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カテゴリー:Music

2025/02/10

『ビートルズ・イン・ハンブルク』を読んで分かった下積み時代の真実!?ビートルズの原点ハンブルク時代とは?

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ビートルズの成功の原点ハンブルク時代とは?ビートルズ・イン・ハンブルク』を読もう!

先日ハンブルク時代のビートルズについて書かれた本『ビートルズ・イン・ハンブルク: 世界一有名なバンドを産み出した街』を見つけて読みました。

 

それがあまりにも面白かったので、あっという間に読み終えました。

 

今回はその『ビートルズ・イン・ハンブルク: 世界一有名なバンドを産み出した街』を読んだ感想を簡単に書いてみました。

 

過去に映画化もされているハンブルク時代のビートルズ

ハンブルク時代のビートルズに関しては、この本を読む前からなんとなくは知っていました。

 

20数年前に映画『バック・ビート』を観たことがあったからです。

 

たまたまTVの深夜放送で観たのですが、当時はまだビートルズを知ったばかりで、この映画は「ビートルズを題材にしたフィクション映画なのかな?」と思っていました。

 

しかしその後、スチュアート・サトクリフとアストリット・キルヒヘル(アストリッド・キルヒャーのこと。本書ではアストリット・キルヒヘルと記載されています。)の存在や…

 

トニー・シェリダンとの一連のレコーディングを聴いて「あれは本当の話だったのか!」となりました。

 

ちなみに映画『バック・ビート』のサントラ盤には、当時のビートルズが演奏していた古き良き時代のロックンロール・ナンバーを、ソニックユースやソウル・アサイラムのメンバーがカヴァーした音源が収録されています。

 

 

映画『バック・ビートだけではわからないビートルズのハンブルク時代

しかし映画『バック・ビート』に関しては、スチュアート・サトクリフとアストリット・キルヒヘルのラブストーリーみたいな内容で、肝心の「ハンブルク時代にジョンとポールがどのように自作曲を作るに至ったのか?」とか当時の音楽シーンについての描写はなく「ビートルズのハンブルク時代の重要さ」を知るにはイマイチな映画でした。

 

それがこの本『ビートルズ・イン・ハンブルク: 世界一有名なバンドを産み出した街』では、散々語られてきたスチュとアストリットの物語はサラッと流して、当時のハンブルクの音楽シーンや、「なぜリヴァプールのミュージシャンの多くがこの時期にドイツへ行ってライブ活動を行っていたのか?」とか、古いロックンロールをカヴァーしていただけのビートルズが自作曲を作るようになったきっかけだとか、ジョンとポールがお互いを補いながら作曲していったという大事な部分に触れられていました。

 

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ピート・ベスト解雇の真相!?

また本人も詳細を語らない「ピート・ベスト解雇」の謎にも4つの有力な説を挙げていました。

 

確か僕が過去に知った内容では、ピートは演奏曲をしっかり覚えず技術的な面からリンゴに代わったみたいなことだったのですが、本書によればそれ以外の人間関係の問題の方が大きな理由のようですね。

 

本書に挙げられている4つの理由それぞれが複雑に絡み合ってピートはバンドにいられなくなったのが真相なんじゃないかと思います。

 

またスチュの脱退に関しては、やはり技術不足とアストリットとの恋愛に走ったのとアート方面に進むためといった『バック・ビート』通りの内容でした。

 

今でこそポールの弾くベースのファンは多いですが、もしスチュが上手いベーシストだったらポールはギタリストのままだったという運命のいたずらです。

 

後にビートルズを印象づけることとなるイメージ戦略

それと、初期のビートルズと聞いて多くの人がイメージする「マッシュルームヘアー(モップトップ)に襟なしスーツ」のスタイルは、よく知られているようにこのハンブルク時代にユルゲン・フォルマーのアドバイスで採用したことも本書には書かれています。

 

これに関しては映画『バック・ビート』でもスチュがアストリットに進められてスタイルを変えたとはなっていますが、アストリットと同じくビートルズのメンバーが出会ったクラウス・フォアマンとユルゲン・フォルマーという3人のドイツ人の影響が大きいです。

 

彼ら3人との出会いについても本書では詳しく触れられています。

 

ちなみに後のビートルズの名盤『Revolver』のアートワークは、クラウス・フォアマンによるものです。

 

そしてビートルズのフロントマン3人を印象付ける楽器についてもドイツが深く関わっていたことも書かれていました。

 

ジョンの使用楽器として真っ先にイメージするリッケンバッカー325は、ドイツで購入していたようです。

 

またポールのヘフナー500/1はドイツの楽器店で買っていたことも書かれていました。

 

ジョージはドイツの楽器店でストラトを買おうとしたものの失敗して、リヴァプールに戻ってからあのグレッチ・デュオ・ジェットを購入したようです。

 

当時のイギリスでは売られていなかった楽器がドイツには流通していたようです。

 

ジョンとポールをイメージ付ける楽器がドイツで購入されていたことや、革ジャンにジーンズを履きリーゼント頭といった古いロッカースタイルからあのマッシュルーム頭のイメージに変わったこともハンブルク巡業中だったことを考えると、本書に書かれているようにビートルズにとって音楽面だけでなく見た目の変化も含めていかにハンブルク時代が重要だったかがわかります。

 

ハンブルク時代に始めたジョンとポールの作曲活動

作曲面に関してもこの時期に50年代のロックンロールを数多くカヴァーしたことからヒントを得ているようです。

 

毎晩のライブ出演(しかも休憩を挟みつつも約4時間の出番!)に際して、カヴァー曲だけでは曲数が足りなくなって自作曲を作る必要に駆られます。

 

そこでジョンとポールはお互いに作った曲を披露し合いました。

 

そこでお互いの足りない部分を補い合い共作するようになったようです。

 

ポールに関して言えば、「”I”、”Me”、”You”といったワードを曲名に使った。」というように、ビートルズの初期の曲目に特徴的な”リスナーが主体性を感じる”ような歌詞作りを意図的にしていたようです。

 

確かに同時期の他のバンドの曲と比べると、ビートルズの曲は”I”や”Me”といった主語が曲目に登場していますからね。

 

またこの時期にドイツでジョンの憧れのジーン・ヴィンセントやポールの憧れのリトル・リチャードのライブを観ているのですが、ジョンによると「ライブで観た”Be-Bop-A-Lula”は、僕らの知っている”Be-Bop-A-Lula”ではなかった。」と感じたことで、後のビートルズの基本ともなる「スタジオ録音とライブは別物」という考えに至ったようです。

 

1966年にツアーを辞め、レコーディングやスタジオアルバムのリリースに専念することになったのも、このハンブルク時代の経験も少なからず関わっているのでしょう。

 

その語の曲作りに登場しないハンブルク時代の仲間達

ただ、これは僕も本書を読むまで考えたこともなかったのですが…ジョンもポールもハンブルク時代の友人たちについて…

 

スチュにピートにアストリットにクラウス・フォアマンにユルゲン・フォルマーに、彼らのことを一切曲にしていないのというのが興味深い点です。

 

ハンブルク時代に演奏していた古いロックンロール曲はその後のビートルズでもレパートリーにしており、レコーディングもしています。

 

またジョンもポールもその後ソロ活動でもハンブルク時代のカヴァー曲をレコーディングしています。

 

ジョンは1975年のアルバム『 Rock ‘n’ Roll』でハンブルク時代の演奏曲”Be-Bop-a-Lula”や”Stand By Me”など多くの曲を取り上げています。

 

それにアルバムのジャケットのカヴァーアートも、ユルゲン・フォルマーが撮ったハンブルク時代のジョンの写真が使われています。

 

ジョンの手前を歩く焦点がブレた人物は、ポールとジョージとスチュです。

 

ポールは1999年のアルバム『Run Devil Run』で取り上げています。

 

しかしハンブルク時代の彼らのことは一切オリジナル曲に登場しないのは「言われてみれば!」でした。

 

忘れたい記憶とかでもなくリンゴも含めビートルズはみなハンブルク時代がいかに大事だったかを後にも各々語ってはいるのですが、スチュやピートにドイツのボヘミアンな芸術家3人が歌詞に出てこないのは不思議ですね。

 

そう考えると本書の表紙も何やら暗示的ですね。

 

ハンブルク時代のビートルズ5人を写したアストリットの有名な写真から、スチュとピートはカットアウトされてジョン、ポール、ジョージが表紙の真ん中に配置されるように編集されています。

 

ハンブルク時代のことを「語りたくない」からではなく、「終わったこと」だからジョンもポールも歌う必要がなかったのでしょう。

 

ハンブルク時代のビートルズを紐解いた良書

今回ご紹介した『ビートルズ・イン・ハンブルク: 世界一有名なバンドを産み出した街』は、ハンブルク時代のビートルズを知るには最適の本でした。

 

作曲面でのバンドの変化や、見た目の変化、そしてバンドメンバーの変化だけでなく、ハンブルクという地がどのようにビートルズに影響を与えたのかが詳しく解説されています。

 

またビートルズを始め当時のリヴァプール出身のバンドのことを「リヴァプール・サウンド」や「マージー・ビート」などと地域と密接して語られることがあります。

 

これは後のグランジ・ブームで言われていた「シアトル・サウンド」なんかも同じなのですが、「マージー・ビート」と一括りにされる多くのバンドでも個々にサウンドが違っていたりします。

 

ビートルズ以外にもサーチャーズやリンゴがビートルズ以前に参加していたロリー・ストーム&ハリケーンズにしてもサウンドに違いがあります。

 

本書ではハンブルクという地域がビートルズのサウンドに影響を与えたことに触れながらも、「リヴァプール・サウンド」や「マージー・ビート」などのジャンル分けは一筋縄ではいかないことも書かれていました。

 

同時期にハンブルク巡業をしていたイギリスのバンドは数多くいましたが、ビートルズだけがなぜここまでビッグな存在になれたのか?

 

本書でも最初の方に書かれていますが、当初はビートルズ(特に最初期のクオリーメン時代)はリヴァプールの他のバンドと比べてヘタクソなバンドでした。

 

それがハンブルク巡業でメキメキと実力を身に付けて頭角を現していったことが書かれていますが、なぜビートルズだけがそこまで大きく成長できたのか?は、わからないままです。

 

同じ事はミシシッピ・デルタ・ブルースの伝説ロバート・ジョンソンにも言えますね。

 

ロバジョンも当初はサンハウスに「お前のようなヘタクソはステージに上がるな!」と怒られましたが、1年後にバレルハウスに現れたロバジョンは別人のように上手くなっていました。

 

ジョンもポールもロバジョンも「音楽の才能がある天才だから」という単純な答えでは説明できそうにないです。

 

生まれ持った天才なら「ヘタクソ」ではなく、ソニー・ロリンズやプリンスのように最初から楽器が上手いはずでしょうから。

 

そういったことも含めてヘタだったビートルズがハンブルク巡業を経て、大きく成長したことが面白さに繋がるのでしょう。

 

本書の中でジョンは、ハンブルク巡業後にビートルズが”Please Please Me”のヒットで大衆の人気を得たことについて彼らしい皮肉で答えていました。

 

「あの時にビートルズは終わった」のだと…。

 

一般的にはあの瞬間にビートルズの歴史が始まりましたが、ジョンやポールにジョージにとってはハンブルク時代のライブバンドの姿が「真のビートルズ」の姿だったのでしょう。

 

今回『ビートルズ・イン・ハンブルク: 世界一有名なバンドを産み出した街』を読んでよかったです。

 

以上、【『ビートルズ・イン・ハンブルク』を読んで分かった下積み時代の真実!?ビートルズの原点ハンブルク時代とは?】でした。

 

ハンブルク時代のビートルズについて知りたい方はぜひ読んでみてください。

 

もしかしたら僕のように先に映画『バック・ビート』を観てから読んだ方が、本書に出てくるシーンなどがイメージできて更に良いかと思います。

 

 

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