲のハーモニーを崩さないようにメロディアスにソロを奏でます。

 

続いてルイ・スミスが同じように丁寧にメロディーを紡ぎ合わせていきます。名エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーのおかげか⁉

 

トランペットの微かなエコーの掛かり具合が耳に馴染みます。

 

トランペットのソロを聴いていてサスティーンがとても気持ち良いんです♪

 

そしてソニー・クラークのブルージーなピアノソロとポール・チェンバースのベースソロを挟んで曲のテーマに戻ります。

 

11分と長い曲にはなりますが、ゆったりとした心地よいグルーヴに身を任せているとあっという間に時間は過ぎていってしまいます。

 

やはりアルバムのタイトルにもなるこの曲が本盤のベストトラックといえるでしょう!

 

ぜひこの1曲を聴いてみて下さい。おすすめです。

 

 

 

 

以上、ブルーノートレーベルの創始者アルフレッド・ライオンにも愛された幻のトランペッター、ルイ・スミスが同レーベルに1957年と1958年に残した2枚の作品をご紹介しました。

 

正統派のジャズアルバムをこちらのブログで取り上げたのは久しぶりでしたね。

 

4つ前までの“MUSIC”のカテゴリー記事は、どれもジャズファンク系でしたからね。

 

それではまた次回もお楽しみに~♪

 

 

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