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カテゴリー:Music

2019/01/11

絶対に聴くべきバディ・ガイのおすすめの名盤3選!

現シカゴ・ブルース界のボス、バディ・ガイの必聴アルバム3選

ジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトン、スティーヴィー・レイ・ヴォーンにも影響を与えたブルース・ギタリスト!

さて、今回はブルース・ギタリストのバディ・ガイです。

 

よく考えたら2019年度の最初の[Blues]系のご紹介になります。

 

御年82歳になるバディ・ガイは、B.B.キングやオーティス・ラッシュ亡き後、もはや最後のリアル・ブルースマンと言っても良いでしょう。

 

マディ・ウォーターズやハウリン・ウルフの全盛期に共演した最後のブルースマンですね。

 

現シカゴ・ブルース界のボスといえば、間違いなくこのバディ・ガイだと思います。

 

そんなバディ・ガイの演奏スタイルは、何かにとりつかれたかのように衝動的にギターを弾きまくるスタイルです。

 

もはやハード・ロックといっても良いくらいに歪ませたギターの音色で「これでもか!これでもか!」とギターを弾きまくります。

 

 

またステージ・パフォーマンスも派手で、ギターを背中に回して弾いたり、歯で弦を噛んで弾いたりします。

 

こういったパフォーマンスは、ジミ・ヘンドリックスに受け継がれていきますが、ブルース界ではバディ・ガイ以前にT-ボーン・ウォーカーやギター・スリムなどが先にやっていたと聞きます。

 

特にT-ボーン・ウォーカーの方は、ギターを背中に回して足を開いたポージングの写真が有名なぐらいですからね。

 

こういった派手なパフォーマンスは、元はといえば「ミンストレル・ショー」から派生していったと考えられています。

 

「ミンストレル・ショー」とは、19世紀のアメリカ発祥の大衆演芸のことです。

 

当時の白人たちが、顔を黒塗りして黒人風のメイクをし、寸劇や歌と踊りを披露していました。

 

これは黒人奴隷の存在を嘲笑するような内容だったのですが、それがいつの間にか当の黒人達自身も演じるようになったようです。

 

そうした「ミンストレル・ショー」での大げさな立ち振る舞いが、後にブルース・ミュージシャンのステージ・パフォーマンスに受け継がれていったと考えられます。

 

ちなみに60年代後半を代表するロック・バンドのひとつドアーズのフロントマンのジム・モリソンのあの派手なステージ・パフォーマンスも、この「ミンストレル・ショー」からの影響のようです。

 

もちろんバディ・ガイのパフォーマンスも「ミンストレル・ショー」からの間接的な影響を受けていると思われます。

 

さて、そんなステージ・パフォーマンスだけでなく、バディ・ガイのブルース・ギター奏法はジミ・ヘンドリックスにエリック・クラプトンやスティーヴィー・レイ・ヴォーンなど多くのロック・ギタリストに影響を与えています。

 

マイナー・ペンタトニックを使ってひたすら熱く弾きまくるそのスタイルは、現在の多くのロック・ギタリストにも間接的に影響を与えていると考えられます。

 

しかしバディ・ガイのギター奏法は何もそれだけではありません。

 

特に60年代頃の演奏で聞くことができるのですが、R&B/ソウル・ミュージックからの影響も受けています。

 

まるでコーネル・デュプリーのような6度音程のダブル・ストップを使ってバッキングを弾くことがありました。(”Leave My Girl Alone”なんかで聴けます。)

 

こういった奏法は、当時の他のブルース・ギタリストで弾く人はいなかったと思います。(今の時代ではそこまで珍しくはないですが、当時は珍しかったと思われます。)

 

バディ・ガイ曰く、これはオルガン奏者をイメージして弾いたフレーズとのことです。

 

この奏法は、ジミ・ヘンドリックスに受け継がれているようです。

 

ジミ・ヘンドリックスは、ギターソロだけでなくバッキングの名人でもありました。

 

どうしてもあの派手なギターソロばかりが目立ちますが、ジミのバッキングは本当に素晴らしいんです。

 

ギターの上手さって、単にギターソロが弾けることよりも、多彩なバッキングを弾けることだと思います。

 

その辺はぜひ下記の記事を読んでみて下さい。

 

『ギターバッキングの技』ジャンル別でギターバッキングのパターンを学べるおすすめの教則本

そういったわけで今回は、ギターソロのみならず、バッキングやステージ・パフォーマンスなどで後続のロック・ギタリストに大きな影響を与えたバディ・ガイの名盤を3枚ご紹介したいと思います。

 

今回はバディ・ガイの長いキャリアの中でも特に1980年代から2005年までのおよそ25年間の期間から選びました。

 

それでは年代順にご紹介していきたいと思います。

 

 

 

Buddy Guy – 『Stone Crazy!』

くのブルースマンにとって不遇だった70年代にバディ・ガイがリリースしたたった2枚のアルバムのうちの1枚です。

 

しかも1972年にリリースされた『Hold That Plane!』の録音は1969年に行ったものなので、バディにとって1979年に録音したこの作品が70年代のバディを知る上でも重要な作品だと言えます。

 

当初は1979年にフランスのレコード会社から『The Blues Giant』というタイトルでリリースされていましたが、その後1981年になってからアメリカのアリゲーター・レコードから『Stone Crazy!』というタイトルで再発されて今に至ります。

 

全6曲の収録曲のうち5曲目の”Outskirts of Town”以外は全てバディの曲になります。またどの曲も、まるで不遇だった70年代のうっぷんを晴らすかのようにギターを弾きまくっています!ほとんどの曲が5分以上の長尺曲ばかりです!

 

特に驚くべきは1曲目の”I Smell a Rat”です。イントロからさっそく欲求不満が爆発したかのような激しいギターソロが始まります!

 

左チャンネルから聴こえてくるフェイザーの効いたリズムギターを弾くのは、バディの弟のフィル・ガイです。

 

兄貴の暴発ギターをしっかりと支えています!

 

ギターの音色も激しく歪んでいます!おそらくギターアンプ側のミドルのツマミをほとんど上げずにトレブルとベースを最大限までにあげた、いわゆる「ドンシャリ」セッティングだと思われます。

 

これはスティーヴィー・レイ・ヴォーンやジョニー・ウィンターと同じようなセッティングですね。まるでハードロックやメタルのようなギターの音色が特徴的です。「ネズミのような体臭がするんだよ…」と、まるで自分の不幸な生活を嘆いているかのような聴いているこちらまで気が落ちそうなマイナー・スロー・ブルースです。

 

そういった憂鬱な歌詞や曲調はともかく…9分以上ある長尺曲のほとんどの時間でバディがギターを弾きまくっています!

マイナー・ペンタトニック一辺倒なのですが、ここまで気迫が凄いと圧倒されます!!!!

 

もうこの1曲目だけでもお腹一杯になりそうなのですが、次の2曲目”Are You Losing Your Mind?”以降もギターを弾きまくっています!

 

曲名や歌詞こそオリジナルに変えていますが、曲調は過去の名ブルースをアレンジしたようなものばかりです。

 

この2曲目の”Are You Losing Your Mind?”も、まるでB.B.キングの名曲”Don’t Answer The Door”のようでもあります。

 

3曲目の”You’ve Been Gone Too Long”に至っては、まるでジミ・ヘンドリックスです!

 

ジミに影響を与えたバディが、逆にジミ風の曲を演奏する!というなんとも面白い展開です。

 

フィルの弾くロックなギターリフは、ジミヘンが弾いていてもおかしくないようなフレーズです。

 

4曲目”She’s Out There Somewhere”もどこかで聞いたことあるようなブルースの曲です。

 

そして5曲目は古き良き時代のカントリー・ブルースマン、ウィル・ウェルダンの曲”Outskirts of Town”(原曲は1936年の”We Gonna Move to the Outskirts of the Town”という曲)を、原曲はスライドギターがむせび泣くギター弾き語りの曲なのですがここではモダンなブルース・ロック系のアレンジで演奏しています。

 

そして最後の6曲目”When I Left Home”は、他の曲とは違って静かに始まります。バディの歌もバックの演奏も控えめなのですが、ところどころギターソロで大音量になり爆発します!

 

いきなり爆音になりますので、聴く際には注意が必要ですね。

 

不遇だった70年代の最後に、バディが「もっと俺にもギターを弾かせろよ!」と言わんばかりにギターを弾きまくったアルバムです。

 

バディが影響を与えたジミヘン好きやスティーヴィー・レイ・ヴォーン好きの人にこそ、逆に「ジミヘン風」「レイ・ヴォーン風」の作品として聴いて欲しいアルバムだと思います。

 

どちらかっていうと、「激しいブルース・ロック・ギターの弾きまくり!」を聴きたい方におすすめの作品です♪

 

 

Buddy Guy – 『Damn Right, I’ve Got the Blues』

70年代、80年代と、不遇な時代が続いたバディ・ガイが、『Stone Crazy!』のアメリカ版のリリースから10年の時を超えて放った復活作の『Damn Right, I’ve Got the Blues』です。

 

それどころか、90年代のブルース・アルバムを代表するような歴史的名盤となった「ブルース好きなら」絶対に必聴の作品です!

 

これ以降バディのライヴでも定番になった代表曲”Damn Right, I’ve Got The Blues”からアルバムは始まります。

 

実はこの曲は、バディが1979年に行ったライヴ演奏を収録した『Live At The Checkerboard Lounge』の4曲目に収録されていた”Tell Me What’s Inside of You [Version 1]”と同じギターリフを持つ曲です。

 

ギターソロまでもそっくりです!70年代から弾いていた得意のギターのフレージングを、ここぞとばかりに復活曲で使ったのでしょうか?

 

しかし今ではこの曲こそがバディ・ガイを代表するギター演奏となっています。

 

“have got~”には「〔病気に〕かかる」の意味があるのですが、「ちくしょう、俺は今でもブルースに夢中なんだよ!」といったところでしょうか。

 

1曲目から相変わらずのギター弾きまくりです!

 

次の2曲目”Where Is The Next One Coming From”は、アメリカのシンガーソングライターのジョン・ハイアットが書いた曲です。ミドルテンポのヘヴィな曲調です。

 

曲の最後でギターソロを弾いているのはマーク・ノップラーです。

 

3曲目”Five Long Years”は、バディが過去にも演奏していたエディ・ボイドのカヴァー曲です。

 

この曲もバディのお得意曲のうちのひとつです。

 

そして4曲目”Mustang Sally”は、ウイルソン・ピケットが歌って有名になったサー・マック・ライスが書いた人気のR&B曲です。

 

この曲もこれ以降のバディのライヴで定番曲になっています。原曲よりもロックなアレンジで演奏しています。

 

ちなみに曲の終盤でスライドギターでソロを弾いているのは、ジェフ・ベックです。

 

5曲目”There Is Something on Your Mind”は、40~50年代に一世を風靡したホンカー・スタイルの代表格ビッグ・ジェイ・マクニーリーの曲です。

 

ニューオーリンズを代表するプロフェッサー・ロングヘアーもカヴァーしていた曲です。メンフィス・ホーンのイントロが派手に響く6曲目”Early in the Morning”は、もちろんルイ・ジョーダンの曲です。

 

なんと、このバディのバージョンにはジェフ・ベックとエリック・クラプトンという元ヤードバーズ組がゲストでギターを弾いています。

 

バディのオリジナル曲の7曲目”Too Broke to Spend the Night”は、これまたどこかで聴いたことのあるようなブルース曲です。

 

曲進行も1曲目の”Damn Right, I’ve Got The Blues”と同じパターンです。

 

8曲目”Black Night”は、テキサス出身の女性ブルースシンガーだったジェシー・メイ・ロビンソンが1951年に歌った曲です。

 

全体的に暗く重い曲調ですが、T-ボーン・ウォーカー・スタイルのギターをイントロで弾いていたりします。

 

9曲目”Let Me Love You Baby”は過去にも演奏していたバディのお得意曲です。

 

ウィリー・ディクソンが書いた曲です。過去に演奏したバージョンよりも、よりロック調にアレンジして派手に演奏しています。

 

そして最後の10曲目”Rememberin’ Stevie”は、このアルバムがリリースされる前年に事故で惜しくも亡くなったスティーヴィー・レイ・ヴォーンに捧げられたインスト・ナンバーです。

 

レイ・ヴォーンに影響を与えたバディが、レイ・ヴォーンの活躍のおかげで再びスポットライトを浴びることが出来ました。

 

そんなバディが、1990年8月27日にヘリコプターの墜落事故で亡くなったスティーヴィー・レイ・ヴォーンに捧げたスロー・ブルースです。

 

そもそも影響を与えたのはバディの方なのですが、ここではまるでレイ・ヴォーンのようなフレージングを使いバディがギターを弾いています。

 

全10曲(ボーナストラックを省く)どれもバディの復活作として恥じない名演ばかり収録されています。

 

先の『Stone Crazy!』よりもキャッチーで聴きやすい曲が多く収録されているので、これから初めてブルースを聴きたいな~というブルース初心者にもおすすめの名盤です!

 

ブルース好きなら絶対に聴いておかないといけないようなアルバムでもありますので、未聴の方は必ず聴きましょう!

 

Buddy Guy – 『Bring ‘Em In』

2005年にリリースされた多彩な曲調が収録されたアルバムです。

 

もはやブルースというよりも、ロックといった方がよさそうな作品ですが、その代わり聴きやすいアルバムに仕上がっています。

 

1曲目からバディの弾くワウギターのイントロで始まる”Now You’re Gone”は、なんとカーティス・メイフィールドの曲です。

 

まるでカーティスのようにバディもファルセットで歌っています。

 

ブルースでも原曲のR&Bでもなく、ロック調なのですが、「良い音楽にジャンルなんて関係ない!」といったところです。

 

バディにピッタリ合っている曲だと思います。

 

次の2曲目”Ninety Nine And One Half”もエディ・フロイドの曲ですが、ロックにアレンジしています。

 

ちなみに本作の多くの曲でリズムを支えているのは、ウィリー・ウィークスのベースとスティーヴ・ジョーダンのドラムです。

 

もうこの2人の名前を聴いただけでも、この辺のジャンルの音楽好きなら「間違いない!」といったところですね。

 

また数曲でパーラメントのキーボード奏者のバーニー・ウォレルも参加していたりします。

 

5曲目にはスクリーミン・ジェイ・ホーキンスの”I Put a Spell on You”カヴァーも取り上げています。ロック好きならクリーデンス・クリアウォーター・リバイバルのバージョンが思いつきますね。

 

ここではバディがジミヘン風のワウギターを弾いて派手なロック調にアレンジしています。

 

元はといえばバディがジミヘンのギタープレイに影響を与えているのですが、知名度的にもどうしてもこういったワウギターのフレージングを聴くと「ジミヘン風」と言いたくなりますね。

 

ちなみにサンタナがギターで参加しています。

 

まるでチャック・ベリー風のイントロで始まる6曲目”On A Saturday Night”もエディ・フロイドの曲です。バックでリズムギターを弾いているのはダニー・コーチマーなのですが、サビ部分のフレージングはアレサ・フランクリンの”Soul Serenade”風ですね。

 

トレイシー・チャップマンとデュエットする7曲目” Ain’t No Sunshine”は、ビル・ウィザースの曲です。ギターにケブ・モも参加しています。

 

8曲目のオーティス・レディングの曲” I’ve Got Dreams To Remember”にはジョン・メイヤーがボーカル/ギターで参加しています。

 

なんとも豪華なゲスト・ミュージシャンです!

 

9曲目” Lay Lady Lay”は、なんとボブ・ディランのあの曲です!

 

僕はディランのこの曲が大好きなのですが、バディが歌っているこのバージョンも素晴らしい出来です♪

 

他にもジェームス・コットンやオーティス・ラッシュにロバート・ビルボ・ウォーカーも取り上げた11曲目”Cut You Loose”やアイザック・ヘイズの3曲目”Do Your Thing”などが収録されています。

 

全体的に過去のR&B系の曲のカヴァーが多く収録されたアルバムですが、こういったバディ・ガイも良いかな?といったところです。

 

ブルース一辺倒なだけでなく、多彩な楽曲も演奏できるバディの溢れ出る才能を思う存分堪能してください。

 

まずは先にご紹介していた『Damn Right, I’ve Got the Blues』でバディのブルースを味わってから、この作品を聴いたら良いんじゃないかな?と思います。

ちなみにバディ・ガイの使っている水玉模様のワウペダルもジムダンロップから発売されています。

 

 

以上、【絶対に聴くべきバディ・ガイのおすすめの名盤3選!】のご紹介でした。

 

僕の好きなバディ・ガイの3作品を選んだ、という感じでもあるのですが、しかしどれもバディ・ガイのキャリアを代表するような名作ばかりですので、ぜひブルース好きで未聴の方は全ての作品を聴いてみて下さい♪

 

 

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