2024/07/20
70年代エリック・クラプトンのおすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介!
【第30回】おすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介シリーズ
70年代にエリック・クラプトンが制作したスタジオ・アルバムの中からおすすめの作品を5枚選んでご紹介!
【おすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介シリーズ】の第30回です。
今回は久しぶりにエリック・クラプトンのアルバムをご紹介します。
それも70年代のスタジオ盤に範囲を限定して、その中から5作品をおすすめ順にご紹介します。
ちなみにこの時代のクラプトンは、レスポールからストラトキャスターへとメイン・ギターを代え、自らリード・ボーカルを務めるようになった時期でした。
まだギターの音色も、たまに激しいギターソロを弾く場面以外ではあまり歪ませずに、ワウギターもクリーム時代のようには弾かなくなっています。
その代わりに、オールマン・ブラザーズ・バンドのデュアン・オールマンとデレク&ザ・ドミノスで共演したことから彼のスライドギターに影響を受けて、再び指にボトルネックを嵌めてギターネックを滑らせた時期でもあります。
音楽性も、スワンプ・ロックから当時流行りだったレゲェにゴスペル・ソウル等、ブルース・ロック一辺倒からより幅を広げています。
個人的にはこの時期のクラプトンが一番好きなので、今回は70年代にクラプトンがリリースしたスタジオ・アルバム全6枚のうち、5枚選んでランキング形式でご紹介します。
70年代エリック・クラプトンのおすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介!
第5位:Eric Clapton – 『Backless』
第5位は、70年代最後の作品となった『Backless』です。
1978年にリリースされた6作目のソロ・アルバムで、本作を最後に名物ギタリストだったジョージ・テリーがクラプトンのバック・バンドから離れることにもあります。
そして80年代に入ると、一気に派手なサウンドに変るので、スワンピーな肩の力が抜けた作風はこれで最後となりました。
僕はこれぐらいゆる~いクラプトンのアルバムの方が好きです。
誤解を恐れずに言いますと…クラプトンのボーカルはどうしても弱いので、これぐらいゆるい音楽性の方が合っています。
90年代に入って一時期ガナるように歌っていたのは、どうもクラプトンの弱い喉には合っていないと思うんです。
さて、本作からはリチャード ファルドマンとロジャー・リンが書いた”Promises”のシングル化されました。
この曲とサニー・ボーイ・ウィリアムスン I 世やジュニア・ウェルズが歌ったブルースの伝承歌”Early in the Morning”と、カントリー・シンガーのドン・ウィリアムスが歌った曲”Tulsa Time”のカバーは、当時のライヴでよく演奏されていた曲です。
ちなみに”Tulsa Time”は、ドン・ウィリアムスの1978年のアルバム『Expressions』に収録されています。
他にも本作にはクラプトンお気に入りのJ・J・ケイルの曲”I’ll Make Love to You Anytime”や、ボブ・ディランの”Walk Out in the Rain”と”If I Don’t Be There by Morning”のカバーも収録されています。
J・J・ケイルやドン・ウィリアムスの曲は、前作『Slowhand』でも取り上げていたので、当時のクラプトンの音楽的嗜好がカントリー・ミュージックに向いていたことが窺えますね。
目立ったシングル曲がない分、全体を通して落ち着いて聴くことが出来るアルバムです。
第4位:Eric Clapton – 『No Reason to Cry』
第4位は、1976年の5作目『No Reason to Cry』です。
その後開催されたザ・バンドの『ラスト・ワルツ』へ繋がるかのように、本作にはザ・バンドの全メンバーやボブ・ディランがゲストで参加しています。
そのためなのか?1曲目の”Beautiful Thing”は、ザ・バンドのリック・ダンコとリチャード・マニュエルが提供した曲で、もうまさに「ザ・バンドしている!」楽曲です。
もう1曲、クラプトンとリック・ダンコが共作した “All Our Past Times”も収録されていたり、ボブ・ディランの曲 “Sign Language”も取り上げてデュオで歌っています。
ロビー・ロバートソンの痙攣するかのようなトレモロ奏法も登場します。
そういった豪華なゲストの面々も良いのですが、クラプトンのらしさが良く出ている曲は、本人作の”Carnival”と”Hello Old Friend”の2曲ですね。
さすがにゲストの提供曲やブルースのカバーをシングル化するのはまずかったのか?この2曲がシングル・カットされています。
クラプトンが尊敬するブルースマン、オーティス・ラッシュの名曲”Double Trouble”のカバーも収録されていますが、比較的ゆるい楽曲が集まった本作において1曲だけヘヴィーなマイナー・ブルースは浮いています…。
他のアルバムに収録すべきだったかも!?
演奏自体も当時のライヴ演奏と比べると、このスタジオ録音は迫力に欠けています。
まとまりの無さという点から第4位となりました。
それならアルバム全体を丸ごと「ザ・バンド風」にすべきだったんじゃないかな?
第3位:Eric Clapton – 『Slowhand』
クラプトンを代表する名曲”Wonderful Tonight”を含む1977年リリースの5作目『Slowhand』を第3位に選びました。
本作には”Wonderful Tonight”以外にも、ジョージ・テリーとの共作”Lay Down Sally”やJ・J・ケイルのカバー曲でもはやクラプトンの代表曲の1つとなった”Cocaine”といったシングル曲が収録されています。
またカントリー・シンガーのドン・ウィリアムスのカバー”We’re All the Way”や、エルヴィス・プレスリーもカバーした”That’s All Right”で有名なブルースマン、アーサー・”ビッグボーイ”・クルーダップの曲”Mean Old Frisco”といったなかなか渋い選曲でカバーを取り上げています。
他にもクラプトンのオリジナルで8分を超える大作”The Core”も冴え渡るギターソロが聴き所の良曲です。
しかし冒頭のシングル3曲と比べると、他が見劣りするのかな?といった点から第3位となりました。
第2位:Eric Clapton – 『There’s One in Every Crowd』
第2位は、隠れた名作『There’s One in Every Crowd』です。
さすがに原題は英語のタイトルが長いので日本盤では『安息の地を求めて』といった邦題が付けられています。
アルバムの冒頭2曲がいきなりゴスペルの伝承歌で始まるのですが、これがこれが意外にも素晴らしい出来で!
1曲目の”We’ve Been Told (Jesus Coming Soon)”のオリジナルは、僕が好きなゴスペル系カントリー・ブルースマン、ブラインド・ウィリー・ジョンソンが歌った曲です。
この曲をクラプトンは、レゲェのリズムに乗せて女性コーラスとアコギの美しい音色をバックにゆる~く歌っています。
ここで聴けるスライドギターの素晴らしさも絶品です!
またシングル・カットもされたゴスペル・ナンバーの”Swing Low, Sweet Chariot”もクラプトン自らの手によってレゲェ・アレンジがなされています。
当時はイギリスでレゲェが流行っていたとはいえ、ゴスペルの曲をレゲェにアレンジして、更にブルージーなスライドギターを交えるなんて…クラプトンさすがですね!
他はロッキン・ジミー&・ザ・ブラザーズ・オブ・ザ・ナイトのジム・バイフィールド作”Little Rachel”と、レオン・ラッセルの奥さんメアリー・マクレアリー作の”Singin’ the Blues”と、クラプトンが大きな影響を受けたスライドギターの名手エルモア・ジェームスの名曲”The Sky Is Crying”が本作収録のカバー曲になります。
それ以外はクラプトンのオリジナル曲です。
本作からは、なぜかトラディショナルの”Swing Low, Sweet Chariot”しかシングル・カットされていないのですが、クラプトン作の曲もなかなかのクオリティーの高さです。
ゆる~いバラード曲の”Pretty Blue Eyes”やキャッチーな”High”なんかはシングル向けなのにな~と思います。
またジョージ・テリーと共作した”Don’t Blame Me”は、ボブ・マーリーが歌っていても遜色がないようなレゲェ曲ですが、さすがにこれは意識しすぎてはいるのかも?
『Slowhand』のような目立つシングル曲はないものの、アルバム全体をゆるいレゲェ風味で統一しているのでとても聴きやすい作品です♪
第1位:Eric Clapton – 『461 Ocean Boulevard』
第1位は、数あるクラプトンのソロ・アルバムの中でも最高傑作と言える『461 Ocean Boulevard』です。
1974年にリリースされた2作目のソロ・アルバムで、デレク&ザ・ドミノスのアルバム『Layla and Other Assorted Love Songs(邦題『いとしのレイラ』)』以来4年振りとなるスタジオ録音の作品です。
そのためなのか?全体的に気合いが入っており、勢いのあるアルバムに仕上がっています。
伝説のカントリー・ブルースマン、ブラインド・ウィリー・ジョンソンが1927年に歌った古いブルース曲”Mother’s Children Have a Hard Time”を、まさかのファンキーなブルース・ロックに改作した”Motherless Children”は、まさにクラプトンならではのアレンジです!
過去にもクリーム時代にロバート・ジョンソンの”Crossroads Blues”を勢いのあるギターリフが中心のブルース・ロックに改作していましたからね。
クラプトンはこういったカバー曲を自分なりにアレンジすることに長けています。
この辺はまるでクラプトンも尊敬するブルースマンのB.B.キングのようですね。
B.B.はオリジナル曲はほとんどないのですが、カバーした曲に自身の個性をを落とし込むのがとても上手だったブルースマンでした。
そんなクラプトンの得意なアレンジが一番上手くいったレイが、本作収録のボブ・マーリーのカバー曲”I Shot the Sheriff”です。
このクラプトンのバージョンは、全米1位のシングル・ヒットとなりました。
本作においてもこれがベスト・トラックです。
他にもジョニー・オーティスのジャンプ系ロックンロール曲”Willie and the Hand Jive”を、トレモロを効かせたギター(おそらくフェンダー・アンプのヴィブラートのツマミを使っている?あのツマミはヴィブラートと記載されていますが実際にはトレモロ効果です。)でレゲェ風味にアレンジしているのも上手い改作です。
またウィリー・ディクソン作でエルモア・ジェームスが歌った”I Can’t Hold Out”や、ロバート・ジョンソンの”Steady Rollin’ Man”のカバーに、カウボーイというバンド名のカントリー・ロック系シンガー・ライターのスコット・ボイヤー作 “Please Be with Me”といったカバーも収録されています。
これらの曲も知らずに聴いたらクラプトンのオリジナル曲だと思ってしまいそうなアレンジです。
クラプトンのオリジナル曲は、ゆるいバラード曲”Give Me Strength”と、女性シンガーのイヴォンヌ・エリマンと共作したレゲェ・チューンの”Get Ready”、そしてまるでジョージ・ハリスンが書きそうな穏やかな曲”Let It Grow”の3つです。
更に1曲、”Mainline Florida”は当時のクラプトンの相棒ギタリストだったジョージ・テリー作です。
こういった様々な楽曲が収録されているのに、違和感なく溶け込んで1枚の作品として統一されている点が、本作『461 Ocean Boulevard』を第1位に選んだ理由です。
ぜひクラプトンを聴くのなら本作から聴き始めて欲しいです。
以上、【70年代エリック・クラプトンのおすすめアルバムを5作品選んでランキング形式でご紹介!】でした。
これからエリック・クラプトンを聴いてみたいとお考えの方は、ぜひこのブログ記事を参考にしていただけたら幸いです。
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