2018/07/20
ジョン・スコフィールドのグルーヴィーな作品『Groove Elation』を聴こう!
John Scofield – 『Groove Elation』
01.Lazy
02.Peculiar
03.Let The Cat Out
04.Kool
05.Old Soul
06.Groove Elation
07.Carlos
08.Soft Shoe
09.Let It Shine
10.Bigtop
前回ご紹介していたラリー・カールトンと同じく70年以降半からフュージョン系のギタリストとして作品をリリースし続けているギタリストのジョン・スコフィールド(以降:ジョンスコ)です。
なんとなくなんですが、僕はこの2人を似ているようで相反するような存在だと感じたります。
2人ともセミアコのギターを使用していますが、ラリー・カールトンが王道のギブソンES-335なのに対してジョンスコはアイバニーズのJSM10を使用しています。
シェイプが少し似ているけれども、全く別のギターです。
お互い様々なエフェクターを使用していますが、控えめに音を代えたりするのがラリー・カールトンで、ジョンスコはワーミーペダルなどを使用して派手に音を変化させたりします。
メロディアスで誰の耳にも聴こえの良いフレーズを弾くラリー・カールトンと比べ、ジョンスコはホールトーン・スケールを多用したアウトフレーズを弾きす。
あえて音を外しているのですが、もしかしたら人によっては下手に聴こえるかもしれません!?
そして2人とも自分たちのリーダー作だけでなく数多くのミュージシャンの作品に客演しています。
ただしジョンスコは、あのマイルス・デイヴィス・バンドに在籍していたので、その辺はラリー・カールトンよりも凄いなって感じます。
またブルースからの影響がわかりやすいラリー・カールトンだけでなく、ジョンスコもブルースからの影響を強く受けています。
ジョンスコもラリー・カールトンと同じくB.B.キングから大きな影響を受けています。
これは本人がインタビューで答えていました。
ちなみにマイルスが自身のバンドにジョンスコを入れた理由も、よりブルージーなサウンドを求めてだったらしいです。
そして最大の似ている特長は、2人とも70年代はロン毛でしたが、その後みるみる内に毛髪が薄くなっちゃいました!!!!
まぁ最後のはしょうもない冗談なんですが、しかしどこか似ている部分もある2人のギタリストです。
ところで僕は、どちらかって言うとジョンスコの方が好きです。
その理由は、正統派なフュージョン作品を作ることの多いラリー・カールトンに対して、ジョンスコの方は多彩な作品を制作しているからです。
最近でもスタンダードなジャズをやったと思えば、フュージョンぽいのもやったり、ニューオーリンズ音楽やカントリーをテーマに作品を作ったり、ビッグバンドを取り入れたり…などなど様々です。
そして僕が一番好きなジョンスコの取り上げるテーマは、ジャズファンク系です。
ジャムバンドとも呼ばれますが、ファンキーなバックの演奏の上でアドリヴ中心の長尺ギターソロを弾いたりする音楽です。
特に90年代はそういったアルバムが多数ありました。
当時は若手のジャムバンドのメデスキ、マーチン&ウッドに目を付けて、彼らをバックバンドとして作品を制作したりしています。
後にジョンスコがバンドに参加してメデスキ、スコフィールド、マーチン&ウッドとしても3作品リリースしています。
また2000年代からはウーバージャム・バンドというファンキーなユニットでの活動もしばしば行っています。
そんなジャムバンド系の走りとなる様な作品が今回ご紹介する1995年リリースの作品『Groove Elation』です。
ギターのヘッドに絡みつくタンバリンの写真、アルバムタイトルも『Groove Elation』と、この作品がリズムに焦点を当てて制作されているんだなと感じ取れます。
ちなみに”Elation”は「意気揚々」という意味です。
アルバムの内容
まずドラムに、70年代にジャズファンクの数多くの名盤に参加していたアイドリス・ムハマドが参加しています。
このアイドリス・ムハマドの参加がこのアルバムのリズム的特長になっていると思います。
アイドリス・ムハマドは、ニューオーリンズ出身なのでその地のドラマー特有の叩き方をします。
1曲目の”Lazy”は、曲名通りに気だるい感じの曲調です。
ジョンスコのアコギで始まります。
テーマはキーボードが弾いています。
バックでグルーヴを維持するドラムのビートが印象的です。
途中から穏やかなホーン隊が入ってきて曲を盛り上げます。
ギターソロは、ほんの少しだけアコギで弾いて終わります。
2曲目の”Peculiar”は、後にビッグバンドとの共演アルバムでも再演していたニューオーリンズのセカンドラインを取り入れたような曲調です。
チューバとドラムのイントロから始まって、ジョンスコのギターがオルガンとユニゾンでテーマを奏でます。
ミュート・トランペットも入ってきて曲が盛り上がっていきます。
街を練り歩くセカンドラインの行列の様にチューバがバックでステップし続けています。
そのビートに乗せてジョンスコのアウトフレーズ満載の不思議なギターソロが展開されていきます!
素晴らしい曲です♪
3曲目のシャッフル曲”Let The Cat Out”を挟んで、派手なホーンのイントロがかっこいい4曲目の”Kool”に突入します!
まるでスタントン・ムーアの在籍する現代風ニューオーリンズ・ファンクバンドのギャラクティック が演奏しそうな曲調です。
このアルバムのハイライトと言える曲です。
ジョンスコのギターソロも、ラリー・ゴールディングスのオルガンソロも冴えわたっています!
5曲目の”Old Soul”は、再度ジョンスコのアコギが聴けます。
どうしてもアコギになるとゆったりとした曲調になりますが、さっきの曲が派手だったのでここは休憩ですね。
次の6曲目のタイトル曲”Groove Elation”は、ベースのイントロから始まって、ギターとオルガンのユニゾンのテーマに移ります。
ホーン隊抜きのシンプルなオルガン・カルテットで演奏される曲です。
7曲目の”Carlos”は、ジョンスコの不思議な音色のチョーキングから曲が始まります。
この曲でもホーン隊抜きでシンプルに演奏しています。
8曲目の”Soft Shoe”は、ホーン隊が控えめにですが参加しています。
あまり派手なホーンばかりでは聴いている方も疲れてしまうので、アルバムの終盤になってくるとこれぐらいの方がちょうどいいですね。
この曲ではオルガンではなくピアノでソロを弾いています。
9曲目の”Let It Shine”もオルガンではなくピアノです。
パーカッションが参加していて楽しい雰囲気の曲調です♪
どことなくジョンスコのギターソロも意気揚々としています!?
最後の曲の”Bigtop”は、重めのベースのイントロからギターとオルガンのユニゾンでテーマが始まります。
その後、チューバやトランペットなどの管楽器が徐々に入ってきます。
全体的に盛り上がりを見せつつも、どこか抑制したようにリズムを落ち着かせてジワジワと念術のように聴かせていく曲調がクセになります。
オルガン・カルテットだけの演奏曲も数曲ありますが、やはりホーン隊が参加している曲の方が印象に残ります。
あくまで主役はギターとオルガンで、ホーン隊はアンサンブルの一部分といった、僕の好きな感じのジャズファンクな特長も兼ね備えたアルバムです。
もちろん僕はジョンスコのアルバムの中でも1,2を争うぐらい好きな作品です。
だからこのブログでの初めてのジョンスコ単独記事は、この『Groove Elation』にしました!
僕がこのブログでおすすめしている様なジャズファンクがお好きな方はきっと気に入って頂けると思います。
おすすめです!
他に関連するお勧め記事
ジャズ・ファンク系アルバムのブログ記事まとめ!
デスキ、スコフィールド、マーティン&ウッドのデビュー作『Out Louder』を聴こう♪
変則8弦ギタリストのチャーリー・ハンターが参加していた異色のジャム・バンド『T.J.カーク』を聴こう♪
※このブログに掲載しているイラストや写真、テキスト等の無断引用・無断借用・無断転載・無断使用は固くお断りしております。ご利用はご遠慮ください。