2023/04/13
ザ・ストゥージズとイギー・アンド・ザ・ストゥージズのおすすめアルバムをまとめてご紹介!
伝説のバンド『ザ・ストゥージズ』と『イギー・アンド・ザ・ストゥージズ』のアルバムをまとめてご紹介します。
今回はゴッド・ファーザー・オブ・パンクことイギー・ポップが所属していた伝説のバンド、ザ・ストゥージズとイギー・アンド・ザ・ストゥージズのアルバムをご紹介します。
ザ・ストゥージズとイギー・アンド・ザ・ストゥージズはどう違う?
まず、今回のブログのタイトルでも分けているように、『ザ・ストゥージズ』と『イギー・アンド・ザ・ストゥージズ』は同じようで同じではないバンドです。
イギー・ポップ自身もアルバムを出す際に、これら2つの名称を分けて使っています。
最初に活動を始めたのは、ザ・ストゥージズの方でした。
リード・シンガーのイギー・ポップは、高校生時代にはイグアナスという60年代にありきたりなガレージ・ロック・バンドでドラムを叩いていました。
その後、ブルースをやろうと志すも、「白人の俺には黒人たちがやっているような本物のブルースは到底出来ない…」と悟り、こう決心しました。
「それなら俺は自分の世代にあった音楽をやろう!黒人たちが自分たちの世代にあったブルースをやったように俺も俺の世代の音楽をやるぜ!」
そうして結成されたのがザ・ストゥージズというロック・バンドでした。
ちなみに”stooges”とは、「まぬけ野郎」の意味です。
このバンド名は、米国のコメディー・グループ『Three Stooges(スリー・スツォージズ)』から取られています。
日本では『三バカ大将 』として知られていますね。
ザ・ストゥージズを結成するに当たり、ドラマーだったイギーはボーカリストに転身しました。
そしてその代わりにスコット・アシュトンがドラマーとしてバンドに参加するようになります。
初期の頃はイギーがドラムを叩き方をスコットに教えていたようです。
そのスコットの兄であるロン・アシュトンがギタリストで参加し、更にデイヴ・アレクサンダーがベースで参加したことで、ストゥージズのオリジナル・ラインナップが揃います。
基本的にロンとスコットが参加した作品がザ・ストゥージズというバンド名でリリースされています。
特にロンがギターを弾いている作品はザ・ストゥージズ名義です。
では、イギー・アンド・ザ・ストゥージズ名義はどういった時に使われている名称なのか?
それはギタリストにジェームズ・ウィリアムソンが参加した場合です。
その際はロン・アシュトンがベースを弾いている場合もあります。
これがザ・ストゥージズとイギー・アンド・ザ・ストゥージズの違いです。
簡単に言うと、ロンがギターを弾いているのがザ・ストゥージズで、ジェームズがギターを弾いているのがイギー・アンド・ザ・ストゥージズと思ってもらって良いでしょう。
一応、ザ・ストゥージズとイギー・アンド・ザ・ストゥージズはこういった明確な名称の違いが存在していますが、イギー・ポップ本人が監修していないブート作品や、この違いを理解していないレコード会社やCDショップによって混同されていることは多々あります。
まぁそういった間違いがあったり、ギタリストと名義こそ違えど、やっている音楽は同じガレージ・ロックです。
ガレージ・ロックというのは、60年代後半に米国デトロイトを中心に盛り上がった、爆音の歪んだギターが暴れ回り過激な歌詞を歌い激しいパフォーマンスをするロック・バンドのことを指します。
ザ・ストゥージズの他にMC5なんかもガレージ・ロックを代表するバンドです。
彼らの激しい音楽性が、後にラモーンズや英国のセックス・ピストルズらに影響を与えパンク・ロックが生まれるきっかけとなりました。
そういった経緯からイギー・ポップは、「ゴッド・ファーザー・オブ・パンク(パンク・ロックの生みの親)」とまで呼ばれるようになりました。
ザ・ストゥージズとイギー・アンド・ザ・ストゥージズの音楽性は、当時としてはあまりに過激的すぎて、センスのない批評家たちはその音楽性を「奇妙で非常識で下品で退廃的で幼稚だ」と評していました。
しかし今となっては、パンク・ロックやその先にあるグランジ/オルタナティヴ・ロック誕生のきっかけとなった始祖とも言える伝説のバンドとして正当に評価されています。
当時としては過激だった音楽も、今の世代の耳で聴くと…「普通にかっこいいロック・バンド」に聞こえると思います。
僕も初めてザ・ストゥージズを聴いた時は、「かっこいいけど物足りない…」と感じたぐらいでした。
それはその先にあるもっと過激なパンク・ロックやグランジを聴いていたからであって、決してザ・ストゥージズがつまらないバンドだと言うことではありません。
ザ・ストゥージズもパンク・ロックやグランジを生み出した伝説のバンドとしてしっかりと聴いておいた方が良いと思います。
といったわけで、今回はこのブログ記事にてザ・ストゥージズとイギー・アンド・ザ・ストゥージズの素晴らしい作品をご紹介したいと思います。
それでは今回は、ザ・ストゥージズとイギー・アンド・ザ・ストゥージズのおすすめアルバムを順にご紹介していきます。
ザ・ストゥージズとイギー・アンド・ザ・ストゥージズのアルバムをご紹介!
The Stooges – 『The Stooges』
1969年にリリースされたザ・ストゥージズの1stアルバム『The Stooges』です。
60年代最後の年に伝説が始まりました!
メンバーは、イギー・ポップにロン・アシュトンにスコット・アシュトンにデイヴ・アレクサンダーのオリジナルの4人です。
当初、本作を録音する際に用意していた曲はたったの4曲しかありませんでした。
しかしその4曲の中には、彼らの代表曲となる名曲”I Wanna Be Your Dog”と”No Fun”が既に入っていました。
当然レコード会社からは、もっと曲を書くようにせかされて、レコーディング前日に残りの4曲を慌てて書いたようです。
しかしそれが良い方向に進みました。
4曲のうち、”Real Cool Time”に”Not Right “と”Little Doll”の3曲はどれも急遽作られたというギリギリ感が鬼気迫るようなガレージ・ロックに仕上がっています。
そして残りの1曲、”We Will Fall”は10分以上ある実験的な楽曲です。
本作はイギー・ポップがヴェルヴェット・アンダーグラウンドの大ファンだったため、元メンバーのジョン・ケイルにプロデュースを依頼しています。
その影響からかこういった長尺の実験的な楽曲が出来上がったのでしょう。
またイギー・ポップは、破天荒なパフォーマンスからは想像し辛いですが、ジョン・コルトレーンからも影響を受けています。
後期コルトレーンの実験曲からも影響を受けているのでしょう。
10分と長い曲ですが、この”We Will Fall”があったからこそこのバンドが他のガレージ・ロック・バンドとは一線を画す存在になれたと言えます。
こういった前衛アートぽい完成をイギー・ポップが持ち合わせているとお言うことが大事なことです。
暴れ者のように見えて、実は知的で繊細な感性の持ち主であるのがイギー・ポップの魅力であり、今の時代まで長い年別を超えて一流のアーティストとして評価されている要因です。
この4曲だけでなく先の用意されていた4曲もクオリティの高い楽曲ばかりです。
ボ・ディドリーのジャングル・ビート風の”1969″は、ロンが弾くファズとワウペダルを混ぜた過激なギターが魅力の楽曲です。
そしてソニック・ユースもカバーした名曲”I Wanna Be Your Dog”は、時代を超えたパンク・ロック・アンセムです!
ちなみにメイン・メロディの歌い方は、ボブ・ディランの”Like A Rolling Stone”のサビ部分から影響を受けて作られています。
“No Fun”は、後にセックス・ピストルズもカバーした「最初のパンク・ロック曲」と呼んでも過言ではない名曲です。
“Ann”は、終盤こそギターが暴れまわりますが、後にデイヴィッド・ボウイと共演することになるベルリン時代を既に彷彿させるような繊細な楽曲です。
パンク・ロックが生まれるきっかけともなったザ・ストゥージズの最初の一歩をぜひ聴いてみて下さい!
パンク・ロックは好きだけれども、まだザ・ストゥージズを聴いたことがなかったという方は、ルーツを聴いてみて下さい!
ちなみに本作のプロデュースをジョン・ケイルが任されましたが、その仕上がりがあまりにも大人向けのアーティスティックで納得がいかなかったイギーは、最終ミックスを自身で手掛けました。
後に2010年にリリースされたリイシュー盤でジョン・ケイルのミックスも収録されることになったのですが、やはりイギー・ポップの選択は正しかったんだな…と納得させられる内容でした。
ジョン・ケイルのお上品なミックスでは、せっかくスタジオ・ライブ形式でたったの2日間で録音された生々しい演奏の魅力が欠けてしまっています…。
どう考えてもイギー・ポップ自身のミックスの方が、ロックしていてかっこいいです!
この音源は、現在は本作のリリース50周年を記念したデラックス・エディションとして2019年に発売された『The Stooges Deluxe Edition』に収録されています。
The Stooges – 『Fun House』
“The Stooges”という名称が付けられた作品の中で、僕が最も好きなアルバムがこの『Fun House』です。
『The Stooges』がリリースされた翌年の1970年に新メンバーのサックス奏者スティーヴ・マッケイを加えた5人編成で録音されたアルバムです。
後にオーストラリアのガレージ・ロック・バンドのレディオバードマンや、映画『ベルベット・ゴールドマイン』でユアン・マクレガーがカバーした名曲”T.V. Eye”が本作には収録されています。
『ベルベット・ゴールドマイン』でユアン・マクレガーは、イギー・ポップをモデルにしたカート・ワイルドというロック・シンガーの役を演じていました。
そしてこの”T.V. Eye”を歌うのですが、イギー・ポップを意識した局部モロだしパフォーマンスを行ったのはあまりに過激で、日本版ではカットされていましたね。
まぁあれはやりすぎです!(笑)
“T.V. Eye”以外にも、後にパンク・バンドのダムドが”I Feel Alright”という曲名でカバーした名曲”1970″も収録されています。
この2曲が特に有名ですが、他の曲もクオリティの高い曲ばかりです。
“Down On The Street”や”Loose”といった冒頭の2曲もダーティーな雰囲気がかっこいいロック・ソングです。
7分を超えるスローなロック曲”Dirt”では、ロンのジャム・バンドばりの長尺ギター・ソロも登場します。
タイトル・トラックの”Fun House”は、ファンキーな楽曲でロンのワウギターやスティーヴ・マッケイの荒れ狂うサックスがとてもかっこいい7分超えの長尺曲です。
スティーヴ・マッケイはもちろんのこと、ザ・ストゥージズのメンバーは全員ジョン・コルトレーンに心酔していました。
「ロック・ミュージシャンがなんでジャズのサックス奏者が好きなの?」と思う方もいるかも知れませんが、この時代のロック・ミュージシャンは、ジョン・コルトレーン好きが多いんです。
特にジョン・コルトレーンが1965年にリリースした歴史的名盤『A Love Supreme(至上の愛)』のファンが多いです。
これはザ・グレイトフル・デッドのベーシストのフィル・レッシュが語っていたことですが、当時の音楽好きは皆、コルトレーンの『至上の愛』を聴きながら、イケナイお薬でバッド・トリップを楽しんでいたと言います。
サイケデリック・ロック好きのヒッピー達が住む地域を歩けば、コルトレーンの『至上の愛』が町中に爆音で流れていたんだとか…。
そういった訳で、この年代に活躍したバンドマンはコルトレーン好きが多かったんです。
そんなコルトレーンの影響が見られるアルバム最終曲”L.A. Blues”は、同時代に活躍した他のガレージ・ロック・バンドが逆立ちしても作れないようなアバンギャルドな楽曲です!
誰の耳にも心地良いような楽曲ではありませんが…こういった過激な曲があるからこそザ・ストゥージズが他とは違う存在になれたんでしょうね。
僕はこの『Fun House』を一番のおすすめとしたいです。
ちなみに本作が制作される過程を収めたCD7枚組ボックス『
1970: The Complete Fun House Sessions』も1999年にリリースされています。
8時間近くに及ぶスタジオ・セッションの様子は、さすがに僕も全部通しで聴くのはキツイです…。
しかし作業用BGMとしては、使えなくもないかも⁉
僕は一応デザイン職をやっているのですが、デザイナーに多いオシャレなカフェ・ミュージックを聴きながらよりも、こういった過激な爆音ギターが暴れまわるロックを聴いた方がテンションが上がって仕事が捗ります。
まぁこればかりは「その人の好みによる」としか言えませんがね…。
Iggy & The Stooges – 『Raw Power』
ザ・ストゥージズの3作目!?…と思いきや、こちらはイギー・アンド・ザ・ストゥージズ名義の1作目です。
ギターがロン・アシュトンからジェームズ・ウィリアムソンに代わっています。
代わりにロンがベースを弾いています。
本人はギターの方が弾きたかったたいですが、ロンのベースは予想以上に良かったりします!
ローリング・ストーンズのキース・リチャーズが実は良いベースを弾くように、意外とギタリストが弾くベースって悪くなかったりするんですよね。
それはさておき、このアルバムの頃からデイヴィッド・ボウイとの関係が始まっているのですが…『The Stooges』のジョン・ケイル同様にボウイがミックスしたバージョンはツマラないです。
後にイギー・ポップ自身がミックスをやり直した97年のリイシュー・バージョンの方がギターが爆音になっており、そちらをおすすめします!
さて、本作も相変わらず捨て曲の一切ない名作なのです。
特にデッド・ボーイズがカバーした”Search & Destroy”やガンズ・アンド・ローゼズがカバーした”Raw Power”のオリジナルはどちらもシングル・カットされた名曲です。
更には、時代が早すぎたパンク・ロック曲”Your Pretty Face Is Going To Hell”や、ブルース曲”I Need Somebody”に、グルーヴィーなギターリフがかっこいい”Penetration”、そしてダンス・トラックの”Shake Appeal”とアバンギャルドな”Death Trip”等のノリの良い曲が多く収録されています。
そこにきて異彩を放つのがアコースティック・ギターで始まるバラード曲の”Gimme Danger”です。
とは言ったものの、淡い恋心を歌ったような可憐なバラードではなく、悲痛な叫びを伴うダークなバラード・ソングです。
後半では暴力的なファズ・ギターも登場してイギーのボーカルも叫びに変わり、混乱していきます。
しかしこの曲がまさに本作のベスト・トラックと呼ぶに相応しい名曲です!
この「聴く者全てに辛い過去を思い出させる」ような悲痛なバラード…こんな曲を書けるのはイギー・ポップとジェームズ・ウィリアムソン以外にありません!
他のガレージ・ロック・バンドに足りないのは、この悲痛な叫びです!
“Gimme Danger”は、イギー・ポップがそのキャリアを通して書いた全ての曲の中でもトップ5には入る名曲だと思います。
ぜひこの曲を聴くために『Raw Power』をゲットしてみて下さい。
ちなみにこの後、ザ・ストゥージズは解散してイギー・ポップはソロ活動を始めるのですが、その合間にイギー・ポップとジェームズ・ウィリアムソンの2人の名義で『Kill City』というアルバムも制作しています。
かなりポップな作品ですが、悪くない出来です。
The Stooges – 『The Weirdness』
2007年にリリースされたザ・ストゥージズの再結成アルバム『The Weirdness』です
名義違いの『Raw Power』ではなく、ザ・ストゥージズの3作目はこのアルバム『The Weirdness』になります。
ザ・ストゥージズ名義と言うことで、ギターはロン・アシュトンが弾いています。
オリジナル・ベーシストのデイヴ・アレクサンダーは1975年に亡くなっているので、代わりにミニットメンやファイヤーホースで活躍していたマイク・ワットがベースで参加しています。
ドラムのスコット・アシュトンとサックスのスティーヴ・マッケイは代わらず参加しています。
もちろん歌うのはイギー・ポップです!
2003年4月にザ・ストゥージズの再結成ライブを行い、更に同年にリリースされたイギーのソロ・アルバム『Skull Ring』にアシュトン兄弟が参加したことがきっかけで本作の制作が決まりました。
ずっと音楽活動を続けていたイギー以外のメンバーはブランクが長かったはずなのですが、そんなことを一切感じさせないパワーが本作には宿っています!
むしろイギーのボーカルが全盛期と比べると控えめで、逆にアシュトン兄弟2人のパワーは全盛期と変わっていない程です!
特にロンのギターは素晴らしく、本作を最後に2009年に亡くなったのが残念で仕方ありません。
本当に素晴らしいロック・ギタリストでしたね…。
イギーのボーカルが物足りないものの、楽曲の質も高く、ロンのギターもかっこいい再結成アルバム『The Weirdness』もぜひ聴いてみてください!
ちなみにこの時期のライブ音源や未発表だったスタジオ・セッションの音源などを2枚組CDに収録したファン必携のアルバム『A Fire Of Life』なんてのも存在しています。
ロン・アシュトンの最後の勇姿を見届けましょう!
残念ながらスコット・アシュトンが2014年に、スティーヴ・マッケイが2015年に亡くなっているので、ザ・ストゥージズにはもはやイギー・ポップしか残っていません…。
Iggy & The Stooges – 『Ready To Die』
イギー・アンド・ザ・ストゥージズ名義では1973年の『Raw Power』に続く2作目となったのが、40年の時を超えて2013年にリリースされたこの『Ready To Die』になります。
ということは、本作でギターを弾いているのはジェームズ・ウィリアムソンになります。
残念ながらロン・アシュトンは2009年に亡くなっているので、イギー・アンド・ザ・ストゥージズしか選択肢がなかったとも言えます、
『The Weirdness』に引き続き、ベースはマイク・ワットでドラムはスコット・アシュトンでサックスはスティーヴ・マッケイになります。
残念ながらスコットとスティーヴ・マッケイにとって本作が遺作となりました。
スコットがいなくなった時点でこのイギー・アンド・ザ・ストゥージズでの活動も今後はやらないとジェームズ・ウィリアムソンは後に語っています。
イギー・アンド・ザ・ストゥージズ名義では2作目にあたるこの『Ready To Die』が最終作となりました。
しかし本作は名作です!
『The Weirdness』の時はボーカルが弱々しかったイギーでしたが、本作では完全復活しています!
イントロからジェームズのギターが暴れ回る”Burn”に、スティーヴのイナたいサックスが下世話な曲名にぴったりな”Sex & Money”、「俺には仕事があるんだぜ!」と歌う”Job”等、かっこいい曲が多数収録されています。
仕事がなかった初期の頃を自虐風に皮肉ったような歌詞の”Job”は、特に面白い曲です。
ちなみにジェームズは、本作が制作される前にソニーの重役にまで昇り詰めております。
1997年にBlu-rayの普及を構想していたソニー・エレクトロニクスに電子工学の技術を見込まれヘッド・ハンティングされたのがきっかけでした。
まさかの売れないロック・ギタリストから技術者として大成功をしていたとは…!
そういったこともこの”Job”の歌詞に皮肉として表現されているのかも知れませんね。
また本作にはジェームズが参加しているこということもあり、ロンにはなかったアコースティックな”Unfriendly World”や”Beat That Guy”といった曲も収録されています。
ただ”Gimme Danger”の頃のような危なっかしい気迫はここにはなく、成功者としての余裕が感じられる美しい曲に仕上がっています。
イギーもこの頃には誰からも尊敬されるようなミュージシャンへと昇り詰めていましたからね。
アルバムの出来は素晴らしいですが、『Raw Power』のような鬼気迫る勢いはさすがに年齢と共に消えてしまっています。
ちなみにこの時期に行われたライブ映像作品がリリースされています。
タイトルは、『Iggy & The Stooges Raw Power Live』です。
邦題は、『実演!淫力魔人』です!
副題に”In The Hands Of The Fans”と記載がありますが、本作はバンド・メンバーによる抽選で選ばれた6人のファンが許可を得て各々のビデオ・カメラで撮影した映像が使われています。
そのため素人映像で画質や撮り方が荒いのですが、しかしブートレグのようなザラついた生々しさがあって逆にそれがイギー・アンド・ザ・ストゥージズのライブの魅力を伝えるのにぴったりだったりします。
そういうのをわかった上で、イギーやジェームズが抽選にしたのでしょうね。
年老いてもロックするかっこいい姿を観ることが出来る貴重な映像作品です!
選ばれた6人のファンがイギー・アンド・ザ・ストゥージズのメンバーにインタビューする映像もオマケで収録されていて、これが中々面白かったります。
子供のように無邪気なイギーと、さすがソニーの重役って感じのビジネスマン・ライクなジェームズに、無骨なロック親父っぷりがかっこいいスコットのありのままの姿がとても興味深いです。
以上、【ザ・ストゥージズとイギー・アンド・ザ・ストゥージズのおすすめアルバムをまとめてご紹介!】でした。
2016年にザ・ストゥージズのファンだった鬼才ジム・ジャームッシュが『The Story Of The Stooges: Gimme Danger(ギミー・デンジャー )』というドキュメンタリー映画も制作しています。
イギーやスコットにジェームズへのインタビューを元に作られたストゥージズの伝記映画です。
生前のロンのインタビューも収録されています。
興味深いのが、60年代に流行っていた当時のボブ・ディランの曲の歌詞が文学的で長かったのに対して、逆にザ・ストゥージズではシンプルで短い歌詞にしようとイギーが意図的に書いていたことでした。
こういったイギーの歌詞の書き方が影響して、後のパンク・ロックやグランジの歌詞がシンプルなものになったんだと思うとなんとも感慨深いですね!
ニルヴァーナのカート・コバーンもイギー・ポップから多大な影響を受けているのですが、全米No.1ソングとなった”Smells Like Teen Spirit”のサビ部分の歌詞は、短いワードを叫んだものでした。
イギー・ポップが自身のバンドを結成する際にあえてシンプルな歌詞にしたことが、巡り巡って全米No.1ソングにまで影響を与えることになったとは…人生とは何が起こるのか誰にも想像できないことです。
イギー・ポップという天才ミュージシャンがいなければ、パンク・ロックやグランジも今とは違う姿だったかもしれませんね!?
さすがにパンク・ロックやグランジは、イギーがいなかったとしてもMC5や他のガレージ・ロック・バンドの影響でいつかは登場していたでしょう。
しかし形や登場時期は変わっていたかも知れません!?
パンク・ロックやグランジがお好きだけれども、まだザ・ストゥージズとイギー・アンド・ザ・ストゥージズのアルバムを聴いたことがなかったという方は、ぜひこのブログ記事を参考に聴いてみて下さい♪
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