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カテゴリー:Music

2017/12/07

グラント・グリーンも参加したメアリー・ルー・ウィリアムスのおすすめアルバム『アンデスの黒いキリスト』

グラント・グリーンも参加したメアリー・ルー・ウィリアムスの作品『アンデスの黒いキリスト』

グラント・グリーンの貴重な参加作品

 

さて、僕はこのブログにもしょっちゅう登場するグラント・グリーンのマニアなんですが、グラントのリーダー作やサイドマンとしての参加作品は恐らく知っている限りでは全て持っているはずです。

 

まだ未発表だとか、どこにも情報が載っていないようなものは当然持ってはいませんが、公式でリリースされている分はほぼコンプリートしているはずです。

 

それに自身でギター演奏する際も、グラントのフレーズを弾くことも多々あります。(よくパクry……影響を受けています。笑)

 

一番好きなギタリストです。

 

 

 

このブログのGrant Greenの記事一覧

 

 

 

 

そんなグラントの参加作品で特に興味深いのが、ドド・グリーンの1962年のブルーノートレーベルのジャズ・ボーカル作品『My Hour Of Need』(今度別記事でご紹介予定です。)と、今回ご紹介するジャズ・ピアニストのメアリー・ルー・ウィリアムスの作品『アンデスの黒いキリスト』です。

 

どちらも女性ジャズ奏者なのがまた興味深いですね。

 

ちなみにメアリー・ルー・ウィリアムスは、なんと1910年生まれの古き時代のジャズ・ピアニストです。(1981年に亡くなっています。)

 

古い時代のピアニストなのに、思慮深く静謐な音色を弾く素晴らしいピアニストです。

 

なのでこのアルバムの聴き所は決してグラント・グリーンだけではありません!

 

 

“Black Christ Of The Andes(アンデスの黒いキリスト)”

Mary Lou Williams – “Black Christ Of The Andes”

01.Black Christ Of The Andes
02.It Ain’t Necessarily So
03.The Devil
04.Miss D.D.
05.Anima Christi
06.A Grand Nite For Swinging
07.My Blue Heaven
08.Dirge Blues
09.A Fungus Amungus
10.Praise The Lord

 

#6 to #8 recorded at Cue Studios, New York, November 19th, 1963.

 

All other tracks recorded at Nola Studios, New York, October 9th, 1963.

 

静謐なるゴスペル+ジャズの世界

 

この作品は、聖マルチノ・デ・ポレス(1579年ペルーのリマ生まれ-1639年)という修道者に捧げられたゴスペルクワイアのコーラス入りのコンセプトアルバムです。

 

そのため1曲目は、ほとんど男女のコーラスのみで曲が始まり、3分50秒を過ぎた頃にようやくメアリーのピアノが入ってきます。

 

続く2曲目はマイルス・デイヴィスもカヴァーしたジョージ・ガーシュウィンのミュージカル『ポーギーとベス』の挿入歌です。(あのジャズ・スタンダードとして有名になったSummertimeも元はと言えば同じくガーシュウィンの曲です。)

 

この”It Ain’t Necessarily So”に関してはグラントもリーダー作で名演を残していますのでそちらも併せてどうぞ。

 

 

グラントのバージョンは、3分40秒辺りから続くシーケンスフレーズの勢いが凄いです!

 

メアリーのこのアルバム収録のバージョンは、ピアノとウッドベースとドラムのトリオ編成で演奏しています。

 

決して音量が大きくなりすぎない控えめの音量で無駄のないフレージングでピアノを弾いています。

 

メアリーもマイルスやグラントと同じように「無駄な音を一切省いた的確なメロディーを美しく演奏」するミュージシャンです。

 

一音一音の音色が深いんですよね。

 

不必要な速弾きとか意味不明なアウトフレーズを弾かないので、初めて聴いた時の印象は少し薄いかもしれませんが、しかしよ~~~~く耳を澄ませてその音色に聴き入ってみて下さい。

 

派手な速弾きや、難解なアウトフレーズって初めて聴いた時のインパクトは大きくって驚きますが、何度も何度も繰り返し聴いているとはっきりいって飽きます。

 

テクニックに溺れる系の演奏って、「それ以上先……」がないんですよね。

 

なんていうか、感情に訴えかけるものはありません。

 

初見での驚きに全てを賭けています。

 

しかし、例えばマイルスやグラント・グリーンやケニー・バレルや、このメアリー・ルー・ウィリアムスのような演奏者は、一見して派手さはないけれども繰り返し聴けば聴くほどにその音色にズブズブとハマっていきます。

 

ある意味中毒性を持っているような魅力がそこにはあります。

 

彼らの演奏には、楽譜で記載できない『間』が存在しています。

 

無駄な音が一切なく、意味不明な難解なアウトフレーズも存在すらしていなくって、全てのソロフレーズを真似して口ずさめような美しいメロディーラインで構成されています。

 

正に「歌うように演奏する」のがこういった演奏者の魅力なんですね。

 

共通して言えるのが、彼らはテーマメロディを弾くのが凄く巧いです。

 

本当の楽器の巧さって、楽譜では表せないこういった演奏にあると感じます。

 

楽譜には記載できない「それ以上先……」が「ある」んですよ!

 

ブルースでいう所の、マディ・ウォーターズやB.B.キングなんかもこの部類の天才だと思います。

 

さて、続く3曲目は1曲目と同じようなゴスペルクワイアのコーラスで始まって、メアリーのピアノは2分33秒から登場します。

 

この時のフレージングはあまりにも美しい音色なんです。

 

4曲目はウッドベースの重厚なイントロから、一音一音を感情を込めて弾くピアノが徐々に音数を増やしていって曲が始まります。

 

少しアーマッド・ジャマルみたいな曲調だなって感じます。

 

『間』を活かした無駄の一切ない演奏です。

 

5曲目はやっとグラント・グリーンのご登場です!

 

ここまで書いていて、「まだグラント・グリーン出てきてないよね?」って感じだったんですが(笑)遂にご登場です!

 

グラントがこのアルバムのセッションに顔を出したのは1963年の10月8日のことです。

 

当時はブルーノートの専属ミュージシャンだったグラントが、別レーベルの吹込みに参加している貴重な音源です。

 

この5曲目と10曲目の2曲だけの参加なのですが、それでも聴きごたえのあるソロやオブリフレーズを弾いています。

 

5曲目の”Anima Christi”は、男性ボーカル+女性コーラスの歌ものです。

 

最初のヴァースではグラントは出てきませんが、2番目からあの特徴的なスタッカートを交えたオブリフレーズが入ってきます。

 

この曲ではギターソロというよりも、ボーカルのバックでオブリを入れるような形で、まるでブルースシンガーのバックでギターを弾くブルースギタリストのような感じです。

 

もともとグラントもゴスペルやブルースの影響を受けたジャズギタリストなのでこういった曲調はむしろグラントのお得意な曲調で、彼の真骨頂と言えるでしょう!

 

グラントは普段は自宅でマディ・ウォーターズとかを聴いていたようですからね。

 

続く6曲目の”A Grand Nite For Swinging”は僕の大好きな曲です。(グラントは参加してませんがね。笑)

 

ここではピアノトリオで演奏しています。

 

この曲については以前、このブログでもチラッと触れたんですがジャズ・ピアニストのビリー・テイラーがオリジナルの曲です。

 

 

 

久しぶりに見つけたフリージャズ系のCDとか

 

この曲は他にもローランド・カークやジャズ・ギタリストのマンデル・ロウなどが取り上げています。

 

テーマのメロディーがかっこいいその曲名通りにスウィングする名曲です。

 

メアリーもこの曲を気に入っていたのか後年もライヴで取り上げていたようです。

 

 

そして7曲目は少し明るめの曲調の”My Blue Heaven”です。

 

パーシー・ヒースのウォーキングベースが楽しい曲調です。

 

なんか雨上がりの日に聴きたくなるような粋な曲です。

 

8曲目は一転して重々しいブルース曲です。

 

楽しい曲調の次は重い曲調で、明暗を分けています。

 

まるで人間の人生のようですね。

 

良い時もあれば苦しい時もある……という感じがこの7曲目と8曲目の対比に感じられます。

 

9曲目はメアリーによるピアノの独奏です。

 

キース・ジャレットみたいですね。

 

さて、最後の10曲目は、このアルバムのもう1曲のグラント・グリーン参加曲です。

 

軽快なスウィング曲なのですが、まるで街を練り歩く聖者の行進ってイメージです。

 

ボーカルというかMCが入っています。

 

グラントはこの曲でもギターソロというよりもバックでオブリを自由に弾きまくるって感じです。

 

ギターがアドリヴでコーラスに合わせて盛り上がっていきます。

 

グラントのいつものブルーススケールでのお決まりの手癖フレーズ満載なんですよね。(笑)

 

そういったとこも分かりやすくって良いです♪(笑)

 

以上、グラント・グリーンが参加した貴重な音源でした。

 

ゴスペルに生まれ、ブルースに育ち、ジャズに生き、ジャズファンクで死んだグラント・グリーンでした。

 

単なるジャズアルバムとしてだけでなく、ゴスペル+ほんのちょっぴりブルース+多めのジャズって感じのハイブリッド・アルバムとして聴いてみても良いかと思います。

 

 

お勧めです♪

 

 

 

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