2021/02/17
リチャード・グルーヴ・ホームズおすすめのソウルジャズ/ジャズファンク作品まとめ!
オルガン奏者リチャード・グルーヴ・ホームズのソウルジャズ/ジャズファンクのおすすめ盤まとめ
60~70年代にジャズファンクの名作を多数残した名オルガン奏者
先月から続いているソウルジャズ/ジャズファンク系のオルガン奏者が60~70年代に掛けて発表したおすすめアルバムをまとめてご紹介したいと思います。
今回は、数多くいる伝説的なジャズオルガン奏者に於いて、最も饒舌なベース・ラインを弾くのが得意だったリチャード・グルーヴ・ホームズのソウルフルでファンキーなアルバムをいくつかご紹介したいと思います。
通常、ジャズオルガン奏者は左手でベース・ラインを弾いて演奏することでベーシストいらずのバンドを組むことが出来ます。
例えばロックの世界でいうとザ・ドアーズなんかがそうです。
ザ・ドアーズはボーカリストのジム・モリソンのカリスマ性に注目が集まるバンドではありますが、モリソンじたいは楽器を演奏しません。
残りのレイ・マンザレクとロビー・クリーガーとジョン・デンズモアの3人のみが楽器を演奏しています。
その際に、オルガン奏者のレイ・マンザレクが右手でメロディー・ラインを弾いて、左手でベース・ラインを弾いています。
このように1人2役できるのがオルガン奏者の特長でもあるのですが、ロックの世界ではザ・ドアーズは珍しい編成だと言えます。
しかしジャズの世界では、オルガン+ギター+ドラムのみのトリオ編成は珍しくありません。
なので、ジャズ界に於けるオルガン奏者の役割としては、ベーシスト顔負けのベース・ラインを弾くことも重要だと言えます。
そんな中でも特にベース・ラインをブイブイ言わせて“グルーヴ”させることが得意なのがこのチャード・グルーヴ・ホームズです。
当然ソウルフルな音楽やファンキーな音楽に於いてはベースが非常に重要な役を担っています。
そう考えると、左手でベース・ラインを弾くのが得意だったリチャード・グルーヴ・ホームズがソウルジャズ/ジャズファンク系の名作を多く残しているのには、理に適ったことなのではないでしょうか。
それでは、そんな“グルーヴ”させることが得意だったリチャード・グルーヴ・ホームズの名作を年代順にまとめてご紹介したいと思います。
僕のこのブログでも頻繁にご紹介している『オルガンとギターが活躍するソウルジャズ/ジャズファンク』のシリーズになります。
Richard “Groove” Holmes – 『Groove』
1961年3月に録音されたグルーヴ・ホームズのパシフィック・レコードの第一作となった『Groove』は、オルガンジャズ・ファン必聴です!
と言っても、いきなり1曲目の”Them That Got”のイントロからピアノが登場するのは驚きでもあります。
オルガン奏者の作品なのにピアノ!?と混乱してしまいそうになりますが、このピアノを弾いているのはレス・マッキャンです。
ジャズ・ピアニストとしての顔だけでなく、有能なスカウトマンとしての役目も担っていたレス・マッキャンが、当時ピッツバーグのクラブで演奏していたグルーヴ・ホームズを見出したのでした。
本来であればこの作品は、レス・マッキャンのボーカルアルバムとして録音するはずでした。
しかしスタジオで録音メンバーを集めて音合わせをしていたところ、テナー・サックス奏者のベン・ウェブスターの演奏があまりにも素晴らしかったために急遽インスト・アルバムへと変更することとなりました。
そこからこのアルバムが、グルーヴ・ホームズのリーダー・デビュー作と変わっていったのでした。
フロントに立ってテーマを吹くのは、ベン・ウェブスターとトロンボーン奏者のローレンス・ロフトンが中心となりますが、グルーヴ・ホームズの動き回るベース・ラインは存在感抜群です!
特にアップテンポの楽曲でその存在感が際立っています!
レス・マッキャン作の”That Healin’ Feelin'”や、ジャズギターの始祖チャーリー・クリスチャン作の”Seven Come Eleven”の2曲が凄いです!
またグルーヴ・ホームズ自身もオリジナル曲”Good Groove”を提供しています。
この後、70年代に入ってからも何度か共演することになるジャズファンク系ギタリストのジョージ・フリーマンが参加しているのも見逃せません。
この時期のアルバムでは、まだファンクの要素がありませんが、それでもジミー・スミス以上にソウルフルな演奏を聴くことが出来ます。
それもグルーヴ・ホームズが作り出すベース・ラインがあてこそなのでしょうね。
ジャズファンクというよりも、オルガンジャズがお好きな方におすすめです♪
Richard “Groove” Holmes – 『After Hours』
とにかくソウルフルで楽しいアルバムです
オルガン+ギター+ドラムという最小編成のトリオ作品『After Hours』は小粋にスウィングするソウルジャズ作品です。
レイ・チャールズのR&B曲”Hallelujah, I Love Her So”から勢いよく始まる本作を聴くと、自ずと元気が沸いてきます!
ジーン・エドワーズの弾くR&Bマナーに沿ったギターは、もはやジャズの世界から飛び出してソウルフルな世界へと旅だっています。
アルバム・タイトルにもなっている”After Hours”は、ジミー・スミスもカヴァーしたジャズ・ブルースの定番曲です。
フィニアス・ニューボーンの名演が聴けるロイ・ヘインズの名作『We Three』でも有名ですね。
ここでも存在感抜群のグルーヴ・ホームズのベース・ラインに、教会音楽のようなロングトーンを多用したメロディー・ラインが印象に残ります。
ブルージーなジーン・エドワーズのギターソロも堪りません♪
次の3曲目”Groove’s Bag”と4曲目”Sweatin'”、5曲目”Groove Bird”、6曲目”Minor Surgery”は全てグルーヴ・ホームズのオリジナル曲です。
ここにきて、やけにギターが上手くなっているなぁ~と感じてしまうのですが、弾いているのは名手ジョー・パスです!
そりゃ上手いよね!…いや、巧いよね!
ソロギターで知られるジョー・パスですが、60年代はこういったオルガンジャズの作品にもいくつか顔出ししていました。
さすがに歴史に名を残すジョー・パスの上手さは特別です!
7曲目の”Do It My Way”もグルーヴ・ホームズのオリジナル曲ではありますが、この曲はジーン・エドワーズが弾いています。
グルーヴ・ホームズとジーン・エドワーズの名演を聴くことが出来るのは、まだこのアルバムではありません。
次のアルバムを待たなければなりません。
そしてアルバム最後の”Jenne”は、ジャズピアニストのデューク・ピアソンの書いたハード・バップ曲です。
ドナルド・バードのライヴ演奏が有名な楽曲ですが、その緊張感をそのままにオルガン演奏に変えています。
ここでもジョー・パスがギターを弾いています。
とにかくギターが上手いので必聴です!
やはり本作もリチャード・グルーヴ・ホームズのソウルジャズの名作として聞き逃せません!
Richard “Groove” Holmes – 『Soul Message』
リチャード・グルーヴ・ホームズの代表作といえば、何と言ってもこの『Soul Message』になります。
オルガンジャズの名盤としても、ジミー・スミスの『Midnight Special』や『Back at the Chicken Shack』と並ぶ名盤と言えます。
そのためジャズオルガンを特集した様々な媒体でご紹介される機会も多く、このアルバム・ジャケットを目にしたことがある方も多いことでしょう。
というか、ここで僕がご紹介するのも蛇足となってしまいそうなぐらい、色んな雑誌でご紹介されている定番アルバムでもあります。
本作『Soul Message』は、ブルーノート・レコードと並ぶオルガンの名作を多数リリースしているプレスティッジ・レコードより1965年にリリースされています。
編成は、オルガンが最も活きるギターとのトリオで、ギターにジーン・エドワーズ、ドラムにはスペル違いのジミー・スミスが参加しています。
オルガン奏者の方が”Jimmy Smith”で、こちらのドラマーの方は”Jimmie Smith”です。
ちなみにこの2人のジミー・スミスの共演アルバムもありますが、ここでは別のお話ですね。
さて、本作はグルーヴ・ホームズ作曲のゆる~いジャズ・ブルース曲”Groove’s Groove”で幕を開けます。
さっそくギターのジーン・エドワーズとの相性の良さが感じられる楽曲です。
2曲目の名トランペット奏者クリフォード・ブラウンが書いた”Daahoud”や、4曲目の名ピアニストのホレス・シルバーが買いた”Song For My Father”のようなハード・バップの夜明けを感じられるジャズ曲も収録されています。
また1946年に女性シンガーのジョー・スタッフォードが歌ってヒットしたトラディショナルなスタンダード曲”The Things We Did Last Summer”のバラード演奏も収録されています。
アルバム最後にはグルーヴ・ホームズ作のソウルジャズ曲”Soul Message”が収録されていたり…とこれだけでも十分すぎる内容なのですが、本作の一番の聴き所はそこではないです!
やはり何と言っても”Misty”です!
古き良き時代のピアニスト、エロール・ガーナーが書いたこのスタンダード曲を、ここまでスウィングさせた演奏は他にないんじゃないだろうか?と感じてしまう名演です!
この曲を聴くためだけに本作を手にしてもおかしくありません。
どの雑誌を読んでも、どの特集本を読んでも、この”Misty”のべた褒めばかりです。
このブログまでべた褒めです!
文句なしに歴史に残る名演です!
これを聴かずしてオルガン・ジャズ語るなかれ!です。
オルガン・ジャズ好きを自負したいなら、絶対に聴いておきましょう!
オルガン好きが何人か集まれば、必ずこの”Misty”の話になります。(多分⁉笑)
グルーヴ・ホームズのオルガンも素晴らしいのですが、ギター好きならジーン・エドワーズのスウィングしまくるコンピングに注目しましょう。
この人は、ギターソロはイマイチなのに、リズムギターは最高なんです!
でもね、ギターソロが上手くなくっても、こんだけスウィングするリズムギターを弾けるんだったら十分です。
フレディー・グリーンもそう言ってます!(?)
他の5曲も名曲名演ばかりなのに、それすらも霞んでしまう歴史的名演がこの”Misty”です。
絶対に聴いておきましょう!
Richard “Groove” Holmes – 『A Bowl Of Soul』
1964年にワーナー・ブラザーズよりリリースされた『Book Of The Blues Vol.1』の未収録だったテイクを中心に編集されたのが本作『A Bowl Of Soul』です。
ゆる~いソウルジャズ曲”A Bowl Of Soul”に、ビッグバンドが参加した”In The Dark”や”I’m Gonna Move To The Outskirts Of Town”の華やかさが目立ちます。
その他にもホンキートンクな”Night Train”に、エリック・クラプトンもカヴァーしたリロイ・カーの”How Long How Long Blues”や、ロックン・ロール誕生のきっかけのひとつともなったビッグ・ジョー・ターナーの”Roll ‘Em Pete”等のカヴァー曲も聞き逃せません。
リズム・アンド・ブルースなカヴァー曲が目立つソウルジャズの隠れた名作です♪
Richard “Groove” Holmes – 『Workin’ On A Groovy Thing』
まるで後期ウェス・モンゴメリーのアルバムのようなオクターブ奏法のギターの音色と豪華なホーン隊が合わさったスムースなポップ・ジャズ曲”Isole Natale”で幕を開ける『Workin’ On A Groovy Thing』もソウルジャズ/ジャズファンクの名作です。
バート・バカラック作の”Do You Know The Way To San Jose”や、フィフス・ディメンションの定番曲”Workin’ On A Groovy Thing”等、耳障りの良いメロディーが心地よい楽曲が並んだ、とても聴きやすい作品です。
4曲目”Oklahoma Toad”では、調子に乗ったグルーヴ・ホームズが歌まで歌っちゃっています!
…が、しかしその不安定なボーカルを聴くと、歌わなくてもよかったかな…と。
ここでご紹介しているアルバムの中で、最もポップで聴きやすいのが本作の特長です。
しかし、その清涼飲料水の如く爽やかな演奏は、辛口のジャズをお求めの方には薄味で、ファンキーなジャズをお求めの方には軽すぎます。
聴きやすい分、すぐに飽きるアルバムでもあります…。
これだったら別にグルーヴ・ホームズじゃなくても良かった作品だね…ってね。
Richard “Groove” Holmes – 『Comin’ On Home』
今回ご紹介するアルバムの中でも、本作『Comin’ On Home』が一番の本命盤となります。
僕が一番好きなリチャード・グルーヴ・ホームズもこの『Comin’ On Home』です。
1971年5月19日に録音されたこのアルバムでは、左手でモリモリと弾くベース・ラインを封印して、ベースの名手に全てを任せています。
起用されたベーシストは、モータウンの名ベーシスト、ジェリー・ジェモットです。
2曲目の”Theme From ‘Love Story’(ある愛の詩)“のみチャック・レイニーがベースを弾いていますが、本作に於いてはジェリー・ジェモットの動き回るベースの方がかっこいいです。
ギタリストのジェラルド・ハバードも、まるでこの後グルーヴ・ホームズと何度も共演することとなる名手オドネル・リーヴィーのように弾きまくっています!
エレピを弾くのは、なんとあのレア・グルーヴの名作を数多く残したウェルドン・アーヴィンです。
数曲で語りのようなラップを歌っているのは、パーカッションを担当しているジェームス・デイヴィスです。
これがまたブラック・ミュージックらしい良い味を出しています♪
アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲”Wave”のカヴァーも曲調こそ違えど、かつての”Misty”を彷彿させる名演です。
特にこの曲ではジェラルド・ハバードがとても良いギターソロを弾いているので、ギター好きは必聴です!
こうしてグルーヴ・ホームズ唯一のブルーノート・レコード録音は、オルガン系ジャズファンクの名盤となりました。
Richard “Groove” Holmes – 『American Pie』
数多くのジャズファンクの名盤をリリースしていたグルーヴ・マーチャントから1973年にリリースした『American Pie』は、ブルーノート・レコードから移籍したばかりのアルバムになります。
と言っても、参加メンバーにはジェリー・ジェモットにジェラルド・ハバードが参加しているので『Comin’ On Home』の延長ともいえる作品です。
こちらにはエレピに、グルーヴ・マーチャントに名作を残したラリー・ウィリスが参加しています。
アルバムは、ドン・マクリーンの1971年ヒット曲”American Pie”で始まります。
キャッチーな歌メロを力強く弾くグルーヴ・ホームズに、ツボを押さえたベース・ラインを提供するジェリー・ジェモットも素晴らしいのですが…ジェラルド・ハバードのギターソロが始まると主役の座が一転します!
もはや意味不明レベルのハイテンションなギターソロを聴くことが出来ます。
この曲だけでなく、次のソニー・ロリンズの名曲”St. Thomas”でも凄まじいギターカッティングを弾いていたりします!
この人、参加作品数が少ないためか歴史の闇に消えそうになっているギタリストではありますが…オルガン系ジャズファンク・ギタリストとしてはトップレベルの上手さです!
実は本作は、グルーヴ・ホームズを聴くための作品ではありません。
レアなジャズファンク・ギタリストであるジェラルド・ハバードを聴くためのアルバムです!
Richard “Groove” Holmes – 『Night Glider』
1973年にグルーヴ・マーチャントからリリースされたグルーヴ・ホームズのジャズファンク期を代表する定番アルバムがこの『Night Glider』です。
本作にはグルーヴ・ホームズのオルガンだけでなくホレス・オットの弾くエレピも参加しています。
1曲目のタイトル・トラック”Night Glider”を書いたのも、そのホレス・オットになります。
グルーヴ・ホームズがオルガンでテーマメロディーを弾いているバックでホレス・オットのエレピと、ロイド・デイヴィスのワウギターがファンキーなバッキングを提供しています。
まさにこれこそオルガン系ジャズファンク好きが求めていたサウンド!と言える名曲です。
本作でもグルーヴ・ホームズがオルガンでベース・ラインを兼用するのではなく、専門のベーシストであるポール・マルチネスが参加しています。
続く2曲目”Flyjack”もホレス・オット作で、ロイド・デイヴィスのイナタいワウギターが印象的なジャズファンク曲です。
ここまで期待以上のジャズファンク曲が続きましたが、3曲目にはキャロル・キングのカヴァー曲”It’s Going To Take Some Time”が登場します。
ポップなインスト曲といった感じで、これも悪くはありません。
しかしジャズファンク・ファンが聴くべきはその次のグルーヴ・ホームズ作の”Pure Cane Suger”になります。
2000年代に登場したディープファンク・バンドのシュガーマン3のアルバムにも”Pure Cane Suger”という作品があったのですが、もしかしたらこのグルーヴ・ホームズの楽曲から付けられたのかも知れませんね!?
それはさておき、本作のベスト・トラックはこの”Pure Cane Suger”になります。
とにかくかっこいい楽曲なので、ジャズファンク好き必聴です!
5曲目”Go Away Little Girl”は、これまたキャロル・キングのカヴァー曲になります。
ジャズファンク系ミュージシャンは、こぞってキャロル・キングの曲をカヴァーすることが多いのですが、やはりポップ・マーケットを意識してのことなのでしょうか?
それとも単純に演奏していて楽しいから?
おそらく答えはそのどちらもなのでしょうね。
6曲目”One Mint Julep”もオルガンジャズ系定番のカヴァー曲です。
ロイド・デイヴィスのブルース・マナーに沿ったソロが聴き所です。
最後の7曲目”Young and Foolish”は、アルバート・ヘイグ作の1954年の楽曲です。
ディーン・マーティンやポール・アンカ、トニー・ベネットの歌唱で知られるバラード曲です。
とはいえ、本作で聴くべき楽曲は、ホレス・オットの冒頭2曲と、グルーヴ・ホームズのオリジナルのジャズファンク曲になります。
キャロル・キングのカヴァー曲や”Young and Foolish”なんかは、あくまでもポップ・マーケットを意識したようなオマケの楽曲だと感じます。
Richard “Groove” Holmes – 『New Groove』
アルバム名からして何か新しいグルーヴを追求した結果のような感じを受けるのですが、1974年にリリースされたこの『New Groove』も必聴のジャズファンク・アルバムになります。
本作にはベーシストの参加はありませんが、その分グルーヴ・ホームズの弾くベース・ラインを楽しむことが出来ます。
また、本作の聴き所としては、ギターにオドネル・リーヴィー、ドラムにバーナード・パーディが参加している点です。
どちらもジャズファンクを演奏させたら右に出るものはいない程の名手ですからね♪
アルバムは、グルーヴ・ホームズのオリジナル曲”Red Onion”から始まります。
グルーヴ・ホームズが自ら弾く、よく動くベース・ラインをバックに、華やかなホーン隊に導かれ、ギラギラした高音が目立つオルガンのメロディーが印象的です。
2曲目”No Trouble On The Mountain”は、もう一人参加しているギタリストのレオン・クックが書いたファンク曲です。
左チャンネルから聞こえてくるエフェクティヴなワウギターを弾いているのがオドネルで、シンプルなバッキングを弾いているのがレオン・クックになります。
中性的な歌声で歌っているのもレオン・クックになります。
3曲目”Meditiation”は、ボサ・ノバ好きにはお馴染みのアントニオ・カルロス・ジョビン作の楽曲です。
何かとグルーヴ・ホームズとの共演歴が深かったりするジョー・パスも1970年の名作『Intercontinental』で同曲を取り上げていたりします。
4曲目”Good Vibrations”と、1つ飛ばして6曲目”Chu – Chu”は、どちらもグルーヴ・ホームズのオリジナル曲です。
特に6曲目の高速スウィングする”Chu – Chu”がおすすめです!
オドネル・リーヴィーが、もはや訳がわからないぐらいのテンションでギターを弾きまくっているからです!
この人は本当にギターが上手いですね!
知る人ぞ知る…な状態にあるのが不思議なぐらいです。
1つ飛ばしましたが、5曲目”You’ve Got It Bad”はお馴染みスティーヴィー・ワンダーの有名曲のカヴァーです。
このブログでも過去にご紹介していましたスティーヴィー・ワンダーの名曲をジャズ・ファンクでカヴァーした楽曲ばかりを集めたオムニバス盤『Jazz Funk Plays Stevie Wonder: Wonder Funk』にも収録されていた楽曲になります。
スティーヴィー・ワンダーの名曲をジャズ・ファンクで聴こう♪
聴くべきは2分55秒から始まるオドネル・リーヴィーのギターソロでしょう!
そしてアルバム最後の7曲目”How Insensitive”もアントニオ・カルロス・ジョビン作のお馴染みのボサ・ノバ曲です。
ボサ・ノバ曲が2曲も収録されていますが、これも前作『Night Glider』に於ける2曲のキャロル・キングのカヴァー曲と同じように、売れ筋をカヴァーした感じに思われます。
本作に於いても、やはり聴くべきはグルーヴ・ホームズのオリジナル3曲なのですが…しかしアルバム・タイトルにある『New Groove』というのも、この2曲のボサ・ノバのことを刺しているのかな?と感じられなくもないですね。
それまで取り上げていなかったボサ・ノバ曲をわざわざ取り上げてい
Richard “Groove” Holmes – 『Six Million Dollar Man』
リリースが1975年で、1曲目のタイトルが”Disc-O-Mite”、そしてこのアルバム・ジャケットからどことなくディスコ・ファンク時代に向けたアルバムかと思いきや…そこまでディスコ・サウンドばかりではないアルバムです。
といっても、前2作と比べるとイナタさが衰退して、より洗練された楽曲が並んでいます。
しかも豪華なホーン隊の参加によって、かなり派手な楽曲も見受けられます。
特にアルバム名にもなった5曲目”Six Million Dollar Man”は、まるで007の映画に出てきそうなスパイ風の派手な楽曲です。
しかしそれでもギラギラとしたグルーヴ・ホームズのオルガンソロが始まると、「あぁ、これはやっぱりジャズファンクなんだよな~」と一安心します。
全体の曲調こそ洗練されてはいますが、熱いオルガンソロはまだまだ健在です!
アルバム後半の方がジャズファンク曲が多いです。
ちなみにギターにデイヴィッド・T・ウォーカー、ベースにチャック・レイニーが参加しています。
2人のファンの方もぜひ!
Richard “Groove” Holmes – 『Onsaya Joy』
かなりヤバいアルバムです!
もちろん良い意味で!
ジョン・コルトレーンも名演を残したニューヨークにあるハーフノートというジャズクラブでライヴ録音されたアルバムなのですが…やはりジャズファンクのもライヴが一番!ということで!
グルーヴ・ホームズのオルガンを中心に、ギターにオリビエ・サンダース、ドラムにトーマス・ワシントン・ジュニアを迎えたシンプルなトリオ編成による演奏です。
しかしこれが凄いのなんの!
1曲目のトラディショナル曲”Sweet Georgia Brown”は、ジミー・スミスも取り上げた定番曲なのですが…グルーヴ・ホームズは何かに取り憑かれたかのようにオルガンを弾きまくっています!
その熱量で鍵盤が溶け始めるんじゃないだろうか?と心配になるほどです。
それでいて動き回るベース・ラインも同時にこなしていますからね…もはやバケモノ・レベルの演奏技術です。
しかも他の2人のテンションも高く、オリビエ・サンダースはオドネル・リーヴィー顔負けなぐらいにギターを弾きまくっています!
これだけレベルの高い演奏を出来る3人が、知る人ぞ知る…な存在でしかないのがジャズという音楽ジャンルの恐ろしい部分でもあります。
こんなに上手いのに有名になれないなんて…。
15分36秒にも及ぶ長尺曲”Onsaya Joy”は、グルーヴ・ホームズの生まれたばかりの愛娘に捧げられたバラード曲なのですが…派手なワウギターも含むこの熱い曲が子守歌に向いているとは思えません。
その後は、”On Green Dolphin Street”や”Song For My Father”といった定番曲が続き、最後にはグルーヴ・ホームズの代名詞とも言える”Misty”で締めくくられています。
フライング・ダッチマンのレーベルとしての力が足りなかったのか?なぜか知名度も低くレアな扱いを受けているアルバムですが…その中身は全ジャズファンク・ファン必聴の熱いライヴ演奏が収められています。
グルーヴ・ホームズ好きなら絶対に聴いておきましょう!
Richard “Groove” Holmes – 『Swedish Lullaby』
1976年以降は時代の波に乗ったかのようなディスコ・ファンク系のアルバムが続くグルーヴ・ホームズなのですが…1984年の『Swedish Lullaby』は従来のソウルジャズ路線が復活したかのような良作となります。
コール・ポーター作の”Just One Of Those Things”から勢いよく始まる本作は、かつての熱きグルーヴ・ホームズに戻ったかのような元気さです。
1976年の『I’m In The Mood For Love』以降は、清涼飲料水かの如く、軽いディスコ路線が続きましたからね…。
やはりグルーヴ・ホームズにはこれぐらいの熱さがないと!
2曲目”Groove’s Groove”は、自身の代表作の『Soul Message』から再演されたバージョンになります。
イナタさは減っていますが、洗練はされています。
ディスコ路線から離れて、ここで原点回帰したと言えます。
“One Hundred Ways”は、クインシー・ジョーンズの1981年の名作『愛のコリーダ』から、タイトル曲の”Swedish Lullaby / Sov Du Lilla Videung”は、スウェーデンの民謡から取り上げられています。
最後にはベニー・ゴルソン作の”Killer Joe”が収録されていたりと、カヴァー曲ばかりなのが少し残念ではありますが、原点回帰したという意味では悪くないアルバムです。
以上、『リチャード・グルーヴ・ホームズおすすめのソウルジャズ/ジャズファンク作品まとめ!』でした。
このブログ記事を参考に、リチャード・グルーヴ・ホームズの気になる作品を聴いてみて下さい♪
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