2019/02/16
【悪魔のビートが炸裂⁉】ミシシッピ・フレッド・マクダウエル1960年代のおすすめの3選!
ミシシッピ・フレッド・マクダウエルが1960年代のおすすめアルバム3作品!
1906年生まれの古い時代のカントリー・ブルースマンのミシシッピ・フレッド・マクダウエル
今回は、1906年の生まれのカントリー・ブルース、ミシシッピ・フレッド・マクダウエルです。
もう1世紀以上前に生まれています。
亡くなったのもだいぶ昔で、1972年に66歳で亡くなっています。
しかしそれまでに多くの楽曲を吹き込んでおり、ザ・ローリング・ストーンズやエアロスミスなど数多くのロック・バンドに影響を与えています。
基本は、1人でアコースティック・ギターをかき鳴らして歌を歌うカントリー・ブルースマンです。
しかし戦後の吹き込みでは、エレキ・ギターを使って弾き語りをすることもありました。
またスライドギターも得意としており、初期の頃は小型ナイフをギターの弦に当ててスライドしていたようです。
その後、通常のボトルネックを使いだしています。
あのボニー・レイットにスライドギターを教えたのもこのミシシッピ・フレッド・マクダウエルだったそうです。
さて、そんなミシシッピ・フレッド・マクダウエルは、デルタ・ブルースの巨人サン・ハウスのようにブルースとゴスペルのどちらも演奏しています。
当時の黒人たちの間では「ブルース=悪」、「ゴスペル=聖」という感じだったようです。
幼い子供がブルースに夢中になると、厳格な父親であれば「そんな如何わしい悪魔の音楽など聴かずに、ちゃんと教会へ行ってお祈りを捧げなさい!」と叱りつけたことでしょう。
しかしブルースとゴスペルは表裏一体の音楽だと思います。
シスター・ロゼッタ・サープのように歪んだエレキ・ギターをバリバリと弾いて、軽快にゴスペルを歌う人物だっています。
他にもレバランド・ルイス・オーバーストリートやレバランド・チャーリー・ジャクソンなんかもそうです。
聖者の恰好をしてストラトキャスターのようなソリッド・ギターを持つ姿はなんともシュールです。
ミシシッピ・フレッド・マクダウエルは、彼らよりはブルースの方に属していますが、ゴスペルも欠かせない要素です。
ちなみにミシシッピ・フレッド・マクダウエルの演奏スタイルは、R.L.バーンサイドやキンブロウ親子たち『ミシシッピ・ヒル・カントリー・ブルース』に大きな影響を与えています。
キンブロウ親子で聴く呪術的なミシシッピ・ヒル・カントリー・ブルースの魅力♪
ということは、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンなんかにも間接的に影響を与えているということになります。
やはりブルースは全ての音楽のルーツですね♪
ウィリー・ディクソンが言うところの“The Blues is the roots; everything else is the fruits.(ブルースは全ての根っこであって、それ以外の音楽は全てその木からなる)”ですね。
それでは、今回はそのミシシッピ・フレッド・マクダウエルが1960年代に吹き込んだ3つのおすすめアルバムをご紹介したいと思います。
Fred McDowell With The Hunter’s Chapel Singers – 『Amazing Grace』
01.Jesus Is On the Main Line
02.When I Lay My Burden Down
03.I’m So Glad I Got Good Religion
04.Goin Over The Hill
05.I Know I’ve Been Converted
06.Just A Little More Faith
07.Back Back Train
08.You Gotta Move
09.Jesus Gonna Make Up My Dying Bed
10.Amazing Grace
11.Keep Your Lamp Trimmed & Burning
12.Tell The Angels
13.When You Come Out Of The Wilderness
14.The Lord Will Make A Way
15.It’s A Blessing
16.This Little Light Of Mine
1966年2月6日に吹き込まれたゴスペル作品です。
フレッド・マクダウエルだけでなくザ・ハンターズ・チャペル・シンガーズというゴスペル・クワイアがコーラスで参加しています。
この作品の1曲目”Jesus Is On the Main Line”と7曲目”Back Back Train”を聴いて感銘を受けたジョー・ペリーが、エアロスミスの初のブルース・アルバム『Honkin’ on Bobo』で取り上げることになります。
そういった原曲探しとして本作を聴くのも良いと思います♪
本作の基本は、コーラス隊をバックにフレッド・マクダウェルがアコースティック・ギターを弾き語る形です。
後にザ・ローリング・ストーンズやエアロスミスもカヴァーすることになるフレッド・マクダウェルの代表曲”You Got to Move”や、アルバム・タイトルにも用いられた英国発の古い讃美歌”Amazing Grace”など有名な楽曲も含まれています。
ヒル・カントリー・ブルースにも影響を与えた独特のビート感は本作でも健在ですが、ゴスペルを主体としているので比較的大人し目の演奏です。
いつもより静かに演奏するスライドギターは、その静謐は世界観からまるでブラインド・ウィリー・ジョンソンを聴いているかのようでもあります。
ちなみに9曲目の”Jesus Gonna Make up My Dying Bed”は、そのブラインド・ウィリー・ジョンソンの曲です。
後にレッド・ツェッペリンが1975年の2枚組アルバム『Physical Graffiti』のディスク1の3曲目に”In My Time of Dying”として取り上げ曲の原曲になります。
まずはゴスペルとブルースが表裏一体となったこの作品を聴いて準備運動をしましょう!
なぜなら…次の作品が“強烈!”だからです。
Mississippi Fred McDowell & Johnny Woods – 『Mama Says I’m Crazy』
01.Shake ‘Em On Down
02.Goin’ Away
03.Mama Says I’m Crazy
04.I Got A Woman
05.Red Cross Store
06.Going Down To The River
07.Standing At The Back Door
08.What’s Going To Become Of Me
09.Long Haired Doney
10.John Henry
11.I Walked All Night Long
1967年の8月の暑い時期にブルース・ハーピストのジョニー・ウッズと共演した名作です。
フレッド・マクダウェルの弾くアコースティック・ギターとジョニー・ウッズの吹くブルース・ハープの音だけなのに…“強烈!”なんです。
これこそこのブログ記事のタイトルにも付けた【悪魔のビート】です!
1曲目”Shake ‘Em on Down”は、B.B.キングの従兄でもあるスライドギターの名手で伝説のデルタ・ブルースマンでもあるブッカ・ホワイトの曲です。
原曲も大概“強烈!”なんですが、本作のバージョンも負けてはいません!
フレッド・マクダウェルのアコギのイントロから徐々に始まって、ジョニー・ウッズのブルース・ハープが交わると…【悪魔のビート】がブルース地獄へと誘ってくれます!
1分10秒から始まるフレッド・マクダウェルのスライドギターの音色とユニゾンで吹くジョニー・ウッズのブルース・ハープが聴きどころです!
2つの楽器だけとは思えないような、濃い~~アンサンブルです!
この調子で次の”Goin’ Away”も続いていきます。
他にも”Red Cross Store”やディフォード・ベイリーの”John Henry”など、フレッド・マクダウェルが何度か吹き込んでいる得意曲も再演されています。
しかし本作のバージョンが一番“強烈!”です。
たった2人だけなのに、この激しいビートはなんなのでしょうか⁉
ベースやドラムなんかのリズム隊はいません。
フレッド・マクダウェルがアコギを弾きながら足で「コツコツ♪」と地面を叩く音のみでリズムをキープしています。
それもかなり不安定です。
なのにこのビートです!
まるで【悪魔に憑りつかれた】かのような尋常じゃないテンションです!
これがブルースの持つパワーなんでしょうね!
そりゃ~「ブルース=悪」となるのも本作を聴けば納得ですね。
ブルース好きだけれども、本作を未聴だったという人にぜひとも聴いてもらいたい作品です。
この“強烈!”に身を委ねて【悪魔のビート】を存分に味わってみましょう♪
これこそが『本物のブルース』です!
Mississippi Fred McDowell – 『I Do Not Play No Rock ‘N’ Roll』
01.Baby Please Don’t Go
02.Good Morning Little School Girl
03.Kokomo Me Baby
04.That’s All Right Baby
05.Red Cross Store
06.Everybody’s Down On Me
07.61 Highway
08.Glory Hallelujah
09.Jesus Is On The Mainline
– Bonus Tracks –
10.My Baby She Gonna Jump And Shout
11.Long Line Skinner
12.You Got To Move
13.The Train I Ride
14.You Ain’t Gonna Worry My Life Anymore
1969年9月8~10日に録音された作品です。
本作ではフレッド・マクダウェルがエレキ・ギターを弾いています。
更にリズムギターのジェリー・パケットとドラムのダリン・ランカスターも参加しています。
といっても、激しくロック・スタイルで演奏するわけでもエルモア・ジェームスのようにワイルドにブルーム調で演奏するわけでもありません。
基本はいつもの弾き語りスタイルです。
1曲目が始まる前に「ワシはフレッド・マクダウェルじゃよ。ミシシッピ・フレッド・マクダウェルとでも呼んでおくれ」とマクダウェル自身の自己紹介から始まります。
マディ・ウォーターズの得意曲としても有名な”Baby Please Don’t Go”は、元はビッグ・ジョー・ウィリアムスの曲です。
本作でもフレッド・マクダウェルの強烈なスライドギターが鳴り響きます!
バックで「ザクッザクッ♪」とリズムを刻むジェリー・パケットのリズムギターが【悪魔のビート】を叩き出そうと奮闘しています。
しかし、先の『Mama Says I’m Crazy』でフレッド・マクダウェル自身が弾いていたビート感と比べると…若干あっさりしています。
この調子で本作は進んでいきます。
いつものフレッド・マクダウェルの定番曲”Red Cross Store”や”Jesus Is on the Mainline”にCD盤のボーナス・トラック扱いではありますが、”You Got to Move”なども演奏しています。
他にも、ジョン・リー・ウィリアムソンことサニー・ボーイ・ウィリアムソン一世の有名曲”Good Morning Little Schoolgirl”や、ココモ・アーノルド作の”Kokomo Blues”を彷彿させる”Kokomo Me Baby”に、エルヴィス・プレスリーもカヴァーしたアーサー・”ビッグボーイ”・クルーダップの代表曲”That’s All Right Baby”など聴きどころです。
フレッド・マクダウェルが亡くなるおよそ2年前の晩年の演奏ということで、以前よりもパワーダウンした感は否めませんが、それでも”I Do Not Play No Rock ‘N’ Roll”と「ワシは(流行りの)ロックンロールなんか演奏せんわい!」という頑固爺さんっぷりを発揮したアルバム・タイトルからして最高ですね♪
マクダウェル自身の好き嫌いは別として、彼の作り出したブルースの数々はロックンロールの発展に大きく影響を与えていますからね。
また”I Don’t”とスマートに省略せずに”I Do Not”と分けていっている部分が、「片田舎出身のブルースマン」という感じを醸し出しているのもポイントです!
以上、【悪魔のビートが炸裂⁉ミシシッピ・フレッド・マクダウエル1960年代のおすすめの3選!】のご紹介でした。
ブルース好きの方はもちろん、最近ブルースを聴き始めたというブルース初心者の方も、ローリング・ストーンズやレッド・ツェッペリンにエリック・クラプトンやスティーヴィー・レイ・ヴォーンなんかを聴いて、そのルーツにあるブルースを聴いてみたいな~という方にもおすすめです♪
ぜひともミシシッピ・フレッド・マクダウエルを聴いて、濃い~~『本物のブルース』を味わってみてください♪
そこでは【悪魔のビート】があなたを待ち構えているはずです!
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