
2018/12/20
ヒューバート・サムリン&ビリー・ブランチ『シカゴ・ブルース・セッションVol.22』
ブルース・ギタリストのヒューバート・サムリンとブルース・ハープ奏者のビリー・ブランチの貴重な共演作『シカゴ・ブルース・セッションVol.22』
今回ご紹介するのは、僕の好きなブルース・ギタリストのヒューバート・サムリンとブルース・ハープ奏者のビリー・ブランチの貴重な共演作の『シカゴ・ブルース・セッションVol.22』です。
この作品は1990年~1992年にシカゴのACMEスタジオで収録された11曲をまとめたコンピレーション盤です。
しかし単なる寄せ集めに終わってないところが、この2人の演奏力の高さによるところですね!
ブルース好きの方で本作を知らなかった、という方にぜひとも聴いてもらいたい作品です。
ヒューバート・サムリンだけでなく、ジョン・プライマーやカール・ウェザーズビーにジョニー・B・ムーアといったブルース・ギタリストの演奏が聴けるので、特にブルース・ギター好きの人におすすめのアルバムです!
もちろんビリー・ブランチの卓越したブルース・ハープのテクニックも聴き所です♪
それではさっそくご紹介したいと思います。
Hubert Sumlin & Billy Branch – 『Chicago Blues Session Vol.22』
01.You Can’t Change Me
02.I Did What I Could
03.Baby What You Want Me To Do
04.That’s All Right
05.Just Your Fool
06.Everything Gonna Be All Right
07.Take You Down Town
08.First Song I Ever Did
09.Real Far Away
10.No Place To Go
11.I’ve Been Gone
アルバム参加メンバー
本作のリーダーとなるのは、ハウリン・ウルフ・バンドでギターを弾いていた名ブルース・ギタリストのヒューバート・サムリンと若手時代はウィリー・ディクスンのバンドにも参加していたブルース・ハープ奏者のビリー・ブランチの2人です。
ヒューバートが最初の2曲をメインで歌っています。
その2曲にはビリー・ブランチがサイドマンとしてブルース・ハープで参加する形です。
そして3~7曲目まではビリー・ブランチがメインで歌う曲になります。
それらの曲では、ヒューバートの参加はなく、ジョン・プライマーやカール・ウェザーズビーにジョニー・B・ムーアらがギタリストとして参加しています。
残りの8~11曲目に関んしては、サイドギタリストにジョン・プライマーを従えてヒューバート・サムリンがアコースティックギターを弾きながら歌っています。
なので、実際にヒューバートとビリーが共演しているのは、頭の2曲のみになります。
アルバムの中身は、同じスタジオで録音された2人のリーダー録音をまとめた感じです。
アルバムの内容
冒頭の2曲”You Can’t Change Me”と”I Did What I Could”は、ヒューバート・サムリンがメインで歌う曲です。
どちらの曲にもブルース・ハープでビリー・ブランチが参加して絶妙なオブリガートを吹いています。
ヒューバート・サムリンはギタリストが本業なのですが、なぜかこの2曲に関してはジョン・プライマーがリードギターを弾いています。
ヒューバートは、歌いながらリズムギターをゆる~く刻んでいます。
お世辞にもヒューバートの歌は上手くないのですが……僕はヒューバートのギターソロが凄く好きです。
残念ながらどちらの曲もソロは弾かず、終始リズムギターに徹しています。
しかしジョン・プライマーのギターの腕前も素晴らしいので、ギター好きが物足りなくなるような2曲ではないですよ。
1曲目の”You Can’t Change Me”のイントロからジョン・プライマーのコロコロと鳴る音色のタメの効いたギターが存分に味わえます♪
2曲ともビリーのハープソロとジョン・プライマーのギターソロがどちらも素晴らしいのでヒューバートのソロが無くても物足りなさはありません。
そして3曲目から7曲目まではビリー・ブランチがメインで歌う曲です。
この5曲ではヒューバートはお休みになります。
まず3曲目の”Baby What You Want Me To Do”はジミー・リードの曲で、4曲目の”That’s All Right”はマディ・ウォーターズのバンドでギタリストを務めたジミー・ロジャースの曲になります。
どちらも名曲のカヴァーです。
この2曲には、ジョン・プライマーとルーサー・アダムスがギターで参加しています。
“Baby What You Want Me To Do”は原曲のジミー・リードのおとぼけた感じを残しつつ少し早めのテンポで演奏しています。
イントロのハープの演奏がかっこいい曲です♪
“That’s All Right”の方も原曲のジミー・ロジャースのゆったりした演奏に近い形でカヴァーしています。
どちらもそもそもの曲が良いので、文句なしに素晴らしい仕上がりとなっています♪
次の5曲目”Just Your Fool”と6曲目の”Everything Gonna Be All Right”は、どちらも現代に生きるブルース・ハーピストにとって一番の憧れの的ともいえるリトル・ウォルターの曲です。
この2曲にはカール・ウェザーズビーにジョニー・B・ムーアがギターで参加しています。
ちなみにこの2曲が僕の中でこの作品のベストの演奏だと思います。
リトル・ウォルターに敬意を表してか?”Just Your Fool”におけるビリーのハープソロは、とても熱い演奏なので聴き所です!
そしてブルースギター好きの人におすすめしたいのが次の”Everything Gonna Be All Right”です。
イントロのビリーのハープソロも素晴らしいのですが……3分15秒から始まるカール・ウェザーズビーのギターソロが上手すぎます!
2コーラス分24小節の(ブルースとしては)短いギターソロですが、中身は濃い~演奏です!
ブルース・セッションなんかに参加した際に、こういった無駄のないギターソロをアドリヴで弾けたら理想的だな~と思えるお手本のようなブルース・ギターです!

そして7曲目の”Take You Down Town”は、マディ・ウォーターズの”Gone To Main Street”として知られるノリの良いブルース曲です。
この曲は、3,4曲目と同じ録音日なのでジョン・プライマーとルーサー・アダムスの2人のギターに戻ります。
以上の5曲がビリー・ブランチがメインで歌う曲になります。
どれも過去のシカゴ・ブルースを盛り上げたブルースの偉人たちの名曲ばかりですので、楽曲の良さは言うまでもないぐらい素晴らしい名曲ばかりです。
さすがにオリジナルの原曲には劣りますが……しかしビリー・ブランチのこの録音も演奏自体は悪くないです!
特に個人的には、僕もギターを弾くので”Everything Gonna Be All Right”のカール・ウェザーズビーのギターソロは、ブルースギター弾き/好きの方にはぜひとも聴いて頂きたい演奏だと思います。
そして8曲目から11曲目までの4曲は、ヒューバートとジョン・プライマーのアコースティック・ギターのデュオ演奏になります。
まぁ先のバンド演奏と比べると、どうしても地味な演奏になってしまうのですが……最後はアコギでゆったりと♪といった感じですかね。
ヒューバート・サムリン&ビリー・ブランチの名義にはなっていますが、ヒューバートはリードギターを弾いていないのでビリー・ブランチの5曲を聴くためのアルバムのような気がしなくもないです。


カール・ウェザーズビーのギターソロですね♪
以上、【ヒューバート・サムリン&ビリー・ブランチ『シカゴ・ブルース・セッションVol.22』】のご紹介でした。
ちなみにこの作品のタイトル『シカゴ・ブルース・セッションVol.22』とありますが、他にも種類があります。
ぜひ他の作品も探してみて下さい。
色々と面白い作品が見つかったりしますよ!
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