
2021/10/31
初心者なら絶対聴くべきグランジ/オルタナ系ロックおすすめアルバム20選!
初心者におすすめしたい絶対聴くべきグランジ/オルタナ系アルバム20選!
かれこれ3年近く前になるのですが、【グランジ/オルタナ系ロックバンドのおすすめの名曲名盤集】というブログ記事をこのブログで書きました。
グランジ/オルタナ系ロックバンドのおすすめの名曲名盤集
その時はアルバム単位ではなく、曲単位でグランジ/オルタナ系ロックのおすすめアルバムをご紹介していました。
しかしあれから数年が経ち曲単位のご紹介よりもアルバムでのご紹介の方が良いかな?と思ったので…
今回はこれからグランジ/オルタナ系のロックを聴こうと考えている初心者さんのために「とにかくこのアルバムを聴いて欲しい!」と僕がおすすめしたい作品を20枚に絞ってご紹介したいと思います。
まずはこのアルバムから!絶対に聴いて欲しいアルバム順!
といったわけで、今回は前置きは短めにササッと絶対に聴くべきグランジ/オルタナ系ロックのおすすめアルバムを20作品まとめてご紹介します。
今回ご紹介するアルバムは、ちょうど僕が大学生だった頃にハマっていたグランジ/オルタナ系ロックの作品ばかりになります。
なので、ちょっとした個人的な思い入れも含めた形でのご紹介となります。
どうしても僕がギター弾きなので、「ギターがかっこいいアルバム!」というのも選考基準になっております。
ご紹介する順番の最初の方は有名なグランジ・バンドが続きますが、後半にはマニアックなバンドもいくつか含まれています。
それではさっそく始めましょう!
01.Nirvana – 『Nevermind』
まずはこの作品からですね!
そもそもこういったグランジ系のおすすめ作品をご紹介する際に、ニルヴァーナの『Nevermind』は絶対に外すことが出来ません!
僕自身も高校生の頃に友達から勧められて『Nevermind』を聴きグランジに目覚めました。
僕に取っても最初の1枚であるので、ぜひこのブログを読んでグランジという音楽に興味を持たれたという方は真っ先にこのアルバムを聴いて下さい。
グランジと言うジャンルは、ヘヴィーに歪んだギターとダークな曲調がひとつの特徴だったりもするのですが…
他のグランジ系アルバムと比べると、この『Nevermind』は少しポップに感じられます。
全米No.1を記録した大ヒット・シングル”Smells Like Teen Spirit”にしても、不気味な歌詞や曲調こそダークな感じがしますが、ダンサンブルなデイヴ・グロールのドラミングやファンキーなカート・コバーンのギター・カッティング、そして耳にこびり付くかのような印象的なサビのメロディーなど、その「わかりやすさ」にポップさを感じます。
サビ部分の歌詞が文章ではなく「単語の羅列」なのもこの曲が印象的に感じる要因のひとつだと感じます。
どちらかというと英語が苦手な僕ら日本人からしても、長くって難しい文章の歌詞よりも、一つ一つが短い単語を叫んでいるサビ部分はとてもわかりやすく感じます。
そしてあのギターです!
クリーン(正確には多少の歪みを加えたクランチ・サウンド)な音によるギター・カッティングから始まり、最初の4小節を弾き終えるとカート・コバーンがディストーション・ペダルを踏み込み一気に激しいロック・サウンドに変わります。
あの衝動!
この曲を初めて聴いた時にまだ高校生だった僕も、この歪んだギターを聴いて一瞬でグランジを好きになりました。
僕が人生で初めてギターで弾いた曲もこの”Smells Like Teen Spirit”になります。
むしろ”Smells Like Teen Spirit”のイントロのカッティングを自分で弾きたくってギターを始めたと言っても過言ではありません。
あのノイズ混じりのディストーション・ギターの音を好きになれるかどうか?もグランジにハマる一つの要素だと思います。
さて、どうしても大ヒットした”Smells Like Teen Spirit”ばかり目立ってしまう『Nevermind』ではありますが…実は外れ曲なしの本当の意味での歴史的名盤でもあります。
今でも僕は本作に駄曲は一切ないと思っています。
敢えておすすめ曲を5曲に絞ってあげるとしたら…
●Smells Like Teen Spirit
●Come as You Are
●Breed
●Lithium
●Drain You
の5曲になります。
理由として、この5曲はどれもライヴ演奏がかっこよくなるからです!
特に”Smells Like Teen Spirit”と”Breed”と”Drain You”は、スタジオ・バージョンよりもテンポが数段早くなり、よりパンキッシュに、よりロックに激しく演奏されているからです。
グランジには、こういったロックとパンクを混ぜこぜにした初期衝動の様な熱い気持ちが大事ですね!
中には『Nevermind』を聴いて「ちょっとポップすぎるかな…」と苦手意識を感じる方もいらっしゃるかと思いますが…
しかし『Nevermind』を聴かずして「グランジが好きです!」というのもおかしな話だと思います。
好き嫌いは別としてこの『Nevermind』は必ず聴いておきましょう!
グランジ最初の1枚として、これ以上に適したアルバムはないと思います。
02.Pearl Jam – 『TEN』
ニルヴァーナときたら次に聴くべきはパールジャムです!
といっても同じグランジというジャンルにカテゴライズされる2バンドですが、実際の音楽性はかなり違うと思います。
意外とポップな曲調が多いニルヴァーナと比べると、パールジャムはレッド・ツェッペリンやエアロスミス直系の正統派ハード・ロック・バンドといった感じです。
正直カート・コバーンのギター・ソロは、テクニック的に見ればいまいちなのですが…パールジャムのリード・ギタリストのマイク・マクレディは、エアロスミスのジョー・ペリー系のロック・ギターをバリバリと弾くタイプです。
またリズム・ギターを担当するストーン・ゴッサードは、R&B的なファンキーなノリを醸し出す点でもエアロスミスっぽさを感じさせます。
そこにザ・ドアーズのカリスマ的ボーカリストであったジム・モリソンを彷彿させるエディ・ヴェダーのハスキーな歌声を合わせると…正統派ハード・ロックの伝統を受け継いだバンドが完成します。
ジャンル的にはグランジに分けられるパールジャムですが、レッド・ツェッペリンやエアロスミスのようなハード・ロックがお好きでしたら、そのままの流れで聴いてみるのもいいかもしれません。
ちなみに僕はニルヴァーナを聴いた後に、パールジャムのこの『TEN』を聴いたのですが…最初はそこまでハマりませんでした。
というのも、グランジを聴くよりも2年前から既にハード・ロックに目覚めていた僕には真新しさを感じなかったからでした。
ニルヴァーナはそれまで聴いていたレッド・ツェッペリンやエアロスミスとは、かなり違った音楽性に聞こえました。
実際にはカート・コバーンはそのどちらのバンドからも影響を受けているのですが、それ以上にパンクからの影響も大きく受けていたのでシンプルな曲調が多かったからです。
その点、パールジャムの”Even Flow”や”Alive”といった曲を、名曲だとは感じましたが、それこそエアロスミスの延長線上のバンドだな…って感じたのが第一印象でした。
しかしここまで書いていてなんですが…おっさんになった今の僕からしたら『Nevermaind』は少し青臭く感じてしまいます。
でもこの『TEN』なら今聴いても青臭さは感じません。
残念ながらニルヴァーナは、1994年にカート・コバーンの自殺という形でバンドが終わりましたが、こちらのパールジャムは30年経った今も現役です!
まずはこの1stアルバム『TEN』から聴き始めましょう。
おすすめの5曲は…
●Even Flow
●Alive
●Black
●Jeremy
●Once
どれも本当に名曲ですね♪
03.Mudhoney – 『Mudhoney』
先にご紹介したニルヴァーナやパールジャムの先輩バンドに当たるマッドハニーもグランジを語る際に外せないバンドです。
ボーカリストのマーク・アームとギタリストのスティーヴ・ターナーは、パールジャムのギタリストのストーン・ゴッサードとベーシストのジェフ・アメンと共に伝説のバンド、グリーンリヴァーを組んでいたことでも知られています。
グランジの始祖とでも言うべきグリーンリヴァーの解散後にこのマッドハニーを結成しています。
マッドハニーの特長として、マーク・アームのねちっこいボーカルを中心に、マークと共にギターを弾くスティーヴ・ターナーのファズ・サウンドが印象的です。
インディー時代の作品に『SUPERFUZZ BIGMUFF』というファズの名器をタイトルにした作品もありますが、まずはこのメジャー移籍後の1stアルバム『Mudhoney』から聴くことをおすすめします。
“This Gift”と”You Got It” と”Here Comes Sickness”の3曲が特におすすめです♪
むしろ先にご紹介したニルヴァーナの『Nevermind』やパールジャムの『TEN』よりも、この『Mudhoney』の方が正統派のグランジだと言えるかもしれませんね⁉
激しく歪んだギターに、歌メロはキャッチーだけどダークな曲調はまさにグランジ!と言ったところでしょう。
グランジ好き!を目指すなら、この『Mudhoney』も外せませんよ!
04.Sound Garden – 『Badmotorfinger』
マッドハニーと共に「これぞまさにグランジ!」と言えるバンドがこちらのサウンドガーデンです。
メジャー・デビューからは2作目となる本作からキャッチーなメロディー・ラインを持つヒット曲がいくつか収録されるようになりました。
歪んだ激しいギター・サウンドを一つの特徴とするグランジではありますが、そういった荒々しいサウンドだけではないのもグランジの特徴だと言えます。
そんなサウンドガーデンの『Badmotorfinger』もグランジを語る上で外せないアルバムです。
シングル・カットされた”Rusty Cage”と”Outshined” と”Jesus Christ Pose”の3曲は、どれもサウンドガーデンを代表する楽曲だと言える名曲ばかりです。
キム・セイルの弾くブラック・サバスばりのヘヴィな重低音を効かせたギター・リフに、ツェッペリンのロバート・プラントを彷彿させるクリス・コーネルのハイトーン・ボイスがこのバンドの一番の魅力です。
先にご紹介していたマッドハニーよりもこちらのサウンドガーデンの方が日本だと知名度は高いと思うのですが、僕は先にマッドハニーの方から聴いたので、4番目のご紹介となりました。
それと、ニルヴァーナが登場する以前から活動していたオルタナ系では古参のバンドであるためか、初期の頃は「グランジ」というよりも「オルタナティブ・メタル」と言った方がピッタリな音楽性でしたからね。
僕にとってはサウンドガーデンよりもマッドハニーの方が、より「グランジ」らしさを感じさせるバンドです。
とは言ったものの、サウンドガーデンを聴かずしてグランジを語るのもありえないので、まずはこの『Badmotorfinger』から聴いてみて下さい。
05.Screaming Trees – 『Sweet Oblivion』
度々僕のこのブログでご紹介しているスクリーミング・ツリーズではありますが、残念ながら日本での知名度は低いバンドなのかな?とは感じます。
でも何度もご紹介するだけあって、僕はスクリーミング・ツリーズが大好きなんです。
そのスクリーミング・ツリーズを代表する作品と言えばやはりこの1992年の名作『Sweet Oblivion』だと言えます。
それ以前にも5枚のアルバムをリリースしており、この『Sweet Oblivion』が6作目の作品で、メジャー・レーベル移籍後第2作目ということになります。
ニルヴァーナのカート・コバーンがスクリーミング・ツリーズを好きだったということで日本のグランジ・ファンにも多少名の知れたバンドとはなっていますが、それでも先に挙げたマッドハニーやサウンドガーデンなんかと比べるとカルト的人気で留まるバンドなのかな?とは思います。
しかしこの『Sweet Oblivion』だけは他のアルバムと違ってシングル化もされた冒頭の3曲がキャッチーな楽曲で一般のロック・ファンにも耳障りが良い作品に仕上がっています。
特に ビルボードのチャートのひとつ、モダン・ロック・トラックスにて5位を記録したこのバンド最大のヒット・シングル”Nearly Lost You”のかっこよさは、グランジを代表する楽曲のひとつと言っても過言ではないクォリティーを誇ります。
また1曲目の”Shadow of the Season”のイントロのギターリフは、「何か新しい時代のロックが始まる!」といった期待を感じさせます。
更に3曲目のバラード曲 “Dollar Bill”では、ボーカリストのマーク・ラネガンの彼のロック・シンガー人生でも一番の歌唱を堪能することが出来ます。
ちなみにニルヴァーナがアンプラグドで演奏してグランジ・ファンにも有名になったカントリー・ブルースマンのレッドベリーの名曲”Where Did You Sleep Last Night”をカート・コバーンに教えたのはこのマーク・ラネガンだったりします。
マーク・ラネガンという人物は古いブルースにも造詣が深いようでソロ活動時にはレバレンド・ゲイリー・デイヴィスの”Death Don’t Have Mercy”を歌っていたこともあります。
僕の勝手なお気に入りってだけかも知れませんが、しかしマーク・ラネガンやスクリーミング・ツリーズはもっと評価が高くっても良いミュージシャン/バンドなのになぁ~と思います。
せっかくなのでこのブログを読んでこれからグランジを聴いてみたいといった皆さんにも、ぜひこのスクリーミング・ツリーズを好きになってもらえたら…嬉しい限りです。
僕の思い違いかも知れませんが…日本ではパールジャムよりもニルヴァーナの方が人気があるじゃないですか。
そこで感じたのが、パールジャムのエディ・ベダーやスクリーミング・ツリーズのマーク・ラネガンみたいなシャガレ声のボーカリストは日本ではあまり受けが良くないのかな?って…。
他にも似たボーカル・スタイルのクリードのスコット・スタイプやライフハウスのジェイソン・ウェイドなんかもそういった理由で日本での知名度はイマイチなままなのかな?って感じます。
どちらのバンドも本国アメリカでは大ヒットしていますが、日本ではそこそこ話題になって終わり…みたいな感じでしたからね。
でもまぁスクリーミング・ツリーズに限っては知名度が低いのは本国アメリカでも同じなんですがね…。(哀)
もっとスクリーミング・ツリーズが評価されて欲しいと思い今回の20選に選びました。
もちろんアルバムの内容としても、グランジ世代を代表する名作となっております♪
06.Smashing Pumpkins – 『Siamese Dream』
先ほどのスクリーミング・ツリーズは、知る人ぞ知る知名度の低いバンドではありましたが…こちらのスマッシング・パンプキンズは本国アメリカでもここ日本でも大人気のバンドですね。
僕も大好きなバンドです♪
日本でも「スマパン」の相性で親しまれ、90年代頃のロッキンオン誌でも度々インタビューが掲載されていました。
もちろん日系人のジェームス・イハがバンドにいるためってのも多少はあると思いますが、それだけでなくスマパンの音楽性がロック・ファンであれば誰しもが好きになれるような素晴らしい物であったからでしょう。
ちょうど僕がグランジ系の音楽を聴き始めた頃は、2枚組の大作『Mellon Collie And The Infinite Sadness(メロンコリーそして終りのない悲しみ)』が話題となっていました。
『メロンコリーそして終りのない悲しみ』は、間違いなくスマパンの最高傑作で、この時代を代表する歴史的名盤ではあります。
しかし当時の僕には「凄いアルバムだけれども、色んなタイプの曲が入っていてなんだかお腹いっぱいだな…。」って感じたのと、「これは果たしてグランジなのだろうか?」という疑問を10代の少年ながら感じました。
僕は世代的に1991年のグランジ・ブーム第一波をリアルタイムで体験できなかったので、スマパンの1stアルバム『Gish』を聴いたのはだいぶ後になってからでした。
『Gish』は、ニルヴァーナでいうところの『Bleach』といったところでしょうか?
粗削りで激しさはあるものの、楽曲のキャッチーさはまだまだ少なく、万人受けするような作品とは言えないのではないでしょうか。
そういった点で、ニルヴァーナの『Nevermind』と同じ様なキャッチーさも持ち合わせたアルバムと言えば、その『Gish』と『メロンコリーそして終りのない悲しみ』の間にリリースされた『Siamese Dream』が一番のおすすめです。
“Smells Like Teen Spirit”と同じように、クリーン・トーンのギターが急に激しく歪む1曲目の”Cherub Rock”は、スマパンを代表する楽曲です。
同じパターンの楽曲としては3曲目の”Today”もおすすめです。
他にはこの時代のグランジ・バンドとしては珍しいアコギが中心となった楽曲”Disarm”もスマパンの多様性を表した楽曲です。
次回作『メロンコリーそして終りのない悲しみ』でより顕著になっていくのですが、スマパンの中心人物ビリー・コーガンという人はグランジ世代に於いても並外れた作曲の才能を持った天才だと僕は思っています。
カート・コバーンやエディー・ベダーも素晴らしい楽曲をいくつも作ってはいますが、楽曲の多彩さではビリー・コーガンは群を抜いているでしょう。
そんなスマパンの作品で一番『グランジ』という音楽性を感じさせるのがこの『Siamese Dream』です。
まずはこの『Siamese Dream』を聴いてから、90年代を代表する名盤中の名盤『Mellon Collie And The Infinite Sadness(メロンコリーそして終りのない悲しみ)』へと進みましょう!
僕は聴いた順番が逆だったので、「スマパンってニルヴァーナと同じカテゴリーに入るグランジ・バンドだったんだ!」と後になって変な感じで知ることになりました。
07.Alice In Chains – 『Dirt』
僕はグランジやハード・ロックだけでなくメタリカやメガデスなんかのメタル・バンドも大好きです。
だから初めてアリス・イン・チェインズを聴いた時も「ジェリー・カントレルの弾くヘヴィなギター・リフとレイン・ステイリーのハイトーン・ボーカルがかっこいいメタル・バンド!」って思ってました。
子供の頃だったので音楽ジャンルなどはあまり分かっておらず、アリス・イン・チェインズはスキッド・ロウなんかと似たメタルに近いハード・ロック・バンドのように思っていました。
それが当時の雑誌の『グランジ特集』みたいなのにこの『Dirt』が入っていてなんだか変な感じがしました。
今でも『グランジ』にカテゴライズされていることに多少の違和感を持ってはいますが…しかし音楽ジャンルを語る上で同時代性という概念も大事なのかな?と思います。
ニルヴァーナやパールジャムと同じ時代に流行ったと言うことで、アリス・イン・チェインズもグランジとカテゴライズしてもいいんじゃないでしょうか。
この『Dirt』は1992年にリリースされた2作目のアルバムに当たります。
キャメロン・クロウが監督を務めたグランジ/オルタナ世代の青春映画『シングルス』にも楽曲提供された名曲”Would?”が収録されている点でも必ず聴いておきたいアルバムです。
というか、アリス・イン・チェインズの最高傑作は間違いなくこの『Dirt』です。
“Would?”だけでなくジェリー・カントレルのテクニカルなギターが唸る1曲目”Them Bones”や、シングル・カットされたメタル系のバラード曲”Down in a Hole”や静かに始まってサビが盛り上がるいかにもグランジ的な”Rooster”等、収録された楽曲のクォリティーの高さが魅力のアルバムです。
ニルヴァーナの『Nevermind』やスマパンの『Siamese Dream』なんかと比べると、かなりヘヴィなアルバムに感じてしまいますが、これもグランジ世代を代表するアルバムということで…。
08.Green River – 『Rehab Doll』
先に少し触れていましたが、このグリーン・リヴァーというバンドはグランジ/オルタナ・ロックの始祖とでもいうべきバンドです。
マッドハニーのマーク・アームとスティーヴ・ターナーにパールジャムのストーン・ゴッサードとジェフ・アメンが組んでいた伝説的バンドです。
1984年に結成され1988年まで活動していたので、グランジ・ブームが巻き起こる前の先駆者といたバンドですね。
しかしこのグリーン・リヴァー唯一のオリジナル・アルバム『Rehab Doll』には、既にグランジという音楽性が持つ「激しい衝動」や「退廃的な雰囲気」が完成されていると言っても過言ではありません。
はっきり言って、めちゃくちゃかっこいいアルバムです!
『グランジ』というジャンルを語る上で、ニルヴァーナやパールジャムにサウンドガーデン等は語られはすれど、こちらのグリーン・リヴァーは早すぎたバンドとして埋もれがちです。
でも本作に収録されている”Swallow My Pride”なんかは、ニルヴァーナの”Smells Like Teen Spirit”やパールジャムの”Even Flow”と並んで『グランジ・アンセム』と言っても良い楽曲です。
むしろ、この”Swallow My Pride”こそ一番最初の『グランジ・アンセム』として語られるべきでしょう!
09.Mother Love Bone – 『Apple』
雑誌などでこのマザー・ラヴ・ボーンが紹介されるときにはボーカルのアンドリュー・ウッドがヘロインのオーバードースで若くして亡くなったことが必ずのように書かれているので、その音楽性よりもそちらの情報が気になってしまうのですが…こちらもグランジ黎明期に登場したバンドです。
そしてこちらにも後にパールジャムを結成することになるストーン・ゴッサードとジェフ・アメンがグリーン・リヴァー解散後に参加しています。
もはやこの2人が『グランジ』という音楽性を作ったのでは?と思えますね。
この2人以外にもグリーン・リヴァー時代のギタリスト、ブルース・フェアウェザーも引き続きこのバンドに参加しています。
ちなみにアンドリュー・ウッドの歌い方は、ガンズ・アンド・ロゼズのアクセル・ローズを少し彷彿させます。
1990年にリリースされた唯一のオリジナル・アルバム『Apple』は、もしアンドリュー・ウッドがその後も生きていたらパールジャムの『TEN』のようになれたアルバムなのでは?と感じられる作品です。
なんとももったいないバンドだな…なんて不謹慎にも思ってしまいますが、もしかしたらカート・コバーンのライバルとしてアンドリュー・ウッドが活躍した運命も存在したかも知れませんね。
なんとなくアクセル・ローズに似た歌い方でもありますし…。
10.Temple of the Dog – 『Temple of the Dog』
今にして思えば夢のようなグランジ・バンドがこのテンプル・オブ・ザ・ドッグです。
先にご紹介していたマザー・ラヴ・ボーンのフロントマンのアンドリュー・ウッドが亡くなったことを受けて、サウンドガーデンのボーカリストのクリス・コーネルがメンバーだったストーン・ゴッサードとジェフ・アメンを誘い結成されたバンドがこのテンプル・オブ・ザ・ドッグです。
そしてこのバンドにはもう1人のボーカリストが参加しています。
それが後にストーン・ゴッサードとジェフ・アメンと共にパールジャムを結成することになるエディー・ベダーです。
更にパールジャムのリード・ギタリストになるマイク・マクレディと当時はサウンドガーデンのドラムを務め今はパールジャムに参加しているマット・キャメロンが加わっています。
サウンドガーデン+パールジャムといった豪華な面子が名を連ねるバンドですが、もちろんアルバムの内容もこれだけのメンバーが揃っているので素晴らしい出来です。
どちらかっていうとサウンドガーデンのようなヘヴィさや憂鬱さではなく、パールジャム的なメロディアスさを持ち合わせた音楽性です。
よくよく考えてみれば、現パールジャムのメンバーをバックにクリス・コーネルがフロントで歌う企画物的なバンドではありますが、グランジを語る上で外せないバンドの一つです。
11.Mad Season – 『Above』
こちらのマッド・シーズンも当時のグランジ中心人物達が結成したサイド・プロジェクトのバンドではありますが、グランジを好きになる上で必ず聴いておきたいアルバムです。
結成当時ののメンバーは、アリス・イン・チェインズのボーカリストのレイン・ステイリーにパールジャムのリード・ギタリストのマイク・マクレディ、ザ・ウォークアバウツのメンバーでもあったベーシストのジョン・ベイカー・サンダースにスクリーミング・ツリーズのドラマーのバレット・マーティンの4人です。
数曲でスクリーミング・ツリーズのボーカリストのマーク・ラネガンも参加しています。
ジェリー・カントレルのメタリックなギターが、ハード・ロック風でありながら美しいアルペジオのメロディーも弾きこなすマイク・マクレディに取って代わったことで、レイン・ステイリーのボーカルも激しさよりも抒情的な歌い方に変化しています。
ちなみにアルバム・ジャケットのイラストは、レイン・ステイリーが描いた絵です。
企画物のバンドではありますが、絶対に聴いておきたいグランジ作品のひとつです。
12.Sonic Youth – 『Goo』
今回ご紹介する20選は、『グランジ』だけでなく『オルタナティヴ・ロック』も同様に扱っています。
厳密には『オルタナティヴ・ロック』の中のひとつのジャンルが『グランジ』ということになるのかもしれませんが、この辺のジャンル分けをこだわっていくとわけわかんなくなっっちゃうんで、『グランジ/オルタナ』とまとめています。
グランジ・ブームが巻き起こるよりも10年も前に当たる1981年から活動を始めたソニック・ユースは、グリーン・リヴァーと並ぶ始祖のようなバンドではありますが、この1990年作品『Goo』は当時のニルヴァーナやマッドハニーの作品と並んでも遜色ありません。
1曲目の”Dirty Boots”も”Smells Like Teen Spirit”や”Even Flow”と並んで『グランジ・アンセム』と言いたくなるような素晴らしい楽曲です。
ちなみにアルバム・ジャケットのイラストは、ハードコア・パンク・バンドを代表するブラック・フラッグの中心人物にしてギタリストのグレッグ・ギンの実弟にあたるレイモンド・ペティボーンが描いた絵です。
ちょくちょくこのイラストが入ったTシャツを着ている若い子を見かけたりもしますが、「もしかしてソニック・ユースが好きなのかな?」と思うも、「単にオシャレだから着ている」だけなのかな?
13.Dinosaur Jr. – 『Bug』
ソニック・ユースと来れば、ダイナソーJr.ですね。
同じく激しく歪んだギターのフィードバックを上手く利用した爆音バンドです。
こちらも結成は1983年と、グランジ・ブーム以前の世代ではありますが、『グランジ/オルタナ』を語る上では絶対に外せないバンドです。
特にインディーズ時代最後の作品となる1988年作品『Bug』は、とても『グランジ』しているアルバムだと言えます。
次回作の『Green Mind』からメジャー移籍を果たすのですが、あまりにもポップになりすぎているのでこちらの『Bug』の方がより『グランジ』しています。
それでも1曲目の”Freak Scene”のキャッチーな歌メロはかなりポップではありますが…。
他にも”They Always Come”や”Pond Song”のようなメロディアスな楽曲やパンキッシュな”Budge”等もおすすめです。
14.Pixies – 『Doolittle』
グランジの始祖的なバンドが続いていますのでこちらも。
ニルヴァーナにも大きな影響を与えたピクシーズもグランジ/オルタナを語る上で外せません。
1989年リリースの2ndアルバム『Doolittle』は、間接的にグランジ・ブームの基を作ったアルバムだとも言えます。
1曲目に収録された”Debaser”は、”Smells Like Teen Spirit”が出来上がるきっかけの曲でもあります。
この曲のベースラインをクリス・ノヴォゼリックが弾いていたのを聴いたカート・コバーンが”Smells Like Teen Spirit”を思いついたと言われています。
それとピクシーズの楽曲には、静かに曲が始まってサビで一気に爆発する「静と動」の切り替えが激しい曲調が多いのも特徴です。
これは”Smells Like Teen Spirit”のようなグランジ曲に多く見られる曲調ですよね。
本作2曲目の”Tame”なんかもその「静と動」の切り替えを上手く活かした楽曲です。
他にもキャッチーなサビが印象的な”Wave of Mutilation”やサーフ・ロック的なポップさを持った”Here Comes Your Man”に女性ベーシストのキム・ディールの幻想的なボーカルが印象的な”Monkey Gone to Heaven”等、良い曲満載のアルバムです。
ニルヴァーナを聴いてグランジというジャンルを気に入ったなら、ぜひ先輩バンドのピクシーズも聴いてみて下さい。
15.Melvins 『Houdini』
カート・コバーンとも親交のあったメルヴィンズも外せないバンドです。
こちらのバンドもアリス・イン・チェインズやサウンドガーデンのようにメタル色が濃く、その2バンドよりも更に重たいドゥーム・メタル系の曲調でもあります。
1曲目”Hooch”から重々しいギターリフが鳴り、おどろおどろしいキング・バズのボーカルが他のグランジ・バンドとは一線を画するような異彩を放っています!
ちなみにこのバズがカート・コバーンにハードコア・パンク・バンドの雄ブラック・フラッグを教えています。
スクリーミング・ツリーズのマーク・ラネガンやピクシーズの存在といい、ニルヴァーナの大ヒットの影にはこういった同時代の先輩たちの影響が大きかったんですね。
3曲目の”Lizzy”とかは静かに始まってサビで爆発するグランジ的な「静と動」の入れ替えを用いた楽曲になります。
むしろメタル・バンドのひとつとして聴いた方が良さそうなバンドではありますが、しかしこれもグランジのひとつです。
なんとなくむしゃくしゃした気持ちを吹っ飛ばしたい時なんかに聴くといいかもしれませんね。
16.TAD – 『8-Way Santa』
こちらのタッドもメタル色の強いバンドです。
おすすめはスマパンの『Siamese Dream』制作時のプロデューサーのブッチ・ヴィグの元に制作された3rdアルバムの『8-Way Santa』になります。
前2作と比べると飛躍的にキャッチーな楽曲が増え、単純にかっこいいロック曲が多く収録されたアルバムだと言えます。
1曲目の”Jinx”は、先にご紹介していた映画『シングルズ』に起用されていながらもサントラに収録されなかった過去を持った曲です。
商業的な成功を収められなかった悲しきバンドではありますが、同業のグランジ・バンドからの評価も高く、セールスに関係ない質の高いロック曲は歴史の闇に消えてしまうにはもったいないと思えます。
だから今回のこの20選でもこうやってご紹介したいなって思いました。
17.Love Battery – 『Dayglo』
知名度で言えばスクリーミング・ツリーズやタッドよりも更に低いかもしれませんが…ラヴ・バッテリーもこの時代のグランジを代表するアルバムを作っています。
それがこの2作目となる『Dayglo』です。
どことなくティーンエイジ・ファンクラブの『Bandwagonesque』を彷彿させるピンク背景のイラスト・ジャケットですが、こちらの方がよりロックしています!
1曲目の”Out of Focus”のかっこよさが堪りません!
曲終盤にマイ・ブラッディ・バレンタイン並みのノイズ交じりの激しく歪んだギターソロが始まるのですが、この衝動こそがまさにグランジですね!
パンキッシュな2曲目の”Foot”や、イギー・ポップ&ストォージズっぽい4曲目の”See Your Mind”や、まるでエアロスミスのジョー・ペリー!な感じのスライド・ギターが登場する9曲目のタイトル曲の”Dayglo”等、激しく歪んだギターがかっこいいアルバムです。
ただロン・ナインのボーカルが弱いせいなのか?商業的成功を収めることも出来ず知る人ぞ知るグランジ・バンドに留まっているのがもったいないと感じるバンドでもあります。
せっかくなのでこうやって僕のブログでこのラヴ・バッテリーを多くの方に知ってもらえれば…と思いました。
かっこよく歪んだギターが好きな方はぜひ!
ちなみにDayGlo(デイグロ)とは、1930年代からあるアメリカの老舗メーカーで蛍光顔料・染料を専門的に制作している会社です。
1946年に”DayGlo Color Company”として正式に設立されています。
デイグロカラーを使った色鮮やかな蛍光塗料を用いたポップ・アートもこれまでに数多く制作されています。
まさにこのラヴ・バッテリーのアルバム・ジャケットのデザインがそれですね。
18.Hammerbox – 『Hammerbox』
後にグッドネスやパールジャムのマイク・マクレディも参加するザ・ロックフォードでもボーカルを務めた女性シンガーのキャリー・エイクルが中心となったハンマーボックス もおすすめしたいグランジ/オルタナ・バンドです。
1991年のデビュー・アルバム『Hammerbox』がおすすめです。
キャリー・エイクルのキャッチーなボーカルにハリス・サーモンドの暴れまわるギターがかっこいいバンドです。
特にキャッチーな3曲目””Size of the World” “や、4曲目の”We”のハリス・サーモンドがノイズまみれで激しく弾くはちゃめちゃで奇抜なギターが最高です!
ラヴ・バッテリーと同じく知名度の低いバンドではありますが、ギターがかなりかっこいいバンドなのでおすすめです♪
19.Skin Yard – 『1000 Smiling Knuckles』
こちらのスキン・ヤードもグリーン・リヴァー等と同じく後発のグランジ/オルタナ・バンドに大きな影響を与えたバンドです。
このバンドのオリジナル・メンバーのドラム奏者は、後にサウンドガーデンやパールジャムに参加することとなるマット・キャメロンでした。
しかしマット・キャメロンは1stアルバムのみ参加していて、その後はグラントラックのスコット・マッカラムを挟み、本作『1000 Smiling Knuckles』ではスクリーミング・ツリーズに参加する前のバレット・マーティンに代わっています。
このバンドもメタルから大きな影響を受けた音楽性で、サウンドガーデンに近い曲調になります。
オルタナ・ロック系のアーティストを中心にプロデュースやエンジニアリングを行うジャック・エンディノがギタリストで参加しているのも見逃せない点です。
20.Hole – 『Live Through This』
ニルヴァーナに始まりホールで終わる…このブログ記事を書こうと思い付いた時から考えていた構成です。
グランジというブームを巻き起こした張本人であるカート・コバーンの元妻コートニー・ラブがボーカルを務めるホールも外せないグランジ・バンドです。
皮肉にも「生き抜く(切り抜ける)」と題された1994年の『Live Through This』は、カート・コバーンが自決した一週間後にリリースされています。
悲劇的ではありますが、収録された楽曲の質はどれも高く、グランジ・シーンを代表する名作のひとつだと言えます。
もろにグランジ的「静と動」を活かした1曲目の”Violet”に於けるコートニーの張り裂けんばかりの歌声があまりにもかっこいいアルバムの幕開けとなります。
他にもキャッチーな歌メロの2曲目”Miss World”やカート・コバーンがバックコーラスで参加していた4曲目の”Asking for It”に気だるそうなコートニーの歌い方が印象的な6曲目 “Doll Parts”等、名曲満載のアルバムです。
ニルヴァーナを聴いたら、併せてホールも聴いておきましょう!
以上、【初心者なら絶対聴くべきグランジ/オルタナ系ロックおすすめアルバム20選!】のご紹介でした。
オマケでいくつか良質なグランジ/オルタナ系のコンピレーション・アルバムもササっとご紹介します。
まずはこれ!
『SUB POP 200』は外せません!
当時のニルヴァーナの未発表曲だった”Spank Thru”が収録されていた点で有名になったコンピです。
この曲は、カート・コバーンがニルヴァーナ結成前にやっていたバンドのフィーカル・マター時代の楽曲です。
それをニルヴァーナ名義で録音した音源がこのコンピに収録されています。
それだけでなくサウンドガーデンがこのコンピのために書き下ろした”Sub Pop Rock City”が聴けるといった点でも価値あるアルバムです。
他にもグリーン・リヴァーやタッドやブラッド・サーカス等のグランジ・バンドの楽曲も収録されています。
グランジ時代のシアトルのミュージック・シーンを舞台としたドキュメンタリー映画のHype!のサントラ『Hype! Surviving The Northwest Rock Explosion – The Motion Picture Soundtrack』もおすすめです。
1曲目のザ・ファットバックスの歌うポップなパンク曲”K Street”から始まり、ニルヴァーナもカヴァーしたザ・ワイパーズのハードコア・パンク曲”Return of the Rat”やグリーン・リヴァーの代表曲”Swallow My Pride”にサウンドガーデンのおどろおどろしい楽曲”Nothing To Say”、更にはマッドハニーの”Touch Me I’m Sick”のライヴ音源にニルヴァーナのヘヴィな楽曲”Negative Creep”等、センスの良い選曲がおすすめのコンピになります。
14曲目にはスーパーサッカーズによる30秒にも満たない強烈なライヴ音源の”I Say F●ck”なんかも収録されています。
短いのにかっこいい!
ハードコアなパンク曲です。
そして最後にご紹介するのは1980年代に活躍したグランジ・バンドの楽曲が多く収録された『Deep Six』です。
グリーン・リヴァーのレア曲”10,000 Things”を始め、サウンドガーデンやメルヴィンズにスキン・ヤードにマルファンクション、Uメンといったマニアックな面子が揃ったコンピです。
ヘヴィに歪んだギター曲が多いコンピではありますが、かっこいい曲満載のレアなアルバムです。
真っ先に手に入れるべきアルバムではありませんが、グランジにある程度ハマってから探し求めるレア盤といったところです。
ぜひこのブログ記事を読んで、グランジ/オルタナ・ロックのファンが今後も更に増えてくれたら嬉しい限りです。
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