2019/01/12
ジャズギターの名手ジョー・パスも参加したジョニー・アーモンドのジャズ・ロック・アルバム『Hollywood Blues』を聴こう♪
ジョー・パスも参加した隠れたレア・グルーヴの名作⁉ジョニー・アーモンドの2ndソロ・アルバム『Hollywood Blues』
数多くの英国ブルース・ロック・ミュージシャンと共演したマルチ・プレイヤーのジョニー・アーモンド
今回ご紹介するのは、レア・グルーヴ盤としても人気の作品ジョニー・アーモンドの2ndソロ・アルバム『Hollywood Blues』です。
ジョニー・アーモンドは、エリック・クラプトンを擁する時期のジョン・メイオールやフリート・ウッドマックにチキン・シャックなど多くの英国ブルース・ロック・ミュージシャンと共演した経験を持つマルチ・プレイヤーです。
ジョン・メイオールのブルース・ブレイカーズが1966年にエリック・クラプトンをギタリストに迎えてリリースした『Blues Breakers with Eric Clapton』では、バリトン・サックスで参加しています。
またチキン・シャックの1968年の作品『O.K. Ken?』や、フリート・ウッドマックの1968年の作品『Mr. Wonderful』では、テナー・サックスで参加しています。
ジョニー・アーモンドが演奏できるのは、バリトンとテナーの2種類のサックスだけでなく、アルト・サックスにフルートにオルガンやクラビネットにヴィブラフォンまで、本当に多彩な楽器を、どれも高レベルで演奏できた天才ミュージシャンでした。
さて、そんなマルチ・プレイヤーのジョニー・アーモンドは、「ジョニー・アーモンド・ミュージック・マシーン」名義で2枚のソロ・アルバムをリリースしています。
そのソロワークから今回は2作目をご紹介したいと思います。
Johnny Almond Music Machine – 『Hollywood Blues』
01.It’s the Water
02.Funkville U.S.A.
03.Agadir Sunset
04.Blues for Helen
05.Hot Rod
06.Slipping Easy
07.Kwei Ying Fu
08.Perdido
Personnel:
Johnny Almond – Saxophone, Vibraphone on Track 03
Curtis Amy – Tenor Saxophone, Alto Saxophone On Tracks: 03 to 08
Hadley Caliman – Tenor Saxophone, Flute on Tracks 01, 02
Joe Pass – Guitar
Charles Kynard – Organ
Ray Neapolitan – Bass
Earl Palmer – Drums on Tracks 01, 02
Joe Harris – Drums on Tracks 03 to 08
Vi Redd – Guest Alto Saxophone on Tracks 04, 08
Recorded at Sunset Sound Studios Hollywood.
Released: 1970.
アルバム参加メンバー
まずは何と言ってもジャズギターの名手ジョー・パスの参加だと思います。
もちろんジャズギター好きの僕がこの作品を購入したのもジョー・パスが目当てでした。
アルバム・ジャケットのハリウッドの看板のような箇所にもジョー・パスの写真が使われていますね。
ジョー・パスと言えば、どうしても『Virtuoso』のソロギター演奏が印象的ですが、それ以外の通常のジャズギター演奏も多く残しています。
初期の「パシフィック・ジャズ・レコード」時代のものや、ジャズファンク期に録音したものや、アール・ボスティックとオルガン奏者のリチャード・”グルーヴ”・ホームズとセッションしたものなど、聴くべき名作は色々とありますので、お楽しみにしていてください。
まずはジョー・パスの参加が目玉なのですが、その他にも3曲目から8曲目までにテナーとアルトの2種類のサックスで参加したカーティス・エイミーや、1、2曲目でジョニー・アーモンドと絶妙なコンビネーションでサックス/フルートを吹くハードリー・カリマンに、男勝りな女性サックス奏者のヴァイ・レッドが4曲目と8曲目にアルト・サックスで参加しているのもポイントです。
他にも、70年代にジャズファンク/ジャズロックの名作を多くリリースしていたオルガン奏者のチャールズ・カイナードや、1、2曲目に参加したドラムのアール・パーマーなども参加しています。
それでは収録曲の方も見ていきましょう。
アルバムの内容
1曲目”It’s The Water”は、アルバムの最初を飾るのにピッタリのファスト・トラックです。
ジョニー・アーモンドとハードリー・カリマンがユニゾンでテーマを吹き、8小節ごと→4小節ごと→2小節ごと…とリレー方式で交代でソロを吹いていきます。
かなり速いテンポの曲なのですが、2人の絶妙なコンビネーションが最高です!
次にチャールズ・カイナードのオルガンソロが続き、最後にジョー・パスのギターソロが始まります。
『Virtuoso』のソロギター演奏とは違って、シングルノート中心で弾いた、まるでタル・ファーロウやバーニー・ケッセルのようなスタンダードなジャズギター・ソロです。
ジョー・パスのソロ演奏しか聴いたことない人には、ぜひとも本作の速いテンポで弾きまくるジョー・パスのギター演奏を聴いてもらいたいところです。
次の2曲目”Funkville U.S.A.”は、ジョニー・アーモンドとハードリー・カリマンがこれまたユニゾンでフルートを吹く曲です。
こんどはゆったりとしたテンポで、フルートのテーマが終わるとさっそくジョー・パスのギターソロが始まります。
どことなくタイニー・グライムスのようなブルージーなギターソロに続いて、2人のフルートソロが続きます。
3曲目”Agadir Sunset”は、本作の一番の聴きどころとも言えそうな渋いヴィブラフォンの音色がかっこいい曲です。
もちろんこのヴィブラフォンを弾くのは多彩なマルチ・プレイヤーのジョニー・アーモンド自身です。
サックスだけでなくってヴィブラフォンまでもが一流とは、恐れ入ります。
テナーサックスでソロを吹くのは、カーティス・エイミーです。
そのバックでバッキングを弾くジョー・パスとチャールズ・カイナードも半端ないです!
2人もフロントのサックスを煽るように過激な演奏をしています!
サックスソロが止まった後の、ジョー・パスのギターとチャールズ・カイナードのオルガンの絡み合いが濃厚です!
この曲が本作のベスト・トラックでしょう♪
4曲目”Blues for Helen”は、サックスのソロ演奏から始まります。
その後1分を過ぎた辺りからバンドが参加してきて、ヴァイ・レッドのアルト・サックスも参加します。
ゴスペルからの影響を感じさせるゆったりとしたテンポのジャズ・ブルース曲です。
曲の終盤でジョー・パスがかなりテクニカルなギターソロを弾いています!
5曲目”Hot Rod”は、軽快なジャズ・ロック曲です。
ジョニー・アーモンドとカーティス・エイミーの2本のサックスがいい具合に絡み合った曲です♪
2人のサックスソロの後は、チャールズ・カイナードのオルガンソロがあるのみで、ジョー・パスのギターソロはありません。
6曲目”Slipping Easy”は艶っぽいサックスお音色で始まるバラード曲です。
途中からフルートのソロもあります。
この曲ではオルガンもギターもソロは弾いていません。
終始バッキングに徹しています。
7曲目”Kwei Ying Fu”は、アジアンな雰囲気のオルガンのイントロで始まります。
ジョー・パスが珍しくギターカッティングでバッキングを弾いています!
この曲はサックス抜きでオルガンがテーマからソロまで全て弾いています。
8曲目”Perdido”は、デューク・エリントンのスタンダード曲です。
ヴァイ・レッドも参加してユニゾンであのテーマを吹いています。
ジョニー・アーモンドとカーティス・エイミーにヴァイ・レッドふを含む3本のサックスのソロに、オルガンソロやギターソロにドラムソロまでもある8分を超す長尺曲です。
中でもブルージーなジョー・パスのギターソロが最高です♪
やはり本作は、ジョー・パスのギターを聴くためにあると言っても過言ではないです!
以上、【ジャズギターの名手ジョー・パスも参加したジョニー・アーモンドのジャズ・ロック・アルバム『Hollywood Blues』】のご紹介でした。
多彩なマルチ・プレイヤーなのに地味な存在のジョニー・アーモンドがリーダーの作品ですが……
ジョー・パスにチャールズ・カイナードに、カーティス・エイミー、ハードリー・カリマン、ヴァイ・レッドの3人のサックス奏者など、今となっては豪華なゲストが参加したジャズ・ロックの名作です!
一応ジャンルとしては「ジャズ・ロック」といった方が良さそうなのですが、このブログでは70年代のこういった作品やソウルジャズなんかは全て「Jazz Funk」としてタグ付けしています。
僕と同じように70年代のオルガン系ジャズファンク/ソウルジャズが好きな方でしたら、きっと本作も好きになってもらえると思うからです。
収録曲のクォリティーも高く、演奏陣のレベルも高いのに…歴史的名盤にはなれず、ヒットにも恵まれず「レア・グルーヴ」として扱われている本作です。
そう考えると、これだけの腕の立つプレイヤーが集まって完成した作品でも、ヒットできないぐらい当時からアメリカの音楽シーンはレベルが高かったんだな~と驚愕します。
僕自身は、この作品が凄く好きなのですが、ジョー・パス好きのジャズギターマニアの人でも本作を知らなかったりするような「レア」な作品になっているのが非常にもったいないな~と思います。
なので、ぜひ今回のこのブログ記事を参考に、このアルバムがもっと有名になって正当に評価されて欲しいな~と考えています。
ちょくちょく廃盤にならずに、タワレコなんかのジャズコーナーの定番として置いてもらえるようなアルバムになって欲しいところです。
またジョー・パスをソロ演奏でしか知らなくって、毛嫌いしている人にもぜひ本作を聴いて、ジョー・パスのギターの上手さをちゃんと評価して欲しいところです。
本当に「レア・グルーヴ」にしておくにはあまりにも惜しい、クォリティーの高い名作ですよ♪
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