2019/11/02
ジョンスコが本格的ニューオーリンズ音楽に挑戦した2009年のおすすめ作品『Piety Street』を聴こう♪
ジョン・スコフィールドが本格的にニューオーリンズ音楽に挑戦したアルバム『Piety Street』をご紹介します。
以前ご紹介していたジョン・スコフィールド(以降:ジョンスコ)が2007年にリリースしたアルバム『This Meets That』の次の作品を今回はご紹介します。
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今回ご紹介するのは、ジョンスコが2009年に本格的にニューオーリンズ音楽に挑戦したアルバム『Piety Street』です。
John Scofield – 『Piety Street』
01.That’s Enough
02.Motherless Child
03.It’s A Big Army
04.His Eye Is On The Sparrow
05.Something’s Got A Hold On Me
06.The Old Ship Of Zion
07.Ninety Nine And A Half
08.Just A Little While To Stay Here
09.Never Turn Back
10.Walk With Me
11.But I Like The Message
12.The Angel Of Death
13.I’ll Fly Away
アルバムの内容
2009年にリリースされた本作『Piety Street』には、ミーターズのベーシストで有名なジョージ・ポーターjr.やジョン・クリアリー等ニューオーリンズ音楽に関係するミュージシャンが参加して制作されています。
もちろん録音もニューオーリンズにある『パイエティー・ストリード・スタジオ』で行われています。
なので同地でしか作り出すことが出来ないような陽気な雰囲気ごとアルバムに吹き込まれているかのような楽しさが伝わってくる作品です♪
ちなみに”piety(パイエティー)“とは、「信心深さ」の意味です。
アルバムタイトルのテーマに沿ってか、本作はゴスペルの曲を多めに取り上げています。
本作はギタリストのジョンスコがリーダーのアルバムなのですが、今回は他のジョンスコのアルバムと違って「歌モノ作品」に仕上がっています。
ほとんどの曲を歌うのは、もとはイギリス出身でニューオーリンズに移住したシンガー兼ピアニストのジョン・クリアリーが歌っています。
なので所々で「あれ?これってジョン・クリアリーのアルバムだったっけ?」と勘違いしてしまいそうになります。
リードを歌うのはジョン・クリアリーだけでなく、数曲でニューオーリンズ出身のジャズシンガー、ジョン・ブッテが歌っていたり、インスト曲もあります。
さて、ジョンスコ自体は80年代にもミーターズの”Cissy Strut”をカヴァーしていたり、1995年のアルバム『Groove Elation』でもニューオーリンズ音楽のリズムを取り入れたりしていました。
ジョン・スコフィールドのグルーヴィーな作品『Groove Elation』を聴こう!
そしてついに本作で本格的なニューオーリンズ音楽を制作したことになります。
アルバムはジョン・クリアリー自身が弾く陽気なピアノのイントロに導かれ、1曲目” That’s Enough”から始まります。
女性ゴスペル歌手ドロシー・ラブ・コーツが歌ったR&B調のゴスペル曲で、ジョン・クリアリー自身が歌っています。
ジョンスコのギターもイントロから登場して、いつものアイバニーズのセミアコのリア・ピックアップを使ったあの音でバッキングやソロも弾いています。
80年代の緊張感漂うテクニカルなフュージョン作品群と比べると、肩の力が抜けたような緩~~い演奏に変化しています。
でもこういったニューオーリンズ独特の音楽がお好きな方には堪らない緩さだと思います。
2曲目” Motherless Child”は、エリック・クラプトンが1974年の名作『461 Ocean Boulevard』で取り上げていた曲です。
正しくは”Sometimes I Feel Like a Motherless Child”という曲名になります。
この曲もニューオーリンズ風のR&B調にアレンジして、ジョン・クリアリーが歌っています。
3曲目の” It’s A Big Army”は、なんとジョンスコのオリジナルの歌詞付きの曲です。
まるでレイ・チャールズの歌いそうな曲ですね♪
ジョンスコは本作の2つ前にレイ・チャールズののトリビュート作も制作しているぐらいですので、やはり好きなんでしょうね。
ジョンスコがレイ・チャールズをトリビュートした企画盤『That’s What I Say』を聴こう♪
4曲目”His Eye Is On The Sparrow”は、チャールズ・ゲイブリルが1905年に書いた「一羽の雀」の邦題で知られるゴスペル賛美歌です。
ここまでの4曲はジョン・クリアリーがリードを歌っていましたが、5曲目の”Something’s Got A Hold On Me”と6曲目の”The Old Ship Of Zion”の2曲はジョン・ブッテがメインで歌っています。
ちなみに”Something’s Got A Hold On Me”はゴスペルシンガーのジェームズ・クリーブランド牧師の曲で、”The Old Ship Of Zion”はトーマス・ドーシーのブルージーな曲です。
“Something’s Got A Hold On Me”でジョンスコはコーラスエフェクターを使ってバッキングを弾き、ソロではエクスプレッションペダルをオンにしてロボットの声みたいなサウンドで弾いています。
7曲目”Ninety Nine And A Half”は、1曲目と同じくドロシー・ラブ・コーツが歌ったR&B調のゴスペル曲です。
再びメインボーカルをジョン・クリアリーが務めています。
8曲目”Just A Little While To Stay Here”は、これまたゴスペル音楽家でもあったユージーン・モンロー・バートレットが書いた曲で、女性ゴスペル歌手のマヘリア・ジャクソンが歌ったのが有名です。
9曲目”Never Turn Back”は再びトーマス・ドーシーの曲でジョン・ブッテがメインで歌っています。
ジョン・クリアリーがオルガンを弾き、ジョンスコは16ビートのファンキーなカッティングを弾いています。
10曲目”Walk With Me”は、ゴスペルのトラディショナルで、ジョン・クリアリーが歌います。
その次の11曲目”But I Like The Message”はジョンスコの自作曲で、歌なしのインスト曲です。
ここではジョン・クリアリーはピアノ演奏に徹しています。
12曲目”The Angel Of Death”は、カントリーシンガーのハンク・ウィリアムの曲で、ジョン・クリアリーが歌っています。
ジョンスコのトレモロエフェクターを使ったギターの揺れたサウンドが、アメリカの広大な景色を思い起こさせます。
アルバム最期の13曲目”I’ll Fly Away”は、アルバート・E・ブラムリーが書いたゴスペル定番曲です。
数多くのミュージシャンに取り上げられた「ゴスペルと言えばこの曲!」と言えるような代表曲のひとつですね。
アルバム最期はジョンスコが主役のギターインストで演奏されています。
ちなみにジョン・クリアリーがピアノではなくギターでバッキングを弾きながら歌っています。
以上、【ジョンスコが本格的ニューオーリンズ音楽に挑戦した2009年のおすすめ作品『Piety Street』を聴こう♪】でした。
80年代とは違った緩く陽気なジョンスコを聴くことが出来るアルバムです。
もちろんゴスペルやニューオーリンズ音楽好きの方にもおすすめのアルバムです♪
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