カテゴリー:Music

2019/10/03

ジョン・コルトレーンにも影響を与えた異端のマルチ・リード奏者ユセフ・ラティーフの『Eastern Sounds』を聴こう♪

 
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ユセフ・ラティーフが1961年に吹き込んだ名作『Eastern Sounds』をご紹介します。

ジョン・コルトレーンにも影響を与えたアフロ・アメリカンと東洋思想を持つ異端のミュージシャン

今回は僕の好きな「美しくも儚い」名作を……。

 

ユセフ・ラティーフは、本名をウィリアム・エマニュエル・バドルストンとして1920年10月9日にテネシー州チャヌガータに生まれています。

 

2013年に93歳で亡くなるまでに数多くのリーダー作を残したジャズ・サックス奏者です。

 

基本はテナーサックスとフルートを演奏しているのですが、その他にもオーボエやシェーナイ、ショファー、ガード、アルゴル、バスーン、バンブーフルートなど世界各国の様々なリード楽器(ウッドウィンズ)を吹きこなすマルチ・プレイヤーでもあります。

 

西洋楽器のテナーサックスやフルート以外にも、こういったイスラムや東洋の楽器を操る一方で思想的にも深い東洋思想を持った人物でもあります。

 

晩年のジョン・コルトレーンに東洋思想を与えたのもユセフ・ラティーフだったといいます。

 

当時のデトロイトのミュージシャンの中では顔役でもあったほど、多くのミュージシャンに(思想的)影響を与え慕われていたようです。

 

ちなみにユセフ自身は、1955年頃からイスラム教のアフマディー教に改宗し、その際に名をユセフ・ラティーフに変えています。

 

レオ・モリスがイスラム教に改宗してアイドリス・ムハマッドと名を変えたのと同じですね。

 

では今回は、そんなユセフ・ラティーフの数多くあるリーダー作の中でもベストの出来と言える名作『Eastern Sounds』をご紹介したいと思います。

 

 

Yusef Lateef – 『Eastern Sounds』

 

01.The Plum Blossom
02.Blues For The Orient
03.Chinq Miau
04.Don’t Blame Me
05.Love Theme From “Spartacus”
06.Snafu
07.Purple Flower
08.Love Theme From “The Robe”
09.The Three Faces Of Balal

 

Personnel:
Yusef Lateef – Tenor Saxophone, Flute, Oboe, Xun
Barry Harris – Piano
Ernie Farrow – Bass, Rabaab
Lex Humphries -Drums

 

アルバムの内容

本作収録の全9曲中6曲がユセフの自作曲です。

 

中身の音楽こそ通常のジャズと違ったアフリカンな要素や東洋音楽の要素こそ見え隠れしますが、編成はジャズバンドにおいて基本的なワンホーン・ピアノ・カルテットで録音されています。

 

現在はプレスティッジ・レコードから再発されていますが、元はプレスティッジの傍系レーベルであったムーズヴィルにて発表された作品です。

 

本作はどうしても「スパルタカス 愛のテーマ」にばかり話題が向きますが……僕が本作を好きな理由は1曲目”The Plum Blossom”が好きだからというのもあります。

 

曲名にある”Plum Blossom”とは、「梅花」のことです。

 

「ウメ」を曲名に付けているだけあってか、どこか日本や中国などの(欧米人からすると)エキゾチックな東洋の音色を交えたメロディーに聴こえます。

 

この曲でユセフが吹いている楽器は塤(シュン : Xun)と呼ばれる中国の伝統管楽器のひとつです。

 

卵の形をしたような粘土や陶磁で作られたヴェッセルフルートのことで、オカリナのような土笛の一種になります。

 

澄んだ高音が特徴的なオカリナと比べると、どこか籠ったような音色が独特の哀愁を感じさせてくれる素晴らしい楽器です。

 

このシュンを使った1曲目”The Plum Blossom”があるからこそ、僕は定期的に本作を聴きたくなります。

 

なんとなく三国志とか水滸伝の冒頭の挿入歌として使えそう?な気がします。

 

ちなみにベースのアーネスト・ファローは、この曲のバッキングでルバーブを弾いているようです。

 

ルバーブとは、アフガニスタン中部を起源とするリュートのような楽器のことです。

 

こういった楽器の使用からも、本来の欧米的ジャズとは一線を画した作品となっているんですよね。

 

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Ryo
本当に素晴らしい1曲目だと思います♪

 

アジアンテイストで静かな曲調だった1曲目の次、2曲目の”Blues For The Orient”も曲名通りにオリエンタル(東洋らしい)な曲調が続きます。

 

とは言っても、ユセフの吹くオーボエのメロディーラインがオリエンタル風ではありますがバックのリズム隊は普通にジャズ・ブルースでスウィングしています。

 

その次の3曲目”Chinq Miau”は、モードジャズ系の「まるでインパルス期のジョン・コルトレーン」な楽曲です。

 

いや、ユセフがその後のジョン・コルトレーンにこういったエキゾチックなモーダル・ジャズを作品を通して教えたのかもしれませんね?

 

ただどうしても本曲でのユセフのテナーサックスのトーンは、ジョン・コルトレーンを彷彿させます。

 

どちらが先に影響を与えたのか?といった「卵が先か鶏が先か」というよりも、お互いが影響を与えあい共に研鑽を積んでいったのでしょう。

 

ピアノの美しいイントロから始まるバラード曲の4曲目”Don’t Blame Me”は、ジミー・マクヒューが1932年に書いた曲です。

 

ここでもユセフの優しいテナーのトーンは、コルトレーンの全編バラード作品『Ballads』に収録されていても可笑しくないような演奏です。

 

そして5曲目に本作をジャズ・ファンの間で有名にした名曲”Love Theme from Spartacus”が収録されています。

 

作曲家のアレックス・ノースが書いたこの曲は、元は映画『スパルタカス』のテーマ曲として提供された曲です。

 

ジャズの世界では1963年にピアニストのビル・エヴァンスが取り上げたのも有名です。

 

しかしやはり本作のユセフのバージョンの方がより心に残る演奏だと感じられます。

 

3拍子のワルツで始まるピアノのイントロから、ユセフの悲哀を表現したようなオーボエの音色が全てを物語っています。

 

この曲もコルトレーンが取り上げた同じワルツアレンジのミュージカル音楽だった”My Favorite Things”のようでもあります。

 

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Ryo
お互いが影響を与えあっていたのでしょう。

 

名曲「スパルタカス 愛のテーマ」が終わると,ユセフ自作の6曲目のモード・ジャズ曲”Snafu”が始まります。

 

この辺はテナーサックスに持ち替えて普通にジャズを演奏していたりもします。

 

7曲目”Purple Flower”もユセフの自作曲で、これまたコルトレーンのアルバム『Crescent』に収録されていそうな荘厳な雰囲気の楽曲です。

 

8曲目の”Love Theme from The Robe”も映画音楽で、原曲は1953年の映画『聖衣(The Robe)』のテーマ曲になります。

 

映画音楽作曲家のアルフレッド・ニューマンが書いた曲です。

 

原曲の壮大なストリングスをピアノに替えてしっとりとアレンジしています。

 

ここではユセフはフルートを吹いて儚げなメロディーを演奏しています。

 

最後の9曲目”The Three Faces Of Balal”は、1曲目の”The Plum Blossom”と同じようにシュンとルバーブが登場するユセフ節を交えた東洋風の楽曲です。

 

聴き方によっては虚無僧が吹く尺八のようでもあります。

 

僕たちアジア人には、どこか懐かしさを感じさせてくれる暖かみのある音色ですね♪

 

 

 

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Ryo
おすすめ曲は、#1 #3 #4 #5 #8 #9

 

 

以上、【ジョン・コルトレーンにも影響を与えた異端のマルチ・リード奏者ユセフ・ラティーフの『Eastern Sounds』を聴こう♪】でした。

 

アメリカ音楽であるジャズに、アジアやイスラムなどのエキゾチックな楽器やメロディーラインを取り入れた魅力的なアルバムです。

 

どうしても「スパルタカス 愛のテーマ」ばかり中心で語られることの多い作品ではありますが……本作の本質は”The Plum Blossom”や”The Three Faces Of Balal”のようにユセフ・ラティーフでしか作り出すことが出来ない独特の世界観にあると思います。

 

5曲目だけを聴くのではなく、全9曲を「1つの作品」として聴いて欲しいと思います。

 

ちなみにユセフ・ラティーフは、70年代半ば辺りから、何を思ったのか?時代の波に飲み込まれてダンサンブルなフュージョン作品を制作していたりもします。

 

しかも自分自身でディスコ・ファンクっぽい曲を歌っていたり……と迷走します。

 

もちろん歌はベンソンの様には上手くありません……。

 

本作のようなオリエンタルなジャズを制作するという信念を貫き通して欲しかった……というのは、僕のわがままでしょうか。

 

 

 

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