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カテゴリー:Music

2018/11/26

どことなくクールなジャズファンク盤レオン・スペンサーの『ルイジアナ・スリム』を聴こう♪

Jazz Funkおすすめの名盤探訪シリーズ!

今回ご紹介するのは、60年代後半から70年代前半頃にプレスティッジ・レーベルに所属していたテキサス州出身のオルガン奏者レオン・スペンサーの作品です。

 

プレスティッジ・レーベルというのは、ジャズの名門ブルーノート・レーベルと並んでオルガンジャズ系の名作を多くリリースしているレーベルなんです。

 

そのレオン・スペンサーが1971年にリリースしたどことなくクールなジャズファンク盤『ルイジアナ・スリム』をご紹介します。

 

Leon Spencer – 『Louisiana Slim』

01.Louisiana Slim
02.Mercy Mercy Me
03.(They Long To Be) Close To You
04.Our Love Will Never Die
05.The Trouble With Love

 

Personnel:
Leon Spencer, Jr. – Organ
Grover Washington, Jr. – Tenor Saxophone, Flute
Virgil Jones – Trumpet
Melvin Sparks – Guitar
Idris Muhammad – Drums
Buddy Caldwell – Congas

 

Recorded: in Englewood Cliffs, NJ, July 7, 1971.

 

アルバム参加メンバー

今回ご紹介するこのアルバムも僕の好きなミュージシャンばかりが参加しているおすすめの作品になります。

 

特に個人的には、こういったオルガン系ジャズファンクの作品に参加するようなギタリストがとても好きです。

この時代のジャズファンク作品はついつい集めたくなるものです。
ちなみにこの作品には、僕がグラント・グリーンに次いで好きなギタリストのメルヴィン・スパークスが参加しているんです!

 

メルヴィン・スパークスは、この時代のオルガン系ジャズファンク作品で名盤と呼ばれるようなアルバムに数多く参加しています。

 

一応僕のこのブログのタグで”Melvin Sparks”というタグを作っていますので、今作のようなサイドマンで参加した作品なども検索できるようにしています。

 

 

 

ブログタグ:”Melvin Sparks”

 

 

 

メルヴィン・スパークスがサイドマンで参加した作品なども今後更にこちらのブログで取り扱っていきますので、ぜひまた読みにきて下さい。

 

そして本作のサックス奏者は、セッションでも定番曲となった”Just The Two Of Us”を収録した名盤『Winelight』で有名なグローバー・ワシントンJr.が参加しています。

 

今でこそフュージョン界をリードするサックス奏者のイメージが強いグローバー・ワシントンJr.ではありますが、この時期にいくつかのジャズファンク系のリーダー作を残しています。

 

その辺の作品に関しましても、今後このブログで取り上げていきますのでお楽しみにしていて下さい。

 

グローバー・ワシントンJr.だけでなくハンク・クロフォードなんかのジャズファンク盤も良作だらけですからね♪

 

トランペット奏者には、これまたこの時期のジャズファンク作品の名作の多くに参加していたヴァージル・ジョーンズが参加しています。

 

ちなみにヴァージルは、日本でアシッドジャズ/ジャズファンク・ムーヴメントが起こった時代に、バーナード・パーディをリーダーにしたバンドで来日しています。

 

その時の1993年7月渋谷On-Air Tokyoのライヴは、『Coolin”N Groovin’ 』としてDVD作品かされていますので要チェックです!

 

 

本作のドラムは、これまたこういったジャズファンク作品の多くに参加している名手アイドリス・ムハマッドが登場です!

 

もはや彼の名前が載っているジャズファンク作品なら傑作に間違いない!…と、早とちりしてしまいそうなぐらいジャズファンクの名盤には彼の名前が記載されていることが多いです。

 

そしてコンガには、この時期のプレスティッジ作品でちょくちょく見かけるバディ・コールドウェルが参加しています。

 

つい先日このブログでご紹介していたヒューストン・パーソンのジャズファンク盤『Goodness!』にもバディ・コールドウェルが参加していましたね。

 

ヒューストン・パーソンのジャズファンク盤『Goodness!』

やはりどうしてもこの辺のジャンルの作品には、同じようなサイドマンの顔ぶれが揃っているんです。

 

しかしそれが逆に初めて購入する作品でも、「このメンバーなら演奏面は間違いないな!」と思わせてくれる保険にもなっています。

 

それでは、参加メンバーも間違いなし!な名盤『Louisiana Slim』の収録曲を見ていきましょう!

 

アルバムの内容

1曲目の名曲”Louisiana Slim”は、レオン・スペンサー自身の作曲です。

 

まるでアメリカ南部のウダるような真夏の暑さの中で聴いたらしっくりくるんじゃないかな?といった雰囲気です。

 

ミドルテンポで怪しげなコードをオルガンとドラムが奏でる中、サックスとトランペットの2管がテーマメロディーを奏でます。

 

そして曲名にある「ルイジアナ」州ニューオーリンズ出身のアイドリス・ムハマッドがネチっこくシンコペートするドラムビートを提供してくれています。

 

ネチっこいビートの曲なのに、どこかクールな感触がするのはレオン・スペンサーのオシャレな作曲能力によるものだと感じます。

 

テーマが終わると、グローバー・ワシントンJr.のサックスソロが始まります。

ワンコーラスのみの短いアドリヴではありますが、さすがの腕前です!
一切のノイズを排除したような、とてもクリアーな音で吹いています!

 

次に続くのはヴァージル・ジョーンズのトランペットソロです。

 

こちらはまるでルイジアナ州ニューオーリンズ出身のルイ・アームストロング(サッチモ)を彷彿させるような感触です。

 

3分2秒の部分で音が濁るところがまるでサッチモですね!

 

そしてメルヴィン・スパークスのギターソロが始まります。

 

いつもはクリーントーンの綺麗な音でギターを弾くメルヴィンなのですが、この作品では少しクランチ気味に音が歪んでいます。

 

ルイジアナとうことで、ブルースギターのクランチなトーンを意識したのでしょうか?

ギターソロもいつも以上にブルージーです♪
クロマチックで展開する速いフレージングも挟みつつ、クォーター・チョーキングで更にブルース度を増したブルーノート音を演出しています。

 

また4分24秒から始まる「スウィープ奏法の連続フレーズ」があるのですが、実はこの時期のジャズファンク系ギタリストの多くが多用していたフレーズなんです。

 

おそらく僕の考えでは、元はと言えばグラント・グリーンがやっていたのを、その弟子のようなジョージ・ベンソンが真似をして…更に後続のミュージシャンが真似をし始めたのかな?と思っています。

 

僕もジョージ・ベンソンのギタープレイが大好きなのですが、やはりベンソンから影響を受けたギタリストは数多くいます。

 

このメルヴィン・スパークスも、もちろんベンソンから影響を受けています。

 

どうしてもベンソンは知名度が高いので、「ベンソンからの影響」となってしまいますが…本当はグラント・グリーンがもっと昔に演奏していたりします。

 

ベンソンもグラント・グリーンから影響を受けています。

 

グラントの息子のグレッグ・グリーンの回想によると当時は、「先輩グラント・グリーンと後輩ジョージ・ベンソン」の2人でよく連んでいたようです。

 

そう言ったわけで、グラントとベンソンからの影響でこの時期のギタリストの多くが同じようなフレーズを弾いていたと僕は考えています。

 

ちなみにこのフレージングは、当時のエリック・ゲイルや、ベンソンのバンドでベースも担当していたフィル・アップチャーチなんかのソウル系のギタリストも多用しています。

 

エリック・ゲイルは、その後のStuff時代とこの時期とでは少し演奏スタイルが変わっています。

 

Stuff時代には、B.B.キング風のチョーキングを多用したスタイルで弾くことが多かったですが、この時期のジャズファンク系の作品では上記の「スウィープ奏法の連続フレーズ」を弾いているソロがいくつか見られます。

 

例えば、ジョニー・ハモンドの1971年の作品『Breakout』の1曲目でキャロル・キングのカヴァー曲”It’s Too Late”のソロや…

 

 

スタンリー・タレンタインの1971年の作品『Salt Song』の1曲目”Gibraltar”なんかのギターソロで聴くことが出来ます。

 

 

どちらのアルバムも1971年のCTI(KUDO)レーベルの作品になります。

 

ジョージ・ベンソンもこのレーベルから数多くのリーダー作をリリースしたり、サイドマンとしても活躍しています。

 

そういった関係もってこの時期のエリック・ゲイルのギタースタイルも似たような形になっているのかな~って思ったりもします。

 

まぁギタリスト以外にはどうでも良い話かもしれないのですが、僕個人としてはこういったことを考えるのが楽しくて仕方ありません。

 

このブログの音楽作品のご紹介は、なるべく他の作品とのリンク付けをしてご紹介していければ…と思っております。

 

ちなみにこの”Louisiana Slim”という曲をザ・ニュー・マスターサウンズのギタリストのエディー・ロバーツが2011年~2012年のソロライヴでよく取り上げていました。

 

エディー・ロバーツは、この年代のジャズファンクのことが本当に好きなんですね♪

 

さて、続きに戻りましょう。

 

ギターソロが終わると、ようやく最後に本作のリーダーであるレオン・スペンサーのオルガンソロが始まります。

 

弾き始めこそブルージーなフレーズで始めていますが、5分34秒辺りからまるでグラント・グリーンのような執拗なシーケンス・フレーズが始まります!

 

これでもか!っていうほど同じフレーズを延々繰り返してから、再度マイナー・ペンタトニック系のブルージーなフレーズに戻ります。

 

本作のリーダーなので他のメンバーよりも長めにアドリヴを弾いています。

 

オルガンソロが終わると、テーマに戻りオルガンと管楽器のコール&レスポンスに展開していき曲がフェードアウトします。

 

10分15秒と長尺な1曲目が終了すると、お次は有名R&B曲”Mercy Mercy Me”が始まります。

 

もちろんマーヴィン・ゲイの『What’s Goin’ On』に収録されていた名曲中の名曲です♪

 

 

セッションでもお馴染みのこの曲は、。本作収録のバージョンのように歌なしのインストで演奏されることも多いですね。

 

曲の方は説明の必要がないぐらいの名曲ですね。

 

歌メロのテーマ部分をオルガンが弾いて、バックの管楽器陣が盛り上げ役を務めています。

 

ギターは終始カッティングに専念しています。

 

ソロもサックスが吹いた後は、オルガンが長めに弾いて曲が終わります。

 

演奏陣のレベルも高いので文句なしの名演となっています♪

 

3曲目の”(They Long To Be) Close To You(遙かなる影)”は、バート・バカラックの書いた有名曲ですね。

 

ディオンヌ・ワーウィックやダスティ・スプリングフィールドがにダイアナ・ロスなど錚々たる面子がこの曲を取り上げていますが、やはり一番有名なのは、カーペンターズのバージョンですよね。

 

1970年のアルバム『Close To You(遙かなる影)』の6曲目に収録されています。

 

 

僕も歌モノではカレン・カーペンターが歌ったバージョンが一番好きです♪

 

この名曲中の名曲をレオン・スペンサーがオルガンで奏でます。

 

そもそもが名曲ですからね…それを演奏技術の高い人たちがインストでカヴァーするんですから悪くなりようがないです!

 

ファーストソロは、メルヴィン・スパークスのギターが弾き始めます。

 

この人は本当に多彩で、ブルージー一辺倒だけでなくってこういったポップス系の曲だとちゃんとコードトーンのツボを押さえたメロディアスな演奏が出来るんですよね。

 

だからこそ色んな作品に引っ張りだこだったんでしょう。

 

本当に上手いです!

 

その後はリーダーのレオン・スペンサーのオルガンソロに突入します。

 

長めのオルガンソロが終了すると、テーマに戻るのですがこれが少し面白くって…4分29秒辺りで上手い具合に「線~路は続く~よ♪ど~こま~でも~♪」を織り交ぜて弾いています。

 

こういった他の曲のメロディーを曲間に挟むのは、力量のあるミュージシャンの定番ですね。

 

僕も多くのプロミュージシャンの方々のライヴを観に行っていますが、腕の良いミュージシャンは必ずと言って良いほどこういった遊びを曲間に挟んで余裕を見せてくれています。

 

遊び心があって聴いている方も面白いですね♪

 

さて、そんな大名曲2曲が続いた後に違和感なくレオン・スペンサーの作曲した2曲が続きます。

 

4曲目のボサ・ノヴァ風味の”Our Love Will Never Die”は、僕の中でのベストトラックです♪

 

アントニオ・カルロス・ジョビンの姿が浮かんでくるような素晴らしい名曲です♪

 

ゆったりとした心地良いリムショットとコンガのリズムが堪りません♪

 

そこにオルガンとグローバー・ワシントンJr.が吹く優しい音色のフルートが混じり合います。

 

その美しいハーモニーと、心地良いリズムのゆったり感に身を任せましょう

 

テーマが終わるとギターソロが始まります。

 

ブルージーな1曲目、ポップスな3曲目とはまた変わって、今度はまるでジョージ・ベンソン!なジャズギターのお出ましです!

 

次に続くのは、グローバー・ワシントンJr.のフルートソロです。

 

ボサ・ノヴァ風の曲調にピッタリの音色とフレージングで美しいアドリヴを聴かせてくれています。

 

最後は軽快オルガンソロが続いて、テーマに戻ります。

 

10分20秒とかなり長い曲ですが、とても素晴らしい曲なのでダルさを感じさせません。

 

先の2曲の有名カヴァー曲に負けず劣らずの名曲でした!

 

そして最後の5曲目”The Trouble With Love”もレオン・スペンサーのオリジナル曲です。

 

まるで古き良き時代のスウィンギン・ブルースで本作を締めくくります!

 

オルガンのテーマメロディーにソウルフルに絡む管楽器隊が良い味を出しています♪

 

まずはサックスソロから始まります。

 

短めのサックスソロが終了すると、最後のテーマに戻るまでリーダーのレオン・スペンサーの長尺オルガンソロが始まります。

 

オシャレなフレーズを多用してこのアルバムはフィナーレを迎えます。

 

 

以上、全5曲収録のジャズファンク名盤『Louisiana Slim』のご紹介でした。

 

“Mercy Mercy Me”や”(They Long To Be) Close To You”といった洋楽好きなら誰しもが知るような有名曲の中に3曲の自作曲が混じっていますが、全く違和感のないところにレオン・スペンサーの作曲能力の高さが窺えます。

 

参加メンバーの演奏技術も高く、そして収録曲の質も高い名盤ですので、僕がこのブログでいつもご紹介しているようなオルガン系ジャズファンクを好きな方におすすめの作品となっております♪

 

また今後もこういったジャンルの作品を多く取り上げてきますので、ぜひ今後ともこのブログをよろしくお願いいたします。

 

このブログを通して、1人でも多くの方に僕の好きな音楽をご紹介していき、共通の趣味を持つ人が増えてくれたら本当に嬉しいことです。

 

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