2019/04/02
ジョージ・ベンソンがギターで参加したフレディ・ハバードのCTI時代の名作4選‼
天才ジャズ・トランぺッターのフレディ・ハバードが1970~1975年にCTIレーベルで吹き込んだアルバム4選!
フレディ・ハバードとジョージ・ベンソンの共演作をご紹介します。
今回は、2008年に惜しくも亡くなられた天才ジャズ・トランぺッターのフレディ・ハバードをご紹介したいと思います。
僕はジャズの楽器の中でも特にトランペットを聴くのが好きなのですが、よく考えたら今まで一度もこのブログでフレディ・ハバードをご紹介していませんでした。
なので、今回はそのフレディ・ハバードと、僕も尊敬する凄腕ジャズ・ギタリストのジョージ・ベンソンが共演した作品をご紹介したいと思います。
凄腕ジャズ・ギタリストのジョージ・ベンソンが参加した4枚をご紹介します。
このブログでも何度か登場していました1970年代のフュージョン/クロスオーバー時代のジャズの名作をいくつも制作したレーベルがあります。
それが1967年にプロデューサーのクリード・テイラーによって創設された『CTIレコード』です。
その『CTIレコード』に所属していたフレディー・ハバードが、同じくレーベル・メイトだったジョージ・ベンソンをゲストに迎えて制作した4作品を今回はご紹介したいと思います。
それは、1970年の『Straight Life』、1971年の『First Light』、1973年の『Sky Dive』、そして1975年の『Polar AC』です。
いずれも共通してジョージ・ベンソンがギターで参加しています。
その他のミュージシャンは作品によって…ハービー・ハンコックやロン・カーターが参加していたり、ジャック・デジョネットにアイアート・モレイラが参加していたり…等、錚々たる面子が参加していることがあります。
しかし今回はジョージ・ベンソンがギターで参加している曲に焦点を合わせてご紹介したいと思います。
それでは順番にご紹介します。
Freddie Hubbard – 『Straight Life』
01.Straight Life
02.Mr. Clean
03.Here’s That Rainy Day
1970年にリリースされたフレディ・ハバードの代表曲のひとつとなる名曲”Red Clay”を収録したCTI第一弾作品の『Red Clay』に続く、CTI2作目がこの『Straight Life』です。
上記に掲載したアルバムの内ジャケにも参加メンバーの写真が載っていますね。
左上からハービーハン・コックと話しているフレディー・ハバードです。
その右側の3段ある写真の上段からジョージ・ベンソン、中段がサックス奏者のジョー・ヘンダーソン、下段がパーカッショニストのリッチー・”パブロ”・ランドラムです。
その横にベーシストのロン・カーターとドラムのジャック・デジョネットも写っていますね。
その後ハービーとフレディが結成するV.S.O.P.やマイルス・デイヴィス・バンド出身者を彷彿させる面子です。
本作はたったの3曲しか収録されていませんが、1曲目が17分30秒で2曲目が13分30秒と長尺曲ばかりになります。
1曲目の長尺曲”Straight Life”は、フレディー・ハバードの書いた曲です。
フレディーの金切り声を上げるかのような甲高いトランペットのイントロから、デジョネットのドラムが後ろから煽り始めます。
テーマはフレディーは、基本的にフレディーがメインを吹き、所々でジョーヘンがユニゾンで参加します。
最初にソロを吹くのはジョーヘンのテナー・サックスです。
その次にフレディー・ハバードのトランペット・ソロがあり、次にハービー・ハンコックのエレピ・ソロがあります。
ここまでで11分もあります!
フレディーとジョーヘンの2管とハービーのエレピも高度なテクニックで演奏されていて素晴らしいのですが、さすがにちょっと長いですよね。
11分01秒からやっとジョージ・ベンソンが登場します!
ベンソンはバッキングは弾いておらず、ソロのみで登場します。
しかし、長く待った甲斐のあるさすがのジャズ・ギター・ソロです!
もちろんエフェクターをコテコテに使って音を変化させたりしていない、アンプ直の生のクリーン・トーンです!
ベンソンの凄いところは、この時代のフュージョン/クロスオーヴァー系のジャズ・ギタリストなら、数多くエフェクターを使って歪ませた音色でギターを弾くことが当たり前なのですが、そういったゴマかしをするようなことはせずに、男気溢れる直アンのクリーン・トーンで自分の腕のみで弾ききる所ですね!
クリーン・トーンだと、下手だったらちょっとのミスでもノイズが出てしまうのですが、その分綺麗に弾くことが出来るギタリストなら、その人のテクニックが思う存分発揮できるんだと感じます。
奇抜な音を出して誤魔化したりできない分、テクニックとメロディー・センスのみで勝負しなければなりません!
ベンソンは、この1曲目から溢れ出る才能を誇示するかのように見事なギター・ソロを弾ききっています!
2曲目の”Mr. Clean”は、スピリチュアル系ジャズ・ピアニストのウェルドン・アーヴィンの書いた曲です。
ウェルドン・アーヴィンに関しては、以前こちらのブログでもご紹介していますので、ぜひそちらもご参照ください。
ウェルドン・アーヴィン必聴のレア・グルーヴ盤 RCAレコード時代の3作品を聴こう♪
本作では、ドラムのイントロの後すぐにベンソンのギターが入ってきます。
ちょっとしたイントロをギターで弾いた後、フレディーとジョーヘンの2管がユニゾンでテーマ・メロディーを奏でます。
まずはトランペットのソロが始まり、次にサックス・ソロ、そしてエレピ・ソロが続きます。
この曲では、ベンソンのバッキングも聴けます。
ハービーのエレピ・ソロの後に、ベンソンがギター・ソロで曲を締めくくります。
最後の3曲目”Here’s That Rainy Day”は、ジミー・ヴァン・ヒューゼンが書いたバラード曲です。
本作ではフレディー・ハバードがリードする曲で、ベンソンはバッキングのみです。
ギター・ソロはありませんがフレディーのトランペットに呼応するかのような的確なバッキングが聴けます。
まずはこの『Straight Life』から、フレディーとベンソンの共演を聴きましょう♪
Freddie Hubbard – 『First Light』
01.First Light
02.Uncle Albert/Admiral Halsey
03.Moment To Moment
04.Yesterday’s Dreams
05.Lonely Town (From “On The Town”)
CTIでの3作目に当たる1971年の『First Light』です。
まずフレディー・ハバード作の1曲目”First Light”からベンソンが登場します。
ドン・セベスキーによるオーケストラ・アレンジとリチャード・ワイアンズのピアノをバックにフレディーがマイナー調のもの悲しいテーマ・メロディーを吹きます。
そのままトランペット・ソロが始まり、その次にベンソンのギター・ソロが登場します。
この時代のベンソンは絶好調だったのか、勢いのあるフレーズがいきなり登場します。
特に7分14秒辺りから始まる、グラント・グリーンも顔負けのシーケンス・フレーズが強烈です!
徐々にスピードアップしていき、そのまま燃えつきます!
強烈な1曲目の次も同じく強烈な2曲目”Uncle Albert / Admiral Halsey”が続きます。
この曲のオリジナルは、ポール・マッカートニーとその妻のリンダが書いた優しい曲調なのですが、本作のバージョンではテーマが終わるとジャック・デジョネットのグルーヴするドラムが登場し、演奏は一気に激しくなっていきます。
トランペットのソロが終わると、ベンソンのギター・ソロが登場します!
テンションの高いギター・ソロがここでも聴けます♪
しかしベンソン・ファンとしては残念なこと(?)に、本作でベンソンが登場するのはこの2曲のみです。
残りの3曲はベンソン抜きで演奏されています。
もちろん曲や演奏自体はとても素晴らしいですので、残りの3曲も通して聴いてみましょう♪
Freddie Hubbard – 『Sky Dive』
01.Povo
02.In A Mist
03.The Godfather
04.Sky Dive
CTIでの4作目に当たる1973年の『Sky Dive』です。
録音は1972年の10月に行われています。
本作も収録曲は4曲のみですが、1曲目は12分以上あり、その他の3曲は7分以上あります。
ベンソンの参加は1曲目の”Povo”と4曲目の”Sky Dive”の2曲のみです。
どちらもフレディー・ハバードのオリジナル曲です。
1曲目の”Povo”は、語り声と共に始まる雄大な楽曲です。
1分近いイントロの後、ロン・カーターのベース・リフが入ってきて、さっそくベンソンのギターのテーマで始まります。
その後、本作のリーダーであるフレディー・ハバードがトランペットでメインのテーマを奏でます。
ベンソンはバッキングに回り、トランペットのソロを支えます。
トランペットのソロが終わり、派手な決めフレーズの後、ベンソンがギター・ソロを弾き始めます。
お得意のダブル・ストップを交えて、またその2音を順にアルペジオ風に弾いてアドリヴを盛り上げます!
その次にヒューバート・ロウによるフルート・ソロが続きます。
残念ながらこの曲ではソロを弾いていませんが、本作でエレピを弾いているのは、なんとキース・ジャレットです!
ぜひキースにもソロを弾いて欲しかったところですが、すでに12分を超えていますからね!
さて、ベンソンが参加しているもう1曲”Sky Dive”もベンソンのギターから静かに始まる楽曲です。
ベンソンのギター・ソロが始まるのは、トランペットのテーマとソロが終わった後4分20秒からです。
わりとシンプルにギター・ソロを弾いた後は、ヒューバート・ロウズのフルートが続きます。
ベンソンの参加は2曲のみですが、”Povo”と”Sky Dive”はどちらもフレディー・ハバードを代表する必聴のジャズ・ロック曲です♪
Freddie Hubbard – 『Polar AC』
01.Polar AC
02.People Makes The World Go Round
03.Betcha By Golly, Wow
04.Naturally
05.Son Of Sky Dive
CTIの8作目で同レーベルでの最終作に当たる1975年の『Polar AC』です。
本作は5曲目の”Son Of Sky Dive”のみフレディー・ハバードのオリジナル曲になりますが、その曲のみベンソンは不参加です。
他の4曲は全てカヴァー曲になります。
ベンソンがギター・ソロを弾くのは、3曲目の”Betcha By Golly, Wow”と4曲目の”Naturally”の2曲のみです。
1曲目のシダー・ウォルトンの楽曲”Polar AC”と2曲目のスタイリスティックスの名バラード曲”People Makes The World Go Round”では、ソロは弾いていませんがバッキングでギターを弾いています。
3曲目のこれまたスタイリスティックスの名曲”Betcha By Golly, Wow”では、ベンソンのギター・ソロが始まります!
ベンソンの先輩格に当たるグラント・グリーンもこの曲を取り上げていましたね。
4曲目のナット・アダレイの”Naturally”でもベンソンのギター・ソロが聴けます。
まだベンソンが『Breezin’』を発表する約1年前ではありますが、既に人気者だったベンソンは忙しかったのか⁉わりとあっさりしたギター・ソロを弾くのみで終わっています。
そういった部分は少し残念ではありますが、『Breezin’』が世界的大ヒットする前の、まだサイドマンとして客演していた頃のベンソンの貴重なギター・ソロが聴けます♪
以上、【ジョージ・ベンソンがギターで参加したフレディ・ハバードのCTI時代の名作4選‼】のご紹介でした。
個人的に、ベンソンのギターが最も絶好調だったのは70年代前半だったと思っています。
確かに1976年の『Breein’』の大ヒットがあったからこそ、今のベンソンがあるんだと思います。
しかしあれ以降は、ギター演奏もあっさりとしていたり、もはやポップ・シンガーのようになってしまいました。
70年代のベンソンの卓越したテクニックを聴くことが出来るフレディー・ハバードのこの4作品を、ベンソンのリーダー作しか聴いてこなかった方にもぜひ聴いて欲しいなと思います。
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