2019/02/22
エリック・クラプトンがギターを弾きまくったライヴ盤『E. C. Was Here』を聴こう♪
エリック・クラプトンがギターを思う存分弾きまくったライヴ盤『E. C. Was Here』を聴こう♪
70年代のクラプトンのベストなライヴ音源!
今回も最近このブログで多く取り上げているエリック・クラプトンの作品のご紹介です。
クラプトンに限らずなのですが、僕自身は基本的にスタジオ・アルバムよりも熱い演奏が聴けるライヴ盤が好きだったりします。
例えばグレイトフル・デッドにオールマン・ブラザーズ・バンドなんかがそうです。
もちろんエリック・クラプトンも数多くのライヴ盤がこれまでにリリースされています。
前回ご紹介していた2002年の『One More Car, One More Rider』も素晴らしいのですが、どちらかと言うと楽曲重視な感じがして少しギターが控えめに感じられます。
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その要因にクラプトンが年を取っというのもありますし、長尺ギターよりも歌メロが重視されるような時代背景などもあるのかもしれませんが、ギター好きの僕としては少し物足りません。
やはりクラプトンには、ライヴでギターを弾きまくってもらいたいところです。
というわけで、やはりクラプトンのライヴ盤は70年代のものが僕は好きだったりします。
当時のクラプトンは、それこそアドリヴで長尺ギターソロを弾きまくっています!
まだクラプトンも若かったというのもありますし、今よりもオーディエンスが長尺のギターソロを受け入れてくれるキャパもあったのかもしれませんね⁉
さて、70年代のクラプトンのライヴと言えば、CD4枚組ボックス・セットでまとめてライヴ音源を聴ける『Crossroads 2 (Live In The Seventies)』という豪華な作品も存在しています。
しかしお値段もそこそこしますし、いきなりCD4枚に収録された数十曲を聴くのは大変だと思います。
そこで今回僕がおすすめしたいのが、1974年から1975年のおよそ1年間のエリック・クラプトンのライヴ音源をピンポイントで収録したライヴ盤『E. C. Was Here』です!
この作品の良いところは、3,000円以内で購入できる安価な作品であることと、収録曲も6曲と少ないことです。
6曲と言っても、どの曲も5分以上あり、かなり長めのギターソロを弾いています!
ただし、クラプトンを代表するような”Wonderful Tonight”や”Sunshine Of Your Love”に”Layla”などの有名曲が収録されていない~というマイナス点もあります。
そういった有名曲を聴きたい方は先に『One More Car, One More Rider』を聴いた方が良いとは思います。
では、なぜ僕がこの『E. C. Was Here』をおすすめしたいか?というと…全6曲の収録曲のうち半分以上の4曲がブルース曲だからです!
やはりクラプトンと言えば「ブルース」です!
このブルース4曲でギターを弾きまくっているのが、本作の聴きどころだと思います♪
ちなみにそれ以外の残り2曲は、クラプトンがスティーヴ・ウィンウッドとジンジャー・ベイカーと1969年に結成したスーパー・バンドのBlind Faith (ブラインド・フェイス)の名曲がチョイスされています。
もちろんブラインド・フェイスの名曲2曲もなかなかの出来ですが、しかしやはりブルース4曲に本作の良さは詰まっていると思います!
それでは『E. C. Was Here』をご紹介したいと思います。
Eric Clapton – 『E.C. Was Here』
01.Have You Ever Loved A Woman
02.Presence Of The Lord
03.Drifting Blues
04.I Can’t Find My Way Home
05.Rambling On My Mind
06.Farther On Up The Road
Personnel:
Eric Clapton – Guitar, Vocals
George Terry – Guitar
Dick Sims – Organ
Carl Radle – Bass
Jamie Oldaker – Drums
Marcy Levy – Tambourine
Yvonne Elliman – Guest Vocals
Recorded: 19–20 July 1974 at the Long Beach Arena – 4 December 1974 at the Hammersmith Odeon – 25 June 1975 at the Providence Civic Center.
Released: August 1975
アルバムの内容
本作の1曲目は、エリック・クラプトンが敬愛するブルースマンの一人フレディ・キングの名演で知られる”Have You Ever Loved A Woman”から始まります。
この曲はビリー・マイルズによって1960年に書かれた曲です。
もちろんクラプトンは、デレク&ザ・ドミノス時代に録音して以来ずっとライヴで取り上げてきた得意曲のうちのひとつです。
本作には、そのデレク&ザ・ドミノス時代のバンド仲間でもあったベーシストのカール・レイドルも参加しています。
イントロはクラプトンのフレディ・キングを意識したタメの効いたポルタメント・チョーキングから始まります!
ちなみにクラプトンのギターの音は、中央寄りの左チャンネルです。
本ライヴ盤には、クラプトンを支えるリズムギターに当時のクラプトン・バンドのサイド・ギタリストだったジョージ・テリーが参加しています。
ジョージ・テリーのギターの音は右チャンネルです。
さっそく冒頭からクラプトンがギターを弾きまくっています!
サイドでリズムを弾くジョージ・テリーのトーンよりも重めの音でクラプトンは弾いています。
この時期のクラプトンは、まだ『One More Car, One More Rider』の時のように無理に「がなる」ような歌い方ではありません。
1994年の初のブルース・アルバム『From The Cradle』以降のクラプトンは、自分の喉の弱さをごまかすかのように無理に力んだ歌い方をするようになりました。
しかしこの時期のクラプトンは、まだ自然体で歌っている感じがします。
個人的には、最近の力みすぎた歌い方をするクラプトンよりも、この頃の自然体の方が聴きやすいです。
さて、”Have You Ever Loved A Woman”で最初にギターソロを弾くのは、クラプトンではなくジョージ・テリーの方です。
ジョージ・テリーが8小節ほどギターソロを弾くとクラプトンのギターソロが被せるように入ってきます。
その後は、2人のギターが絡み合うのですが、4分53秒辺りからクラプトンがお得意のラン・フレーズで繰り返し同じフレーズを弾きます!
するとオーディエンスが盛り上がり始めます!
ここからが聴きどころです♪
その後5分46秒辺りからクラプトンとジョージ・テリーがツイン・リードでギターソロを弾きまくります!
ツイン・リード・ギターの弾き終わりにクラプトンがオーディエンスに向かって”George Terry!”と相棒を紹介します。
1曲目から長尺ギターソロを含む7分50秒もある熱い演奏です!
次の2曲目”Presence of the Lord”は、ブラインド・フェイス時代の名曲でクラプトンが書いた曲です。
オリジナル録音ではスティーヴ・ウィンウッドがリード・ボーカルを歌っていましたが、本作ではエリック・クラプトン自身が歌い始めます。
ただ…歌い始めから音程が不安定です。
さすがにスティーヴ・ウィンウッドとは違ってクラプトンの歌はイマイチではあります。
クラプトンはやはりギタリストですね!
ちなみに女性ボーカリストのイヴォンヌ・エリマンがゲストで参加していて、クラプトンとデュエットで歌っています。
もちろん原曲にあったハード・ロックな転調部分も再現されています。
2分28秒頃から、あのロックなリフをジョージ・テリーが弾き始め、クラプトンがトレモロ奏法で激しくギターソロを弾き始めます!
クラプトンのギターソロは、この70年代中期が一番凄かったんじゃないだろうか?と思える凄まじさです!
ギターソロが終わると再びゆったりとしたテンポに戻り、クラプトンとイヴォンヌ・エリマンがデュエットで歌い始めます。
オルガンのロングトーンに導かれ、曲は終わりを迎えます。
次の3曲目”Driftin’ Blues”は、ジョニー・ムーアズ・スリー・ブレイザーズの曲です。
1945年にチャールズ・ブラウンがピアノ弾き語りで吹き込んでいます。
この曲は、クラプトンの1994年のブルース・アルバム『From The Cradle』にも収録されていましたが、70年代から既にライヴでは取り上げられていました。
本作でもクラプトンがアコースティック・ギターで弾き語る形で曲が始まります。
クラプトンが2番まで歌い終わると、まずはジョージ・テリーのエレキ・ギターでのソロが始まります。
ジョージ・テリーのギターソロは、この時期の隙間を埋め尽くすかのようなクラプトンのギターソロよりも手数は少なめですが、コード進行に沿った最適なメロディーをチョイスして弾いている感じです。
5分10秒を過ぎた辺りからクラプトンがエレキ・ギターに持ち替えてボトルネックを使ってスライドギターでソロを弾き始めます。
この時期のクラプトンは、デュアン・オールマンに触発されて再びスライドギターを弾きだした頃でした。
ちょうど1974年の名盤『461 Ocean Boulevard』や1975年の名作『There’s One in Every Crowd 』の時期です。
『461 Ocean Boulevard』の1曲目に収録されていたバーベキュー・ボブの1927年の古いブルース曲”Motherless Children”でのクラプトンのスライドギターは印象的でしたね♪
さて、『E. C. Was Here』に戻りますと…4曲目”Can’t Find My Way Home”は、再びブラインド・フェイス時代の名曲です。
こちらはスティーヴ・ウィンウッドが書いた曲になります。
イヴォンヌ・エリマンも再登場します。
クラプトンは、アコースティック・ギターでしっとりと演奏しています。
素晴らしい名曲であることは疑いようもありませんが、僕がこの時期のクラプトンに求める激しいギターソロがないのが少し残念なところでもあります。
しかし次の5曲目”Rambling on My Mind”で、再びクラプトンが鬼神の如くギターソロを弾きまくります!
この曲はクラプトンが尊敬するブルースマンのロバート・ジョンソンの曲です。
クラプトンはエレキ・ギターに持ち替えてマディ・ウォーターズやジョン・リー・フッカー風のイントロを弾き始めます。
ゆったりとしたミドル・テンポでクラプトンが歌い始めます。
ジョージ・テリーは、基本的にブルースでお決まりのボトムリフを弾いています。
さて、この曲の聴きどころはクラプトンの歌の部分ではなく…ギターソロ時にキーが転調していくところです。
曲の元となるキーはE(ミの音)です。
最初の歌部分の2周は、このキーEで演奏されています。
2周歌い終わったところで、クラプトンがバンドメンバーに対して”F♯”と次のキーを伝えます。
するとバンドの演奏は、キーEから1音上がってキーF♯(ファ♯の音)に転調します。
F♯で1周ギターソロを弾くと、次はクラプトンが”A”と言います。
キーF♯から1音半上がってキーがA(ラの音)に変わります。
Aで1周弾き終わると、次はクラプトンが”B”と言います。
キーAから1音上がってキーがB(シの音)に変わります。
そして最後にクラプトンが”E”と伝えて、キーBから2音半上がって最初のEから1オクターヴ上のキーE(ミの音)に変わります。
こうして再びキーEに戻って、クラプトンの歌に戻ります。
クラプトンは、各キーに合わせてメジャー・ペンタトニックを中心にミックス・ペンタトニックでギターソロをバリバリと弾きまくります!
ここが本作一番の聴きどころとでも言えますね。
70年代クラプトンのギター演奏で最高の瞬間のひとつですね♪
そしてアルバムは最後の収録曲6曲目の”Farther On Up The Road”に移ります。
ブルースファンには、ボビー・”ブルー”・ブランドの1957年の録音で知られているアップ・テンポの曲です。
70年代のクラプトンはこの曲を定番で演奏していました。
ザ・バンドの1976年の解散ライヴ『The Last Waltz』にゲスト出演した際も、クラプトンはこの”Farther On Up The Road”を演奏していましたね。
『The Last Waltz』では、演奏途中にクラプトンのギターのストラップが外れて、ロビー・ロバートソンが瞬時にアドリヴでギターソロを弾いてフォローする名シーン付きです。
他にも先にご紹介していた『Crossroads 2 (Live In The Seventies)』や1980年のライヴ盤『Just One Night』にも収録されています。
しかし僕が一番好きなクラプトンの”Farther On Up The Road”は、やはり本作『E. C. Was Here』のバージョンです!
やはり本作の時期のクラプトンのギター弾きまくりは最高です♪
最後にアップ・テンポで元気の出るブルース曲”Farther On Up The Road”で締めくくられている点も本作の良さだと言えますね♪
以上、【エリック・クラプトンのギターを弾きまくりライヴ盤『E. C. Was Here』を聴こう♪】でした。
どうしても有名曲が収録されていないので、歌を期待して聴くと…「地味な作品」だと感じることでしょう。
どちらかと言うと『E. C. Was Here』は、僕のようにクラプトンのギター弾きまくり!を聴きたいって方におすすめの作品です♪
本作の聴きどころは、やはりブルース4曲のカヴァーです。
特にギターソロ中にキーが転調しまくる”Rambling on My Mind”のクラプトンは最高です♪
クラプトンがブルース曲でギターを弾きまくるアルバムとして聴きましょう♪
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