
2026/02/26
エリック・クラプトンの1985年作品『Behind the Sun』徹底解説!フィル・コリンズがプロデュースしたアルバムの全曲レビュ!ー

エリック・クラプトンの1985年のアルバム『Behind the Sun』を徹底解説!
エリック・クラプトンが1985年にリリースしたアルバム『Behind the Sun』は、ギターの神様と称されるクラプトンのディスコグラフィーの中でもどちらかというと地味な存在の作品です。
このアルバムは、エリック・クラプトンがフィル・コリンズと初タッグを組んだことで当時は話題となりましたが、今まで以上にポップ寄りの洗練されたサウンドが特徴となっています。
そういったポップな作風がこれまでのクラプトンのイメージから少し外れているためか「名作」として本作が語られることはあまりありませんが、しかしだからといって本作が「駄作」か?と言われると必ずしもそうではないということを今回の全曲ご紹介したブログ記事で知っていただければと思います。
シンセサイザーや電子ドラムを大胆に取り入れたポップで洗練されたサウンドが特徴となっており、従来のブルースロックとは一味違う80年代らしい魅力にあふれています。
本記事では、『Behind the Sun』の制作背景から全11曲の詳しい解説までご紹介します。
エリック・クラプトン『Behind the Sun』のアルバム概要
『Behind the Sun』は1985年3月11日にDuck Records / Warner Bros. Recordsからリリースされた、エリック・クラプトンの9枚目のソロアルバムです。
全11曲収録されており、総収録時間は約50分です。
当時、エリック・クラプトンは私生活で妻パティ・ボイドとの一時的な別離を経験しており、それが”She’s Waiting”や”Same Old Blues”などのオリジナル曲に深い影響を与えています。
アルバムタイトルは、マディ・ウォーターズの曲”Louisiana Blues”の一節から取られたもので、エリック・クラプトンの内面的な感情を象徴しています。
『Behind the Sun』の制作背景とプロデュースの舞台裏
このアルバムの制作では、フィル・コリンズをプロデューサーに迎え、シンセサイザーや電子ドラムを活用したポップで現代的な音作りを指向しました。
しかし、レコード会社からより商業的なシングル曲を求められたため、3曲については別途プロデュース陣を起用しています。
具体的には、フィル・コリンズによるプロデュースで全体をまとめつつ、”See What Love Can Do”、”Something’s Happening”、”Forever Man”の3曲は、レコード会社からの要望に応じてテッド・テンプルマンさん(ヴァン・ヘイレンなどで知られるベテラン)とレニー・ワロンカーさんによって制作されました。
その結果、”Forever Man”が第一弾シングルとしてリリースされ、全米26位を記録するヒットを飛ばしています。
また、このアルバムは長きにわたってエリック・クラプトンをサポートすることになるベーシストのネイザン・イーストとキーボーディストのグレッグ・フィリンゲインズが初参加した記念すべき作品でもあります。
モントセラトのアソシエイテッド・インディペンデント・レコーディング(AIR Studios)を中心に録音され、クラプトンのギターソロが随所で炸裂する一方、80年代らしい洗練されたアレンジが魅力です。
『Behind the Sun』の収録曲一覧と1曲ずつ詳しい解説
ここからは、『Behind the Sun』の収録曲全11曲を1曲ずつ丁寧に解説していきます。
各曲の作詞作曲、演奏のポイント、背景を交えながら、エリック・クラプトンの魅力をお伝えします。
1. “She’s Waiting”
アルバムのオープニングを飾る力強いナンバーです。
エリック・クラプトンとピーター・ロビンソンの共作です。
妻パティ・ボイドとの関係性を思わせる歌詞”She’s waiting for another love”が印象的で、彼女がより強い愛を求めていることを警告する内容となっています。
カリビアン調のリズムにのった爽やかなイントロから、エリック・クラプトンの情感たっぷりのボーカルと伸びやかなギターソロが炸裂します。
フィル・コリンズによる電子ドラムも効果的で、ライブエイド1985年ではフィル・コリンズと一緒に演奏され、観客を沸かせました。
エリック・クラプトンのギターが前面に出た名曲です。
アルバムからの第3弾シングルとしてもカットされています。
2. “See What Love Can Do”
ジェリー・リン・ウィリアムズ提供のポップでソウルフルなミッドテンポ曲です。
レコード会社要望の3曲のうちの1つで、テッド・テンプルマンとレニー・ワロンカーがプロデュースしています。
アルバムからの第2弾シングルとしてカットされています。
レゲエ/ゴスペル調のグルーヴが心地よく、エリック・クラプトンの味わい深いギターが隙間を埋めています。
愛の力を肯定的に歌った歌詞は、当時のエリック・クラプトンの心境を反映しているようです。
バックボーカルも厚く、80年代らしい華やかなアレンジが光ります。
3. “Same Old Blues”
エリック・クラプトン単独作曲のブルースナンバーで、アルバム中最長の8分15秒を誇ります。
ゆったりとしたテンポながら、後半に向かって加速するギターソロが圧巻です。
「いつものブルース」というタイトル通り、繰り返される日常の憂鬱を歌っており、私生活の影を感じさせます。
フィル・コリンズのプロデュースによるシンプルで力強いバンドサウンドが、エリック・クラプトンのブルースルーツを存分に発揮しています。
4. “Knock on Wood”
エディ・フロイドとスティーブ・クロッパー作のソウルクラシックのカバーです。
アップテンポでノリの良い楽曲で、エリック・クラプトンのファンキーなギターとコーラスワークが楽しめます。
3分19秒の短めの尺ながら、ライブ映えするエネルギッシュな一曲です。
80年代のエリック・クラプトンさんがソウル音楽への愛を再確認できるナンバーです。
5. “Something’s Happening”
ジェリー・リン・ウィリアムズ提供のもう1曲で、テッド・テンプルマン&レニー・ワロンカーがプロデュースしています。
何かが起こっている予感を歌ったミステリアスな雰囲気のポップロックです。
リンジー・バッキンガム(フリートウッド・マック)がリズムギターで参加しており、洗練されたサウンドに仕上がっています。
エリック・クラプトンのボーカルが情感豊かで、シングル候補にふさわしいキャッチーさがあります。
6. “Forever Man”
アルバム最大のヒット曲となったジェリー・リン・ウィリアムズ提供のナンバーです。
「永遠の男」として相手に尽くすことを誓う歌詞がロマンチックで、アップテンポのダンサブルなリフが耳に残ります。
テッド・テンプルマン&レニー・ワロンカーがプロデュースした3曲目で、全米26位を記録しています。
ミュージックビデオもMTVで人気を博し、エリック・クラプトンの80年代を象徴する一曲となりました。
ネイザン・イーストとグレッグ・フィリンゲインズのプレイが光る初参加曲でもあります。
7. “It All Depends”
エリック・クラプトン作曲のゆったりとしたミッドテンポ曲です。
すべては「状況次第」という哲学的な歌詞が印象的です。
フィル・コリンズのプロデュースによる穏やかなアレンジで、エリック・クラプトンの抑え気味の渋いギターが情感を深く表現しています。
8. “Tangled in Love”
マーシー・レヴィとリチャード・フェルドマンの共作曲です。
マーシー・レヴィはエリック・クラプトンの長年のバックボーカルで、”Lay Down Sally”なども共作した間柄です。
複雑な恋愛をテーマにしたキャッチーなメロディーが魅力です。
4分11秒の心地よいポップバラードです。
9. “Never Make You Cry”
エリック・クラプトンとフィル・コリンズの共作曲です。
「あなたを泣かせない」という優しい約束を歌ったバラードで、6分6秒と長めに展開します。
エリック・クラプトンのギターシンセサイザーも使用されており、80年代らしいテクニカルな味わいがあります。
10. “Just Like a Prisoner”
エリック・クラプトンの作曲の5分29秒のミディアム曲です。
囚人のように縛られた感情を歌ったもので、力強いギターソロが聴きどころです。
私生活の葛藤が色濃く反映された一曲と言えます。
11. “Behind the Sun”
アルバムのタイトル曲で、エリック・クラプトン単独作曲の短い2分13秒のバラードです。
ギターとボーカル、フィル・コリンズのシンセのみというシンプルな構成で、心に染みる美しさがあります。
別離の痛みを癒やすような、アルバムの締めくくりにふさわしい静かな名曲です。
『Behind the Sun』がエリック・クラプトンのディスコグラフィー史上に残した意義
『Behind the Sun』は、エリック・クラプトンが商業的成功とアーティスティックな表現を両立させたアルバムです。
フィル・コリンズとのコラボレーション、ネイザン・イースト&グレッグ・フィリンゲインズとの出会い、そしてヒットシングル”Forever Man”など、後のキャリアに繋がる要素が詰まっています。
チャートでは全米34位、イギリス8位、スイス3位など好成績を収め、プラチナディスクも獲得しました。
エリック・クラプトンのファンならぜひ全曲通しで聴いていただきたい、80年代の隠れた傑作です。
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