2019/02/16
【ブルース好きにおすすめ!】ジョニー・ウィンターのアリゲーター・レコード時代の3作品をご紹介します♪
1980年代のジョニー・ウィンター渾身のブルース・アルバム3作品!
ブルース・レーベルのアリゲーター・レコードからリリースされたブルース色の濃い3作品
今回ご紹介するのは、シカゴと並んでアメリカでも特にブルースが盛んな地、テキサス州出身の白人ブルースマン、ジョニー・ウィンターです。
そう、T-ボーン・ウォーカーやジョニー・”ギター”・ワトソンにフレディ・キングなど数多くのブルースマンの出身地です。
このジョニー・ウィンターとスティーヴィー・レイ・ヴォーンは、テキサス出身で最も成功した白人ブルースマンたちですね。
1980年代になってからレコード・デビューを飾るスティーヴィー・レイ・ヴォーンよりも、10年近く前からジョニー・ウィンターは活動していました。
もちろんデビュー当時から、その不世出の才能は飛び抜けていました!
1969年のCBSとの契約金が数十万ドルと巨額であったことから『100万ドルのギタリスト』の異名を持つほどに、ジョニー・ウィンターのギター演奏能力は最初からトップ・クラスの腕前でした!
時代的に、ちょうどエリック・クラプトンらのブルース・ロックが流行った時代でもありますので、かなりロック色の強いギター奏法ではありますが、そういったブリティッシュ系のブルース・ロック・バンドとは一線を画すような泥臭さも特徴でした。
まるでマディ・ウォーターズ直系のようなスライドギターは、もはやミシシッピ伝統のデルタ・ブルースを思い起こさせるほどです!
ギターの音色こそハードに歪んでいたり、速弾きのように手数が多かったりしますが、ふとした時に見せるスライドギターやリドネイターギターの使い方などがブルースの地テキサス出身だと言うことを物語っているかのようでもあります!
さて、そんなジョニー・ウィンターはデビュー時から自作のブルース曲や、定番のブルースをカヴァーしていたりしましたが、どちらかというと70年代はロック系の音楽をやっていたと感じます。
ローリング・ストーンズの”Jumpin’ Jack Flash”やリトル・リチャードのロックンロール曲を取り上げたりしていましたからね。
それも悪くはないのですが、せっかくマディ・ウォーターズ直系のスライドギターを弾けるのだから、濃いブルースを演奏して欲しいところです。
そのきっかけともなったのが、70年代中頃からマディ・ウォーターズのアルバムをプロデュースしたりライヴに参加したことです。
それ以降、1977年の『Nothin’ But The Blues』辺りからよりブルース色の濃いアルバムを制作するようになります。
ブルース専門レーベル『アリゲーター・レコード』への移籍
それまで長きに渡ってCBSに在籍していたジョニー・ウィンターでしたが、1974年の『John Dawson Winter III』からブルー・スカイ・レコードに移籍します。
そこで4枚のアルバムを制作した後に、1984年に遂にブルース専門のレーベルへと移籍することとなります。
それが『アリゲーター・レコード』でした。
『アリゲーター・レコード』は、以前このブログでもご紹介していたハウンド・ドッグ・テイラーのアルバムを制作するために、当時デルマーク・レコードに勤務していたレコード・プロデューサーのブルース・イグロアが設立したレーベルです。
【この猟犬スライドに憑き!】ハウンド・ドッグ・テイラーの生き様(作品)まとめ!
そんな経緯もあって、『アリゲーター・レコード』からは、アルバート・コリンズやクラレンス・”ゲイトマウス”・ブラウンなどの歴史に残るようなブルースの名盤がたくさん制作されています。
もちろんそんなレーベルに移籍したジョニー・ウィンターも、ブルース色の濃いアルバムを制作します。
今回は、その『アリゲーター・レコード』時代の3作品『Guitar Slinger』、『Serious Business』、『Third Degree』をご紹介したいと思います。
Johnny Winter – 『Guitar Slinger』
01.It’s My Life, Baby
02.Don’t Take Advantage of Me
03.Iodine in My Coffee
04.Trick Bag
05.Mad Dog
06.Boot Hill
07.I Smell Trouble
08.Lights Out
09.Kiss Tomorrow Goodbye
10.My Soul
アリゲーター移籍後第一弾となった1984年のブルース・アルバム『Guitar Slinger』です。
1曲目”It’s My Life, Baby”からスライドギターが炸裂します!
この曲は、ドン・ロベイの書いた曲でジュニア・ウェルズで有名なブルース曲です。
ドンシャリ気味に激しく歪んだド派手なギターに、力みすぎのボーカルが気合の入り具合を表しています!
スライドギターのソロも迫力満点です!
そして次の2曲目”Don’t Take Advantage of Me”は、ジョニー・ウィンターの80年代を代表する名演です!
ブルース・ギタリストのロニー・ブルックスが1983年にリリースした曲のカヴァーです。
ミドルテンポのベースのイントロから、ロック調のギターリフで徐々に始まります。
流れるようなメロディーラインを構築するギターソロが最高です♪
3曲目”Iodine in My Coffee”は、ジョニー・ウィンターも敬愛するマディ・ウォーターズの名曲です。
ブルース・ハープ入りでマディのようなダウンホームな雰囲気で演奏しています♪
そのブルース・ハープと交差する様にスライドギターでソロを弾きまくっています!
4曲目”Trick Bag”は、ミーターズもカヴァーしたアール・キングのファンキーな曲です。
ジョニー・ウィンターも、キメ部分で華やかなホーン隊が登場するニューオーリンズ風に演奏しています。
他には、1曲目と同じくドン・ロベイの書いたスロー・ブルースの”I Smell Trouble” や、Dr. ジョンのファンキーなロックンロール曲”Lights Out”に、アル・リードが書いた昭和歌謡調とも言えるソウル・バラードの”Kiss Tomorrow Goodbye”に、エタ・ジェイムズの”My Soul”など面白いカヴァー曲が並んでいます。
しかしやはり4曲までの曲が目立ちます!
全体的にもジョニーウィンターの歌もギターもかなり調子は良いアルバムです。
まずは1曲目”It’s My Life, Baby”で派手にキメて、一気に4曲目まで流して聴きましょう♪
Johnny Winter – 『Serious Business』
01.Master Mechanic
02.Sound the Bell
03.Murdering Blues
04.It Ain’t Your Business
05.Good Time Woman
06.Unseen Eye
07.My Time After Awhile
08.Serious as a Heart Attack
09.Give It Back
10.Route 90
1985年にリリースされたアリゲーター時代の2作目『Serious Business』です。
マディ・ウォーターズのブルースをド派手なロックにしたような1曲目”Master Mechanic”からアルバムは始まります。
メタリックに歪んだギターソロが激しく鳴り渡ります!
2曲目”Sound the Bell”は、クラランス・ガーロウのブギウギ・ロック曲です。
ハードに弾きまくるギターソロが最高です♪
3曲目”Murdering Blues”は、なんとあのB.B.キングにも影響を与えた1898年生まれの古い時代のブルースマン、ドクター・クレイトンの曲です。
ブルース・ハープも交えて、マディ・ウォーターズ風のアレンジで演奏しています。
4曲目”It Ain’t Your Business”は、スリム・ハーポの”That Ain’t Your Business”が原曲です。
スリム・ハーポのゆったりしたブルースを、ノリノリのロック調で演奏しています。
その後、スライドギターのイントロがかっこいい5曲目の自作ブルース曲”Good Time Woman”を挟んで、6曲目ソニー・ボーイ・ウィリアムソン二世の”Unseen Eye”もカヴァーしています。
7曲目”My Time After Awhile” は、ボブ・ゲディンズ作のミドルテンポのブルース曲です。
まるでモジョ・ワーキンなマディ流のファスト・ナンバーである8曲目”Serious as a Heart Attack”もジョニーウィンターの自作曲です。
この時代のジョニー・ウィンターの自作曲もなかなかブルース度の高いものばかりですね♪
9曲目”Give It Back”は、R&Bピアニストのソニー・トンプソンの曲です。
金属音のような甲高い音が少し耳障りなぐらいギターは激しく歪んでいます!
そして最後の10曲目”Route 90″は、これまたクラランス・ガーロウ作のダンス・ナンバーです。
原曲と同じく、転がるピアノがロックンロールしています♪
アリゲーター第一弾だった先の『Guitar Slinger』よりも、ロックの曲調が増えていますが…
しかしそれでも”Master Mechanic”や”Murdering Blues”のようなブルース曲に”Good Time Woman”と”Serious as a Heart Attack” の2曲の自作ブルース曲の出来の良さに、この時期のジョニーウィンターの充実具合が感じられます。
Johnny Winter – 『3rd Degree』
01.Mojo Boogie
02.Love, Life and Money
03.Evil on My Mind
04.See See Baby
05.Tin Pan Alley
06.I’m Good
07.Third Degree
08.Shake Your Moneymaker
09.Bad Girl Blues
10.Broke and Lonely
ドブロ・ギターを手にしたジョニー・ウィンターの写真が印象に残る1986年のアリゲーター第三弾アルバム『3rd Degree』です。
少しロック寄りだった前作『Serious Business』から初心に戻って(?)本作も『Guitar Slinger』の時のようにブルースの曲が多くなっています。
過去にもJ・B・ルノアーの代表曲”Talk to Your Daughter”を取り上げていたジョニー・ウィンターですが、本作の1曲目”Mojo Boogie” もそのルノアーの曲です。
エルモア・ジェームス風のブルーム調のイントロで始まります。
ギターソロでもスライドが暴れまわっています!
2曲目”Love, Life and Money”は、ウィリー・ディクソンとヘンリー・グロ-ヴァーの共作です。
アルバート・キングのような、タメにタメたギターのイントロで始まるスロー・ブルースです。
2曲目にして、さっそく本作のハイライトとも言えそうな渋い楽曲です♪
3曲目”Evil on My Mind”は、ジョニー・ウィンターの自作曲です。
マディ・ウォーターズもカヴァーしたハンボーン・ウィリー・ニューバーン作の伝承歌”Rolling and Tumbling”風の曲です。
アルバム・ジャケットの写真のようなリゾネーター・ギターでアコースティックに演奏しています。
もちろんスライドギターも併せて弾き語りスタイルで演奏しています。
4曲目”See See Baby”は、ジョニー・ウィンターと同郷のブルースの巨人フレディ・キングの楽曲です。
原曲よりもテンポを上げてカヴァーしています。
5曲目”Tin Pan Alley”は、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのスロー・ブルースとは別です。
こちらの方は、ブルース・ピアニストのサニーランド・スリムの曲です。
原曲と同じようにピアノのイントロで始まります。
ちなみにこの曲でピアノを弾ているのは、Dr.ジョンです。
6曲目”I’m Good”は、女性シンガーのボニー・リーが歌ったノリの良い曲です。
ジョニー・ウィンターは、かなり派手な演奏でカヴァーしています。
本作のアルバム・タイトルにもなった7曲目”Third Degree”は、後にエリック・クラプトンも『From The Cradle』でカヴァーしたブルース・ピアニストのエディ・ボイドがウィリー・ディクソンと共作した渋いブルース曲です。
アルバート・キング風のタメたチョーキング音がド派手に鳴り響きます!
渋い演奏だったエリック・クラプトンとは違って、ジョニー・ウィンターが演奏すると派手になりますね。
8曲目”Shake Your Moneymaker”は、エルモア・ジェームスのノリの良いダンス・ナンバーです。
エルモア風のスライドギターも絶好調です♪
9曲目”Bad Girl Blues”は、1911年生まれの古きカントリー・ブルースマンのメンフィス・ウィリー・Bの曲です。
原曲よりは明るめのトーンではありますが、ここでもリゾネーター・ギターのスライド奏法で演奏しています。
こういった演奏が出来るところが、他の白人ブルースマンとの違いですね。
エレキを演奏する時は派手すぎるのですが、こういったカントリー・ブルース調のアコースティックな演奏だと、そのアーシーな感触はさすがの出来です!
最後の10曲目”Broke and Lonely”は、同じテキサス出身のファンキーなブルースマン、ジョニー・”ギター”・ワトソンの曲です。
原曲通りにファンキーに演奏しています♪
以上、【ジョニー・ウィンターのアリゲーター・レコード時代の3作品をご紹介します♪】でした。
残念ながらジョニー・ウィンターは、2014年にこの世を去ってしまいましたが、しかし約19枚ものオリジナル・アルバムをリリースしています。
そんな数多くある作品群の中でも、特にこのアリゲーター・レコード時代の3作品が僕は好きでよく聴いています。
ぜひともブルース好きの方に、この時代のジョニー・ウィンターの作品を聴いて欲しいと思います♪
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