
2019/02/24
ザ・ニュー・マスターサウンズの8枚目のスタジオ盤『Out On The Faultline』を聴こう♪
ザ・ニュー・マスターサウンズの作品を1枚ずつご紹介するシリーズ
2012年の8枚目のスタジオ盤『Out On The Faultline』をご紹介します。
ザ・ニュー・マスターサウンズ(以下:ニューマスター)のアルバムを1枚ずつ順にご紹介しているブログ記事シリーズです。
前回の7作目のアルバム『Breaks From The Border』をご紹介してから久しぶりになりますね。
ザ・ニュー・マスターサウンズが歌った!?7作目『Breaks From The Border』を聴こう♪
今回は、2012年にリリースされたニューマスターのオリジナル・アルバム8作目に当たる『Out On The Faultline』のご紹介です。
The New Mastersounds – 『Out On The Faultline』
01.You Mess Me Up
02.Way Out West
03.Yo Momma
04.Mission Creep
05.Ding-A-Ling (Featurin – Joe Cohen)
06.Welcome To NOLA (Featuring – Papa Mali)
07.Summercamp
08.Redwood Jungle (Featuring – Jazz Mafia Horns)
09.Each To Their Own
10.Make Up Your Mind
11.Turncoat
– Japanese Bonus Track –
12.Yo Momma [SWG Remix]
Personnel:
Eddie Roberts – Guitar & Vocals
Simon Allen – Drums & Vocals
Pete Shand – Bass & Vocals
Joe Tatton – Organ & Fender Rhodes Piano & Vocals
Special Guest:
Joe Cohen – Tenor Sax on Track 05
Papa Mali – Spoken Word on Track 06
Jazz Mafia Horns – Horn Section on Track 08
Recorded at Faultline Studios in San Francisco, CA.
Released : 2012.
アルバムについて
本作は、ニューマスターにとって初のアメリカ録音となった2011年の前作『Breaks From The Border』に引き続き、同じくアメリカで録音されています。
テキサスで録音を行った前作『Breaks From The Border』のアルバム・タイトルは、”Breaks From The Border”=「国境からの逃避」という意味でした。
メキシコとの国境沿いの街トルニーヨで録音されたことからつけられたアルバム名のようです。
そして本作『Out On The Faultline』は、テキサスから遠く離れたサンフランシスコの「フォールトライン・スタジオ」という音楽スタジオで録音されています。
そのままスタジオ名から『Out On The Faultline』というアルバム・タイトルが付けられたのでしょう。
“out on business”で「仕事で外出中である」の意味があります。
「フォールトライン・スタジオ」に出向いて録音したアルバム…といったところでしょうか⁉
以前、インタビューでニューマスターのリーダーでギタリストのエディー・ロバーツは「毎回アルバム・タイトルを考えるのがレコーディングで一番苦労することだよ。」と冗談を言っていたのですが、アルバム・タイトルにはそこまで深い意味はないような気がします。
ちなみに”fault line”の意味は「断層線」のことです。
このアルバム・ジャケットのデザインには、フレデリック・ライトの1985年の作品’San Andreas Fault’が使用されています。
‘San Andreas Fault’とは、「サンアンドレアス断層」の意味で、カリフォルニア州南部から西部にかけて約800マイルにわたって続く巨大な断層のことです。
その断層面のズレを描いた作品がこのアルバム・ジャケットのデザインに使われている’San Andreas Fault’になります。
その昔、『ビバリーヒルズ青春白書』でケリーの彼氏だったNY出身の画家コリン・ロビンスが、L.A.にやってきて地震の大きさにビックリするシーンがあったのですが…
この「サンアンドレアス断層」の活動によって周辺地域は地震の多発地帯となっているんです。
アルバム・タイトルとジャケットのデザインは、そういった意味合いで統一されてはいますが、アルバムの中身の楽曲に関しては特に繋がりはないようです。
いつものニューマスター節全開の爽快なジャズ・ファンク曲満載です♪
アルバムの内容
前作の『Breaks From The Border』の1曲目”Take What You Need”は、初のニューマスターのメンバーによるボーカル曲でしたが、本作の1曲目”You Mess Me Up”は、ミーターズ風のイナタいギターリフが印象的なオルガン系ジャズ・ファンク曲になります。
ニューマスターは、、アルバム発表前にまだ未発表の新曲を先にライヴで披露することがよくあります。
当時、僕は先にこの曲をライヴ音源で耳にしていました。
前作のボーカル曲と違って、原点回帰したようなミーターズ風のファンク曲に喜びました!
さっそくニューマスター好きの友達にも聴いてもらったところ、2人で大喜びした思い出があります。
「これだよこれ!ニューマスターに求めるサウンドはこういったイナタい曲調なんだよ!」って。
その後、その友達と日本のジャズ・ファンク系のバンドのライヴを観に行った際に、ライヴハウスのモニターで”You Mess Me Up”のPVを見かけました。
そのPVを観て、ニューマスターが原点回帰したような嬉しさと共に、よくわからないシチュエーションの映像を見て大笑いしました。
「どういう状況やねん!」って。
ギターリフも曲調も最高なのですが、なぜか海で泳いでいるPVはよくわかりません。
ニルヴァーナの『Nevermaind』のジャケットを思い起こさせますね。
ちなみにこの”You Mess Me Up”は、今でもライヴでよく演奏されている曲です。
ニューマスターのひとつのパターンとして、こういったミーターズ風の楽曲ではライヴでもギターソロを弾くことはありません。
代わりにオルガンがソロを弾いて、ギターはテーマ部分以外ではカッティングをするのみです。
しかし、これこそニューマスター節の楽曲と言いたくなるような素晴らしい曲だと思います♪
さて、他にもこの曲の面白い映像をYouTubeで観ることが出来ます。
なんと、ビートルズの有名な「ルーフトップ・コンサート」のような感じで、NYのビルの屋上で演奏している映像があります。
ピートとサイモンのリズム隊はいませんが、エディとジョーの2人でデュオ形式で演奏しています。
背後にエンパイアステートビルがそびえ立っていますね。
映像の13秒辺りで建物の下に映るマクドナルドに僕はもしかしたら行ったことあるかもしれません。
2016年にNY旅行した際に、エンパイアステートビルから歩いて15分程のホテルに宿泊しました。
その時にマクドナルドに行ったのですが、この映像の場所だったような⁉…気がします。
まぁそれはさておき、ギターとキーボードだけでもかっこいい曲ですね♪
当時、この映像もそのニューマスター好きの友達に見せたら「なんやこれ?他の2人は?ニューマスター解散の危機か!」って言ってたのを思い出します。もちろん悪ノリした冗談ですよ。
やはりニューマスターには、色々と思い出がありますね。
2曲目”Way Out West”は、ソニー・ロリンズの1957年の名盤『Way Out West』とは全く関係ありません。
ニューマスターのオリジナル曲です。
これが疾走感あふれるかっこいいジャズ・ファンク曲なんです!
2014年辺りから、ライヴの1曲目に演奏されることが多くなった定番曲です。
ちょうど僕が2017年に観に行ったビルボード大阪のライヴでもこの曲が1曲目でした。
The New Mastersounds 2017年来日公演
必ず1曲目というわけでもなく、ライヴの中盤で演奏される場合もあります。
長尺キーボード・ソロが特徴となる曲ですが、この曲でもエディのギターソロが登場することはまずありません。
次の3曲目”Yo Momma”は、シングル盤にもなったユニークなボーカル曲です。
メンバー全員で歌う曲です。
ライヴでもよく演奏されるお気に入りの曲のようです。
2017年のビルボード大阪でもやっていました。
スタジオ盤ではボーカルありで演奏していますが、ライヴだと歌なしでインストで演奏されることも多い曲です。
その場合は、歌メロ部分をキーボードが担当しています。
ちなみに日本盤の『Out On The Faultline』には、12曲目にボーナス・トラックとして”Yo Momma [SWG Remix]”が収録されています。
クラブ受けの良さそうなダンサンブルなミックスがされていますが、正直これならライヴ音源を収録してもらった方が嬉しいのにな~と言ったところでしょうか。
4曲目”Mission Creep”は、ピートのグルーヴィーなベースラインから始まるミーターズ風の楽曲です。
ニューマスターらしくって良い曲なのですが、2013年以降はほとんどライヴ演奏されなくなった曲です。
少しもったいない気もしますが、他にも良い曲が増えてきたので仕方ないですね。
次のボーカル曲の5曲目”Ding-a-Ling”には、ゲスト・ミュージシャンでサックス奏者のジョー・コーエンが参加しています。
メンバーの歌が終わると、フラジオ奏法でフリーキーな音からサックスソロが始まります。
この曲もライヴでも取り上げられるとこがほとんどなかった曲です。
6曲目”Welcome To Nola”は、ニューマスターの楽曲でちょくちょく登場するレゲェ風のリズムを持つ曲です。
スライドギターも弾くシンガー/ギタリストのパパ・マリが「語り」で参加しています。
本名はマルコム・ウェルボーンですが、ルイジアナ北部で交わされる挨拶の言葉からとったニックネームだそうです。
曲自体は、ゆったりとしたレゲェ調にパパ・マリの語りがあるのみで、楽器陣のソロ演奏はありません。
そのためライヴで演奏されることもありませんでした。
パパ・マリとは仲が良いようで、ニューマスターがアメリカで初めて出会ったミュージシャン仲間のようです。
過去には、エディ・ロバーツが単独でパパ・マリのライヴにゲスト・ギタリストとして登場したこともあったようです。
7曲目”Summercamp”は、少しフュージョン系のエレピのサウンドが印象的な楽曲です。
この曲は、今でもちょくちょくライヴ演奏されていて、なんとつ先日の2019年1月のライヴでも取り上げられていました!
このスタジオ収録バージョンと同じように、ライヴでもエディの長めのギターソロが聴ける楽曲になっています♪
8曲目”Redwood Jungle”は、サンフランシスコを根城とするホーン隊ジャズ・マフィア・ホーンズが参加しています。
曲調は、ホーン隊が華やかなJB風の豪華なブラス・ファンク曲です。
そのためライヴで演奏されたとこは、ほとんどありません。
ゲストにホーン隊が参加している時だけ演奏するレアな曲でもあります。
2012年には、アトランタ・ファンク・ソサエティ・ホーンズと共演した際にこの曲を演奏していました。
なんと!その時のニューマスターのライヴには、あのグラント・グリーンの息子がゲストで登場しています。
その際に父親のグラント・グリーンのジャズ・ファンク期の有名曲”Windjammer”を演奏して、エディ・ロバーツとギターバトルを繰り広げていたこともあります!
グラント・グリーンに憧れた英国出身のギタリストが、その息子のギタリストと父親の代表曲でギターバトルを繰り広げるなんて…まさに夢の共演ですね♪
9曲目”Each To Their Own”もメンバー全員で歌うボーカル曲です。
ピートのウネるようなベースラインが印象的なファンク曲です♪
歌だけでなく、長めのギターソロやキーボードソロもある曲なのですが、今はもうライヴでは演奏されていません。
10曲目”Make Up Your Mind”は、ジャズ・ロック風の重めのギターリフで始まるボーカル曲です。
11曲目”Turncoat”は、少し調子の外れたような可笑しな歌メロを持つボーカル曲です。
この最後の2曲に関してはどちらもボーカル曲ですが、ちょっと印象が薄いです。
と言うのも、ほとんどライヴで演奏されることがない曲だからです。
“Turncoat”は、なぜかジョーがひとりで歌わされているライヴ映像を観たことがあるのですが、正直お世辞にも歌は上手くありませんからね。
“Make Up Your Mind”もイントロのギターリフこそファンク・ロック調でかっこいいのですが、どうも印象に残らない凡曲といった感じです。
どうしてもアルバムの最初の方に良い曲が集中しているようには感じられますね。
以上、【ザ・ニュー・マスターサウンズの8枚目のスタジオ盤『Out On The Faultline』を聴こう♪】でした。
久しぶりのニューマスターのアルバム紹介シリーズでした。
しかも2019年度初になりますね。
しかしこの『Out On The Faultline』は、個人的には色々と思い出のあるアルバムなので、2019年の最初にこのアルバムのご紹介が出来て個人的には満足しています。
今でもニューマスターのライヴで演奏されることが多い、冒頭3曲の”You Mess Me Up”、”Way Out West”、”Yo Momma”は、やはりファンとしては絶対に聴いておかないといけない楽曲だと思います!
少しアルバムの後半に収録された楽曲の印象が薄い気がしますが、この3曲だけでも十分に聴く価値がある作品だと思います。
それでは今後もニューマスターの残りの作品についても順番にご紹介していきたいと思います。
ぜひまた読みに来て下さい。
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