2019/02/21
ラリー・カールトンとデイヴィッド・T.・ウォーカー夢の共演ライヴ『Billboard Live Tokyo』を聴こう♪
名セッション・ギタリストのラリー・カールトンとデイヴィッド・T.・ウォーカー夢の共演ライヴ『Billboard Live Tokyo』をご紹介します。
過去にクルセイダーズやマリーナ・ショウの名作で共演したことのある2人の名セッション・ギタリスト!
今回は、僕も尊敬する2人の名セッション・ギタリストの夢の共演ライヴをご紹介します。
その2人とは、ラリー・カールトンとデイヴィッド・T.・ウォーカー(以下:デビT)です。
こちらのブログでも何度か登場した2人ですね♪
僕自身も自分がギターを弾くので、この2人からは演奏面でも影響を受けました。
特にデビTからは大きな影響を受けました。
そんな2人のギタリストは、1970年代にクルセイダーズやマリーナ・ショウの名作で何度か共演しています。
特にクルセイダーズの1979年の『Street Life』と、マリーナ・ショウの1975年の『Who Is This Bitch, Anyway?』の2作品は歴史的名盤としても有名ですね♪
僕も大好きな2作品です!
そんな2人の名ギタリストが、2014年に日本で共演ライヴを行いました!
当時、この2人の共演ライヴがビルボード東京と大阪で行われることを知っていたのですが、僕は残念ながら観に行くことが出来ませんでした。
仕方なかったとはいえ、この事は今でもとても後悔しています。
無理してでも観に行けばよかった…と。
その後、ギターを習いに行っていた頃に知り合いになった方が、その時の大阪公演を観に行ったようで、終演後にラリー・カールトンとデビTと肩を組んで写真撮影しているのを見せてくれました。
羨ましい!
そんな個人的に残念な思い出はあったりしますが、2015年に東京公演を収録した公式ライヴ盤がリリースされることになりました!
ライヴを生で観に行くことは出来ませんでしたが、この夢の共演ライヴ盤『Billboard Live Tokyo』がリリースされたことで、いつでも聴くことが出来るようになりました。
それでは、今回はラリー・カールトンとデイヴィッド・T.・ウォーカーの夢の共演ライヴ『Billboard Live Tokyo』をご紹介したいと思います。
Larry Carlton & David T. Walker – 『Billboard Live Tokyo』
01.Burnable
02.Nite Crawler
03.March Of The Jazz Angels
04.Soul Food Cafe
05.A Place For Skipper
06.10PM
07.The Well’s Gone Dry
08.Feel Like Makin’ Love
09.My Baby By My Side
Personnel:
Larry Carlton & David T. Walker – Guitar
Paulie Cerra – Saxophone, Vocals
De Marco Johnson – Keyboards
Travis Carlton – Bass
Gene Cove – Drums
アルバムの内容
この作品は、2014年2月28日(金)にビルボード東京で行われたファースト・セットから8曲、セカンド・セットから1曲選ばれています。
そのセカンド・セットからの1曲は、ジミー・ジョンソンのブルース曲”My Baby By My Side”のカヴァーです。
実際のライヴ本編では、”Burnable”の前に3曲をやっていたようです。
他にもデビTの2008年の作品『Thoughts』収録の”Global Mindfulness”も演奏していたようですが、本作には収録されていません。
なのでフル・セットが収録されているわけではなく、聴きやすいように編集されているようです。
アルバムの1曲目の”Burnable”は、デビT抜きのラリー・カールトン・バンドとして始まります。
この曲は、ラリー・カールトンとロベン・フォードの2007年の共演作『Larry Carlton With Special Guest Robben Ford Live』に収録されていた曲です。
ラリー・カールトンのライヴでも演奏されることが多い曲で、怪しげなギターのリフから始まる曲です。
ラリー・カールトンの息子のトラヴィス・カールトンの弾くベースと、ジーン・コーヴの叩くドラムとのトリオで演奏されています。
ラリー・カールトンのギターソロの後には、オートワウを使ったトラヴィスのベースソロもあります。
通常のラリー・カールトン・トリオのライヴと言ったところでしょうか。
もちろん素晴らしい演奏なのですが、まだデビTが出てきていないので共演ライヴ盤としての聴きどころとしては…ちょっと違いますね。
この曲が終わるとラリー・カールトンのMCで”Very very special guest!”としてデビTが紹介されて登場します。
2曲目”Nite Crawler”からラリー・カールトンとデビTの夢の共演ライヴが本格的に始まります!
この曲は、クルセイダーズの1977年の作品『Free as the Wind The Crusaders(旋風に舞う)』の4曲目に収録されていた爽やかな曲です。
ラリー・カールトンの弾くイントロから始まり、テーマは2人のギターがユニゾンで奏でます。
ラリー・カールトンが低音部、デビTが高音部を弾き分けます。
途中からサックスも加わりキーボードも参加します。
この曲ではデビTがギターソロを弾きます。
ラリー・カールトンのソロはありません。
3曲目”March Of The Jazz Angels”は、ラリー・カールトンの1987年の大ヒットしたアコースティック作品『Discovery』の6曲目に収録されていました。
スタジオ盤では、サックスにカーク・ウェイラムが参加していましたが、本作では代わりにポーリー・セラがサックスを吹きます。
まずはサックスソロがあり、その後にラリー・カールトンのES-335の素晴らしいトーンでギターソロが始まります!
その次にデビTのギターソロもあります。
僕はデビTがすごく好きではあるのですが、やはり単純なギターソロに関してはラリー・カールトンの方が華がありますね。
逆にデビTは、リズムギターを弾く際にいつものダブルストップやハープ奏法で目立っています。
テーマやギターソロに関しては、ラリー・カールトン!
バッキングやオブリガードに関しては、デビT!
と、2人の特徴がよく表れていると思います。
「どちらの方が上か?」とか、そういったことではなくって「どちらも自分の得意な弾き方を活かした最適な演奏!」とポジティヴに聴く方がより本作を楽しめると思います♪
僕は、「リードギタリストとしてのラリー・カールトン」と、「サイドギタリストとしてのデビT」という風に2人のギター奏法を参考にして聴いています。
自分が演奏する際にも、リードを弾くときはラリー・カールトン風に弾いて、バッキングに徹する時はデビTのようにフロントマンを立たせながらも自分の存在感も出せるような演奏が出来るようになりたいところです。
さて、4曲目”Soul Food Cafe”は1989年にデビTが、ジョー・サンプルとチャック・レイニーとポール・ハンフリーと共演したアルバム『Soul Food Cafe』の2曲目に収録されていた曲です。
デビTの単独公演でもよく演奏されるメジャー・キーのブルース調の曲です。
言うなれば、デビTのお得意な曲調ってことですね♪
そのためイントロやテーマを弾くのはデビTになります。
最初にソロを弾くのもデビTです。
その後、サックスソロ→ピアノソロと続きます。
デビTは、いつものようにエフェクターを使わないクリーントーンでギターを弾いていますが、対してラリー・カールトンは様々なエフェクターを使います!
ピアノソロの次に、強めに歪ませたワウギターの音色でラリー・カールトンのギターソロが始まります!
良くも悪くも「地味」だったデビTのギターソロに対して、かなり派手目に弾いています!
ソウルフルなデビTのギターソロと、ロックなラリー・カールトンのギターソロ…それぞれに魅力がありますね♪
僕はギターエフェクターも大好きなので、ラリー・カールトンのような派手な弾き方も悪くないと思います。
デビTのギターソロは、「味わい深さ」はありますが、「一本調子」と言えなくもないですからね。
2人の違いを楽しみましょう♪
5曲目”A Place For Skipper”も、ラリー・カールトンの1987年の作品『Discovery』に収録されていた曲です。
コーラス・エフェクターを掛けた幻想的なラリー・カールトンのギターのイントロから始まります。
まるで教会音楽のように優しい音色が、聴く者の心を癒してくれます。
ソロはサックスが吹きます。
どことなくカーク・ウェイラムを彷彿させるような歌心溢れるサックスソロです。
6曲目”10PM”は、ラリー・カールトンの1982年の『Sleepwalk』の7曲目に収録されていた曲です。
もちろんテーマを弾くのはラリー・カールトンです。
そのままギターソロを弾き、次にデビTにバトンを回します。
再度ラリー・カールトンのボリューム奏法混じりのギターソロで曲は締めくくられます。
7曲目”The Well’s Gone Dry”は、クルセーダーズの1974年の作品『Southern Comfort』に収録されていたラリー・カールトンのオリジナル曲です。
この曲もリードするのはラリー・カールトンです。
短めですがラリー・カールトンのワウギター・ソロも聴けます♪
ここ2~3曲は少しデビTの存在感が薄いのが残念ではあります。
ギターソロこそ弾いてはいますが、それ以外ではほとんど「ラリー・カールトン・バンド」の演奏と言ったところでしょうか。
もう少し2人のギターの絡み合いが聴きたいところなのですが、その願いは次の8曲目”Feel Like Makin’ Love”で聴くことが出来ます。
もちろん2人が共演したマリーナ・ショウの1975年の『Who Is This Bitch, Anyway?』のアレンジで演奏されています。
違いと言えば、マリーナ・ショウのボーカルは参加していませんのでサックスとギターがテーマを弾くインストで演奏されていることです。
イントロのラリー・カールトンの弾く幻想的なワウギターのコード弾きが始まると、デビTのお得意技ダブルストップで下降するあのフレージングが登場します!
最初にテーマを吹くのはサックスです。
サックスのテーマは1周のみで、その後はワウギターを半踏みしたラリー・カールトンのギターがテーマを弾きます。
それに対してデビTが、コール&レスポンス的にオブリガード・フレーズを挟み込みます。
3分14秒辺りでデビTが弾く「チャラチャララ~~ン♪」というオブリ・フレーズに呼応するかのように、即座に同じ「チャラチャララ~~ン♪」というフレーズを弾くラリー・カールトンとのやり取りなどが聴きどころです。
ただ、どちらかが明確なギターソロを弾くわけではなく、曲のテーマをアレンジしてお互いがギターで会話を楽しむようなジャム・セッションのようでもあります。
出来れば、デビTのコンピングをバックにラリー・カールトンに思いっきりギターソロを弾いて欲しかったところです。
そしてアルバム最後の収録曲9曲目の”My Baby By My Side”は、前述の通りジミー・ジョンソンのブルース曲のカヴァーです。
歌うのは、本作にサックスで参加しているポーリー・セラです。
彼の長いサックスソロもあります。
その後、ピアノソロ→デビTのギターソロと続きます。
最後にラリー・カールトンのギターソロがないのも、ちょっと残念なところです。
以上、【ラリー・カールトンとデイヴィッド・T.・ウォーカー夢の共演ライヴ『Billboard Live Tokyo』を聴こう♪】でした。
少しお互いのギターの絡み合いが薄いのが残念な点ではありますが、それは忙しい2人が限られた時間でリハをするしかなかったと思うので、仕方ないことだとも感じます。
しかし70年代のフュージョン/クロスオーバー時代を共に歩んだ2人の名セッション・ギタリストが、こうして日本で共演ライヴを行ってくれたのは喜ばしいことですね♪
僕としては、自分の尊敬する2人のギタリストが共演してくれたとても大事なライヴ盤のひとつでもあります。
ぜひともラリー・カールトンのファンの方にも、デビTのファンの方にも、 70年代のフュージョン/クロスオーバー時代の作品がお好きな方にも聴いて欲しいおすすめの作品です♪
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