
2018/11/13
『ギターバッキングの技』ジャンル別でギターバッキングのパターンを学べるおすすめの教則本
ギタープレイに応用出来る即戦力譜例が多数収録された『ギターバッキングの技』
ギターの上手さはしっかりとしたバッキングが弾けるかどうかで決まる⁉
このブログでも恒例になってきた(?)僕がおすすめするギター教則本のご紹介です。
これまでにも4冊ほどご紹介していました。
過去の記事に関しましても、それぞれの記事に「ギター教則本」というタグを付けていますのでそちらからまとめて検索していただくこともできます。
ぜひ過去の記事にも目を通してみて下さい。
これまでは、どちらかっていうとブルースやジャズの曲でアドリヴソロを弾けるようになるための教則本を中心にご紹介してきました。
しかし今回はギターソロに注目した教則本ではなく、もっと全ての演奏の基本となるリズムギターのバッキングに焦点を合わせた教則本です。
僕が思うに、ギターだけでなくほとんどの楽器の上手さって「いかに的確なリズムで多彩なバッキングが出来るかどうか?」だと思います。
サックスやトランペットのようなリード楽器だと、バッキングを演奏することはありませんが、それでも『リズム感』は最も需要な要素となってきます。
実際のところ、僕が本当に「この人のギター演奏って上手いなぁ~」と思うプロギタリストで「リズムギター」や「バッキング」がヘタな人は一人としていません。
ジミ・ヘンドリックスもエリック・クラプトンもデュアン・オールマンもスティーヴィー・レイ・ヴォーンも、全員ギターソロだけでなくバッキングの達人です!
こういった伝説的な海外ミュージシャンだけでなく、実際に僕がセッションなんかでお会いする身近なプロギタリストの人でもそうです。
そもそも「プロ」を名乗る素晴らしいミュージシャンで、リズム感が悪い人なんていないです。
逆にギターソロがイマイチ…なプロギタリストはたま~にいたりはしますが、それでもやはりみなバッキングは上手です。
それもそのはず、そもそも曲を演奏するうちほとんどの時間はバッキングを弾くことになります。
曲によっては、ギターソロなんて10秒あるかないか?もしくは全くギターソロがない名曲だって多くあります。
最悪ギターソロは弾けなくってもバンドをやる上で問題なかったりします。
しかしリズム感が悪いとそもそも他のメンバーの足を引っ張ることになります。
よくありがちなのが、ギタリスト自身がリズム感が悪いのに、自分が弾けていないのを棚に上げて「うちのバンドはリズム隊がイマイチだからな~。」といってベーシストやドラマーのせいにするパターンです。
僕も身近でこういう人を何人か見てきました。
でも、こういう人はいざリズム隊なしでバッキングを弾いてもらったら…酷い場合がほとんどです。
本当にリズム感が良くってバッキングが上手い人であれば、ベースやドラムのせいにせずに、自らが的確なパターンを弾いてリズム隊をリードしてあげられるはずです。
それが出来ないから他人のせいにして自己保身しているんじゃないのかな~?と感じる事があります。
まずはギタリストが一人だけで弾いてみて「ちゃんと曲として成立しているかどうか?」が大事だと思います。
それにはやはりギタリスト自身が、ちゃんとリズムギターを弾けることが重要となってきます。
僕も一緒に演奏する際に、自分がギターソロを弾く番になって一緒に演奏しているもうひとりのギタリストのリズム感が無茶苦茶で苦労したことがありました。
せっかく思いっきりアドリヴでソロを弾こう!と気合いを入れているのに、リズムが無茶苦茶なバッキングを弾かれると、やる気がなくなってしまいそうになります。
こういうのが続くと、その人と一緒に演奏するのが嫌になってきます。
リズムギターがちゃんと弾けないと、バンドやセッションで一緒に演奏する人たちに迷惑をかけることにもなります。
音楽を演奏する上で、一番大事なのは他の楽器陣とのアンサンブルだと感じます。
ライヴを観に来てくれているお客さんのほとんどは長尺アドリヴソロを聴きたいわけではありません。
お客さんが求めているのは、バンドがしっかりとグルーヴしたノリの良い音楽です。
そのためにもしっかりとリズムギターを弾ける必要があります。
またバッキングのパターンを豊富に持っていることも重要です。
僕もそんなにたくさんのパターンを持っているわけではないのですが、その時演奏するジャンルによってコードの種類を変えるようにはしています。
ポップス系ならオープンコードもしくはバレーコード、ロック系ならパワーコード、ブルース系なら7thのコード、ジャズ系ならテンションも加えた7thコード、R&Bやファンク系なら4~3弦をルートにしたスモールコード…などです。
これがたまに見かけるのが、ギターソロばかり練習していてバッキングを手抜きするギタリストです。
こういう人はまずギターソロもリズムがあっていないので、上手くはないんですが……一番ダメだな~と感じるのは、ジャズでもブルースでもファンクでも同じようにポップスで使うバレーコードのまま弾いていることです。
これはちょっと見ていてかっこ悪いです。
確かに音は外れていないし合ってはいるんですが、それぞれのジャンルにあったギタートーンってあると思います。
それをどのジャンルでも同じバレーコードで弾いていたら、「まるでポップスにしか聞こえないジャズやブルース」って感じになってしまいます。
ギターという楽器は、オクターヴ違いで様々なコードを作り出せる素晴らしい楽器です。
しかも同じコード音でも、押さえるポジションが変わるとトーンまで変わります。
例えば、ワンコードのジャズファンクの曲でずっとC7のバレーコードのまま弾いていたら、弾いている自分自身も聴いているお客さんもツマらなく感じてしまいます。
しかしそこで4~3弦をルートにしたスモールコードやスケールやトライアドから導き出したベースラインやリフを弾くことで多彩なアプローチが出来るようになります。
そうするとワンコードの曲でも、ずっと同じポジションでダラダラ弾くのではなくて、まるでバッキング中にもアドリヴを弾いているようなことが出来るようになります。
そこまで出来るようになれば、ワンコードの曲で他の人がアドリヴソロを弾いている際に、自分自身が暇になることはないですし、とっさにアンサンブルを盛り上げることだってできます。
上手いギタリストの人は、こういったことがもれなく確実にできています。
セッションに参加すると、ワン・コードの曲を「ずっと1つのコードだけでツマらない!」と言う人にもちょくちょく出会いますが、そういう人の多くは自分のバッキング・アイデアの乏しさを棚に上げて楽曲のせいにしている場合がほとんどです。
僕が本当にギターが上手いなって思うのは、こういったリズムギターのアドリヴを自然と出来る人です。
もちろんセンスだけではどうしようもない部分がありますので練習が必要です。
しかしどうしてもギターの教則本ってフレーズ集やアドリヴソロの弾き方やスケールの理論本が多い気がします⁉
そこでおすすめなのが、今回ご紹介する『ギターバッキングの技』という教則本です!
多彩なアプローチが学べるギター教則本『ギターバッキングの技』
この本は2006年に発売されました。
ちょうどその時の僕はブルースバンドでギターを弾いていた頃です。
2006年はこのバンドを始めて2年目となった頃でした。
そのブルースバンドでも徐々にファンクの曲なんかを演奏するようになり、もっと色んなバッキングパターンを弾けるようにしないといけないと感じこの本を購入しました。
もちろん買ってよかったです。
本の中身はギタリストが読みやすいタブ譜で記載されています。
本書には模範演奏が収録されたCDも付属していますので、記載されているバッキングパターンの確認を音源で聴くことができます。
収録されているバッキングパターンの5つのジャンル
主に5つのジャンル「Rock」「Soul,R&B」「Funk」「Jazz」「Blues」に章わけされています。
「Rock」の章には、
●ジミヘンの”Little Wing”風
●開放弦で不協和音を混ぜたデフレパードのアルペジオバッキング
●ローリングストーンズの”Brown Sugar”風
●ボン・ジョヴィやMr.Bigでよく見られるハードロックのバッキングパターン
●ブライアン・セッツァーのロカビリー風
●ドゥービー・ブラザーズの”Long Train Runnin'”風
などが載っています。
「Soul,R&B」の章では、
●R&Bの基本でもあるスティーヴ・クロッパーやコーネル・デュプリー風バッキング
●メロウなデイヴッド・T・ウォーカー風
●ポール・ジャクソンJr.のような単音ミュートカッティング
●マーヴィン・ゲイの”What’s Goin’ On”風
などが載っています。
「Funk」の章では、
●ジェームス・ブラウンの”Get Up (I Feel Like Being A) Sex Machine”や”Super Bad”風
●スライ&ザ・ファミリーストーンの”Sing A Simple Song”や”Thank You”風
●タワー・オブ・パワーの”What Is Hip?”風
●シックの”Le Freak”風、
●アース,ウィンド&ファイアー”Fantasy”風
などが載っています。
「Jazz」の章では、
●基本となるスウィングジャズ風
●ビッグバンドに対応できる4つ打ちコンピング
●3拍子が練習できるジャズワルツ風
●バーニー・ケッセルのような一人ホーンセクション系のコンピング
●ジョー・パスのような一人二役コンピング
●不思議な音色を楽しむジョン・スコフィールドやモードジャズ風
●サンバのリズムを取り入れたボサノヴァ風
●ジョージ・ベンソンやパット・メセニーのようなハイテクニックのコンピング
●ボーカルのバッキングにぴったりのタック・アンドレス風
●そして面白いのがウェス・モンゴメリーのデビュー作に収録されていたホレス・シルヴァーの曲”Ecaroh”風
などが載っています。
あのウェス・モンゴメリーもバッキングの達人であったことが伺えます。
“Ecaroh”は、ウェスの初リーダー作『The Wes Montgomery Trio』の5曲目に収録されています。
ギターソロが終わって中盤のオルガンソロのバックで聴けるコンピングです。
「Blues」の章では、
●マジック・サムの”Sweet Home Chicago”風の定番ボトムリフ
●ベースラインとユニゾンで弾くアルバート・キングやオーティス・ラッシュがカヴァーした”Cross Cut Saw”風、
●B.B.キングやバディ・ガイが得意とした哀愁溢れるマイナーブルース風
●マディ・ウォーターズのような語りスタイルのシカゴブルース風
●“Woke Up This Morning (My Baby’s Gone)”のようなルンバブルース風
●エルモア・ジェイムスのようなボトルネック風奏法
●まるでピアニストのようなブギウギブルース・バッキング
●T・ボーン・ウォーカーの”Stormy Monday”や”Mean Old World”のようなパッシングコードを加えたジャジーなスローブルース風
●踊れるダンスミュージック風のチャールストンブルース
●ロバート・ジョンソンのような不協和音も交えたミシシッピ・デルタブルース風
などが載っています。
本当に多彩なバッキングパターンが掲載されているので、色んなジャンルのバッキングパターンを学びたいギタリストにおすすめの本です!
「〇〇風」と書いているのは、本書はバッキングパターンの基となったミュージシャンの楽曲を丸々コピーするための本ではないからです。
どの課題曲も、実際のミュージシャンの楽曲とは少しフレーズを変えて弾いていたりします。
なので、完コピをしたい人は別でそのミュージシャンのスコアを購入して下さい。
本書はあくまでもロックやブルースとかの基本となるバッキングパターンを「こういう風に弾くんだよ。」といった感じで掲載しているんだと思います。
僕が考える一番良いと思う使い方は、本書に掲載されているバッキングパターンをまずはコピーしてみて、その後自分なりのアレンジを付け加えたり出来るようになることがいいんじゃないかな?と思います。
様々なジャンルのバッキングの基礎パターンを本書では学んで、その後で自分がどのような演奏を目指すべきか?そこを考えるのは読者のみなさん自身だと思います。
一番良くないのは、自分の頭では考えずに「この教則本の書き方は間違っている!」とか「初歩的なものばかりで詳しく書かれていない!」と掲載内容に難癖付けて受け入れようとしないことだと思います。
それはそれで「こういうやり方もあるんだな~。」と広い心で受け入れて、その後自分のアイデアに昇華していきましょう。
最終的に自分の演奏を決定づけるのは「自分自身」です!
本書は「そのきっかけ」作りとして使いましょう。
特にギター初心者の人には「基礎的なバッキング・パターン」が学べるのでおすすめですよ。
ちなみにこういったバッキングパターンが掲載されたタブ譜だけでなく、間に理論やコツなどが載っているので併せて読むとより理解が出来ると思います。
このブログ記事を読んで、「そういえば自分もバッキングが苦手だな~…」と感じられた方は、一緒に演奏している他パートのバンドメンバーに嫌われる前に、ぜひこの本を使って様々なバッキングパターンを学んでみてはどうでしょうか?
バッキングが得意になると、セッションで初見の曲に出会っても大体の曲には対応できるようになります。
そうなってくると、ギターソロどうのこうのよりも自分自身のギタープレイに自身が持てるようになりますよ♪
ぜひともギターを演奏し始めた初心者の方は、まずはこういったバッキングパターンがしっかりと載っている教則本から学ぶことをおすすめします。
ギターソロよりも先にバッキングです!
バッキングがしっかりと出来るようになってからギターソロの練習をしましょう!
何事もまずは基礎からですね!
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