
2018/12/18
ミート・パペッツの1994年の名作『Too High To Die』を聴こう♪
ミート・パペッツの1994年の名作『Too High To Die』をご紹介します!
ニルヴァーナのカート・コバーンにも影響を与えたバンド!
今回ご紹介するのは、ミート・パペッツというグランジ/オルタナ系のロック・バンドです。
僕がミート・パペッツを聴き始めたのは、かれこれ20年近く前でして、ちょうどギターをやり始めてから少し経った高校生の頃でした。
なので、その当時にいくつかの曲を耳コピしたことがあります。
『Up on the Sun』に収録されていた”Up on the Sun”や”Maiden’s Milk”なんかを耳コピしたのは懐かしい思い出です。
カート・カークウッドの弾くギターは、意外とリフのスピードが速かったり、カッティングがキレッキレだったりして簡単ではありませんでした……。

しかし良い練習にはなったと思います。
またつい先日、【グランジ/オルタナ系バンドの個人的おすすめ曲集】という記事を書いた際にもオルタナ・ロックとして扱いました。
ニルヴァーナにパールジャムなど……グランジ/オルタナ系バンドの個人的おすすめ曲集
なぜならこのミート・パペッツは、ニルヴァーナのカート・コバーンがバットホール・サーファーズなんかと同じように大好きなバンドだったからです。
ミート・パペッツというバンド
ニルヴァーナの名作MTVアンプラグドには、ミート・パペッツの中心人物であるカート・カークウッドとクリス・カークウッドのカークウッド兄弟がゲストで数曲参加していました。
その曲は、”Plateau”と”Oh Me”と”Lake Of Fire”という3曲で、全てミート・パペッツの1984年リリースの2枚目のアルバム『Meat Puppets II』に収録されています。
そんなカート・コバーンにも大きな影響を与えたバンドのミート・パペッツは元はハードコア・パンク・バンドでした。
特に1981年のデビューEPの『In a Car』と、初のフルアルバム『Meat Puppets』は、もはやメロディー無視な感じの激しい作品でした。
2ndアルバムの『Meat Puppets II』で少し聴きやすいメロディーラインのある曲が登場し始めました。
そして1985年の3rdアルバム『Up on the Sun』辺りから、少しカントリー風味のあるロック・バンドのような楽曲を作るようになっていきます。
さすがに初期のハードコア・パンク時代の曲は、1分あるかないか?の短い時間を爆音ギターともはや叫んでるだけのボーカルなので、聴きづらかったのですが(笑)……3rdアルバムからは聴きやすいキャッチーな楽曲が多く登場するようになりました。
その後、今回ご紹介する1994年の作品『Too High to Die』までに4作品リリースされています。
『Up on the Sun』からポップになったと言えど、それでもヒットチャートを狙えるような楽曲はありませんでした。
しかしこの『Too High to Die』からはMVも制作された”Backwater”という曲がヒットしています。
これまで以上にキャッチーな楽曲となった”Backwater”なのですが、時代も良かったと思います。
1990年代はちょうどニルヴァーナやパール・ジャムがヒットチャートを賑わせていたグランジ・ブームの時代でした。
この作品がリリースされた1994年1月は、まだカート・コバーンが自殺する3ヶ月ほど前です。
カートがいなくなったことで、一気にグランジ・ブームは去って行きましたからね……。
ちなみにミート・パペッツのメンバーは、兄のギター/ボーカルのカート・カークウッドと、弟のベーシストのクリス・カークウッドのカークウッド兄弟の2人、そこにドラムが参加しているトリオ編成が基本メンバーです。
ドラムは時期によってメンバーが代わったりしています。
この時期のドラムはデリック・ボストロムが担当しています。(現在はテッド・マーカスという人物に代わっているようです。)
またサイドギタリストが参加している時期もありますが、今回の『Too High to Die』では参加していません。
オーバーダブも含め全てカート・カークウッドがギターを弾いているようです。
それでは、今回はそのヒットした曲”Backwater”を含む1994年の名作『Too High to Die』をご紹介したいと思います。
Meat Puppets – 『Too High to Die』
01.Violet Eyes
02.Never to Be Found
03.We Don’t Exist
04.Severed Goddess Hand
05.Flaming Heart
06.Shine
07.Station
08.Roof with a Hole
09.Backwater
10.Things
11.Why?
12.Evil Love
13.Comin’ Down
— hidden track —
Lake of Fire
Personnel:
Curt Kirkwood – Guitar, Vocals
Cris Kirkwood – Bass, vocals on Track 07 12
Derrick Bostrom – Drums
Recorded: The Warehouse, Memphis, Tennessee, 1993.
アルバムの内容
1曲目の”Violet Eyes”から今まで以上にキャッチーな曲で始まります!
グランジ時代を意識したのか?イントロのギターはヘヴィーに激しく歪んでいます!
もはやヘヴィーメタルのようなギターリフで始まる曲ですが、歌メロはこれまで以上にキャッチーでわかりやすい曲になっています。
メイン・ボーカルも務める兄のカート・カークウッドは、ギターの腕前もなかなかのものです!
ギターソロはまるでメタル!な感じで激しく弾いています!
元はと言えばハードコア・パンク・バンドだったので、歪ませたギターを弾くのはお得意なんですよね。
お次の2曲目”Never To Be Found”は、イントロのコード進行がなんとなくニルヴァーナの『Nevermind』に収録されていそうな感じの曲調です。
もちろん影響を与えたのは、ミート・パペッツの方ですが……。
僕もこの作品を買った当時はこの曲のイントロのギターを耳コピしたことがあります。
といっても6弦ルートのB(シの音)から始まるパワーコードを、A♭まで下げて最後に5弦ルートのDの音に向かうだけです。
それを2回繰り返した次の3回目と4回目はDの音をEの音まで上げるんです。
その繰り返しです。
でも、初心者には良い練習曲になるんじゃないかな~と思います。
3曲目もキャッチーな曲”We Don’t Exist”です。
当時のライヴでは頻繁に演奏されていたようです。
ブート音源でよく見かけた曲です。
トレモロピッキングのイントロが特徴的ですね!
4曲目”Severed Goddess Hand”は「切断された女神の手」なんていう物騒な曲名ですが、カントリー・ロックっぽい普通の曲調です。
1曲目の”Violet Eyes”では激しくヘヴィーなギターが鳴っていましたが、アルバムのほとんどの曲は基本的にクリーントーンもしくはちょっと歪んだ程度のギターの音で弾いています。
割合的にはヘヴィーな曲の方が少ないです。
そういった部分も聴きやすさに繋がっていると感じます。
5曲目”Flaming Heart”は、なんとなく70年代のアメリカン・ロックな曲です。
あまりに彼らとしては「普通の曲」なので「これ本当にミート・パペッツ?」と逆に不思議にも感じます。(笑)
6曲目”Shine”は、アコースティックギターの音色が綺麗な曲です。
どこか教会音楽のようなホーリーな感じがしますね。
キャンプファイヤーで歌うとピッタリな楽曲です。
しかしサビでどこかちょっぴりダークな歌メロが混じっているのもミート・パペッツの特徴です。
こういった曲作りがカート・コバーンに影響を与えているんだとろうな~と感じます。
ギターソロがとてもメロディアスな曲なので、そこも聴き所ですね♪
7曲目”Station”は弟のクリス・カークウッドが歌う曲です。
兄のカートと声質が似てはいますが、兄の方がより太い声質です。
イントロでも聴けるギターのテーマメロディ-がなんともコミカルなのですが、この曲ではかなりギターを歪ませています。
エクスプレッション・ペダルのような物も使って「ギュワ~~ン!」と音に変化を付けていますね。
8曲目”Roof With A Hole”は、なんとミドルテンポのマイナー調のブルース曲です!
実は僕が初めてこの作品を聴いたときに一番好きになった曲はヒットした”Backwater”ではなくって、この”Roof With A Hole”の方でした。
やはり僕はその当時からこういったブルース系の曲が好きだったんです。
もちろんこの曲もギターでコピーしてみた思い出深い曲でもあります。
CDですらなかなか売っていないミート・パペッツなので、もちろん楽譜なんてありません。
全て曲を聴いて「こんな感じかな~?」と耳コピしていきました。
ギター初心者には、多少の難しさはありますが、良い練習になったと今では思っています。
僕はこの当時は既にエルモア・ジェームスなんかでブルースを聴いてはいたのですが、おそらく僕が人生で初めて弾いたブルースの曲がこの”Roof With A Hole”になります。
ちなみにキーはF♯mです
アルバム収録曲では、カート・カークウッドがスライドやハンマリングで流れるような演出をした印象的なイントロを弾いています。
その部分はエレキではなく、アコースティックギターで弾いています。
バックでエレキの音が補助的になっています。
ギターソロもアコギで弾いています。
古き良き時代のブルースの曲を彷彿させる良曲ですね♪
そして9曲目”Backwater”はMVも制作されたヒット曲です。
わかりやすいイントロのギターのメロディーラインや、ミート・パペッツにしてはキャッチーなサビといい逆に「らしさ」が少し薄まった曲ような気もしなくはないのですが……それでもブリッジ部分の歌メロの暗さとか随所にこのバンドの特徴が感じられる楽曲です。
この曲も僕は若い頃に何回も耳コピした思い出の曲です。
イントロのメロディーラインはすぐに弾けるようになったんですが……ギターソロは難しかったです。
ちなみにEメジャー・ペンタトニックだけで弾けます。
10曲目”Things”は、ヘヴィーなギターが鳴る少しダークな曲調です。
なんとなく初期のダイナソーJr.的というか……。
11曲目”Why?”はアルペジオのギターメロディーが印象的なのですが、歌メロはとっても不安定です。
これもミート・パペッツの「らしさ」でもあると感じます。(笑)
12曲目”Evil Love”も弟のカート・カークウッドが歌う曲です。
弟が歌う曲では兄貴のギターが大活躍します!
歌はイマイチなカート・カークウッドなのですが(笑)ギターは普通に上手いです!
そしてアルバム最後の収録曲の13曲目”Comin’ Down”は、このバンドのもうひとつの顔でもあるカントリー・ロック調の曲で締めくくられます。
歌メロもドラムのビートもコーラスが綺麗な部分も、そしてギターソロまでも思いっきりカントリーしている曲です!(笑)
曲の終わり方も、全ての演奏が止まって、歌とコーラスのみで終わるやり方なんて、モロにカントリー・ミュージックですね!(笑)
ちなみにこの曲の演奏時間を見てみると、「6分57秒」と記載がありますが、実際には「3分25秒」で終わります。
その後、あえて曲を止めずに待っていると……「3分45秒」から隠しトラックが始まります!
なんとニルヴァーナのMTVアンプラグドにゲスト出演したときにも一緒に演奏していた2ndアルバム『Meat Puppets II』に収録されていた名曲”Lake Of Fire”の再録バージョンです!
オリジナルバージョンのようなヘヴィな暗さは失われていますが、メンバーの演奏力の向上により聴きやすくなっています。
アコースティックギターの音も重ねられていてアレンジも練られています。
なんとなくミート・パペッツが「大人のバンド」になったと感じる瞬間でした。(笑)


以上、【ミート・パペッツの1994年の名作『Too High To Die』】のご紹介でした。
個人的には10代の頃に夢中になった作品だったので思い入れがあります。
上記でも書きましたが、”Never To Be Found”や”Roof With A Hole”に”Backwater”など、僕がギターを弾き始めた初期の頃に耳コピした楽曲がたくさん収録されています。
ところで、当時この作品を購入しようと思っても、どのCD屋に行っても置いてなかったんです。
今でこそネット注文で気軽に買えますが、あの頃はまだインターネットも黎明期で、ネットで商品を買うようになるなんて想像も出来なかった頃でした。
でもどうしてもこの作品が欲しかった僕は、大阪にある大きなタワレコに行って取り寄せの注文をお願いしました。
自分のきったない字でアーティスト名とアルバム名をメモって持って行きました。
その時はたまたま親切な店員さんが対応してくれたので、僕のお願いを親身になって聞いてくれました。
自分で見返しても読みづらいきったない字で書いたメモをちゃんと読み取ってくれて、その店員さんが注文を受け付けてくれたんです!
3週間ほど待った頃に電話が掛かってきて、「お取り寄せできましたのでお店まで来て下さい。」と言われました。
こうしてついに僕は『Too High To Die』を手に入れることが出来ました!
もしあの時、この店員さんがいなかったりして『Too High To Die』を手に入れていなかったら……僕は”Roof With A Hole”や”Backwater”で必死にギターの練習をしていなかったと思います。
そう考えると、あの時、まだ10代だった僕の頼みを真剣に聞いて入荷してくれた店員さんに感謝です!(このブログ見てないかな~?笑)
個人的にいろいろと思い出の詰まった作品のご紹介でした。
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